それでもドキュメンタリーは嘘をつく (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043625055

感想・レビュー・書評

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  • 森達也のドキュメンタリー論とでも呼ぶのが正しいのだろうか。

    たしかに本書に書かれているように、「ドキュメンタリー=公正なもの」という意識は我々の中に根付いている。
    ただ、実際は監督の意思にそって進められている映像作品であり、それが正義だとは限らない。
    しかし、観ることで自分のなかに問題定義を呼びかけてくる作品かどうかは重要で、少なくとも私にとって森氏の映像作品や著者はそういう存在であることは確かだ。

    ドキュメンタリーが好きだと自負する人こそ、本書を読んで頭をガツンと殴られてほしい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「「ドキュメンタリー=公正なもの」という意識は」確かに見る時は、そこからスタートしている。これからは気を引き締めて見始めなきゃ。。。
      2012/03/02
    • ayami Imanishiさん
      ドキュメンタリーを観て「かわいいそう」だとか「いい話」だとか思うのは簡単なのですが、映像から何を嗅ぎとるかということが大事なのかなぁと思います。難しいんですけどね……。
      2013/03/13
  • もりたつは、私のメディア的なものへの視点に大きな影響をくれた人です。
    「真実」を語るジャーナリストと「現実」を語るドキュメンタリーが何よりもうさんくさいと思う私には、好きなメディア論。

    ・ドキュメンタリーが描くのは、異物が関与することによって変質したメタ状況なのだ。作り手が問われるべきは、その事実に対して、どれだけ自覚的になり、主体的に仕掛けられるかだろう。
    ・その仕事は、客観的な事実を事象から切り取ることではなく、主観的な真実を事象から抽出することだ。
    ・わかりやすさばかりが優先された情報のパッケージ化をマスメディアが一様に目指す状況だからこそ、あいまいな領域に焦点をあてるドキュメンタリーの補完作用は重要な意味をもつ。
    ・自らのパーソナルな主観・世界観を表出することが最優先順位にあるドキュメンタリーと、可能な限りは客観性や中立性をつねに意識におかなければいけないジャーナリストとは、本来は水と油の関係のはずだ。
    ・内面的な矛盾や葛藤が過剰であればあるほど、被写体としての魅力は増大する。
    ・撮る側の主体と意識が問われる・・・その覚悟がなければ、現実に負ける。
    ・アメリカの病理の本質は、高揚した正義であり、徹底した善意でもある。
    ・言葉の最大の機能は規定だ。そして僕の考えるドキュメンタリーは、その規定からつねにはみだす領域にある。だからこそ、ドキュメンタリーそのもを規定できない。

    ・・・読みながら、「THE COVE」を見た時感じた強烈な違和感がはっきりしました。なるほどね。

  • 170814読了

  • ドキュメンタリーに特化したエッセイだけに、いつものようにテーマの使い回しがなく、またドキュメンタリー映画案内としても参考になる。

  • 何事もやればやるほど、新鮮味は落ちていく。

  • 僕にとっての愛読書で、学部生の時に買って、読むのは今回で三回目。
    「A」、「A2」や、最近だと「311」といったドキュメンタリー映画で知られるドキュメンタリー作家の森達也が唱えるドキュメンタリー論。

    一般的には、「事実・現実をそのまま写したもの」として認識されている「ドキュメンタリー」というジャンルが持つ虚構性、恣意性、劇映画との境界のなさをテーマに語ったもの。

    森達也の本は好きでわりと色々読んだのだけど、個人的にはこれが一番おもしろい。

  • ある視点にはその人物の恣意性が絶対に付いてくる.
    恣意性を排除することはできないが、その事には常に自覚的でいないということを繰り返し教えてくれる.
    誰かを傷つけているという自覚や覚悟無しに自分の意見は表明できない.

  • そしてこの瞬間も嘘をつく。

  • テレビではどの局も、情報が分かりやすく結論も決まっているかのように、同じような内容を伝えられている。そうした日本のメディアの問題を捉えている。タブーを映像化してきた森達也さんのドキュメンタリーに対する姿勢が理解できる本。

  • 唐沢なをきのNHKやらせ騒動の件やイルカ漁などを髣髴とさせるタイトル。ドキュメンタリー作家が、ドキュメンタリーとは何かを自伝とともに。コラムの途中で、森氏自身の経験と意見が織り込まれ、大変生々しく、始終スリリングで目が離せない。ただ、タイトルとは違って"ドキュメンタリーの敗北"についてが目立つ内容ではある。

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