心の傷を癒すということ (角川ソフィア文庫)

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  • 角川書店 (2001年12月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784043634019

作品紹介・あらすじ

イライラする子どもたち、災害マニー(躁病)、精神障害の再発と悪化、PTSD(心的外傷後ストレス障害)――災害がもたらした「心の傷」とは何か。そして本当の「心のケア」とは。阪神・淡路大震災で自らも被災し、すべて手探りから始まった精神医療活動。震災直後とその後のケア、避難所や仮設住宅をめぐる現実、救援ボランティアの役割など、心のケアに奔走した精神科医・安克昌が、被災地から発信した克明な記録。第18回サントリー学芸賞受賞作。

みんなの感想まとめ

心の傷とそのケアについて深く考えさせられる作品であり、阪神淡路大震災の経験を通じて、著者がどのように精神医療に取り組んできたかが描かれています。震災直後の混乱や避難所でのリアルな状況、そしてボランティ...

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代に住んでいた街。
    友人も被災したり、つらかったりしたがやっと今年読めた。
    心に寄り添うこの先生の記録は響いたと同時に当時何も出来なかった自分の情けなさを思い。
    やっぱり辛い

  • 阪神淡路大震災から30年。精神科に関わる人間として、読まなければならない本。今回、100分de名著を見、ドラマの再放送を見て、原作であるこの本を読んだ。30年前の本のため、用語が現在では使われていないもので、やや戸惑いながら読んだ。この本が震災直後から書き始められていることに驚嘆する。阪神淡路大震災の時に関東におり、高校3年生だった自分には、やはり遠い話であり、同じ受験生に対する気持ちはあったにしても、自分のことで精一杯だった。それが東日本大震災で自身が被災者となり、家族や友人に大きな被害はなかったものの医療者として震災を経験することになった。そして今、精神科看護に携わり、日々心の傷を癒すことに奮闘している。この流れに不思議な感覚になる。安先生の文章はとても優しく、所々で反省する文章が出てくる。常に被災者、患者さんの視点でみることを大事にしつつも、もちろん精神科医としての視点でも捉えている。そして、安先生の人生を通して、命ということを深く考える機会を与えてくれている。震災で亡くなったたくさんの命、安先生の命、安先生が助けた命、そして産まれてくる新しい命。震災の記録にとどまらず、命ということを考えさせてくれる読書体験になった。

  • 阪神・淡路大震災で自身も被災しながらも被災者の心のケアに携わった精神科医・安克昌氏による手記。震災直後の1995年1月30日から翌1月20日まで、「被災地のカルテ」の題で新聞に連載され、それまで一般にはあまり知られていなかったPTSD(心的外傷後ストレス障害)の概念を広く認知させることになった。

    上司だった中井久夫氏が前書きで「現場の瓦礫を足の裏に感じながら書かれた」と、解説を書いた新聞記者の河村直哉氏が「様々な心の傷つきを悲劇の地の内側から、自らも当事者として瓦礫のなかを歩きながらリアルタイムに言葉としていった稀有な仕事であり、この当事者性と同時性は今後も世界の各地で起こる悲劇に通じていく」と記したように、医師らしく常に落ち着いた俯瞰的な筆致で震災後の経過や今後の展望を記し、決して悲観的ではなものの、被災当事者としての戸惑いや寂しさ、不安などが顔をのぞかせている。

    全国から集まった精神科医ボランティアをコーディネートをし、自らも医療機関や避難所をまわって「被災者の心のケア」に誰より奔走し、「被災の程度」によって感情を我慢する被災者たちに寄り添いながらも、震災から二か月が経過し、コーディネートしていたボランティア医師が全員引き上げたことや自宅のガスが復旧したことで自分の中の当事者意識が急速に薄れていくのを感じた、とのくだりなどは、かえって「当事者の声」そのそのものだな、と思った。

    そして、その薄れる感覚こそが、「被災者のストレスについての調査の必要性」を氏に感じさせたというから、プロの医療者とはすごいものだとも思わされる。  

    そして、震災から日が経つに連れ、被災地では課題がなくなるどころか、別の新たな課題が次々目の前に立ち現れているのに、マスコミによる震災記事の取り上げは小さくなって世間の記憶から遠ざかっていくことに寂しさや不安を感じているというくだり、終盤の震災関連の孤独死や自殺事例の掲載には、本当にハッとさせられた。

    氏によると、「心の傷となる体験は、同じ苦しみや悲しみの感情を持つ者同士によってはじめて共有される」とのこと。
    だからこそ、「ヨコの関係」としての自助グループの果たす機能は大きいと。
    とはいえ、氏はボランティアにも一定の意味を見出している。施すものと受けるものの「タテの関係」という落差はどうしても出やすいが、「(外部から)見捨てられていない」という安心感を感じさせてくれる存在として。

    災害の多い日本では、被災者になることもあれば、それを支援する側になることもあるけれど、どちらの立場でも心に留めておきたいことが多く書かれた本でした。

  •  本書の著者を知ったのは、本書の「序」も書いているが、中井久夫の本を通してだった。
     心のケア、ボランティア、PTSDなど、今では当たり前に使われる言葉となったが、そのきっかけとなったあの阪神淡路大震災。著者は、自ら被災しながらも、現場の最前線で活動に尽力する。そして本書では、震災直後とその後のケア、避難所や仮設住宅をめぐる現実、救護システム構築の難しさやボランティアの役割などについて著者の問題意識に立った率直な思いが綴られる。
     また特に著者の専門とする精神医療については、時間の経過や環境の変化に応じて、障害の状態や子どもたちの状況がいかに変化していくか、そしてそうした人たちに寄り添うことの大切さなどが分かりやすく論じられている。

     著者が家族を残して若くして亡くなってしまったことを知っているだけになおさら、著者のメッセージを大切にしていきたい。

  • ようやく読了。100分で名著で紹介されたことと同時に関心がある分野なので、書店で手に取った。
    被災者支援にいち早く携わった精神科医が綴る現地の実録。災害時のメンタルケアがいかにして行われるかを知ることができた。

    読んでよかった。安先生のご冥福をお祈り申し上げます。

  • 本文の中か、テレビドラマのセリフかは忘れましたが、安先生が語る「心をケアするとは、一人ぼっちにさせないことだ」という言葉が印象的でした。また、最後にこれからの私たちへの問いかけとして「今後、日本の社会は、この人間の傷つきやすさをどう受け入れていくのだろうか。傷ついた人が心を癒すことができる社会を選ぶのか、それとも傷ついた人を切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか‥」と問うています。


  • 被災とは、建物の下敷きになることだけではない。生き残ってからがスタートなのである。
    生き埋めになった人を助けられなかった自責の念に駆られ続けること。倒壊した建物を見てはその下でゆっくりと死を迎えている人がいるかもしれないと考えること。大切な人を失った悲しみに耐えながら生きること。プライバシーがなく住環境が整わない避難所で隣人と折り合いをつけながら生活すること。一切の娯楽がないまま一秒一秒時が過ぎるのをじっと待ちながら生きること。地震が起こる前と後の景色を重ねて地震がなかった未来を思いその度に絶望しながら生きていくこと。地震が起きる前に戻りたい、という叶わない願いを抱き続けること。あのときこうしておけばよかったと後悔すること。数ある苦しみを想像して、それがなるべく小さくなるようにすることが、防災そして減災になるのだと思う。

    能登半島地震で被災された方々は、今まさに苦しみの最中にいる。その苦しみがどんなものなのか
    知るためにこの本を読み返した。
    心に傷を抱えた人がいるということを知っておくこと、忘れないことだけは、今の私ができることだと思った。

  • 河村直哉氏の解説に安医師の文章を載せている。これがこの本の全てかなと思う。「苦しみを癒やすことよりも、それを理解することよりも前に、苦しみがそこにある、ということに、われわれは気づかなくてはならない。だが、この問いには声がない。それは発する場をみたない。それは隣人としてその人の傍らに佇んだとき、はじめて感じられるものなのだ」

  • 1995年阪神淡路大震災で心療ケアに従事された精神科医安克昌先生の著書。阪神淡路大震災をきっかけに、大災害に対する救援・避難・ボランティア・心身ケアの議論が幾度となくなされ、従事される方々の言葉に尽くせぬ努力もあり災害対策は(至らぬ部分はあれど)当時より大幅に改善された。その「当時」を知る貴重な叙述・分析である。今でこそPTSDなどの一般理解が進んだものの、平成初期は昭和の名残もあり「心の在り方」は疎かにされており、環境激変すなわち大災害ではその歪が顕著に表れるのに対して、成す術なく放置されていたように思う。崩れたものがそのままの形で戻ることはないものの、在り様を嘆き悲しみそして受け入れて新たな受容を育む、そうして「心の傷を癒すということ」について色々考えさせられた一冊である。

  • 『心の傷を癒すということ』安克昌さん

    R3年2月頃に仕事がしんどくて病んでいた時に同僚の人が誘ってくれて見に行った映画で知った。映画も本当に良かった。

    本は、読み進めるのに時間がかかった。
    阪神・淡路大震災後のことで、内容も重かった。
    自分はまだ生まれてなくて、震災についてTVで見る程度の知識だったが、震災後の安先生が行った事、それが今に繋がっていることを知った。
    震災後の人とのつながりがいかに大事か、また路地でのコミュニティを大切に自分もしていきたい。

    安先生に会ってみたかったし、先生の色んな本読んでみたかったな。

    〈本文より〉
    「ボランティアはいてくれるだけで価値がある。自助グループのようなヨコの関係が、孤立しやすい当事者によってかけがえのないものである。」
    「心の傷を癒すのは人と人とのつながりである」

    〈背表紙より〉
    イライラする子どもたち、災害マニー(躁病)、精神障害の再発と悪化、PTSD-。震災がもたらした「心の傷」とは何か?そして、本当の「心のケア」とは?阪神・淡路大震災で自らも被災し、すべて手探りから始まった精神医療活動。震災直後とその後のケア、避難所や仮設住宅をめぐる現実、救援システムやボランティアの役割など、心のケアに奔走した精神科医が、被災地かや発信した克明な記録。第18回サントリー学芸賞受賞作。

  • ドラマに感銘を受け、読みました

    「心の傷を癒すということ」その意味と意義が、優しくも力強い筆致で語られる名著です。
    そこには、間違いなく大災害の中で苦闘した安先生の姿が感じられます。

    彼のメッセージを、今を生きる我々がついでいかねばならないと強く思います。

  • 今回の東日本大震災をずいぶん重ね合わせて読むことが出来たと思う。
    「心のケア」についても,本当に被災地に必要なことは何か考えさせられる1冊。

    この作者による著書がこれしかないのが残念なくらい,
    分かりやすく読みやすかった。

  • 池上彰さんが、この春大学新入生にお薦めしていた本の中の一冊。

    1995年、阪神淡路大震災直後に書かれた本。
    サントリー学芸賞受賞、とある。
    どんな賞なのか、存じ上げないけれど、当時、とても評価された本なのだと思う。
    今や30年以上前となった震災当時の混乱や手探りで活動をすすめる様子が伝わってきます。

    冒頭の「序」では、大学教授が1960年生まれの著者を「青年」と呼ぶ、そんな時代に書かれた本です。
    心の傷に、新しいとか古いとかはない、と思う一方で、当時はPTSDという言葉すら知られていなかった(震災を機に知られるようになった)ように記憶していて、そういう意味では、やっぱり昔の本だなと思えてしまう、もっと直近の本の方が、18歳の方達には最新の知見も反映されていて読みやすいんじゃないの?と思いました。
    そして、追いかけるように、2010年以降は、SNS発信の方が優勢で、こうして活字や本の形で残るもの、後々の人が読めるものが少なくなってきているかも、とも思いました。

    時を経て本を読む者の特権として、その後の今、筆者はどのような活動をされているのだろう、と思いながら読みました。
    最後の解説は、この本の執筆を著者に依頼された方で、筆者は激務を経て2000年に逝去されたことが書かれていました。
    ご冥福をお祈りします。
    30年の時を経て、私に当時の言葉を届けてくださったことに感謝します。ありがとうございました。




  • 阪神・淡路大震災から40年。
    あれからも東日本大震災、能登半島地震など地震大国日本ではその他にも絶え間なく地震被害が。これからも無くなることはないだろう。

    精神科医の著者は自らも被災しながら被災地内部から 避難所を訪問をし、こころのケアのネットワークの立ち上がりの一翼を担い、又、神戸大学病院の常勤医師として患者たちを診つづけた。
    その一年間の経験を書き、それから得られた
    “心の傷”とは?“心のケア”とは?ボランティの役割、コミュニティの再生などが書かれている。 

    とても貴重な資料であり感動的な作品。
    これからも起こるであろう大地震に生かされることを願っています。

    惜しむらくは著者は若くして 39歳で亡くなられたそうです。もっと長生きされてご自身の体験を生かして頂きかった。ご自身も残念だったのでは。

  • 人に寄り添うということはどういうことか。身をもって示してくれる。若くして亡くなってしまい、本当に残念。

  • 以前、柄本佑さん主演のドラマを見たけれど、原作は未読だった。阪神淡路大震災から30年経ち、その間日本のあちこちで同じような激しい災害が起きたけれど、その教訓は活かせているのだろうか。また個人でできることについてもとても参考になった。
    安心して語る場があることが重要、ということがとても印象的だった。自分は家族や周りの人にとって、安心して語れる場を作れているかな。

  • 最後の後書きで泣いてしまった。文章からとても謙虚な人で、素直かつ誠実な人という印象を受けた。震災時におけるケアについても、今の考え方に大きく影響を与えてるってことを授業で聞いたことがあるし、凄く優秀な先生なんだろうな。そんな安先生の文章をもっと読みたいと思ったし、今も生きていたらもっともっと有名な先生になってたと思うととても悔しい。惜しい人を亡くした…
    所々PTSDについて今と考え方が違う部分もあったけど、歴史的資料としてとても重要だと思う。改めて震災の恐ろしさについて理解できたし、政府がどう動くべきなのか自分で考えるきっかけにもなった。素晴らしい本です。

  • 100分de名著 2025年1月の課題本

    (感想は後ほど記入します)

  • 実際に被災した精神科医が、当事者及び医療者として、震災による人々の傷つき・コミュニティの傷つきへのケアについて記載した本。

    震災含めた、これまでの日常や愛していたものを突然奪われた人たちに対して、専門的な言葉を使わずにどうケアしていけるか書いてあった。
    震災以外でも傷つきを処理しきれない人が読むと、何か気づきがある本ではないかと感じた。

    また本の内容に、全く古さを感じさせない。「夜と霧」と同じグループの良書だと感じた。(類似点:精神に関する専門的な知見を持つ人が、当事者性を持ち記載した本であること。綺麗事の理屈だけではなく、実際に現場で何が起きていたのか、ご自身はどう感じたのかが克明に記されていること。)

    あとがきは個人的に泣いた。

  • 阪神淡路大震災の後の精神科医としての活動の記録。少し読みにくいぶぶんがあった。

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著者プロフィール

あん・かつまさ
1960年、大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業。精神科医。阪神大震災において、神戸大学附属病院精神科医局長として、自らも被災しながら、全国から集まった精神科医のボランティアをコーディネイトし、精神科救護所・避難所などで、カウンセリング・診療などの救護活動を行なった。その後も被災者の心の問題と取り組みつづけ、阪神大震災の一年後に、その臨床報告としてまとめた『心の傷を癒すということ――神戸…365日』(本書の旧版)を刊行。本書は「第18回 サントリー学芸賞」を受賞した。神戸大学医学部講師、神戸市立西市民病院精神神経科医長を務め、心的外傷の治療のパイオニアとして活躍していたが、39歳の若さで肝臓ガンで死去した。

「2019年 『新増補版 心の傷を癒すということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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