アラビアの夜の種族 III (角川文庫)

著者 :
制作 : 片岡 忠彦 
  • KADOKAWA
3.84
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本棚登録 : 757
レビュー : 90
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043636051

作品紹介・あらすじ

栄光の都に迫る敵軍に、エジプト部隊は恐慌を来し遁走した。『災厄の書』の譚りおろしはまにあうのか。奴隷アイユーブは毎夜、語り部の許に通い続ける。記憶と異界を交差しながら譚りつむがれる年代記。「暴虐の魔王が征伐される。だが地下阿房宮の夢はとどまらない-」。闇から生まれた物語は呪詛を胎み、術計は独走し、尋常ならざる事態が出来する!書物はナポレオンの野望を打ち砕くのか??怒涛の物語、第三部完結篇。

感想・レビュー・書評

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  • ナポレオンどうなったのか、不完全燃焼だが。
    そんな違和感はどっかいっちゃうくらい、この作品はすごかった。
    最初から最後まで、ずっと引き込まれっぱなし。作者の文章がかなり特徴的だったのが、私はツボった。好みは分かれるだろうけど、テクスト的に非常に面白く、読書で非日常の世界にヒューンと連れて行ってくれるような文章力。
    そして、この作品を作り上げた筆力。圧倒されました。

  • はぁぁあ、、

    久しぶりにこんなに読書に耽溺しました。
    なかなかアラビアの世界から出られなくなる幸せ。
    大団円と、最後の一文に驚く。
    構造や文体にも脱帽です。
    いやー、すっかり騙された!

  • 1978年エジプトのカイロ。ナポレオン率いるフランス軍の侵攻を前に、一人の青年(立場は一応奴隷だけれど、有能なので参謀みたいなもの)が考えた対抗策は、あまりにも面白すぎて読むものを破滅させてしまうという伝説の「災厄の書」をナポレオンに贈って読ませようというもの。なんていうか一種の「アラビアンナイト」戦法とでもいいましょうか(笑)。千夜一夜のパロディのような設定で物語は開幕、危機の迫るカイロでの様子と、夜毎語られる「災厄の書」の中身の物語の二つが交互に進行していきます。

    「災厄の書」で語られるのは、『もっとも忌まわしい妖術師アーダムと蛇のジンニーアの契約の物語』あるいは『美しい二人の拾い子ファラーとサフィアーンの物語』、別名『呪われたゾハルの地下宝物殿』と呼ばれるお話。読み終わるとわかるんですが、このタイトルに内容が全部集約されています(笑)。このお話の部分は魔術や剣や竜、魔物が跋扈するファンタジーなので、それだけ独立して読んでも十分面白い。1000年にわたる物語の、最初の主人公アーダムはブサイクな上に性格も悪いという最悪な人物ですが、最終的にはなんか悲哀みたいなものを感じさせて愛着が沸くし、ファラーとサフィアーンはどちらも美形なので、ラノベ感覚で楽しくも読めたりして(笑)。流浪の王子サフィアーンは太陽のように明るく素直で前向き(いっそアホかと思うくらい)、一方アルビノの魔術師ファラーは、超絶美形ながら性格は著しく屈折、でもその歪みっぷりも愛おしく、最後の幕引きの鮮やかさに、ちょっと惚れそうに。

    余談な上にネタバレなので詳細は省きますが、終盤の戦いのシーンでは個人的に、岸辺露伴か!と突っ込みをいれそうになりました(笑)。(岸辺露伴:ジョジョの登場人物。対象を本にして読んだり書き込んだりできちゃうスタンドを使います)

    そんなわけで「災厄の書」の物語自体は大団円を迎えるのですが、現実のカイロの街ではそうはいきません。終わったと思っているとどんでん返しがあり、さらにもう1回展開があり、その上本編終わったあとの作者の付記で、まだこの上法螺話を重ねるか!という怒涛のマトリョーシカ構成になっていることが発覚します(笑)。トータルでとても面白い作りだと思うし、単純に「災厄の書」の中身が面白かったので、それだけでも十分満足でした。

  • 私には合わなかった。
    最初の方は面白かったのだが…

  • ものすごく密度の濃い小説でした。
    テンポか悪くなるのでアイユーブのターンいる?と思ってたけどこういう狙いがあったのかー。

  • 作中で語られる物語はムスリム世界観からくる独特の面白さがあってよい(ムスリム的表現には後半になるにつれて飽きも感じるが)し,最後の現実との交差点の種明かしは想像通りとはいえ形式美としていいなと思った.ただ,現実側の主人公の最後の展開だけはちょっと唐突すぎる感じがして「これがムスリム的には受ける感じなんだろうか…」と戸惑ってしまった.

  • ナポレオンは?「災いの書でナポレオンを止められるのか」ってこれまでずっと煽ってきてんのに。ナポレオン倒せよ。期待してたのに。がっかりだわ。ズームルッドの話はとてもおもしろかったんだけど。

  • 読み切った!長かったー。
    1巻は不思議な世界観に引き込まれ、アーダムの人生を夢中で読み、
    2巻はファラーとサフィアーンの物語に分かれたせいか少しだれて、
    3巻は主人公3人がついに相見えるあたりから一気に読めた。
    ナポレオンが攻めてくるという現実の歴史と、ファンタジーのMIXに、アラビアが独特な世界観。
    災いの書のほうは、途中はどうなることかと思ったけど、最後は大団円中の大団円で意外だった。
    アイユーブは裏切るかなと思ってたら、さらにひとひねりあった。

  • 気づかぬうちに災いの書の虜になってしまい、家事をする気も、何をする気も失せ、寝食も忘れて没入して読みふけってしまった。

    ズームルッドの語る物語を最後まで味わえて満悦!と放心してしまったイスマイールベイ同様、読後、自身も、壮大な砂の年代記を読み終えた充足感に心満たされ、現実に目を向ける気がおきず、1日ぼんやり夢うつつで過ごしてしまった。

    陰のアーダム、暗のファラー、陽のサフィアーン、それぞれが実に魅力的だった。

    サフィアーンの身体に憑依したアーダムが眠りに落ちるとサフィアーンが目覚め、サフィアーンが寝入るとアーダムが目覚め、の繰り返しが喜劇的で面白かった。

    また、森の夢の石室に閉じ込められた状況を悲観して眠りに逃げてしまったアーダムに対して、サフィアーンは状況をよく知るために冷静に探索し、ありのままを受け止めることで、森と共生し、森の守護者と共鳴し、石室を出る方法を見出すこととなった、逆境においても陽!という前向きに物事を捉える爽やかさな姿がイケメンだと感服した、!

    サフィアーンを利用してアーダムを打ち取り、その手柄を独り占めしたファラーはなんて卑怯なんだ!と腹が立ったが、ジンニスタンの消滅を防ぐため、一人ジンニスタンに残る決断をしたのは、引き際鮮やかで有終の美を飾ったなと拍手でした。

    蛇のジンニーアの言葉があまりにも下品であけすけなのがドン引きだったけど。。。

    文末にはあとがきとして、翻訳の元になった本との出会いについて書かれていたので、この作品は翻訳本なんだ、とすっかり騙されてしまった。

    読後に、先達から、「最初から最後まで全部壮大な虚構なんだよ」と教わり、アイユーブの仕組んだ策略以上に驚かされた。

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