疾走 上 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.67
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本棚登録 : 7996
感想 : 789
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646029

作品紹介・あらすじ

重松清は、作風としては穏やかで心が安らぐことが多いですが、この疾走 上は少し感じが変わります。
少年を主人公に、さまざまな世界が描かれていきます。
大人の世界の残酷さが、非常な文体でテンポよく小説は進んでいきます。
最後まで、どのような展開になるのか予想ができない面白さがここにはああります。
また、違う作家の顔を見ることができる作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生のときたしか友達に借りて読んだ。
    好きだったNEWSの手越くんが主演で映画になっているから、という軽い気持ちで読んだらとんでもない小説で、脳を金槌で殴られたような衝撃がはしったのをよく記憶している。13歳の頭で、生きるってなんなのか?と必死に考え思い悩んだ。
    孤高、という言葉もこの小説で覚えた。徹夫が教えてくれたすこし難しくて誇り高い言葉。
    孤独と、孤立と、孤高。シュウジも、徹夫も、エリも。
    にんげんはみんな「ひとり」なんだと、もしかしたら私はそのとき初めて知ったのかもしれない。教室の中でたくさんの同級生にかこまれていても拭えなかった違和感、居心地の悪さ、多分そういったものの正体に気付いた瞬間だった。
    「ひとり」は寂しいけれど、でもみんな「ひとり」と「ひとり」と「ひとり」が集まっているだけなら大丈夫だと思ったし、だったら自分はエリのように在ろうと誓った。13歳だった。

    ゆうに15年過ぎた今でも、ちっとも損なわれずに甦るそのときの衝撃と決意の鮮やかさが眩しい。
    当時はアカネというおんなが得体の知れない恐ろしいもののように感じていたけれど、私もずいぶん大人になった今では彼女の気持ちにもだいぶ寄り添うことができるようになった気がする。
    徹頭徹尾、どこまでも重苦しくて暗い。この世には〈浜〉と〈沖〉しか無くなってしまったのかと錯覚する閉塞感に息が苦しくなる。
    でも神父さんが祈るのと同じように、穴ぼこの瞳になってしまったシュウジにどうか生きていてほしいと、強く、強く願わずにはいられない。
    とにかく下巻がはやく読みたい。

  • 著者の作品は、好きでよく読みます。ほのぼのとした作品。涙を誘う作品。大人の御伽噺のような作品。おじさんである著者が、どうして少年少女の気持ちがわかるのか不思議にさせる作品。共通する部分は決して居心地の悪い、不安感を誘うような作品は読んだことがありません。私が知らないだけかもしれませんが。この作品は、ズバリそんな作品だなあと感じます。上巻を読み終わった段階では全く救いがありません。でも、著者の筆力は読ませます。違和感から逃げることができずに読み進めます。下巻でも展開が楽しみです。

    • きのPさん
      ハートフルストーリーの多い重松清の作品の中で、この本だけ別の人が書いているような、、、
      それだけの異彩を放っている作品だと思います!!

      下...
      ハートフルストーリーの多い重松清の作品の中で、この本だけ別の人が書いているような、、、
      それだけの異彩を放っている作品だと思います!!

      下巻もお楽しみ下さい(^^)♪
      2021/04/15
    • yhyby940さん
      コメントありがとうございます。なんとも胸騒ぎをさせる上巻を読み終えて、下巻がどのように物語が進むのか興味津々ですね。
      コメントありがとうございます。なんとも胸騒ぎをさせる上巻を読み終えて、下巻がどのように物語が進むのか興味津々ですね。
      2021/04/15
  • 下巻と合わせて、何回も何回も読んでいる。
    正直、何回読んでも主人公の救いのない人生に切なくなって苦しくなってしまうのに、どんどん読み進んでしまう。
    この本だけは何回読んでも途切れることなく完走して読む。

  • 最初から最後まで、ずっと悲しい本。私は好きです。最後はほっこり、とか無いです。

  • 上下巻読み通しての感想
    「ひとり」で生きることを選んだ生き方と、「ひとり」で生きなければならない生き方では大きく違う。
    ただ、誰かとつながりたいと願っただけなのに…。
    自分に原因があるのなら諦めもつく。
    でも、シュウジには何の責任もない。
    もしも本当に人生がスゴロクで決まっているのだとしたら、そのサイコロを振っているのは誰なのだろう。
    自分が振ってもいないのに、悪いところにばかり止まってしまうとしたら…。
    いったい誰を恨めばいいのだろう。
    シュウジの祈りにも似た渇望が哀しすぎる。
    どんなに願っても与えられないものがあるとしたら、どう生きていけばいいというのだろうか。
    特別なことを願ったわけではない。
    誰かとつながりたい…ただそれだけの、本当にそれだけのことだったのに。
    BOOKデータベースにある感動のクライマックスという言葉。
    こんな辛い結末が感動なのだろうか。
    確かにシュウジによって希望は残された。
    でも、シュウジは?
    もちろん、シュウジ自身は納得している結末だろう。
    心の奥底に深く刻まれるような痛みと、そして光。
    あまりにも内容がハードなので、読む年代によっては辛いものがあるかもしれない。
    でも、逆にハードだからこそ残るものも多い。
    物語を読んでこれほど痛みを感じるとは思わなかった。
    間違いなく心に残る物語だった。

  • この作品は今まで読んできたものとは違う まさしく衝撃作でした。
    伝えたい事はよくわかるのですが、性的な表現や暴力的な表現がきついので、読んでいて辛くなりました。
    読み始めの頃に映画化もされていることを知り、DVDも買ってしまいました。
    今は観ようか 迷っています。
    次は 少しほのぼのとした作品を選んで読みたいと思います。

  • 二人称で進んでいく物語。
    安心できないまま最後まで読んで、登場人物の誰一人にも感情移入できなかったけれども、スピード感を感じられた。

  • 勝手に感じてしまったのは なにかしら昭和の空気感。欲望にまっすぐなカンジが。でもどうやら現代みたい…で少年とヤクザと少女とやさぐれた世間とどうやら神。各々がひねくれて魅力的に思えてた。死も身近にあるけど人は絶えない って当たり前だけどさ 続いていくんだよね。
    読んでてもしかしたら神様って一人ひとりにいて 基本いじわるなんじゃね⁉︎って思った。本とあんまし関係ないかもだけど。

    人を殺せるヤツはいるんだ、身近にいるかもだし。何がきっかけになるのか分からないけど人は人を殺せる。って中学生の家出女の子が白骨化されてた経緯を思い出して。あっけなく殺される人間もいる。
    できればそうならない事を願ってしまう。

  • 主人公はただ走る。
    運命というレールの上を、『疾走』していく。

    話のテンポが良くて、一気に読んでしまった。
    常にどん底からまたその下に堕ちていく主人公が悲しい。誰かとつながりたい、ただそれだけが主人公の望みなのに、つながったと感じた瞬間、その細い糸はぷつりと切れる。
    何度も差別され、さげすまれ、裏切られ・・・。
    それでも主人公はつながりたくて、走っていく。

    疾走し続けた主人公は最後まで悲しいままで、だけどラストは主人公が求め続けた「つながり」と一緒に、ゆっくりとした時間が流れている。

  • 表紙が怖い。
    内容もどす黒い。

    高度経済成長期の日本。場所は中国地方か。村ぐるみの差別がまだ平然とある田舎。兄は放火犯で少年院行き。父は蒸発。母は博打三昧。主人公は中学校でいじめられる。

     不幸満載の主人公。中学生にして、孤立・孤高・孤独の違いについて実体験する。孤立している訳ではなく、「ひとり」で孤高に生きていくと決心しても、どこかで誰かと繋がっていたいと孤独を感じる。人間のプライドと弱さという奴か。
     万に一つもハッピーエンドを期待できない展開だけあって、せめて一つでも心温まる話が欲しい。重い話だが、引き込まれる。

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著者プロフィール

1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、執筆活動に入る。1999年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞、2010年『十字架』で吉川英治文学賞、2014年に『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。小説作品に『流星ワゴン』『愛妻日記』『カシオペアの丘で』『赤ヘル1975』など多数。

「2020年 『ルビィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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