疾走 下 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 7971
感想 : 735
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043646036

作品紹介・あらすじ

誰か一緒に生きてください-。犯罪者の弟としてクラスで孤立を深め、やがて一家離散の憂き目に遭ったシュウジは、故郷を出て、ひとり東京へ向かうことを決意。途中に立ち寄った大阪で地獄のようなときを過ごす。孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人-。人とつながりたい…。ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた少年の軌跡。比類なき感動のクライマックスが待ち受ける、現代の黙示録、ついに完結。

感想・レビュー・書評

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  • 重松清といえば小学生向けの小説というイメージだったのだけど、こういうものも書いていたんだ、、、
    ことばが立っているような書きっぷりはさすが。ただ、そのせいかドロドロしたものを描いてもドロドロした感じがしなかった。

  • 下巻は田舎を捨て大阪・東京。同郷で幼なじみのエリと体の関係が何もなかったのが良かった。ただドロドロのセックスややくざ殺しなどは表現がちょっと稚拙だった感も。久しぶりに「重さ」の感じられる小説だった。

  • 読み易かった

  • もう本じゃなくて兵器です

  • あまり、重松清さんらしい作品ではないと感じました。
    暗い話だったけどどこか心に残る気もします。
    いつものようなあたたかい気持ちになる本が好きな人は好みじゃないかもしれません。

  • 目を背けたくなるような描写のなか、シュウジがほんの僅かでも救われることを願いながら読みました。
    よく人が“堕ちていく”と言うけれど、シュウジはこの物語の初めから堕ちていたと思います。タイトルのあらわすように“疾走”だったなと思います…。

    最初から最後まで苦しいけれど、シュウジのような、それよりも苦しい人生も必ずどこかにあるんだと思うと行き場のない悲しみを感じる。

  • 物語がどう終わるのかなぁと思ってたらこう終わったか……。重松清さんは割と「家族の再生」がテーマになることが多いと思うのでラストは意外といえば意外なかんじ。でもまぁ主人公が死んだというだけで、その後に続くものは描かれてるんだけど。
    圧倒的な「一人」の人生を最後まで書き切った怪作だった。「一人」と「一人」が一緒に歩み出せたところで、終わってしまったけど。語り部はずっと宮原(弟)の方だと思ってたけど、神父の方だったんだね。終盤、語り部が誰か分かって、神父の人格が出てくることで物語が二重になり、二重のまま進んで、最後には生きている神父だけが残る。この構成すごいなと思った。


    ⚫︎あらすじ
    「どうして、にんげんは死ぬの?」
    舌足らずなおまえの声が言う「にんげん」は、漢字の「人間」とも片仮名の「ニンゲン」とも違って、
    とてもやわらかだった。そのくせ「死ぬ」は輪郭がくっきりとして、おとなが言う「死ぬ」のような照れやごまかしなどいっさいなく、
    まっすぐに、耳なのか胸なのか、とにかくまっすぐに、奥深くまで、届く――。
    想像を絶する孤独のなか、ただ、他人とつながりたい……それだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた一人の少年。
    現代日本に出現した奇跡の衝撃作!
    (角川公式HPより引用)

  • 駆け抜けて、最後苦くてあったかい余韻を残してった。重松さん、やっぱ好き。

    シュウジはずっと「ひとり」だと自分を思ってたと思うけど、私はシュウジの人生を外野からのぞいていて、色んな人を救ってたし救われてたと思うよ。
    アカネに子どもっていう生きがいを与えて、エリも救って...逆にアカネに救われて、エリを生き甲斐にして、神父に見守られ、みゆきに助けられ...「ひとり」同志支え合って生きていたと思う。本当に「ひとり」なんてこと、ありえないんだと思う。

    ずっと語り手が誰か気になってた。そっかーー、まぁそうしかないかぁ、最後に少しでも救われてよかった。

  • 2.5

  • うわああああああ、きつい。
    全部通してとってもきつい作品でした。すごく闇が深い!

    友達とキャッキャ戯れるお兄ちゃんの後を追っかけ回す純粋な子どもだった時代からの没落。沼にはまり込んでもがいても抜け出せない。そのうち抜け出すことを諦め沈んでいく足元を眺めるようになってしまう。

    どうして誰一人として隣に並んでくれる人がいなかったんだろう。
    特に両親がね。
    神父さんは別枠なんだろうな。ただそこに在る人として必要な大人。

    ただひたすら人と繋がりたくて、隣りにいてほしくて、故郷に帰りたかった。
    切なくて苦しいです。
    最期にエリちゃんを悪者にしないで故郷で撃たれて亡くなったのが、彼にとっては本当に救いだったと思う。

    最後の章はよかったー!
    キラキラとしてて泣いてしまいます。

    ものすごい人間くさい救いのない小説でした。(褒め言葉)




    @手持ち本

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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