- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043646043
作品紹介・あらすじ
破滅を目前にした起業家、人気のピークを過ぎたアイドル歌手、生の実感をなくしたエリート社員……東京を舞台に「今日」の哀しさから始まる「明日」の光を描く連作長編。
感想・レビュー・書評
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絵本が書けなくなったフリーライター進藤。フリーライターの仕事で生計をたて、様々な人に出会う。
出会い、見送ってきた東京。
タイトル通りのイメージのお話でした。最後に少しは希望がみえるものの、主人公が関わる九編これでもかと暗く重くのしかかってきました。
憧れの華やかな東京、だからよけい、もの悲しさを感じる。時が流れることの悲しみ、東京という街で織りなす人たちのドラマ。
主人公進藤は40歳、働き盛りという年齢、もっとエネルギッシュに突っ走ってほしい。と思うのですが、苦悩あり、自分の居場所も見えてくる頃、実際心の内側はこうなんだなと思いました。
哀愁はなにかを喪うことで感じる。それの繰り返し、そこからなにかを見出すのは自分。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『東京』というキーワードに惹かれ購入。
コレ!といった刺激はないが、すらすらとドラマを観るように読み進められます。
ドラマor映画化するなら
シマちゃん ――― 柳原可奈子
で是非!! -
しっとりとした空気感の連作長編。
絵本作家としての仕事も、プライベートも出口の見えないスランプに陥っている中年男性のものがたり。
彼が副業のフリーライターの仕事を通して出会う人々は、やっぱり何かを失っているか、失おうとしている人たちで、決して幸せな話ではない。
主人公同様、この作者自身が文章に中途半端な優しさをもちこまないのだろう。
それでも読み終わったときに静かな充実感がある。
見過ごしてきたもの、見ようとしなかったものと向き合いはじめてから彼が描きとったスケッチが、新しい絵本となる終わり方は、美しい。 -
哀愁、歳を重ねないとわからないもの。懐かしみであったり後悔であったり。じっくりと読むことができて良かった。
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最後の章を読んで、やっとわかった。
自分のこのモヤモヤ感、喪失感が何か。
哀愁とは、何かを失って終わりかけていることなんだ。
この作品の全ての章を振り返れば、確かに「終わり」「結末」がないことに気付く。
その後どうなったの?って。
最後の章で、小さな無邪気な子が、
東京タワーの双眼鏡を覗き込み、
「あったよ!ぼくんちがあったよ」
とはしゃいでいる姿。
こんな広い景色で、
こんな広い東京で、
自分の家なんか見つかるわけないのに、
小さな子は、喜んでいる。
私には、
自分の家や自分の住む町どころか、
自分の存在さえ、見つけることできないんだろうなぁ。
きっと、進藤が流した涙と同じ涙を流すことが出来ると思う。
大好きな重松作品。
大事な1冊になった。
私は、まだ20代なのに、
この本に共感できるくらい、哀愁漂ってます。
ちょっとやばい? -
物寂しいけどどこか温かみがある。
個人的に重松清らしさを感じる作品。 -
「今見ている景色は、10年後にはどのように映るのだろうか」
景色は全く変わらなかったとしても、自分が変わっていればその感じ方は変わるだろう。 -
表紙がすごく小説の世界感を表していると思う。ちょっと切なくて非現実的な感じ。