風車祭 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.69
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本棚登録 : 181
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043647071

作品紹介・あらすじ

ある日、ニライカナイの神がこう告げた。「島を大津波が襲うだろう」。この危機の予言を、果たして島人は避けることができるのか?一方、マブイとしてさすらうピシャーマは、あの世に帰りたいと切に願う。武志とピシャーマの淡い恋に六本足の妖怪豚の横やりが入って、島も恋も大パニックに!?この涙と笑いあふれるマジックリアリズムの傑作は、直木賞候補作にもなって話題を呼んだ。

感想・レビュー・書評

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  • マブイ(魂)を落とし、
    見えない存在なはずの女性に
    恋してしまった主人公。
    そして島に災害が訪れようとしている現実。

    突拍子もないストーリーだけれど、
    沖縄だったらあり得るかも…と思えてしまう。
    沖縄ってやっぱり神の島って感じだよなぁ。
    コミカルな展開ばかりかと思いきや、
    しっかり泣かせもしてくるんだよ。
    ギーギーの件は本当切なくなってしまった。

    池上さんの沖縄を舞台にした本を
    しばらく色々堪能したいなぁと思う日々です。

  • 上巻の興奮が冷めぬ内に一気に読破。本当に素晴らしい小説だ!歌、踊り、酒、祭、神、そしてマブイ。沖縄文化そのものがこの本に詰まっている。素晴らしい!

  • 久しぶりにヒットした。もの凄く面白いファンタジー。マジックリアリズムの傑作。

    この小説は一応武志が主人公にあたるはずだが、はっきり言って群像劇だ。たくさんの人々の(一見物語の本筋に関係なさそうな)エピソードが散発的に語られて、それが見事につながっていくのは魔術でも見せられている心地になる。
    いろいろと衝撃的な展開が続く中、それでもコミカルでのんびりした雰囲気が終始漂う。舞台にしている石垣島のイメージ通り。よく考えればけっこう深刻なことが起きているのに、「だからよー」で済まされてしまうような感じ。それがいい。
    それなのに、終盤はなんとも言えない切なさに胸が苦しくなる。ギーギーの流産と死、やっぱり叶わなかったピシャーマとの悲恋、最後にフジの見た自分の葬式の夢……。『テンペスト』でも思ったけれど、池上さんって容赦なく読者の心を抉りに来る。八割は軽い文章と軽い雰囲気で構成されているのに、全然軽くない衝撃を与えてくる。これはずるい。

    さてこの作品、なんと言ってもキャラクターが良い。魅力あり曲のありのキャラクター達でどんどん作品世界に引き込まれてしまう。チーチーマーチューとターチーマーチューの兄弟と、彼ら異人に対する島の人々姿勢はお気に入り。
    でもなんと言ってもMVPは仲村渠フジだろう。
    こんなに大好きになった婆キャラクターは初めてだ。悪戯好きで迷惑で人使いが荒くて災害時に略奪はするわ子どもから金を巻き上げるわ散々な人間だが、彼女が悪人ではないとどうしてもわかってしまう(善人では決してないけれど!)関わりたくないけれど、遠くから見てみたいとは思う(笑)。ギーギーとの友情が描かれた辺りから一気に彼女を好きになった。
    それにしても、長寿に固執する、この一点だけでここまで凄まじいキャラクターが出来上がるとは……。しかも普通なら命大事なキャラなら健康にすごく気を遣って事故に遭わないよう引きこもって神経質で……という風になりそうなものなのに、全く逆。こんな豪快で危険なことを進んでして、それでも命に固執することと矛盾しないなんて。「命拾い」の独自解釈は目からウロコだった。拾うんだから縁起がいい、なんて。
    それにしても最初は長寿? なんだそれって感じで読んでいたが、読み進めるうちに長寿って実はそれだけで価値のある凄いことなんだなと思うようになった。亀の甲より年の劫、経験と知識の蓄積が半端ないフジは島のことをなんでも知っている。失われた伝統も覚えている。それが良いことに使われることはほとんどないけれど(笑)。
    最後の葬式のシーン、フジは風車祭後に死んでしまうのかな、と寂しくなった。でも後300年くらいは生きそうな気もする。どっちだろう。そのうち妖怪化したりして。是非そうなってほしい。

  • わたしがこの話を興味深く感じ、書店で下巻を手にとるにいたらせたその理由は、
    明和の大津波や巨大な台風災害を、話の重要な部分で
    かなり大きく取り上げていること、
    また島の歴史や伝承、民謡、昔話や祭りなどが、
    細かに豊かに記されていることです。


    石垣島を舞台に島人が書いた空想小説。
    作者のかたの、生まれ島への愛が、
    いとしいほどに伝わってきます。

    ほんとうにこうであればなあ、と思うほど
    理想的な情景、風景がちりばめられ
    どこからか今にも三線の音が聞こえてくるようでした。

    わたしも、もし叶うのであれば
    生まれ島にはそのままの形で、ずっと平和にあり続けて欲しい。

    この話の軸には、島人への、ひいては沖縄県民への
    警鐘と問いかけがあります。
    言葉や歌といった、島独自の歴史文化全体に対する関心の薄まり
    形骸化した祭りや行事、祖先への信仰心
    拡大する海岸の埋め立て地
    歴史的・自然的価値観を無視した経済産業活動
    これらは否めようのない事実です。


    でも、わたしは最近やっと、こう、思うことができるようになりました。
    人も島も言葉も思いも、そのままであり続けることは難しい。
    四季の変化の乏しい沖縄では想像しにくいことだけれど、
    木の葉や枝や、生きる命のように、
    古いものは去り、やがて新しいものが生まれ、
    絶えず世の中は変わっていくものだと。

    その反対に、価値のあるものとして守り残す努力をすれば、伝え残すことはできる。
    祭りや伝説や御嶽のように。
    それは何がどんなふうに変わっても、
    島があり続け、人が住み続ければ、それはきっとできないことはないと。

  • 下巻。
    マブイってのはなかなか面白い概念だなあと思います。
    日本でも魂が抜けるとかいうけど抜けた魂を拾いにはいかないしな。ピシャーマは可哀想なお嬢さんなのですが彼女の恋物語に終わらない所がスゴイ。ギーギーとかフジオバァにヒロインの座は奪われているし。というか霊魂のヒロインが生きているオバアより存在感が薄いってのもすごい話でした。

    真面目に生きているのがちょっと寂しくなるけれどもフジオバアのように自由に生きられる人間ってのはなかなか居ないわけで、だからこそ彼女は風車祭まで生き延びることが出来たんだろうな。それにしてもマブイにまで嫌われているオバアはすごい。そしてギーギーは良い雌豚だ。彼女の悲劇は人間のそれも17ぐらいのガキンコに恋した事でしょうか。霊魂のオトコだったら良かったのにねえ。
    石垣島は今回はピシャーマの珊瑚礁でなんとかなりましたがあのあたりも空港が出来て埋め立てられたとか聞くとどうなっちゃうのかなあなんて思います。
    が、土地の歴史や風俗を捨てて楽な方に流れて行った日本人にあちらを批判する権利はないか。

    読んでいて声出して笑っちゃうほど面白い小説は久々でしたよ。

  • タイトルの風車祭は、沖縄で97歳の生誕祝いの祭りだそうです。
    舞台は現代の沖縄(石垣島)で、不思議で美しい幽霊との出会いを切なく幻想的に、そしてところどころでコミカルに書いた作品です。
    沖縄が舞台という事で、言葉もところどころで沖縄の言葉が出てきて、陽気でどこかあっけらかんとした雰囲気が味合えます。
    沖縄には行った事ないんやけど、なんとなくながら陽気なラテン系な場所を想像しながら読みました。

    最初は沖縄言葉にちょっととまどって、ページをめくるスピードがゆっくりやったけど、慣れてきたらその妙に軽快な言葉にはまりました。
    要所要所で大いに笑わしてくれるんですけど、この小説結構ホロリと来る。
    結構ベタベタなんやけど、やっぱりいいものはいい。
    俺は不覚にも目頭が熱くなりました。

    相変わらず、無茶苦茶な展開が多く呆れる所もありますが、それが気にならなければ、最高に面白い小説だと思います。

  • 石垣島から帰ってきて、図書館で借りた。


    あー、こんな話を書いてみたいなぁと、べつに趣味ですら小説書くことないのにおもった。

    キャラクターたちがとても人間らしくて、軽口も叩き合える友達になったみたいな気分。
    すっと頭の中に思い描くことができた。

    それでいて、『シャングリ・ラ』のようなラノベくささはごく軽め。鼻につかないというか。

    フジオバァや妖怪豚ギーギーなどのどぎついけど憎めない存在と、石垣島という舞台が、ありそうな話を独特なものにしてる。

    表現が綺麗すぎないのも好き。カッコつけてない美しさ。

    明るいけど切なくて、ときどき泣きました。


    また行きたいなあ、島!
    まだまだ心が島から離れられない。

  • 石垣島などを舞台とした作品です。

  • 優しい話だ。

    登場人物がすごく個性的でそんな人達を育む沖縄の風土がとても魅力的です。

    いつか行ってみたいものだ。

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著者プロフィール

1970年沖縄県生まれ。早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。96年『風車祭』で直木賞候補に。沖縄の伝承と現代を融合させた世界を確立。圧倒的なスケールのエンタメ作品を次々と発表。著書に『レキオス』『シャングリラ』『テンペスト』『黙示録』などがある。

「2017年 『ヒストリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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