夏のこどもたち (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043648054

作品紹介・あらすじ

朽木元。中学三年生。五教科オール10で音楽と美術も9か10のちょっとした優等生。だけど、ぼくには左目がない-。世の中を冷めた目で見る少年が、突然、学校一の問題児と一緒に校則委員になるように、担任教師から指名されて…。クールで強烈な青春を描いた日本版『キャッチャー・イン・ザ・ライ』ともいうべき表題作に、単行本未収録短編「インステップ」ほか2本を収録。多くの少年たちに衝撃を与えた傑作が待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • なんだろう。「好み」だって思う気持ちと「それほどのものか」と思う気持ちが交互に表れる作品。表題作の他に3篇入ってるけど、それも「いい」と思う気持ちと「ふーん」って醒めた気持ちが同居してる。もっとやっちゃてもよかったのかな?もしくは切り口はいいけど、寸足らず?って感じ。川島誠らしい「青春」に生きてる子が主人公で、そのスピード感は絶品なんだけど・・・なんとも。 でも、きっとかみ締めればかみ締めるほど味は出てくる作品なんだろうなと思う。左目がないことと、見えること見えないこと、見ようとしないこと、親との関係、クラスメートとの関係、教師との関係、恋人との関係・・・etc。斜に構えて物事をとらえて、いろいろ起こって、いろいろ考えて、滑るように過ぎていって。ふーんと思いながら、主人公は多感に感じていて、それをきっと無視して生きてて、でも覆いかぶさるように思い出されたり、否応なしに突き出されたり。飄々と話は進み終わるけど、なんて沢山詰め込まれてるんだろう・・・って改めて気がつき驚く。でもなあ、やっぱり分からないw
    とりあえず、帯は気に入りません。関係ないじゃん!とりあえず真ん中★×3つで。

  • 文字が大きくて、口語体で話が進むから読みやすい。
    でも結局何が起きて、どう変わったんだろう。
    事件は起きるけど、その前と後の変化がないように思う。
    この小説の特徴…メッセージ性がないこと?
    ただ淡々と進むのが却って心地よいのかも。

  • 多分好みの問題なのだろうけど、表題作には少しうんざりしてしまった。

    「どうでもいい」と「どっちでもいい」を行動原理とする、ニヒルでやさぐれた中学生が、周りの大人たちや秩序に対して、心の中で唾を吐くお話。ときどき、飲酒とエロシーン。中学生の飲酒とエロシーンが出てくれば、なんとなく深い小説っぽくなるよね。

    「思春期の不可解な心情」的小説は嫌いじゃないけど、これだけの文量・ストーリーの長さは必要だったのだろうか。延々とあざとい話が続くので、物語がどう転ぶか自体、途中からもう「どうでもいい」と思ってしまった。

    表題作よりも併録の3偏が良い。短くてあざとくない。

  • それほど印象に残らない、サッパリ系の短編集。

  • 表題作も良かったですが、「バトン・パス」の主人公の吹っ切れ方が爽快でした。

  • 「笑われたい」
    「インステップ」
    「バトン・パス」
    「夏の子どもたち」
    が収録された短編集。

    「笑われたい」は昔どこかで読んだことがある気がする。
    教材か試験問題か、そんなところだと思う。
    ただ、覚えていたからといって、面白い作品だったというわけではない。

    「インステップ」以外の作品の主人公はなんだか冷めていて、子供らしくないため、いまいち物語に入っていけない。
    リアルな子供の姿を描けていると評価している人もいるようだが、私が小・中学生だったときはこんなに冷めてはいなかった。

    そして、どの作品もストーリーはあってないようなものだ。
    正直、おもしろくはない。

    さらに、素敵な文章や表現があるわけでもない。
    「夏のこどもたち」なんかは箇条書きみたいで情緒がない。

    読んだあとに何かが残るわけでもない。
    こうしてレビューを書こうと思っても、どんな話だったかよく思い出せないほどだ。

    本棚には同著者の『もういちど走り出そう』があるが、しばらくは読まないと思う。

  • ちょっと極端すぎる。中学生はそこまで前衛的な思考で物事を考えたりしない。大人の考える特徴的な中学生像を当てはめて、全くもってリアルではない中学生たちが出てくる物語です。おそらく、第一人称だから良くないのだと思う。そんなのリアルな感性じゃねえよっていうのが、地の文にだって現れてしまうから。

  • とてもよかった。文庫うしろには「日本版『キャチャー・イン・ザ・ライ』ともいうべき」って書いてあって、それを言っちゃあ……という気もしないけど。

    片方の目でクールに世界を見つめる「ぼく」を取り巻く、家族、学校、女の子。いろんなことが起きる中3の夏。

    「ライ麦…」「赤ずきんちゃん…」と連綿と続く『悪態つき少年視点小説』なわけだけど、1991年の作品なのでそこに描かれているのは現代の少年、と彼を取り巻くいろいろな出来事であって、それに対する「ぼく」の語り口は上記2作品に比べてさらにクールで淡々としていながらも、友情とか、性とか、初恋とか、そういうものに対する感情がさりげなく浮かび上がってくるところが良い。


    「ぼくは、片目なのが悲しかった。両方の目が見えれば、もっと中井のことをよく見ていられるのに。」


    しかし僕はこういう、「夏+少年(+少女)」のストーリーがほんとに好きだなあ。

  • 書評にあるように児童文学界に一旋風巻き起こせるかもなと思ったけれども、人には勧められないかな。

  • 3話までは普通だった。最後の話が最低。つまらない。話口調で全てが書いてあるのも気に入らない。本当は評価したくもなかった。

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著者プロフィール

川島誠 東京都出身。京都大学文学部アメリカ文学科卒。「電話がなっている」でデビュー。子どもから大人への端境期にある少年少女の生と性を見つめ、鋭く描く才能をもつ。初めて思春期の少年の青春を書いた「800」は各誌で絶賛され、映画化された。著書に「ロッカーズ」「

「2005年 『夏のこどもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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