ユリイカ EUREKA (角川文庫 あ 39-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043656011

作品紹介・あらすじ

バスジャックに遭遇した運転手の沢井は、ともに生き残った乗客の兄妹と心の再生の旅に出るが……。カンヌで世界の絶賛を浴びた映画作品が、小説として新たな世界を創り上げた! 第14回三島由紀夫賞受賞の感動作品

感想・レビュー・書評

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  • 自分の時が恐縮だけれど、
    どこかやはり小説家ではなく映画監督が書いた本であるなという実感がした。

    バスジャックで受けた凄惨たる出来事により、
    完全に壊れてしまう人間たち。が再生していくという稀有な物語でした。

    映画は既に観ていたので、何となくは事前に知っていました。

  • バスジャック事件で人質となった運転手の沢井は、乗客の兄妹直樹・梢と共に助かるが、心に深い傷を負う。彼は街から失踪し、兄妹も母の家出、父の自殺後心を閉ざし二人だけの世界に引きこもってしまう。二年後、街に戻ってきた沢井は、兄妹の家に同居し家族のように暮らし始めるが、同じ頃連続して殺人事件が起き、そしてー沢井がとった行動とは…。カンヌで世界の絶賛を浴びた映画作家が描く『癒し』と『再生』の叙事詩。デビュー作にして第十四回三島由紀夫賞受賞。早くも文庫化。

  • つまらなくて最後まで読みきれなかった。

  • 【ユリイカとは、見つけたという意味】

    繋いだ、繋いだ、繋いだ、手と手離して。繋いだ、繋いだ、繋いだ、ココロ話して。

  • 映画を見る前に監督が自らノベライズした小説で予習。序盤はただひたすらに暗いしちょっとしんどいな、と思ったけれど従兄がやってきて、みんなでバスに乗って旅立ったあたりから少し柔らかな光が見えてくる。映像で描ききれない部分を言葉で補足しすぎて読みにくさはある。本職が映画監督だからそれは仕方がないのかなぁともおもうけど語尾が一律で~だった。ばかりでちょっとなぁ…と。2013/155

  • 東野圭吾の「真夏の方程式」についで、偶然手にしたこの作品も、贖罪がテーマ。

    といっても東野作品の「これからの贖罪」と「終わった贖罪」ではなく、
    まさに贖罪を真っ正面から捉えているのはアングルをこととするけれど。

    映画になっているとは聞いていたけれど今回は、
    あまり先入観を持ちたくなくて文庫本に。

    正直最初はすごく読みづらかった。
    (あきらかに過去なのに)現在形の文体も読みづらいし、
    まだ慣れていないのに登場人物がてんこもりに出てきては、
    しかも「沢井」とか「梢」とか、関係もわかりづらい。

    情報の出し方がもしかしたら、映像的なのかなと思った。
    場面の切り替え、景色の説明のしかた、右脳的なインスピレーションに溢れている。
    光とか色、ニオイもたっぷりつまってる。

    美しい再生の物語ではあるのだけれど、
    反面、あまりにも映像的すぎて、
    内面の独白までもが断片的で少しわかりづらい印象。

    映像で賞をとったというのが、少しなっとく。

  • バスジャック事件で生き残った運転手と幼い兄妹の再生への物語。最初は読みづらいと感じたが、美しい物語。

  • ずいぶん前に映画化された作品ですね。図書館でたまたま目にしたのでまた再読してみました。

    バスジャックに遭遇した被害者の再生までを描いた作品です。事件そのものがなぜ起こったかや加害者についての記述はほとんどなく最初から最後まで生き残った被害者の兄妹とバスの運転手、その家族の視点で描かれています。

    連日ニュースで悲惨な事件が報道されますが、事件の概略だけでその事件によって生まれる被害者のことまでは伝わってきません。この本を読んで思うのは事件とともに被害者が存在するということ。そしてその事件が時間の経過とともに関係のない人たちにとっては過去のものとなっても被害者の人たちにはその後の人生に大きく暗い影を落とすような出来事であり続けるということです。

    被害者の事件後の生活を心情も踏まえ丁寧に書いているので読んでいて辛くなる箇所が多々あります。特に被害者の家族が崩壊されていく様子は事件の及ぼす影響の大きさとともに読んでいて怖くなるほどです。

    それでも最後は希望が見えます。最後まで読んで思うのは事件によって生まれた心の傷は、時間の経過だけでは解決しないということです。やっぱり人との関わりによって回復していけるんだろうと思います。辛い思いを共有できる人と共にいることであったり、少しずつ言葉に出していくことだったり。

    決して楽しい本ではないですが生きることをあきらめた人が再生していく様子は心に迫るものがあります。力強さをもらえる本です。

    *ユリイカとはギリシャ語で「見つける」という意味だそうです。

  • バスジャック事件により死と直面した運転手と乗客の兄妹の再生物語。
    カンヌって感じ。

  • それでも生きていかなくちゃ。

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著者プロフィール

1964年7月13日、福岡県北九州市門司に生まれる。立教大学英米文学科卒。
1996年『Helpless』で劇場映画監督デビュー。2000年『EUREKA』がカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞をW受賞。同作の小説版が三島由紀夫賞を受賞。2011年『東京公園』でロカルノ国際映画祭金豹賞審査員特別賞受賞。2015年度まで4年間、多摩美術大学映像演劇学科教授。2016年度、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)映画学科の学科長を1年のみ務める。2020年公開の『空に住む』が遺作となった。2022年3月21日逝去。

「2023年 『青山真治クロニクルズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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