神隠しと日本人 (角川ソフィア文庫)

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  • KADOKAWA (2002年7月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784043657018

作品紹介・あらすじ

ある日、突然、人が日常世界から消え失せてしまう「神隠し」とは、何なのか。「神隠し」にあった人はどこへ行き、何を体験していたのか。どのような神霊が人を異界へいざなうのか。暗く悲惨な響きだけでなく、柔和で甘美な響きをもつ「神隠し」をめぐる民話や伝承を訪ね、多くの事例を分析。異界研究の第一人者が、迷信でも事実でもない、「神隠し」の謎と日本特有の「死の文化」を解き明かす!
解説・高橋克彦

みんなの感想まとめ

神隠しというテーマを通じて、日本の民俗文化や人々の心の奥深くに潜む「異界」のイメージを探る作品です。著者は、神隠しの体験談や昔話を緻密に分析し、神隠しが単なる迷信ではなく、民俗社会における重要な救済シ...

感想・レビュー・書評

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  • 小学生の頃、学校から帰宅するとランドセルを放り出してすぐに
    外へ遊びに行っていた。え?宿題?そんなものは知りません。
    やってなくてもどうにかるという、いい加減な子供だった。

    「行って来ま~す」と玄関を出る私の背に、亡き祖母は決まってこう
    言った。「日の沈む前に帰っておいで。暗くなったら神隠しにあうよ」。

    真剣には聞いていなかった。でも、ある日、小さな神社で友達数人
    と遊んでいるうちに時間を忘れた。あたりが暗くなって来るのと同時に、
    何故か怖くなって来た。

    遊び場所が神社だったからかもしれない。祖母の言う「神隠し」にあって、
    家に帰れなくなったどうしよう。こうなるともう遊んでなんかいられない。

    普段の運動神経の鈍さはどこへやら。全速力で家に駆け戻り、半べそを
    かきながら祖母に抱きついたのを覚えている。

    神隠し。ある時、突然、生活圏から人が姿を消す。現代では失踪とか
    家出、誘拐などの言葉に置き換えられるようになったが、昭和のある
    時期までは人々はそれを「神隠し」と読んだ。

    本書は民族学者が採取した各地に残る神隠し現象をひも解いた民俗学
    の入門書…になるのかな。

    現代ではほとんど使われなくなった言葉「神隠し」だけれど、きっと人が
    忽然と姿を消す原因は昔も今もあまり変わらないだろうと思う。

    ただ「神隠し」というベールに包んでしまえば、そこからは生々しさは
    減少される。姿を消した原因が、間引きや蒸発であったとしてもだ。

    自分たちの住む「こちら側の世界」と、神に攫われた「あちら側の世界」。
    異界を設けることで辻褄を合わせていたのではないだろうか。

    自殺も、誘拐も、失踪も、間引きも、「神隠し」としてしまえたのは日常の
    すぐ隣に「闇」があったからかもしれない。

    今ではよぼどの山間部に行かなければ闇に出会わないものな。人家の
    少ないところでも、ぽつんと自動販売機があってほんのりと灯がある。

    闇のなかには異界があり、時々、人を隠す。現実から目を逸らす手段
    として神隠しは存在したのかな。

  • 各地に伝わる神隠し伝承を詳細に分析していて実に面白い。神隠しが民俗社会にかつてあった不思議なお話というだけではなくて、よくできた社会の救済システムで あることがわかる。現代でも神隠しがありなら気軽な感じに失踪できてもっと生きるの楽かもしれない。失踪したいなー!

  • なんて魅力的な文章を書く方だろう、惚れ込んでしまった。

  • タイトル通り、民俗社会に通底する「神隠し」の逸話について、その特徴を分析分類した上で、そのパターンについて、「神隠し」という「ヴェール」を取り除いた時に見えてくるものを描いている。高橋克彦の解説に言う通り「神隠し」のバリエーションは多くないが、しかしそれ故に見えてくるものもあるとしている。
    読みやすく面白かった。

  • 電子書籍

  • 文庫版まえがき
    プロローグ
    第1章 事件としての神隠し
    第2章 神隠しにみる約束ごと
    第3章 さまざまな隠し神伝説
    第4章 神隠しとしての異界訪問
    第5章 神隠しとは何か
    参考文献

  • 現在では失踪とか蒸発という言葉で表現される現象そのものは変化があるわけではない。筆者はこれを神隠しにあったものとして受け入れるというユニークなアプローチを採ることによって、神隠しの本質を浮き彫りにしてゆく。

  • 神隠しとは何かについて当時の時代背景を考慮して科学的に考察しています。
    昔の人も現代人と同じ感覚を持っているところもあるんだなーと思いながら読んでいました。

  • 隣に人殺しがいても、バレなければ神隠しとして解釈され社会は存続できる。隣近所を疑いながら限界状況で生きることを防ぐ人類の知恵。
    神格的な理由を付与して社会を持続させる方便、それは魔女狩りであり、サキュバスであり、狐憑きであり、気ぐるいである。
    最近、陰陽屋というドラマで、問題を無理やり狐のせいにして調和を目指す話を見ましたが、まさにこれ。神話をなくした現代人はこのスケープゴートがない。それは非常につらいが、いい面もあるので一概には是非の判断はつかない。
    ただ、人の想像力というものは根本的に、常に自分や、自分の延長線上の社会を守り持続させるために存在すると思った。

  • 神隠しというオカルトを否定も肯定もせず、「ある現象」として認め論理的に考察分類されている。自分の中でぼんやりと存在した神隠しのイメージ、約束というものをきちんと説明されてスッキリした。

  • 失踪、誘拐や家出も神隠しとして扱ってきた日本の昔ながらの文化が衰退してしまったことを嘆く。

  • 神隠しを否定するでも無く科学的に検証する一冊。
    コミュニティの維持のためになされた殺人(口減らし等)、狂気に駆られた人間の行動、そして失踪といった陰惨な事実をかくすヴェールとして、神隠しを提示する。神隠しのエピソードは紋切り型のイメージが多いが、そのような言説から要素をピンポイントで取り出し分析する方法は面白かった。また、人を隠す神として、天狗、狐、鬼などを個別に考察しているところも興味深い。
    こどもの頃、親から「夕方になると人さらいが現れる」と言われ早々に帰宅したものだけど、大人になった今でも「神隠し」とはちょっと怖く、妙に惹かれる言葉だ。

  • なぜ「神隠し」は夕暮れに起こることが多いのか、季節は春が多いのか。体験者にこども、女性が多いのは?
    文中でも何度か言及されていますが、私も「神隠し」という言葉のミステリアスさに惹かれる日本人の一人。だからこの本を手に取ったわけですが。
    「神隠し」という言葉が次第に使われなくなっていったのは、日本人が「神」を信じなくなったからと冒頭著者は言います。正確には、起こった事象に対して人々が神秘的な何かのせいにするのではなく、合理的な理由を求めるようになったから。で、数々の「神隠し」を扱った民話や言い伝えから、その背景に起こった事実を分析し分かりやすく解説してくれます。

  • 今ではほとんど使わない言葉だけれど、日本人が畏怖の感情と魅惑的な気持ちの両方をいだく「神隠し」を分析し、その本質に迫る評論です。
    謎解きのような構成なので、作者の結論はここに書かない方がいいでしょうが、神隠しをオカルトとも昔話とも違う切り口で説明する手法には感心させられました。
    古今東西の神隠し譚が豊富に紹介されていて、それを読むだけでもとても面白いです。

  • 普通。

  • たしかに、「神隠し」という名前のアジールがあれば、生きていくのは少しは楽そうです。
    でも、本当は、「アジール」そのものが優しいわけではなく、「アジール」を認めて受け入れる此岸そのものが、優しいのですね。

    だから、「神隠し」を認める世界を作るには、やっぱり、こっちの世界そのものの考え方、受け入れ方を変えていかないといけなくなります。

    ところで、わたしは宮崎アニメは「千と千尋の神かくし」と「トトロ」は、見ていません。
    なぜか、名作と呼ばれるものだけ見ていないという。
    どういう巡り合わせだろう?

  • 2010.04.02読了

    「神隠し」にいわゆる「お約束」があり、逐一史料を引いてその分析が行われていて興味深い。「神隠しに遭った人の探し方」には太鼓が使われた、とか。
    文章も読みやすく、「浦島太郎」くらいしか知らなくても十分読めた。 私的には「隠れ鬼」(P65〜)辺りの解説が面白かった。ひとと神がとけあう、誰そ彼。「隠れるという演技は、社会からはずれて密封されたところに籠る経験の小さな軽い形態」
    誰しもが理解している「皆が隠れてしまう」ルール、それでも漠然と感じる空白、「迷い子の経験」。暗がりから一転して明るい世界になることでそれら突然の空白感は強められたり。

  • 帯表
    「神隠しのイメージはこの本から変わる」-高橋克彦

    本書は、平成三年七月、弘文堂より刊行された『神隠し-異界からのいざない』を改題の上、加筆・訂正して文庫化したものです。

  • 神隠しに関して詳しく書いてある点が魅力!

  • 神隠しとは何か…。民俗学に興味あるなら是非♪<br>
    面白いし勉強になります。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター教授、同副所長

「2011年 『【対話】異形 生命の教養学Ⅶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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