韓非子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)

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  • KADOKAWA (2005年3月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784043675050

作品紹介・あらすじ

韓非子は、法による厳格な支配を主張する法家思想の大成者。君主の君主による君主のための支配を目指すには、法・術・勢という三つの技術が必要だと説き、秦の始皇帝に「この作品の作者に会って話し合えるならば死んでもかまわない」とまで言わせた思想は、現代にも通じる冷静ですぐれた政治思想である。韓非子自身の鋭い人間観察による社会観・世界観を「矛盾」「株を守る」などの分かりやすいエピソードとともに語る。

感想・レビュー・書評

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  • 法家思想の大成者・韓非子。
    荀子の弟子だけに、似てるなぁと思うところもあるけど、儒家の根幹である道徳を完全否定する所が全然違った。荀子は礼に従うけど、韓非子は法に従う。

    最後の「自然に従う」道家的思想は突然違う絵を見せられたみたいで混乱した。私は道家思想とは気が合わないので余計かもしれない。

    人は利のために動くのだからと、韓非子は道徳心を全く認めない。妻子にさえも心を許すなとは…。この人は心が休まることなどないのだろうか。

  • 社会の分断や様々な権利主張がインターネット等で露出させる現代は韓非が見た理想的な社会とかけ離れた景色なんだろうな、と思った。
    リベラルの傾向が強まる今、韓非の思想に触れるべきだが、どこかソフトの側面で道徳から来る抜かりない「隙」があってもいいのではなかろうか。
    ガチガチなのは行き詰まってしんどい。

  • 2024.04.27 朝活読書サロンで紹介する。

  • 韓非子を読むにあたって、事前にある程度知るために読んだ。韓非子そのものを読んだことがないので、良いダイジェストなのかわからない。しかし、ある程度韓非の考え方などの大筋はわかったような気がする。

  • 君主による「法」「術」によって国家を統治しようとする「法家思想」の書『韓非子』を、原典から引用しながら分かりやすく解説してくれる入門書。原文の書き下し文で雰囲気を味わいつつ、現代語訳と解説で『韓非子』のエッセンスを掴むことができる。

    三章構成になっていて、第一章では、法家思想を唱える「法術の士」とはいかなる人間かがまとめられる。思想の内容ではなく、その思想家の立場の説明から入るというのが面白かった。
    厳格な法による統治を目指す法家思想は、その立場上、大きな政治改革の必要性を説く必要がある。そのため、あらゆる国の君主に、その思想を説くにあたっても、その身に危険が及ぶ可能性がある。
    戦国時代という時代背景の中で、法家という立場がどういった立ち位置にいたのかがよく分かった。

    第二章では、具体的な法治の手段として君主が用いる「法」「術」「勢」の概念の説明がされる。そして、第三章では、韓非の人間観、世界観、歴史観がまとめられ、その理想が解説される。
    個人的には、人間を徹底的に「利」によって動く信頼できないものと捉えて、厳格な「法」とその運用である「術」によって統治していく、という考え方には馴染めなかった。たしかに、人にはそういった側面があるし、大人数を統治するには、「法」の厳格さが必要なのはそうかもしれないが、やはり、人に対する信頼から発する徳治政治的な性善説の方が好感が持てる。

    もはや好き嫌いの問題になってくるが、その緻密な法治主義から学ぶことは多かった。小さな先輩後輩関係でも、人の上に立つ人には、一度考えてみてほしいテーマの詰まった本だ。

  • 全55篇ある韓非子のエッセンスをざっくり把握。基本的には処世術の内容。全てのビジネス書の原点は韓非子と言ってもいいのではないか。
    私は五蠹篇が一番好きでした。「古代は資源が豊かだったが現代は人口が増えたため資源を求めて争うようになった」「昔の王は今の門番より貧しかった」といった内容が書かれており紀元前も今も同じことが実感できる。
    あと、韓非子は冷徹な考えとよく言われるけど、ネットで見る言説の方が100倍くらいキツい。

  • 230205010

    法家である韓非子は「利」がどこにあり、どう人が動くかを観ていた。それは今の世の中でもある意味変わらないのかもしれない。

  • 性悪説とされる荀子の弟子の韓非子。韓非子は性悪的な発想をさらに進め、法に基づく厳格な統治を主張。

    目的のためなら手段を選ばないところがマキャベリを連想させるのだが、読み進めると、ホッブスの権力論、スミス、マルサス、マルクスと経済学ととても近いところがあって、とても興味深い。

    これが紀元前に書かれたものとは思えない現代性を持っているな。

    もちろん、今読めば、変なところも多いのだけど、まずはもうちょっと学んでみよう。

  • 法家思想。
    法術の士。
    臣下の罪を罰しないのは、君主の罪。
    刑と徳を合わせて失えば、国は亡びる。
    凡人である君主は、法と術をもって国を治める必要がある。
    歴代の君主で病死した者は全体の半数以下、あとはすべて暗殺されている。
    人口論と同じ事態が、春秋時代の中国にはあった。

    欲望は富とともに大きくなる。(ベンサム)
    欲望が力による闘争を生む。それに対抗するには君主の力による支配が必要。道徳では足らない。しかし法と術による支配は、戦乱がなくなり犯罪もなくなる、はず。

  • 非常にわかりやすく、とっかかりとしては最適。既にある程度の知識がある人が読むには物足りないかもしれないが、私のように凡人程度の知識レベルならば、変に気合入れて岩波とかちくま学芸文庫とかに手を出すより、まず本書をインプットしてからの方が理解が深まりそう。「わかりやすい=低レベル」という感じではなく、理解させるための配慮が行き届いていると感じた。結局理想のリーダー像、トップのあるべき姿の実現って永遠の課題なのかな。周囲の思う理想をわかっていても、実際トップに立った時に実現出来るかはまた別の問題。

  • 概要がざっくり分かる。

  • 誰もが知る「矛盾」、「守株」、「逆鱗に触れる」。
    それはいずれも、韓非子による。

    韓非の生涯と、思想について、コンパクトにまとめた本。
    儒者と異なり、理念ではなく「利」に基づく人間観を持っている。
    つまり、人間は本来善でも悪でもなく、その場の利益に基づいて動くものだ、ということ。
    それゆえに、君主は、法と術にのっとって臣下をコントロールしなければならなく、臣下や家族に気を許してはいけない。
    臣下は君主の利害関心がどこにあるかを冷静に見極めて、何を伝え、どう接するかを考えねばならない。
    寵臣の中へ入り、まず喜ばれない立場にいるにもかかわらず、君主に自説を聞き入れさせるのは難しい。
    こういった場合の状況分析と対処を論じていく。
    冷徹に分析したはずの韓非自身が、結局、始皇帝の威を借りた李斯に服毒自殺に追いやられていく。
    法術の士の行く道が、険しく孤独であるとわかる。

    韓非の考え方は、切れ味鋭く、何というか、振り切れてしまっている。
    だから、ある意味では理解しやすいのかもしれないが、何かやりきれない気分になる。

  • ごめんなさい、今までナメてました。これからの自分に必要なのは韓非子と荀子の思想でした。改めてきちんと全編読みます。

  • 中国のマキャベリとも言われる韓非子
    戦国時代の思想だけに、厳格な法治と冷徹な権謀術数による君主権力の強化こそが民を混乱した世の中から救い出し、儒家のいう「仁」にも叶うのだという。現代の感覚からするとやや姑息なニュアンスが強い内容になっているが、こういう時代背景では仕方ないのかもしれない

    君主は「術」すなわり、臣下を操るため密かに用いる技術(他人に悟られてはいけない)と「法」として公開した上で厳しく思考する制度の二つを運用すべし。戦争に勝った時、君主でなく臣下が尊敬され、勝ち取った領土が臣下個人の領地になってしまうのは、君主に臣下の悪事を知るための術がないからだ。いくら法を整備しても臣下たちはそれを自分の利益のために用いる。刑罰と恩賞を君主自身の判断で実施することで臣下を意のままに操ることができ、君主が権力を我が手に握るための方法でもある。

    術の秘訣は利と威にある。人の欲望を操る餌である恩賞が利である。そして人の恐怖心を煽り君主の威厳を示す手段である刑罰を威とよんだ。
    色々な君主の術を七術として分類しており
    1.いろいろな人の言行を照らし合わせてみる
    2.必罰をもって威厳を明らかにする
    3.信賞をもって能力を尽くさせる
    4.いちいち臣下の言を聴き、その結果が言に一致することを求める
    5.故意に疑わしい命令を出したり、逆の命令を出して臣下を惑わせる
    6.知っていることを知らないふりをして臣下に尋ねてみる
    7.褒めるべきものを反対に謗ったり、憎む相手を可愛がったりする

  • 978-4-04-367505-0 249p 2008・10・20 5版

  • 末世の低級な王の無理解や家臣の専横を批判することの危険を膚に感じながら、己の主張を展開した韓非の姿や思想を、原典に触れつつわかりやすく描いている。法家思想といえば、一般の人々を法に厳しく従わせるようなイメージが強いが、実はその厳しさの矛先は、まずは君主に近い家臣たちが君主の権力を私物化しようとすることに向けられていたという。そしてまた法治主義は、聖人でない普通の君主が普通の人々をうまく治めるにはどうしたらよいか、という現実的な問いに答えるものとして説かれているという。人間の性質を善悪でなく功利でとらえる立場に立つ韓非子の思想は、思っていたより単純ではなかった。

  • なんという人間不信、なんという冷徹さ。「矛盾」も「守株」もここまで重い話だったとは。
    善悪に意味は無くただ「利」を説く姿勢はとても2200年前の古典には見えない。ただ、「大体篇」に読み取れる黄老思想は、血みどろの現実に疲れた韓非が見た一縷の理想だったのかと思うと、「100分de名著」老子の回でのドリアン助川氏よろしく、つい韓非の肩をたたいて「あんたも大変だったんだね。まあ、一杯どうだい」と声を掛けたくなる。
    今回はダイジェスト版だったので、次は岩波文庫で全巻読みたい。

  •  こういった漢文の類は読みつけないのでとりあえず斜め読みで雑感。
     多くある中国の古典の中で、この韓非子は性善説を取らず、冷徹な政治力学を訴えた人のようだ。徳を訴えて世を治める限界を感じ、時代によって政治手法は変わっていくという考え方は非常に現実的で妥当な考え方である。一方その結論が、あくまでも専制君主による非情な(部下や家族も頼らない)支配であるというのは現代からすると素直には首肯できないところも。

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