韓非子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)

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  • 角川書店
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043675050

作品紹介・あらすじ

韓非子は、法による厳格な支配を主張する法家思想の大成者。秦の始皇帝に「この作品の作者に会えれば死んでもよい」とまで言わせた思想は、現代にも通じる冷静ですぐれた政治思想である。「矛盾」「守株」など、鋭い人間観察によるエピソードとともに分かりやすく語られる。

感想・レビュー・書評

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  • 「 韓非子 」

    君主と臣下の心得術の本。人間は利で動くとする人間観

    「君主の弊害は 人を信頼することにある」

    「君主が法を整備し賞罰を握り術を巡らすことによって権勢を維持できれば 世の中は治る」

  • 誰もが知る「矛盾」、「守株」、「逆鱗に触れる」。
    それはいずれも、韓非子による。

    韓非の生涯と、思想について、コンパクトにまとめた本。
    儒者と異なり、理念ではなく「利」に基づく人間観を持っている。
    つまり、人間は本来善でも悪でもなく、その場の利益に基づいて動くものだ、ということ。
    それゆえに、君主は、法と術にのっとって臣下をコントロールしなければならなく、臣下や家族に気を許してはいけない。
    臣下は君主の利害関心がどこにあるかを冷静に見極めて、何を伝え、どう接するかを考えねばならない。
    寵臣の中へ入り、まず喜ばれない立場にいるにもかかわらず、君主に自説を聞き入れさせるのは難しい。
    こういった場合の状況分析と対処を論じていく。
    冷徹に分析したはずの韓非自身が、結局、始皇帝の威を借りた李斯に服毒自殺に追いやられていく。
    法術の士の行く道が、険しく孤独であるとわかる。

    韓非の考え方は、切れ味鋭く、何というか、振り切れてしまっている。
    だから、ある意味では理解しやすいのかもしれないが、何かやりきれない気分になる。

  • ごめんなさい、今までナメてました。これからの自分に必要なのは韓非子と荀子の思想でした。改めてきちんと全編読みます。

  • 中国のマキャベリとも言われる韓非子
    戦国時代の思想だけに、厳格な法治と冷徹な権謀術数による君主権力の強化こそが民を混乱した世の中から救い出し、儒家のいう「仁」にも叶うのだという。現代の感覚からするとやや姑息なニュアンスが強い内容になっているが、こういう時代背景では仕方ないのかもしれない

    君主は「術」すなわり、臣下を操るため密かに用いる技術(他人に悟られてはいけない)と「法」として公開した上で厳しく思考する制度の二つを運用すべし。戦争に勝った時、君主でなく臣下が尊敬され、勝ち取った領土が臣下個人の領地になってしまうのは、君主に臣下の悪事を知るための術がないからだ。いくら法を整備しても臣下たちはそれを自分の利益のために用いる。刑罰と恩賞を君主自身の判断で実施することで臣下を意のままに操ることができ、君主が権力を我が手に握るための方法でもある。

    術の秘訣は利と威にある。人の欲望を操る餌である恩賞が利である。そして人の恐怖心を煽り君主の威厳を示す手段である刑罰を威とよんだ。
    色々な君主の術を七術として分類しており
    1.いろいろな人の言行を照らし合わせてみる
    2.必罰をもって威厳を明らかにする
    3.信賞をもって能力を尽くさせる
    4.いちいち臣下の言を聴き、その結果が言に一致することを求める
    5.故意に疑わしい命令を出したり、逆の命令を出して臣下を惑わせる
    6.知っていることを知らないふりをして臣下に尋ねてみる
    7.褒めるべきものを反対に謗ったり、憎む相手を可愛がったりする

  • 978-4-04-367505-0 249p 2008・10・20 5版

  • 末世の低級な王の無理解や家臣の専横を批判することの危険を膚に感じながら、己の主張を展開した韓非の姿や思想を、原典に触れつつわかりやすく描いている。法家思想といえば、一般の人々を法に厳しく従わせるようなイメージが強いが、実はその厳しさの矛先は、まずは君主に近い家臣たちが君主の権力を私物化しようとすることに向けられていたという。そしてまた法治主義は、聖人でない普通の君主が普通の人々をうまく治めるにはどうしたらよいか、という現実的な問いに答えるものとして説かれているという。人間の性質を善悪でなく功利でとらえる立場に立つ韓非子の思想は、思っていたより単純ではなかった。

  • なんという人間不信、なんという冷徹さ。「矛盾」も「守株」もここまで重い話だったとは。
    善悪に意味は無くただ「利」を説く姿勢はとても2200年前の古典には見えない。ただ、「大体篇」に読み取れる黄老思想は、血みどろの現実に疲れた韓非が見た一縷の理想だったのかと思うと、「100分de名著」老子の回でのドリアン助川氏よろしく、つい韓非の肩をたたいて「あんたも大変だったんだね。まあ、一杯どうだい」と声を掛けたくなる。
    今回はダイジェスト版だったので、次は岩波文庫で全巻読みたい。

  • ○この本を一言で表すと?
     韓非子の内容が軽めの内容である程度理解できるようになる本


    ○面白かったこと・考えたこと
    ・韓非子がマキャベリ以上にマキャベリズムだという話を聞いたことがありましたが、マキャベリの君主論と読み較べてみて、より率直に功利的な内容を述べているのは確かに韓非子の方だと思いました。ただ、述べている内容の階層やレベル感が違うので、一概に比較できないような気もしました。

    ・秦の宰相になった李斯が韓非子を陥れた話は知っていましたが、李斯と韓非子が共に荀子の門人であったことは初めて知りました。

    ・信じられること、信じられないことの境目が行動や徳ではなく、美醜や関係の遠近であったり気に入るか気に入らないかであったりというのは、身も蓋もないですが「人間」を直視しているなと思いました。苦言を呈する者が嫌われること、君主の周りの重臣はほとんど甘言を用いて君主に気に入られた者たちであることなど、通常発生するパワーバランスと、それに対抗する法術の士の不利な立ち位置は、かなりの苦難の道だなと思いました。よほどコミットしていないと選べない道だと思います。(第一章 孤独な思想家―法術の士―)

    ・君主が臣下を操るための「術」と国家や人民を治めるための「法」が両輪であり、片側だけでは失敗するということを、ある程度成功を収めた後に失敗した申不害と商鞅を例に出して説明しているのはうまいなと思いました。二柄(刑と徳)のどちらかを手放した君主が滅びるというのは、両者が政治を継続的に治めていくために必要であることを鋭くついているなと思いました。地位や権勢があれば愚か者が賢人を服することもできるという「勢」の考え方はこれも身も蓋もないですが、ごもっともだと思いました。尭舜のようなずば抜けて優れている君主や、桀紂のようなずば抜けて劣った君主を例に出して物事を語るのではなく、普通の君主がどのように国を治めるかということを論じるべきという観点は、冷静でその通りだと思えました。(第二章 支配の技術―「法」と「術」と「勢」―)

    ・人間が欲望によって動く存在と考え、親孝行の息子でも立場として親が邪魔になれば害するようになるというこれまた身も蓋もない例えを出していますが、この利害関係を軸とした透徹した考え方は一理あるなと思いました。韓非子が人口の増加と生産量の増加は比例せず、後世における物資の不足が著しくなるというマルサスの「人口論」のような結論に至っているのはすごいなと思いました。昔が優れていて乱なく治まり、現代(韓非子の時代)は劣っていて乱れるというのではなく、貧富の格差ができたゆえに乱れているのであって優劣の問題ではなく、それは競争によって改善されるとしているのは西洋の初期の経済学を千年以上も先取りしているような話だと思いました。(第三章 人間の分析―人間観と世界観―)

  •  こういった漢文の類は読みつけないのでとりあえず斜め読みで雑感。
     多くある中国の古典の中で、この韓非子は性善説を取らず、冷徹な政治力学を訴えた人のようだ。徳を訴えて世を治める限界を感じ、時代によって政治手法は変わっていくという考え方は非常に現実的で妥当な考え方である。一方その結論が、あくまでも専制君主による非情な(部下や家族も頼らない)支配であるというのは現代からすると素直には首肯できないところも。

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