韓非子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫 125 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043675050

作品紹介・あらすじ

韓非子は、法による厳格な支配を主張する法家思想の大成者。秦の始皇帝に「この作品の作者に会えれば死んでもよい」とまで言わせた思想は、現代にも通じる冷静ですぐれた政治思想である。「矛盾」「守株」など、鋭い人間観察によるエピソードとともに分かりやすく語られる。

感想・レビュー・書評

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  • 韓非子を読むにあたって、事前にある程度知るために読んだ。韓非子そのものを読んだことがないので、良いダイジェストなのかわからない。しかし、ある程度韓非の考え方などの大筋はわかったような気がする。

  • 君主による「法」「術」によって国家を統治しようとする「法家思想」の書『韓非子』を、原典から引用しながら分かりやすく解説してくれる入門書。原文の書き下し文で雰囲気を味わいつつ、現代語訳と解説で『韓非子』のエッセンスを掴むことができる。

    三章構成になっていて、第一章では、法家思想を唱える「法術の士」とはいかなる人間かがまとめられる。思想の内容ではなく、その思想家の立場の説明から入るというのが面白かった。
    厳格な法による統治を目指す法家思想は、その立場上、大きな政治改革の必要性を説く必要がある。そのため、あらゆる国の君主に、その思想を説くにあたっても、その身に危険が及ぶ可能性がある。
    戦国時代という時代背景の中で、法家という立場がどういった立ち位置にいたのかがよく分かった。

    第二章では、具体的な法治の手段として君主が用いる「法」「術」「勢」の概念の説明がされる。そして、第三章では、韓非の人間観、世界観、歴史観がまとめられ、その理想が解説される。
    個人的には、人間を徹底的に「利」によって動く信頼できないものと捉えて、厳格な「法」とその運用である「術」によって統治していく、という考え方には馴染めなかった。たしかに、人にはそういった側面があるし、大人数を統治するには、「法」の厳格さが必要なのはそうかもしれないが、やはり、人に対する信頼から発する徳治政治的な性善説の方が好感が持てる。

    もはや好き嫌いの問題になってくるが、その緻密な法治主義から学ぶことは多かった。小さな先輩後輩関係でも、人の上に立つ人には、一度考えてみてほしいテーマの詰まった本だ。

  • 全55篇ある韓非子のエッセンスをざっくり把握。基本的には処世術の内容。全てのビジネス書の原点は韓非子と言ってもいいのではないか。
    私は五蠹篇が一番好きでした。「古代は資源が豊かだったが現代は人口が増えたため資源を求めて争うようになった」「昔の王は今の門番より貧しかった」といった内容が書かれており紀元前も今も同じことが実感できる。
    あと、韓非子は冷徹な考えとよく言われるけど、ネットで見る言説の方が100倍くらいキツい。

  • 230205010

    法家である韓非子は「利」がどこにあり、どう人が動くかを観ていた。それは今の世の中でもある意味変わらないのかもしれない。

  • 性悪説とされる荀子の弟子の韓非子。韓非子は性悪的な発想をさらに進め、法に基づく厳格な統治を主張。

    目的のためなら手段を選ばないところがマキャベリを連想させるのだが、読み進めると、ホッブスの権力論、スミス、マルサス、マルクスと経済学ととても近いところがあって、とても興味深い。

    これが紀元前に書かれたものとは思えない現代性を持っているな。

    もちろん、今読めば、変なところも多いのだけど、まずはもうちょっと学んでみよう。

  • 法家思想。
    法術の士。
    臣下の罪を罰しないのは、君主の罪。
    刑と徳を合わせて失えば、国は亡びる。
    凡人である君主は、法と術をもって国を治める必要がある。
    歴代の君主で病死した者は全体の半数以下、あとはすべて暗殺されている。
    人口論と同じ事態が、春秋時代の中国にはあった。

    欲望は富とともに大きくなる。(ベンサム)
    欲望が力による闘争を生む。それに対抗するには君主の力による支配が必要。道徳では足らない。しかし法と術による支配は、戦乱がなくなり犯罪もなくなる、はず。

  • 非常にわかりやすく、とっかかりとしては最適。既にある程度の知識がある人が読むには物足りないかもしれないが、私のように凡人程度の知識レベルならば、変に気合入れて岩波とかちくま学芸文庫とかに手を出すより、まず本書をインプットしてからの方が理解が深まりそう。「わかりやすい=低レベル」という感じではなく、理解させるための配慮が行き届いていると感じた。結局理想のリーダー像、トップのあるべき姿の実現って永遠の課題なのかな。周囲の思う理想をわかっていても、実際トップに立った時に実現出来るかはまた別の問題。

  • 概要がざっくり分かる。

  • 「 韓非子 」

    君主と臣下の心得術の本。人間は利で動くとする人間観

    「君主の弊害は 人を信頼することにある」

    「君主が法を整備し賞罰を握り術を巡らすことによって権勢を維持できれば 世の中は治る」

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