本能寺(下) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043687022

作品紹介・あらすじ

長篠の合戦での鉄砲の大量導入、毛利水軍との戦いにおける軍艦の導入など、斬新な戦略で敵を駆逐する信長。新時代の構想を模索する彼は、光秀を後継者にしようと考えていた。しかし、事件は勃発した……。

感想・レビュー・書評

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  • 小説であり、作者が解釈した本能寺の変の論文のようでもあり、とても勉強になった1冊でした。
    変にムダがなくて良かったです。

    大衆小説だと変なお色気シーンがあったりするけれど、それがないのが自分としては好印象でした。
    その分、時代の解釈や信長さんの行動や光秀さんの行動をどう作者が解釈したのか、なぜそう解釈したかのがきちんと書かれている。

    信長さん周辺の出来事ではあるけれど、この時代の流れを知りたいときに有用な本でもあります。
    また、ある程度自分なりの歴史の知識を得てから、また読んでみたいと思います。

  • ネタバレ うーん……。本書で描く信長の理想国家像も、光秀を信長が自らの後継者と考えていたことも、細川藤孝が黒幕的役割(千宗易・足利義昭・近衛前久も共犯)というのも、いやはや、無理があり過ぎるでしょう。高転びに転んだ感あり。

  • 長篠の戦開始から、光秀の死までを描いた下巻。
    否が応でも謀反を起こさざるを得なくなるような展開と描写が凄い。謀反実行最後の決め手となったのが秀吉への対抗意識だった点に人間味を感じ、細川藤考の出自の秘密と足利義昭をつなげたIF設定や、信長の革新的過ぎる政治構想など驚きの連続だった。
    信長の後継者と期待され、覇気のあった光秀が変後、魂が抜けたように燃え尽きてしまった様子に呆気なさを感じる。光秀が、信長に仕えることで真価を発揮する秀吉を見下していたにも関わらず、自身も信長あってこそのものという解釈も面白かった。

  • 「本能寺」というタイトルだが、上巻は「信長一代記」で信長の天才的な戦い方や合理的な考え方に圧倒される。下巻に入り急転回で、本能寺の変への流れと変わるが、やや竜頭蛇尾の感があるものの全体としては、楽しく読むことが出来た。
    この著者の文体は相変わらず古風で難解さはあるものの、それが返って重厚感をもたらしている。

    我々は歴史の結果から判断して、信長の評価は藤吉郎>明智光秀という先入観で見ているが、この本を読んで信長の配下での「城持ち大名」の第1号が明智光秀で、木下藤吉郎はこれに2年遅れるという事実には驚かされた。宿老第1の柴田勝家に至っては3番目。しかも領地は与えるのではなく、貸し置くという信長の考えで、現代のサラリーマンと同じで転勤もありという考え方を持っていたというのには正直驚いた。そういう意味でも信長という人物は異能なのだろう。よくもこういう人物が日本の歴史上に現れたという事実に驚愕する反面、その歴史と対話?出来る楽しさは至福の時間でもある。

  • 何か分からんけど最終話で急に流れというか何かが変わった気がするので『志、満たすべからず』に肉付けをして短編か中編で良かった気がする。上下巻は多い1冊で良い。 藤孝らの構想(陰謀?)は面白かったが、最終的には納得がいかない気がする。ナンボ想像以上に早い秀吉の大返しでも10日ほど掛かってるので、光秀と親しい藤孝なら首を取って、その足で将軍になるチャンスがあったと思うねんけどなぁ。多分、信長が居なくなった事で良しとしたって事なんやろな。   

  • 織田信長が美濃を取った後くらいから本能寺の変まで描かれているのですが、信長以外では明智光秀のことが多く書かれています。

    信長の後を継いだのは秀吉ですが、信長がやりたかったことを必ずしも引き継いではおらず、そういう意味でも光秀が後を継いだらどうなったか?という視点も面白いですね。
    光秀を後継者に、と考えると、本能寺の変の間際において、数々の光秀に関するエピソードに対する池宮さんの解釈に納得感がありました。

    ↓ ブログにも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_3008.html

  • 上巻で、天才信長と秀才光秀であんまり面白くないと書いたけど、下巻でも同じ。最大の謎である光秀の動機に関しては、ネタバレなので書かないが、凝ってはいるけど、説得力に欠ける。説得力を持たせるために、天才信長を強調していたのならば、あんまり良い構成ではないと思う。

    信長が合理的な人物であったことは間違いはないだろう。
    そして我々は、近代合理主義という思想のもとに生きている。だから信長を表するときに、「早すぎた近代人」としてしまう。その枠組なので、敵対者は、本願寺も足利義昭も一向宗も比叡山も因襲固陋の徒になってしまう。
    そのフレームで始めるから、どうしても破綻する。破綻は言いすぎかもしれないけど、薄っぺらくなる。

    合理主義と近代合理主義は似て非なるものだ。
    ルソーのない信長は、ただの器用な人にすぎない。
    まあ、最後まで光秀を重用し信頼していたというのは、リーズナブルだけどね・・・

  • 歴史小説は結果意外の。
    経過心情に作家の意図が反映するのがよくわかる作品。
    本能寺の変の黒幕が細川藤孝なのどうかなぁ。
    少し群像っぽいけど、楽しめた。

  • うーむ。読みにくい。 今まで読んだ池宮の作品はどれも面白かったんだけど、なんかこの作品には独創的なビジョンに乏しい気がする。

  • 説教くさいのを抜いたら満足いく作品。
    色んな解釈がある事件だけど、この本は光秀をただの謀反者として書いてないところに惹かれた。

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