平家〈4〉 (角川文庫)

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043687091

感想・レビュー・書評

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  • 【読了メモ】義経…。後白河法皇と藤原成親にも胸に迫るものがある。

  • <全4巻読了>
     平清盛を革新的な英傑として取り上げた、新「平家物語」。
     日本史上、悪役の印象が根強い人物は幾人かいるが、その一人であろう清盛の大志や功績を称える史伝と言える。
     ここでの清盛は、当初こそ武人としての知略も見られるが、中盤からは為政者、それも、先見性と決断力に富んだ、国政刷新を目指す偉大な政治家として描かれている。
     一方で、従来の悪評を覆さんとする作者の意気込みが強過ぎて、彼を高潔で有能な稀代の逸材としたいがために、他の氏族のみならず、一門子弟に至るまで、周囲の人物の多くを無能かつ卑小な人物として描写するという図式が露呈している。
     また、清盛の改革を阻む大きな要因として、藤原氏による摂関政治の弊害を筆頭に挙げており、当時の律令制度が生んだ国政の停滞を現代の官僚制度に置き換えて、官僚の非生産性や驕慢さ、怠惰や腐敗を舌鋒鋭く批判している。
     元は新聞連載であった所為か、そうした投影に関する説明の重複や過多、冗長な面が、至る所で目に付く。
     この小説に限らず、歴史物においては、該当年代の状況や出来事を、現代の価値観で解釈する傾向がしばしば見られる。
     過去に大きく遡った舞台設定の作品は、できるだけ、当時の習俗や世界観に即して執筆するのが望ましいのではないかと思う。
     書き手が現代人である以上、その手の恣意的な『介入』は避け難いとはいえ、度を超した断罪の論調は、歴史小説の態を成さなくなり、物語自体の吸引力を失速させる。
     また、清盛以外にも、作者のお気に入りと思われる人物――源義経――を、如何に英雄として正当化するか、その理論武装に走り過ぎているきらいもある。
     英雄らしからぬ伝承は、無視するか、他人の言動に擦り替えるなどして、『都合の悪さ』を糊塗している点は鼻白む。
     清盛と後白河法皇が、国政改革の同志であったという設定は面白いが、清盛の死後、その遺志を継ぐのは義経であるという展開には、最後まで説得力が感じられなかった。
     尤も、上記の諸々にひとまず目を瞑り、「平家物語」を諸行無常の説話ではなく、時代の壁に果敢に挑戦し、世の中を変えようとした男の一代記として構成し直した意欲作と捉えるなら、非常に熱量の高い作品であると言えよう。
     公に流布されてきた『歴史』とは、常に勝者の解釈に彩られてきたものだということを、改めて思う。

  • 天道是か非か
    飛竜雲に乗ず
    見るべきものは既に見つ
    浮生、夢の如し

    著者:池宮彰一郎(1923-2007、東京、脚本家)
    解説:縄田一男(1958-、東京都、文芸評論家)

  • 歴史小説は好きだが、本作は小説好きと言うだけで有れば読みづらいだろうなと思う。私が好きな歴史小説は、魅力的な主人公を置いて、いくらか誇張はしつつ生き生きとその場を生きる歴史上の人物のイメージを広げることだが、本書者は史実に忠実にしようとし過ぎなのかな。時代によって登場人物の目線が変わりすぎるので、物語に入り込みずらい。
    しかしながら、私のまだ貧弱な平家像を膨らましてくれたことは大いに感謝したい。

    源義朝平治の乱から始まり、後白河上皇・平清盛に人物は移る。主人公としては後白河上皇なのだろうな、天皇の強い武士に左右されながらも、したたかに時代を生き抜き、操作する力には舌を巻く。

    【学】
    保平の乱の後実権を握った後白河上皇、信西入道の政治を容認するが、それに義朝が反発

    東の源家、西の平家

    四姓
    源氏:系譜は多岐にわたる、しかしその繋がりは薄い。清和源氏は武門として朝廷に仕えた。酒呑童子退治の源頼光、前九年・後三年の義家
    平氏:
    藤原氏:最も古く、大化改新の藤原鎌足が起源
    橘氏:藤原、橘氏は文官として朝廷に仕えたが、平氏、源氏は武人としても朝廷に仕えた

    清盛になっても文官藤原氏の勢力を宮中内で御すことは難しく時間がかかった。

    天皇初代神武天皇が日向の地を出でて、東征して大和に朝廷を定める際、紀伊半島に上陸したその軍を先導したヤタガラスの伝説は熊野三山に始まる

    「平家物語」の主題は”傲る平家久しからず”と平家全盛の頃の栄耀栄華と滅びゆく悲惨の最後を対照的に描き、諸行無常の仏教説話の態を形成している。そのため、清盛は巨悪、子重盛は理想的な人物として扱われた。他の書物でも清盛は悪者扱いされることが多いが、本作の清盛は私にとっては悪者ではなかったな。

    清盛、源氏との戦いの最中に病死

  • 読了ー。

    清盛不在の今巻では、後白河法皇と義経の御恩と奉公物語
    的な部分が大きかった。
    ドラマチックではあったものの、なんだか志の高き士がいなく
    なってしまう終わりなので星は三つ。

  • (全巻合わせた感想)
    ただ純粋に面白かった。

  • ・他人の意見を鵜呑みにして、従う、それが「愚直」であり、実直でもある。だが、「素直」とは、まず他人の意見に耳を傾け、判断はおのれがする。おのれの確乎たる意志を持ち、他人の意見を聞く度量を持つ・・・それを「素直」というのだ。
    ・人は稲穂と同様、実り重きを為す程、頭を下げ、腰を低くするもの。
    ・日本史に金襴と輝く源義経の戦法は、常に一貫していた。「速度」である。敵の想像を超える速度で攻める。対応する隙を与えず、卓越した速度で攻め破る。
    ・義経の知略は、『彼の身に我が身を置く』という唐土の兵書「六韜」に依る。つまり敵将知盛の身になって思考を巡らすことに尽きる。
    ・別冊『本能寺』は信長を苛烈極まりない美意識の追求者として設定し、その目指したものは、乱世に存在するあらゆる「既得権益」の破壊にあったとした。
    ・『島津奔る』から。‐『なにもしないのは「悪」である』。
    ・今東光「悪名よ栄光あれ、事を為すに当たり十二分にやった者は、すべて悪人として人々の中に残るものなのだ」。

  • 木曽義仲の入洛から、平家滅亡、義経の死まで怒涛の展開はさすがにあくることはありません。本来ならありえない話のようにも考えられるが、後白河法皇、藤原長成、、金売り吉次のやりとりがおもしろい。
    平清盛のおかげで、鎌倉から室町時代に日本の工芸文化が発展したという結論は妙に的を得ていて面白い。

  • 雲仙などを舞台とした作品です。

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