- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043690039
感想・レビュー・書評
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読んだきっかけ:100円買い。
かかった時間:3/16-3/18(3日くらい)
感想: 多島斗志之、2冊目。「症例A」が面白かったので買ってみた。内容は、家族の絆、人の気持ちの理解とか、そんなものか。
地味だけど、するする読めます。
舞台は戦後だけど、戦前、戦中を通してのエピソードを辿る物語です。最後は急ぎすぎてる印象。上下2冊くらいにして丁寧に堅ってもいいかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語の大部分が手紙であったり、回想であるため、淡々と進んでいく。
が、淡々とした中にも深い感情が見え、またその時代背景も詳しく描かれており、他にはない良作だと思う。 -
静かな語り口。丁寧につづられていくエピソード。ゆっくりと流れていく時間。多島氏の作品を読むといつも同じ感覚を味わう。
共産主義運動やゾルゲ事件など、そのあたりの歴史的な背景には全く疎い私だったが、それをモチーフに紡ぎだされた本作は、派手さはないが、読み終えてじわじわと何かが胸に広がる、余韻に思い切り浸れる秀作だった。 -
【失踪中の多島斗志之さんの息子さんが情報提供を呼びかけ中】
身長170cm位痩せ身、
ぐるりとツバのあるサファリ帽・眼鏡着用の可能性高、
黒髪、ヒゲ(あご髭は白)
目撃情報などは息子さん(Twitterで @suzilard 宛 or ブログ<http://ameblo.jp/suzilard/>)か、伏見警察署 生活安全課 0756020110 へ -
後からじわじわ考えさせられる本。
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すべてが済んでしまった後に過去を紐解いていく…、という設定に、蓮見圭一氏の「水曜の朝、午前三時」を思い出した。
カヴァーに書いてあった“渾身の純愛小説”というキャッチを見た時は少し気持ちが萎えて読むのをやめようかとも一瞬思ったが、そこは多島斗志之氏のこと、上手くミステリー風の味付けを採り入れて飽きさせない作りになっている。
文章も無駄なくきれいなので読みやすい。 -
甥っ子が不可思議な叔母の一生を解き明かしていく物語。
ちょっと意外なところにつながりました。 -
淡々と、嘘っぽいオーバーな感情表現がないのがよかったです。
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旧仮名遣いの手記が登場する章で手間取ったものの(最初のほうは難しい単語も大量に登場したので大変だった)、伊尾木が語っていく章はいつもと同じだったので、思ったより時間はかからず読むことができた。
ミステリ的展開によって感情を語り、感情によってミステリ的展開が成立する『恋文』(連城三紀彦)のような作品、という印象を受けた。つまり、藍子の感情をミステリによって推測するし、藍子の感情によってミステリが成立する。ただ、わたしは藍子の気持ちをはっきり理解することができなかった。藍子視点の描写がなかった、藍子の立場が私には想像できないものだった、といった原因はあるのかもしれないが、難しかった。
いつか本気で誰かを愛したときにでも読み直したらまた違った感情で読むことになるかもしれない。 -
幼い頃にドイツ語を教えてくれた叔母。その生涯を、思いがけぬ形で辿ることになった主人公が行き着く先にある真実とは。
戦中、戦後の動乱、その時代を逞しく生き抜いた人々。人の人生はそれだけで物語であると認識させられ、真実を知ることの重みを実感する。