風の音が聞こえませんか (角川文庫 お 46-3)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043705030
作品紹介・あらすじ
もし、愛した人が精神を病んでいたら-。幻聴や妄想に苦しめられ、アパートにひきこもった晃の訪問指導を引き受けた新人ケースワーカーの美知。晃と気持ちを通じあうことは容易ではなかったが、美知のひたむきさに、晃は少しずつ心を開き始める。美知も晃の純粋さに安らぎを見出していく。だが、美知は晃の主治医・佐伯にも惹かれていくのだった…。優しさ溢れる筆致、美しいラストシーンが胸を打つ、究極の恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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美知がケースワーカーとして道を踏み外していく物語に思えてならない。晃は一度は再燃しながらも寛解したようでそれはよかったものの、佐伯は振り回されただけのような...
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読み出があるボリュームだぅたが、一気に読んでしまった
精神科医である先生による小説。
ケースワーカーである美知と精神を病んでいる晃。
難しい仕事だが、美知は懸命に彼に向き合おうとする
後半に向かってどう行き着くのかなぁと想像していた 美知の、彼のことをワーカーとしての仕事としてと、男性としての想いと複雑に絡み合って感情が揺れ動く様子がよく表れていて切なくなってしまった
「風の音を聞こえますか」は レッドツェッペリンの「stairway to heaven」の引用のようだが、晃がギターの話を振った時に機嫌が悪くなった理由はどこかに書かれていただろうか
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ストーリーはとても面白くて、精神科に携わる者として興味を惹かれた。
ただ、主人公のケースワーカーの女性の言動がフィクションにしてもあまりにもひどくて、いまいち感情移入はできなかった。
彼女自身の生い立ちももちろん色々あって、突発的な行動や身勝手な発言などは仕方ないと目をつぶることも必要かもしれないが、晃よりも余程症状が悪い。
とは言え、考えさせられる学びの多い作品だった。 -
精神科医の作品だけあってリアル。とても切なくなる。
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読了後に様々なレビューを拝見したところ、評価は分かれている様です。
特に医療小説としてとらえた場合に、著者自身が精神科医であることもあって、非常に否定的な意見が多いようです。
また恋愛小説としてみた場合ですが、最終的な結末に同意できる人、出来ない人で評価が分かれています。
物語序盤で晃視点の場面があるのですが、後半はほとんどなくなってしまい、晃が結婚を決断する辺りの状況が判らないため、納得できない方が居るのでしょう。
娯楽的な意味で楽しむ分には、十分な内容だと思います。 -
胸にしんとくるラブストーリー。打算と自分の大切なことを貫くということの選択を迫られ、どういう決断をするか。何が幸せなのか。心の贅肉がそぎおとされて純化されるようなきれいな物語。
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前半、うまく行きすぎ
後半、先が読める
現実味が少ない。 -
難しいテーマにもかかわらず、重苦しいというよりはむしろ爽やかな気持ちになれたのは驚きです。
ラストの締め方も誰かの死や、元の鞘に収まって幸せに暮らすといった予定調和的で陳腐なものではなく、作者なりの考え方が充分に込められていると感じました。