街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 76
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043707041

作品紹介・あらすじ

日本の大学は今や「冬の時代」を迎え、私立大の40%が定員を割っている。この危機の中、多くの大学は「市場原理」を導入し、過剰な実学志向と規模拡大化に救いを求めている。この現状は学生を真の「学び」へ導くのか?大学の社会的使命とは何か?最も信頼できる論客が、大学の原点に立ち帰り放つ、画期的教育再生論。文庫化に際し、文科省国立大学法人支援課長・杉野剛氏との「大学の行方」をめぐる新対談も追加収録。

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすく、率直な意見がおもしろい。大学の危機的状況を感じたし、大学評価の在り方、教員の質、国が決める提言の裏の意図を読み取ることが必要など、勉強になる点が多かった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「勉強になる点が多かった。」
      内田センセの物の見方には、いつも驚かされます!
      「勉強になる点が多かった。」
      内田センセの物の見方には、いつも驚かされます!
      2014/04/11
  • 本書の一番面白いところは、「あとがき」なのではないかと思う。筆者である内田樹氏は本書の「あとがき」で、文庫化される以前に書かれたテキスト(『狼少年のパラドクス――ウチダ式教育再生論』収録のテキスト)と現在の考えに乖離があることを率直に述べている。
    その乖離は、大学の自己評価に対する考え方の変化の中で生じている。本書に収録されたエッセイの中で、内田氏は大学および大学教員の自己評価を積極的に推進しようとしている。しかしそうして自己評価が始められるようになってすぐに、「評価コスト」の問題――大学の自己評価は、コストに比してパフォーマンスが低くならざるを得ないこと――に気づく。そうした気づきのあとに行われた文科省の担当者との対談では、「評価コスト」の問題について内田氏から批判的な意見が提示され、それについて議論が行われている。
    このように本書には、さまざまな時期に書かれたさまざまなテキストが掲載されているので、事情を知らずに読む読者は「なんだか支離滅裂だ」という印象を持つかもしれない。しかし、現時点で大学に在籍し、大学教育に携わろうとする私にとっては、このような思考の筋道が見えることがありがたかった。
    自己評価ばやり、FDばやりの大学において、何をどのように考えていったらいいのか――本書に示された内田氏の思考と模索の過程を見つつ、この先のありようについて考えていければと思う。

  • 大学いく前にこれ読むと過ごし方変わりそうかな〜.
    タイトルも地位も関係なくバッサリな感じがかなりスキ.

    ■「オレが全部説明してやるから,お前らは黙っていろ」というような言葉づかいで仕切ろうとするとゲンナリする<-非常に同意.

    ■「スーパー負け犬くん」の大量発生の理由:その1「親がリッチ」.その2:「サクセスした同期生が多い」だそうだ. <-ちょっと納得つか,ぶっちゃけ,かなり納得だ.
    「向上心は必ずしも人を幸福にしない」.幸福の秘訣は「小さくても,確実な,幸福」をもたらすものについてのリストをどれだけ長いものにできるか,にかかっている.
    内田先生うまいこと言う!

  • 街場の大学論
    内田樹24冊目
    ・学ぶことそれ自体がもたらす快楽
    「こうやってバリバリ勉強していればいつかいいことが経験できるという未来の確実性ではなく、こうしてばりばり勉強が出来るのも今だけかもしれないという未来の不透明性によって勉強していたのである」後者がまさしく勉強することそれ自体の快楽である。これが根源的な人間の学習へのモチベーションであるし、並行して読んでいた「グーグルの働き方とマネジメント」にも、潤沢な資金や時間ではなく、一定の制限によってもたらされる制限にこそ、イノベーションの種があると言っていた。
    ・狼少年のパラドクス
    狼が来たというそれ自体は村落の防衛システムの強化を求める教化的なアナウンスを繰り返しているうちに「狼の到来」による村落の防衛システムの破たんを無意識に望んでしまうこと。
    組織の自己評価は難しく、「欠陥はない」という言い逃れで問題点を隠蔽して責任を回避しようとする人間と、「欠陥がある」という己の指摘の正しさを証明するために、組織的欠陥を露呈するような状況を待ち望むような人間の二種類を生み出してしまうからである。
    ・学術性の本質は「贈与」。論文は、自分を同じ主題で論文を書こうとしている5年後、10年後の人間を想定し、その人がその研究をしやすいような道筋を整える、まさしく地図を贈与することである。だから、贈与ではない論文、つまり、未来の読者を想定していない論文は、今の読者にとっても非常に不親切で読みにくい。

    ・大学は、大学外の組織や階層にとらわれない「アジール」「駆け込み寺」であることが本義であるのにもかかわらず、資本主義的な淘汰の波にさらされることによって、付属の高校や中学をつくったり、その人間のまさしく階層を作り出す側の機能を持ち始めていることが問題である。

  • 10年前のものだけど、未だにリーダブルなのは大学に関する日本の流れが変わってないからだろうなぁ。下っ端ながら大学に関わるものとして、暗澹たる気持ちになる。研究者に必要な資質として「非人情」というのは、全くもって同意します。

  • 著者のブログや雑誌記事のまとめ。
    著者の考えは私とは違いますが、ビジネスに傾く高等教育に危機感を持っている事では一致しています。
    これは教育だけでなく日本の産業にも思っている事ですが。
    少子化なんだから無理に定員を維持せずにダウンサイジングすればいいと言う意見には同感です。

    企業の一斉採用の動きが、学びが足りない場合の留年や進学を阻み、教育の場を就活予備校状態にしている元凶だと考えているのだが、これは高等教育と産業界との関係から変えないと教育業界だけでは、今の危機を脱せないのではなかろうか。と思うのは私だけだろうか?

  • 著者のブログで発表された文章を中心に、大学教育をめぐるエッセイを収録しています。また、著者の勤務校である神戸女学院大学での取り組みについても触れられています。

    「文庫版あとがき」で著者は、本書に収録されている文章が書かれていく中でみずからの立場は変化していったと言います。当初は大学教員にあまりにもビジネス・マインドが欠如していることに批判的な立場に立っていた著者は、しだいにビジネスの枠組みで大学教員を評価することの問題点に気づいていったとのことです。

    しかし、大学を取り巻く環境の厳しさをはっきりと見据えながら、時代に安易に迎合するのではなく、大学の役割を根本から考えなおそうとする著者の態度は、揺らいでいないように思います。リアルでクールな認識を貫きながら、けっしてペシミズムに陥ることのない著者の精神の強靭さが、本書全体を貫いているという気がします。

  • 三葛館一般 377.2||UC

    内田樹氏による教育論、特に大学教育論についてのブログや雑誌の連載記事をまとめて文庫化した本書。
    大学人としての著者による大学組織や高等教育制度、大学生、大学教員についてなどの大学論が、ひとつのトピックについて4-5ページで明快に痛快につづられています。
    大学生にとっては、大学を取り巻く議論を踏まえて、これからの自分自身の勉強について考える材料を与えてくれます。

    (もも)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=80200

  • アンダーアチーバーを働かせようといて,オーバーアチーバーの邪魔をする改革。ミッションの明確化は区別化のリスクを引き受けること。
    論文を書くこと→学生と一緒に読もう

  • 自分のためだけに勉強するのではなく、公共の利益のために勉強する。
    オーバーアチーブの人は確かに一定割合でいます。つぶしてはいけません。

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