壷中の天国 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.40
  • (17)
  • (28)
  • (70)
  • (6)
  • (3)
本棚登録 : 249
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (631ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043709014

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 架空の田舎の町で連続殺人が起こる。その度、宇宙の意思や電波に関する妄想に取り憑かれた怪文書が犯人より配布される。盆栽好きで近所のクリーニング屋のパートである主婦、その家族、主婦の学生時代の友人が推理してゆく。
    殺人事件なのだけれど、暴力的な内容はほぼなく、主婦の日常、盆栽やら、登場人物の趣味であるフィギュアの製作等、のんびりムード。ただ、電波怪文書のところは怪しさがうまく出てましたが。こうした内容で最後まで読ませるのは、倉知淳さんらしさなのかな。そして、血液型占いと電波命令の共通点とか違いとか、タイトル通りの「壺中の天国」、人それぞれの自分の世界、信じているものについて、そして何よりも登場人物、人柄がうまく描かれていたと思います。ミステリー小説だと思わないのがいいのかな。

  • 4

  • ネタはどうしても性質上、快刀乱麻という感じにはいかないものの、風刺の効いた趣向、捻ったセンスは好きだ。

  • 『現実はこうやって、居間でお茶をすすりながら議論を積み重ねるだけ。

    誰だかが云った格言にもあるけれど「日常の中に入り込める物語はない」ということなのだ。どんなに猟奇的な事件が身近で勃発しようとも、当事者以外の人間は日常から逃れられない。』

    こんなの解りっこない!って伏線が贅沢に盛り込まれていて素晴らしい。めっちゃ面白いけど、解りっこない!

  • 無駄に長い。
    けど、主要登場人物の話す癖がそうだから、そうせざるを得ないのかな。
    無関係に思えるエピソードも、最後にはちゃんと本筋に繋がっているところはなかなか。
    主人公と同様、娘を持つ身としては、あと5年足らずであんな風に大人顔負けの会話をし始めるのかと思うと少々頭が痛い。
    本を読むのが好きな人の多くは、きっと意味不明の言葉の羅列を真面目に読んだりせず、適当に読み飛ばすだろうと思って書いてるならすごい。
    真剣に犯人像を推測しようという気も起きないほどの、句読点のない文章で、犯人の思考を表現する。
    ただ、正太郎……結構好きな感じなのに、あのフィギュア作ってる時のオタクっぷりはいただけないなぁ。

  • 倉知淳はなんというか、
    いい意味でとってもスケールが小さいのがすき。
    「ぼくらのまちの大冒険」感というか、
    生活や日常に強く根付いた作品が多い。
    この作品もなんだかんだその系統が強い。
    「おたく」性っていうのは結局だれしもが持つものなんだよね、それがちょっと方向が変わるとああなってしまうんだよね、というしみじみとした説得性のためにあのページ数。
    ただ、「日曜日の夜は出たくない」にも通じる、積み重なる日常にしのびよる非日常感とか、すぐ後ろをふりむけば殺人犯がいるかもしれない、みたいなぞくぞくする感じ、あれはこの枚数が重ねられたからこそという感じもする。

  • 裏表紙の解説によると,「本格ミステリの歴史に燦然と輝く,第1回本格ミステリ大賞受賞作」とある。とはいえ,この作品は,犯人当て小説としては傑作とは言えない。真犯人は,主人公の牧村知子が参加した鉄塔建設反対の集会でセールスマンに質問するという方法で登場していた,「姫木ぼこ」を作っていた職人さん。意外な真相といえば意外な真相だが,フーダニットとしてはルール違反ギリギリだろう。
    この作品の特徴は,被害者を繋ぐミッシングリングが,被害者の体に身につけていた金属だったという点そして,もう一つのポイントが,犯人が被害者の話していたことばを聞き間違えたという点になる。
    「望儒」を「傍受」と勘違いし,「受け取っている」ということばを「電波を受け取っている」と勘違いし,「更新」を「交信」と勘違いし,「受診,痩身」を「受信,送信」と勘違いしたという部分は,猫丸先輩シリーズの作者らしいしかけだと思う。
    登場人物のキャラクターは魅力的だし,文章も読みやすく,嫌いな作品では決してないのだけど,「本格ミステリ大賞」か…。そこまでの作品ではないような気がする。
    心に残るような深みはないが,読後感は爽やかだし,そこまで期待して読むのでなければ,読んで損をするような作品ではないと思う。★3かな。

  • 再読。自分だけの閉じたパラダイスの価値を認めながらも、その内部から自己批判するこの作品が、閉じた世界観を大切にする本格ミステリの大賞を取っていることは意義深い。

  • 本格小説というよりオタク小説かプロファイリング小説みたいでした。
    テンポの良さと次第に大きくなっていくミッシング・リンクの謎が読む人のペースを上げ、あっという間に読み終えてしまいました。細かい複線も沢山張り巡らされており、純粋に推理を楽しむことが出来ました。
    しかし、アンフェアとも言えそうな犯人設定だったので、カタルシスを得られない微妙な読後感でした。

全37件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年静岡県生まれ。日本大学藝術学部演劇学科卒業。1994年、『日曜の夜は出たくない』で倉知淳として小説家デビュー。1997年、『星降り山荘の殺人』で第50回日本推理作家協会賞(長編部門)候補。2001年、『壷中の天国』で第1回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2002年、「桜の森の七分咲きの下」で第55回日本推理作家協会賞(短編部門)候補。

「2013年 『シュークリーム・パニック ―Wクリーム―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉知淳の作品

壷中の天国 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする