ユージニア (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 623
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043710027

作品紹介・あらすじ

あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は――。

感想・レビュー・書評

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  • 旧家で祝いの席の最中に発生した大量毒殺事件、それを聞き語り形式を主としてその犯人と真相はなんだったのかが少しずつ明らかにされる
    という構成なのだが、聞き語り、3人称、手紙形式、新聞記事の抜き書き等々描写方式がさまざまに変わるのと、聞き語りで断片的に明らかになる事実がなかなか収束していかないのとで、薄靄を通して見るような、昔の記憶を見るような、不確かさが漂っている
    読むと不安になるような、がコンセプトだったそうで、なるほどそうか、いやしかしながらただの座りの悪い話なのでは
    すっきりとは終わらず、伏線も回収されないので、はっきりさせたい派には不向き

  • 途中までの面白さたるや。

    ある高名な一家を襲った大量毒殺事件。
    その犯人と思しき男の自殺。
    事件に改めて光をあてた『忘れられた祝祭』。
    その出版の反響からしばらくして、語り手が新たにこの時間を解き明かそうとする構成。

    正直、エンディングに「ん?」となって、二回読みました。

    事件を『忘れられた祝祭』と、更には語り手からと、二周していくのだけど。
    様々な人物から、事件のピースが当てはめられていき、なんとなく予想図が出来てくる。
    どんな風に最後、追い詰めていくんだろうか、と読者としてはドキドキする訳です。
    だけど、エンディングに、あれ?っとなる。
    ああ、なるほど!ではないのが、賛否分かれる所なのかもしれません。

    結局は、誰もが二周目で止まってしまったということなんだろうか、と(笑)

    以下、好きな文を引用。

    「ノンフィクション? あたしはその言葉が嫌い。事実に即したつもりでいても、人間が書くからにはノンフィクションなんてものは存在しない。ただ、目に見えるフィクションがあるだけよ。目に見えるものだって嘘をつく。聞こえるものも、手に触れるものも。存在する虚構と存在しない虚構、その程度の差だと思う。」

    「日本家屋って、本当に暗いわね。子供の頃の家の中って、暗かった。おばあちゃんの家に昼間行くと、真っ暗で面食らったのを覚えてる。お線香や湿布薬や、煮炊きしたものの匂いが混じりあって、饐えたような甘ったるい匂いがして、理由もなく憂鬱になった。」

    「世の中、異物混入が流行ってるじゃないですか。職場の給湯室なんて、何だってできる。誰に恨まれてるかわからないし、どこにいかれた人間が潜んでるか分からない。
    特に、男は危険ですよね。子供のころから母親に何でもやってもらうことになれてるから、いつでも目の前に自然に飲食物が湧いてきたような錯覚がある。自分の口にモノが入るまでに、不特定多数の人間の手を経てるってことに気付かない。まあ、最近は、女もそうですけど。」

  • ミステリィに時間的空間的な層を付加し,幻想的な世界を構築する.まるで映画のような構造体をしている.愛と狂気は表裏一体であり,まして親の子に対する愛となれば,その深さはいかばかりか.

  • 洋館に古都、盲目の少女、毒。さまざまな人の証言。誰、とは言わないが、証言の向こうに見える彼女。完璧。最後の最後、恩田陸さんらしく、断定はしない。におわせて、疑わせて…。
    夏の金沢で読みたい。

  • はぁ怖かった。色が…怖い!
    なんともいえない不気味さと不安に襲われ…読了後何日もユージニアの世界に浸ってしまいました。
    映画もそうですけど、余韻に浸れる日数が長いほど自分的傑作入りです。

    色んなところですっきりしない、と見かけたもので
    時系列にまとめ、また、真偽の取捨選択やら紙に書き出してみたのです。
    そうしましたらあやふやだった箇所もクリアになりまして、この作業がまた面白く痺れる読書体験になりました。

    インタビュー形式で始まるこの物語は、読み進めるのはたやすいのに読み解くのが難しいお話なのですね。
    インタビュー、1人称、作中作、独白…読み解くヒントはこれらの章ごとに異なるスタイルの信用順位を意識すること。
    偽証も誤解もありますからややこしいです。

    私も一読ではわからない点が残りなんとか一応疑問点が無くなるまで読んでみた感想としましては、無駄な情報の無い緻密なミステリだと思うのですが如何でしょう。

  • ハードカバーの装丁が好きだったのでジャケット買いした思い出。物語を通じて流れる夜明けのような暗い青色。
    ある大量毒殺事件を主題に多人数の語りで物語は進行する。被害者、観客、犯人の目撃者…究明される凄惨な毒殺の手口、犯行の裏側。

    しかし深まる「犯人」と「少女」のあいだの静かな謎。
    ユージニア、ユージニア。と光を失う少女は口にする。
    タイトルに込められた意味が最後に謎を綺麗に剥ぎ、明かされる少女と青年の関係。
    耽美的なミステリ。
    恩田陸でいちばん好きなものを選ぶなら1つは絶対にこれ。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      うわ~、お仲間がいて嬉しい。
      私も絶対に恩田作品No.1は「ユージニア」です!!
      でも恩田ファンの中ではこの作品を押...
      こんにちは。

      うわ~、お仲間がいて嬉しい。
      私も絶対に恩田作品No.1は「ユージニア」です!!
      でも恩田ファンの中ではこの作品を押す人って少なくないですか?
      もっとSF色が強い方が良いのかな。
      私は「ユージニア」の感動を求めて恩田さんの本を追い続けてます。

      あまりに感激して家族にも無理矢理読ませましたが反応はイマイチでした・・・(-_-;)
      2013/03/06
    • とうかさん
      こんにちは。コメント有難うございます!

      同じ思いの読者さんがいらしてとても嬉しいです。 いいですよね、すごいですよね、これ!
      恩田陸さ...
      こんにちは。コメント有難うございます!

      同じ思いの読者さんがいらしてとても嬉しいです。 いいですよね、すごいですよね、これ!
      恩田陸さんはジャンルの裾野が広すぎて読者もかなり好みが分かれるんでしょうかー。

      もっと広まるといいのに!
      2013/03/06
  • 様々な人の視点で書かれているので、初めは読みづらいのですが、読み進めていく内にどんどん引き込まれていきます。それと同時に、恐怖感が湧いてきました。
    最後の方で理解できない部分があったので、もう一度読み返してみたいと思います。

  • 夢の中で走っても走っても前へ進まないもどかしさ。読んでる間はずっとそんな感覚に襲われていました。

    色んな人が語る記憶の断片に惑わされ、たった一つの真実に辿りつけない。記憶の断片達は長い間発酵されて輪郭を失っているので、記憶の断片を組み合わせてあらわれる全体像もぼんやりしている。

    でも必ずどこかで明らかになるのではという期待があるから、もがきながら前へ進みます。足元をすくわれながらも。

    何だかずっと人の記憶の中で旅をしていたような感覚。そんな感覚を楽しみました。

  • 小さな町で町の名家で大量殺人。

    恩田陸はいつも帯買いしてしまう…
    けど…

    スローテンポすぎて内容がよく咀嚼できず、消化不良。
    よく咀嚼出来ていたら結末を面白いと納得できただろうと思うので、また一年後再読したい。

  • 先が気になってどんどん読み進めてしまったけど、終わりに近づくにつれ、何かがはっきり見える結末ではなさそうだなと思うようになりました。結局よくわからない部分がたくさん残った。読み終わった後より、読んでる途中の方が楽しかった。

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。幼少期は名古屋、長野、富山、仙台などを転々とする。高校時代は茨城県水戸市に在住。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。
1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。
2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞と第14回本屋大賞を受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。2019年秋、石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化。

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