ユージニア (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 6177
レビュー : 640
  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043710027

作品紹介・あらすじ

あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は――。

感想・レビュー・書評

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  • 旧家で祝いの席の最中に発生した大量毒殺事件、それを聞き語り形式を主としてその犯人と真相はなんだったのかが少しずつ明らかにされる
    という構成なのだが、聞き語り、3人称、手紙形式、新聞記事の抜き書き等々描写方式がさまざまに変わるのと、聞き語りで断片的に明らかになる事実がなかなか収束していかないのとで、薄靄を通して見るような、昔の記憶を見るような、不確かさが漂っている
    読むと不安になるような、がコンセプトだったそうで、なるほどそうか、いやしかしながらただの座りの悪い話なのでは
    すっきりとは終わらず、伏線も回収されないので、はっきりさせたい派には不向き

  • 感想

    読み終わった時の心境が、ゴールデンスランバーを読み終えた時の興奮と同じくらいの混乱。

    大量毒殺事件に多少なりとも関わる人の証言で事件の成り立ちがどんどん明確になっていくが、明確になっていくようで全く明確にならず、読み終わって大混乱。読み込みが甘いのかと、縋る思いでこの本を読んだ人達の考察を自分の感じたことと擦り合わせる。が、みんな同じように混乱していた。

    犯人はわかっている。答えに辿り着いている。
    なのに、読み終わっても真犯人がわからないって一体どんな現象。

    Q&Aを読んだ時も思ったが、ひとつの出来事があったとして、関わった人の数だけ見方や感じ方があり、その出来事の輪郭も色もピタッと合致することはないのだな、と。
    そしたら真実とは誰も知ることはできないのでは。気が遠くなった。

    一気に読んだので体力を消耗。
    2日間で読んだのですが、1週間くらい読み続けていた感覚。

    恩田陸さんが描く世界は、独特な雰囲気を纏っていていつも少し不安定で不思議で不気味で閉鎖的で魅力がある。登場人物も然り。いつも早く抜け出したいけどずっとそこにいたい気持ちで、縋るように読んでいる。

  • 夏の暑さとじっとりとした、怪談を読んでいるような不気味さが漂う作品。

    地方の有力者の家で起こった大量毒殺事件。実行犯を唆した真の犯人を、インタビュー形式で浮かび上がらせる。真犯人を追い詰めるというより、事件のきっかけになった神秘的な少女を取り巻く人々の話。後年現場の発見者である満喜子により当時のことをインタビューして書かれた本が出版される。

    皆が「特別な人」としてみていた彼女を満喜子は自分だけが理解していると思っている。他の崇拝する人たちとは違うと思っている。告発する気はなく、自分だけが知っていると彼女に気付いてもらいたくて本を出版する。それは満喜子自身が誰よりも彼女が囚われていたということなのだろう。

    彼女はただ思っただけだ。誰に何をしろと言ったわけでもない。周りが彼女の言うことを自分なりに解釈して行動した結果の事件のように思える。とすると彼女は殺人教唆としての罪に問われるのだろうか?
    目が見えないからこそ神秘性が増していたらしい彼女は、目が見えるようになったら普通の中年女性になっていた。そのことを知ったら満喜子はどんな思いをしたのだろうか。

    周りの人からの証言による真犯人の少女は神秘的で不気味で美しかった。が、読み進めるうちにサイコパス度が減ってしまい、彼女がどうしたかったのかがいまいちよく分からない。
    似たような雰囲気だった兄は彼女の異常さに気付かなかったのだろうか。
    人はそれぞれ他人に勝手なイメージを持ち接するという印象が残った。

    デザイナー・作家・フォントディレクター・写真家の制作日記のような巻末のユージニアノートが面白かった。

  • ユージニア。どういうことか?
    読み始めた段階から何となく結末は見えていたような気がする。
    だけど、読後は少し違う感覚に。
    インタビュー的な文章で、読みやすいが、なかなか解釈が難しい。
    力不足でよくわからない部分も。
    久しぶりに読了に時間がかかった作品だけど、これはこれでいいかな。

    事件の内容とその真相。
    ページをめくるうちに、真相に近づいていく感覚が、読書の真骨頂ですね。
    緋紗子の目が見える見えない。
    これがキーポイント。

  • 電子書籍で読了。

    ミステリー超初心者の感想。

    ミステリーとしての読後の爽快感はないかもしれないですが、小説としては十二分に面白かったです。

    ミステリー嫌いの人でもぜひ!

  • 小さな町で町の名家で大量殺人。

    恩田陸はいつも帯買いしてしまう…
    けど…

    スローテンポすぎて内容がよく咀嚼できず、消化不良。
    よく咀嚼出来ていたら結末を面白いと納得できただろうと思うので、また一年後再読したい。

  • 途中までの面白さたるや。

    ある高名な一家を襲った大量毒殺事件。
    その犯人と思しき男の自殺。
    事件に改めて光をあてた『忘れられた祝祭』。
    その出版の反響からしばらくして、語り手が新たにこの時間を解き明かそうとする構成。

    正直、エンディングに「ん?」となって、二回読みました。

    事件を『忘れられた祝祭』と、更には語り手からと、二周していくのだけど。
    様々な人物から、事件のピースが当てはめられていき、なんとなく予想図が出来てくる。
    どんな風に最後、追い詰めていくんだろうか、と読者としてはドキドキする訳です。
    だけど、エンディングに、あれ?っとなる。
    ああ、なるほど!ではないのが、賛否分かれる所なのかもしれません。

    結局は、誰もが二周目で止まってしまったということなんだろうか、と(笑)

    以下、好きな文を引用。

    「ノンフィクション? あたしはその言葉が嫌い。事実に即したつもりでいても、人間が書くからにはノンフィクションなんてものは存在しない。ただ、目に見えるフィクションがあるだけよ。目に見えるものだって嘘をつく。聞こえるものも、手に触れるものも。存在する虚構と存在しない虚構、その程度の差だと思う。」

    「日本家屋って、本当に暗いわね。子供の頃の家の中って、暗かった。おばあちゃんの家に昼間行くと、真っ暗で面食らったのを覚えてる。お線香や湿布薬や、煮炊きしたものの匂いが混じりあって、饐えたような甘ったるい匂いがして、理由もなく憂鬱になった。」

    「世の中、異物混入が流行ってるじゃないですか。職場の給湯室なんて、何だってできる。誰に恨まれてるかわからないし、どこにいかれた人間が潜んでるか分からない。
    特に、男は危険ですよね。子供のころから母親に何でもやってもらうことになれてるから、いつでも目の前に自然に飲食物が湧いてきたような錯覚がある。自分の口にモノが入るまでに、不特定多数の人間の手を経てるってことに気付かない。まあ、最近は、女もそうですけど。」

  • ミステリィに時間的空間的な層を付加し,幻想的な世界を構築する.まるで映画のような構造体をしている.愛と狂気は表裏一体であり,まして親の子に対する愛となれば,その深さはいかばかりか.

  • 洋館に古都、盲目の少女、毒。さまざまな人の証言。誰、とは言わないが、証言の向こうに見える彼女。完璧。最後の最後、恩田陸さんらしく、断定はしない。におわせて、疑わせて…。
    夏の金沢で読みたい。

  • はぁ怖かった。色が…怖い!
    なんともいえない不気味さと不安に襲われ…読了後何日もユージニアの世界に浸ってしまいました。
    映画もそうですけど、余韻に浸れる日数が長いほど自分的傑作入りです。

    色んなところですっきりしない、と見かけたもので
    時系列にまとめ、また、真偽の取捨選択やら紙に書き出してみたのです。
    そうしましたらあやふやだった箇所もクリアになりまして、この作業がまた面白く痺れる読書体験になりました。

    インタビュー形式で始まるこの物語は、読み進めるのはたやすいのに読み解くのが難しいお話なのですね。
    インタビュー、1人称、作中作、独白…読み解くヒントはこれらの章ごとに異なるスタイルの信用順位を意識すること。
    偽証も誤解もありますからややこしいです。

    私も一読ではわからない点が残りなんとか一応疑問点が無くなるまで読んでみた感想としましては、無駄な情報の無い緻密なミステリだと思うのですが如何でしょう。

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著者プロフィール

恩田陸(おんだ りく)
1964年、青森市生まれ。水戸第一高校を卒業し、早稲田大学進学・卒業。1991年、第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作となった「六番目の小夜子」でデビュー。2004年刊行『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞及び第2回本屋大賞、2007年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。2017年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞、第5回ブクログ大賞などを受賞した。同作品による直木賞・本屋大賞のW受賞、そして同作家2度目の本屋大賞受賞は史上初。大変大きな話題となり、代表作の一つに挙げられるようになった。同作は2019年4月に文庫化され、同年秋に石川慶監督、松岡茉優・松坂桃李らのキャストで映画化される。

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