チョコレートコスモス (角川文庫 お 48-3)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 9004
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043710034

作品紹介・あらすじ

芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを-。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう!興奮と感動の演劇ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 演劇のオーディションを舞台にした迫真の描写が感動的な小説だ。演劇界のサラブレット東響子(古めかしい名前だ)、それに対するは演劇を始めたばかりという無名の佐々木飛鳥という設定から、すぐにあの「ガラスの仮面」を思い起こしてしまう。しかし、そんな思いは吹っ飛んでしまう程、この小説は面白かった。よくこれだけの臨場感あふれるオーディションの場面を描けたものだ。この二人けでなく、他の女優、脚本家、新進劇団のメンバー、様々な人々の千路に乱れる思いが伝わって来る。演じる人物を分析する、入り込む、それを演じる自分を客観視する、それらをすべて俯瞰する第3の目を持つ。そこに自分の個性も溶かし込んでいかないといけない。そして、舞台の奥にある何かに達する。なんてことだ!
    生きるということは何かを演じていること、そして小説という虚構を作り上げることも作者自身何かを演じることなのだろう。
    こんな文章も心に残った。「ショックを受けて打ちのめされることが、次のステップへの原動力となる。」

    • goya626さん
      breadandbookさんへ
      「ガラスの仮面」はいわゆる伝説の名作です。いいところで中断してしまったので、私も忘れてしまっていたのですが...
      breadandbookさんへ
      「ガラスの仮面」はいわゆる伝説の名作です。いいところで中断してしまったので、私も忘れてしまっていたのですが、十何年かぶりに続編が描かれたという声を何年か前に聞いたのですが、どうなったんだろう。
      2019/12/24
    • shukawabestさん
      僕は、『ガラスの仮面』は読んだことないのですが、この作品の、「オーディションの迫真の描写」は一番の醍醐味で、演者たちの心理を疑似体験できるこ...
      僕は、『ガラスの仮面』は読んだことないのですが、この作品の、「オーディションの迫真の描写」は一番の醍醐味で、演者たちの心理を疑似体験できることがとても楽しかったです。
      僕は恩田陸さん、『夜のピクニック』、10年ほど前に読んで、「たしかに良かったんだけれど・・・」という気持ちでいたので、このレビューも読むきっかけになりました。ありがとうございました。
      2023/02/21
    • goya626さん
      shukawabestさん
      コメントありがとうございます。この本は、恩田陸の小説としてはよく知られているんでしょうかねえ。素晴らしい名作だ...
      shukawabestさん
      コメントありがとうございます。この本は、恩田陸の小説としてはよく知られているんでしょうかねえ。素晴らしい名作だと思いますが。最近は恩田陸さんはご無沙汰してしまっています。
      2023/02/24
  •  『蜜蜂と遠雷』以来、5年ぶりに恩田陸さんの作品を読了しました。読了順も含めて遅きに失した感がありますが、本作にとても感銘を受けました。
     オーディションとはいえ、演劇の舞台を実際に観ているライブ感・昂揚感が得られ、一回性の芸術としての演劇の魅力がとてもよく伝わってきます。
     役者、脚本家、プロデューサー等の個性の描き分けが秀逸なので、演技描写と相まって演劇が立体的に浮かび上がってくるようです。読後暫くは、放心したように心地よい余韻に浸っていました。
     主人公の一人・佐々木飛鳥。彼女の空手の型から始まる生い立ちに触れて、芸道の「守・破・離」に通ずると感じました。真似て再現するに留まっていても、壁にぶつかり大成しない典型なのかなと…。
     それにしても、芸術と庶民の私たちを見事に橋渡しをし、楽しませてくれる作家さんには感謝しかありません。
     本作の続編『ダンデライオン』が待たれます。

  • 佐々木飛鳥という人物の動きに目が離せなくなってしまう。
    まるで目の前で本物の芝居をみているかのような、臨場感あふれる文章。
    三人が登場する芝居を二人でやるという難題なオーディション。
    オーディションのシーンだけでこんなにも興奮するのに、彼女たちの演じる本番の芝居はどんなだろうと思うと、鳥肌が立ちます。

    脚本家神谷が、山手線の駅前広場で見かけた、人間の「真似」をする華奢で地味な少女佐々木飛鳥。
    そして、その少女が高校の時に初めて観た芝居に出ていたのが、大女優の東響子。
    さまざまな運命的な出会いが次々と連鎖して、物語がどんどん面白くなっていった。

    劇団「ゼロ」の新垣と巽にも、今後ぜひとも活躍してほしい。
    飛鳥のその後が知りたい。続編があるのでしょうか。ぜひ読んでみたいです。

  • 芝居を始めたばかりの大学生、飛鳥がその才能を見出だされ、自分では望んでもいなかったオーディショに出る。そこで共演した響子の才能に魅せられて、演劇の世界に入ることを決めるストーリー。

    オーディション参加者の演技のシーンは目の前で見ているみたいに引き込まれ、一気に読み進めてしまった。

    実際の役者の世界もこんなにシビアなのかしら?などと思いつつ、飛鳥の今後が気になる。。

  • 恩田陸さんによる演劇のオーディション小説。佐々木飛鳥という演技の天才や、もともと芸能家系である東響子が織りなす物語は、『ガラスの仮面』の世界そのものだった。あとがきによれば、続編『ダンデライオン』、第3部『チェリーブロッサム』の構想があるようだったが、2011年4月時点の情報にもかかわらず、続編が出る気配は現時点ではなさそうであるのが残念。こうした点も今なお未完結の『ガラスの仮面』とよく似てるなと思ってしまった。現実の演劇界に北島マヤや佐々木飛鳥のような「天才」がいるのかは分からない。だが、オーディションでの脚本のあらすじ、それを候補者が演じる様子を描いた話にとても引き込まれた。

  • 別世界の扉が開かれたような。昨年『蜜蜂と遠雷』を読んだときに感じた、物語を読んでいるうちに、とんでもないところに引きずり込まれた感覚。それを思い出しました。

    芸能一家に生まれ、人気・演技力とも若手トップクラスの女優の響子。公園で練習していた学生劇団の前に、突然現われ入団させてほしい、と頼み込む芝居初心者の飛鳥。二人を中心に物語が展開していきます。

    響子の章では、プロの女優の様々な内面が描かれます。同じ舞台に立つ女優へのライバル意識。勝利を収める誇らしい気持ちもあれば、追い抜かれ蹴落とされる、悔しさ、苦さ、敗北感。その凄まじいまでの内面描写の迫力たるや……

    そしてもう一人の主人公飛鳥。彼女の初舞台のシーンもスゴいを通り越して、末恐ろしく感じます。彼女の底知れない才能と、場の空気を変えてしまう閃きとセンス。
    舞台のシーンなのに、まるで一級品のホラーを読んでいるような不気味さに襲われる。恩田陸さんの筆力と、飛鳥の底知れないキャラクターが相乗効果を生み、ジャンルの壁、小説と舞台の壁を越えたような物語が現出します。

    そして物語は伝説のプロデューサー、芹沢が開く異色のオーディションの移っていく。表紙裏のあらすじを読んでいると、ここで響子と飛鳥が対決するのか、と思っていたのですが、物語は意外な展開へ……

    この場面の響子の描写はスゴかった。先にも書いたように悔しさや敗北感の描写もスゴいのだけど、それを越えてくる演技への情熱の描写がまた熱い! ここまで人をのめり込ませるものがあるのかと。そして、そこまでのめり込んでいる人の内面を描けるものなのかと、二重の衝撃を受けたような気がします。

    オーディションの場面も面白い。響子や飛鳥以外にも、三人の女優がオーディションを受けている場面が描かれるのだけど、それぞれが異色のオーディションに対しどのように挑むか。それぞれの個性を出しつつ、オーディションの様子を描き分ける。その技量も凄まじいです。

    そして物語も最終局面に。響子、飛鳥。二人は読者を別世界へ連れて行きます。

    ここに関しては、自分の語彙力が追いつかない……。ここに到るまでのオーディションの様子だけでも相当スゴいのに、それをさらに越えて、見たことのない世界へと引きずり込まれる。圧倒されたとか、驚愕したとか、どんな言葉であっても、その世界への衝撃は言い表せない。

    そして読み終えてみると、この別世界を表現するために、相当キャラクターや感情描写も、選び抜かれ描かれていたのだと分かります。

    響子の演技への渇望と激情。まだ見ぬ高みへ触れた感覚、この描写も素晴らしいし、別世界への入り口に必要なもの。

    そして飛鳥の生い立ちが語られる場面や内面が語られる場面も、思い返せば返すほど、別世界へは必要だったものだと感じます。

    普通の女優とはまったく違う価値観、動機から演技に興味を持った飛鳥。一見理解出来ない言動を、外から描くだけでなく内面からも描く。それだけでも相当スゴいのですが、その内面描写があったからこそ、クライマックスの別世界へのカギとなる。

    二人のまったくタイプの違う天才が合わさったからこそ、見えた別世界。そしてそこに到るまでの過程も、完璧という言葉しか見当たらない。

    自分みたいな凡人には、きっと一生見ることができなかったであろう世界。恩田さんは『蜜蜂と遠雷』。そしてこの『チョコレートコスモス』と、二度に渡ってその世界へ連れて行ってくれたように感じます。

    演技や芝居の凄さももちろんですが、小説の凄さ、小説家の底知れ無さも、この作品で改めて感じました。

  • 文庫本を図書館から借りてきて、あまりの分厚さと1週間で返さなければならないプレッシャーで初めは読むのを躊躇してしまっていました。でも1度読み始めたら面白すぎて止まらず、続きが気になり夢中になって最後まで読んでしまいました。

    役者とか演技のことは全く分からないけれど、天才ってきっといるんだろうなってこの本を読んで思いました。そして俳優ってすごい職業だと改めて思いました。また演出家や作家など普段は見ることの出来ない色んな職業のことを知れて良かった。
    実際に舞台やミュージカルを観てみて、俳優さんの演技を生で感じ、感動を味わってみたくなりました。

    恩田陸さんの作品は初めて読んだのですが、まるでその場にいるかの様な臨場感を味わえる素晴らしい文章ですね。そして素人の私でも、この人すごい天才だって思うような登場人物達も魅力的でした。他の作品も読んでみよう!

  • お芝居は観たことがないし、あまり興味はなかったけれど、面白い本でした。オーディションの内容が主で、驚くような展開はないものの、登場人物の心情が繊細に書かれています。読んでいて、いつのまにか主人公の響子に入り込んでいて、最後は涙してしまいました。この涙は感動とは違うもの…。自分も響子と一緒に戦っていたのだと気づきました。流石、恩田陸作品です。

  • 蜜蜂と遠雷が楽しくて、次に手にしたのがこの一冊。目の前に飛鳥の世界が広がり、ワクワクしながら一気に読んだ。恩田陸さんが好きになり苦手だった本を読むことが好きになった。本って素晴らしい。

  • 以前読んだ蜜蜂と遠雷を思い出した。今回も全く自分の知らない世界の話についていけるのかなと思いながら一気に読み終えた。芝居の事なんて何もしらないし本の感想も上手く言えないけれども最後まで早く読みたいその先が知りたいと1日で読み終えてしまった。何処がは説明出来なくても虜になってしまう本なのは確か。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

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