チョコレートコスモス (角川文庫)

  • 角川書店 (2011年6月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784043710034

作品紹介・あらすじ

無名劇団に現れた一人の少女。天性の勘で役を演じる飛鳥の才能は周囲を圧倒する。いっぽう若き女優響子は、とある舞台への出演を切望していた。開催された奇妙なオーディション、二つの才能がぶつかりあう!

みんなの感想まとめ

演劇の魅力とその奥深さを描いた物語が展開され、才能がぶつかり合う緊張感が読者を引き込みます。主人公の飛鳥は、無名劇団で異色のオーディションに挑む少女であり、彼女の成長や葛藤が描かれる中で、演劇の世界に...

感想・レビュー・書評

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  • 神谷さんが、少女を初めてみたのは今年の桜も終わり
    どことなくまが抜けた、やたらと眠い4月半ばの
    午後のことでした。

    久々に古巣の劇団の書き下ろしで 力がはいりますが
    なかなか書き始められない焦りのなか
    ぼうっとした頭で窓の外を見て座っていました。
    窓からの景色は 山手線の駅前の改札口を出た所。
    行き交う人達の中で 1人何故か気になる少女が
    いました。何をしているのか?観察していましたが
    突然消えてしまい まるで白昼夢でもみていたのか
    との思いでした。

    それから1週間後の同じ場所。神谷さんはまだ
    書き始める事ができないで 更に焦りを感じて
    いました。
    また 窓の外を見ていると あの時の少女が。
    今回も注意深く観察していると どうやら少女は
    誰かをみつけては物真似をしているんだなと思いました。いつのまにか少女はいなくなりましたが
    広場を見下ろしながら 身体のなかでは不思議な
    爽快感があり 霞がかかっていた頭の中が晴れ渡り
    原稿を書き始める事ができました。


    東響子さんは 家族も皆役者で ものごころをついた
    頃から当たり前のように舞台に立っていました。
    この職業には もっと凄い もっと恐ろしい面白さが
    この先に続き どんなに求めてもきりがない。
    その予感が怖くて 足を踏み入れる覚悟をできて
    いないでいました。

    そんな中で 同じような境遇で友人の宗像葉月さん
    の試写会をみて 衝撃をうけます。
    普段は感じない 嫉妬と羨望がじわりと込み上げ
    てきました。

    響子さんは 子役のオーディションの時に噂で
    芹澤泰次郎さんが20年ぶりに芝居に復帰する事を
    知ります。芹澤さんの 作品はどれも質が高く
    内外から高い評価を得、観客からも根強い支持を
    受けています。彼の作品に使われたのちに
    俳優として開花した者も多いそうです。

    佐々木飛鳥さんは 代々空手家の環境で育って
    自身も凄く強いんですが いろいろな経験をして
    今は 自身がどうしたいかと考える時間でした。
    そんな中 友人と ある舞台を観て
    その先にあるはずの景色をみてみたい との思いを
    抱きます。

    梶山巽さんは 大学のサークルの劇団の練習で
    日々汗を流しています。もともとは脚本家希望ですが
    劇団の練習をしながら こつこつと脚本も書いて
    います。
    ある日公園で練習をしていると こちらを真剣に
    見つめている少女に気づきます。
    少女が、こちらに近づいてきて

    この劇団に入れてもらいたいんですけど

    と言われて みんなびっくりしましたが
    入団テストをする事になります。
    劇団の人達は少女の演技をみて、驚き戸惑い
    不思議な感覚を覚えます。こうして 無事に
    入団した少女が佐々木飛鳥さんです!

    飛鳥さん達の劇団に
    二日間の公演のチャンスが巡ってきました。
    劇団員で話し合い やってみよう!
    との決断になりました。
    公演まで時間のない中 みんなで必死に作品を
    つくり 大成功の公演でした。
    この公演を神谷さんが観ていました。初日に感じた
    疑問を確認したくて二日目もみましたが混乱と興奮
    の衝撃で、なかなか上がらない幕をぼんやり見つめて
    いました。

    この事がきっかけになり 飛鳥さんはあの
    芹澤泰次郎さんの舞台のオーディションを
    受ける事になります。
    飛鳥さん自身の気持ちも揺れながらも 支えてくれる
    仲間や 応援してくれる思いに 背中を押してもらい
    無事にやり切る事ができました!

    最終オーディションで 響子さんの見た景色を感じ
    飛鳥さんが 共に得た感覚は、私ではわからない
    ですが 凄いものなんだろうなぁと 精一杯
    想像する時間でした。

    天才とは どういう事か?なかなか実際に感じる事は
    少ないですが、私も若い時に 有名な漫画家さんに
    凄くお世話になった事を久しぶりに思いだしました。
    同じ物を観ていても もしかしたら色彩までも違う
    のかも知れないと 感じたことが沢山ありました。

    この物語の 飛鳥さんがこれからどうするのか。
    響子さんの これからの景色もどこまで続くのか。
    そして この チョコレートコスモスは
    どんな公演になっていくのか。
    読み終えての 感動の中にいるのに
    この物語の人達がどうなっていくのか 
    凄く知りたい思いが溢れる不思議な読後感でした。

    恩田陸さんの素敵な物語、
    この チョコレートコスモス を読むことが出来て
    凄く幸せです!(^^)



    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      オイラが図書館でふらふらしてて、偶然恩田さんと出会ったのは、この作品じゃないかなぁ。
      突然思い出しました...
      「いいね」ありがとうございます。

      オイラが図書館でふらふらしてて、偶然恩田さんと出会ったのは、この作品じゃないかなぁ。
      突然思い出しました笑!
      2025/07/26
    • まめたカチカチパスタさん
      きたごやたろうさん コメントありがとうございます!

      そうなんですね!
      私も ごさんからのコメントで
      自分の昔の事を思い出したりしました。
      ...
      きたごやたろうさん コメントありがとうございます!

      そうなんですね!
      私も ごさんからのコメントで
      自分の昔の事を思い出したりしました。
      この中での読書や図書館の思い出を振り返るのも
      楽しいものですね。^_^
      2025/07/26
    • きたごやたろうさん
      まめたカチカチパスタさんへ

      そうなんですよ。
      過去の自分と、こんにちはですね♪
      まめたカチカチパスタさんへ

      そうなんですよ。
      過去の自分と、こんにちはですね♪
      2025/07/26
  • 恩田陸さん(1964~)の作品、ブクログ登録は3冊目。

    本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかをー。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう!興奮と感動の演劇ロマン。

    ---引用終了

  • いやいや、恩田陸さん。他のジャンルも好きなんですけどね、芸術系というか「蜜蜂と遠雷」も。本当に好き過ぎる!!情景が浮かび、夢中で読み耽っていましたよ。
    読み始めて二週間くらいでしたけど、すごくいい時間でした。終わってしまうのが悲しかったです。その先!舞台観たかったー!!

  • 読書で知らない世界を体験する→今回は改めてそれを感じました。
    私自身、あまり演劇には縁がありませんが今回のオーディションシーンに臨む女優さんの臨む姿に引き込まれ、この世界に興味ももち始めました。

    このオーディションシーンは【蜂蜜と遠雷】のコンクールのシーンにも通じるものがありますが個人的には今回の方が好きですね。

    主人公の飛鳥にもとても興味深いです。こういう天才の人には憧れがあります。
    彼女が空手で兄から痛みを知らないと強くなれない!これを克服する姿も見てみたいです。
    そういう意味で続編に期待したいですね。

  • 「あなたへのおすすめ」に出てきて、このハイスコアだったので読んでみた。うーん、演劇の話を小説としてここまで掘り下げられるのか、と恩田陸さんの取材力と筆力の両方に驚いた。(自分の演劇鑑賞歴は、学生演劇3回、プロの一人芝居2回、だけなので、業界の重鎮が絡むような大作はまったく未体験)

    2006年の作品なので、当時の業界内位置付けで近そうな人として、以下の脳内イメージで読んだ。(かっこ内が本作での基本描写)

    ・東響子=松たか子(芸能一家、人気・実力とも若手No. 1)
    ・宗像葉月=寺島しのぶ(所謂美人ではないが独自の存在感と高い演技力)
    ・佐々木飛鳥=N/A (天才素人)

    それにしても、エチュードやオーディションの設定が難解過ぎて(金の林檎を奪ってみろ、とか、二人で三人の芝居をやれ、とか、影のブランチ[主役の名前]を演じろ、とか)、演劇業界のひとたちって、本当にこんな無理ゲーに挑戦することがあるのだろうか、と心配になってしまった。

    作中作として登場するサキの「開いた窓」(短篇)とテネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」(戯曲)は、後者は読んだことがないので、近いうちにぜひ読んでみよう。


  • 演劇のオーディションを舞台にした迫真の描写が感動的な小説だ。演劇界のサラブレット東響子(古めかしい名前だ)、それに対するは演劇を始めたばかりという無名の佐々木飛鳥という設定から、すぐにあの「ガラスの仮面」を思い起こしてしまう。しかし、そんな思いは吹っ飛んでしまう程、この小説は面白かった。よくこれだけの臨場感あふれるオーディションの場面を描けたものだ。この二人けでなく、他の女優、脚本家、新進劇団のメンバー、様々な人々の千路に乱れる思いが伝わって来る。演じる人物を分析する、入り込む、それを演じる自分を客観視する、それらをすべて俯瞰する第3の目を持つ。そこに自分の個性も溶かし込んでいかないといけない。そして、舞台の奥にある何かに達する。なんてことだ!
    生きるということは何かを演じていること、そして小説という虚構を作り上げることも作者自身何かを演じることなのだろう。
    こんな文章も心に残った。「ショックを受けて打ちのめされることが、次のステップへの原動力となる。」

    • goya626さん
      breadandbookさんへ
      「ガラスの仮面」はいわゆる伝説の名作です。いいところで中断してしまったので、私も忘れてしまっていたのですが...
      breadandbookさんへ
      「ガラスの仮面」はいわゆる伝説の名作です。いいところで中断してしまったので、私も忘れてしまっていたのですが、十何年かぶりに続編が描かれたという声を何年か前に聞いたのですが、どうなったんだろう。
      2019/12/24
    • shukawabestさん
      僕は、『ガラスの仮面』は読んだことないのですが、この作品の、「オーディションの迫真の描写」は一番の醍醐味で、演者たちの心理を疑似体験できるこ...
      僕は、『ガラスの仮面』は読んだことないのですが、この作品の、「オーディションの迫真の描写」は一番の醍醐味で、演者たちの心理を疑似体験できることがとても楽しかったです。
      僕は恩田陸さん、『夜のピクニック』、10年ほど前に読んで、「たしかに良かったんだけれど・・・」という気持ちでいたので、このレビューも読むきっかけになりました。ありがとうございました。
      2023/02/21
    • goya626さん
      shukawabestさん
      コメントありがとうございます。この本は、恩田陸の小説としてはよく知られているんでしょうかねえ。素晴らしい名作だ...
      shukawabestさん
      コメントありがとうございます。この本は、恩田陸の小説としてはよく知られているんでしょうかねえ。素晴らしい名作だと思いますが。最近は恩田陸さんはご無沙汰してしまっています。
      2023/02/24
  • 演技と演技のぶつかり合いに圧倒される力作。演技の視覚的なイメージが文字で表現されているので、多少の分かりにくさはあったけど、それを差し引いても面白かった。

  •  『蜜蜂と遠雷』以来、5年ぶりに恩田陸さんの作品を読了しました。読了順も含めて遅きに失した感がありますが、本作にとても感銘を受けました。
     オーディションとはいえ、演劇の舞台を実際に観ているライブ感・昂揚感が得られ、一回性の芸術としての演劇の魅力がとてもよく伝わってきます。
     役者、脚本家、プロデューサー等の個性の描き分けが秀逸なので、演技描写と相まって演劇が立体的に浮かび上がってくるようです。読後暫くは、放心したように心地よい余韻に浸っていました。
     主人公の一人・佐々木飛鳥。彼女の空手の型から始まる生い立ちに触れて、芸道の「守・破・離」に通ずると感じました。真似て再現するに留まっていても、壁にぶつかり大成しない典型なのかなと…。
     それにしても、芸術と庶民の私たちを見事に橋渡しをし、楽しませてくれる作家さんには感謝しかありません。
     本作の続編『ダンデライオン』が待たれます。

  • 佐々木飛鳥という人物の動きに目が離せなくなってしまう。
    まるで目の前で本物の芝居をみているかのような、臨場感あふれる文章。
    三人が登場する芝居を二人でやるという難題なオーディション。
    オーディションのシーンだけでこんなにも興奮するのに、彼女たちの演じる本番の芝居はどんなだろうと思うと、鳥肌が立ちます。

    脚本家神谷が、山手線の駅前広場で見かけた、人間の「真似」をする華奢で地味な少女佐々木飛鳥。
    そして、その少女が高校の時に初めて観た芝居に出ていたのが、大女優の東響子。
    さまざまな運命的な出会いが次々と連鎖して、物語がどんどん面白くなっていった。

    劇団「ゼロ」の新垣と巽にも、今後ぜひとも活躍してほしい。
    飛鳥のその後が知りたい。続編があるのでしょうか。ぜひ読んでみたいです。

  • 芝居を始めたばかりの大学生、飛鳥がその才能を見出だされ、自分では望んでもいなかったオーディショに出る。そこで共演した響子の才能に魅せられて、演劇の世界に入ることを決めるストーリー。

    オーディション参加者の演技のシーンは目の前で見ているみたいに引き込まれ、一気に読み進めてしまった。

    実際の役者の世界もこんなにシビアなのかしら?などと思いつつ、飛鳥の今後が気になる。。

  • 多分、蜜蜂と遠雷以来の恩田作品。
    没頭し過ぎて、読んでいる最中は若干鼓動も早くなっている感覚でした。
    相変わらず描かれている表現者がみんな作中で生きている。
    それぞれの立ち位置で苦悩しながらも前を向いている。
    読んでいて涙が止まらなかったです。
    オーディションのシーンでは4人のバックグラウンドやそこからの共演する響子との演技描写、今年の中でも指折りの緊張感でした。
    続編のダンデライオンとチェリーブロッサムが読めるようになれば良いなと心底思います。
    なので、期待込みで星マイナス1です。

  • 恩田陸さんによる演劇のオーディション小説。佐々木飛鳥という演技の天才や、もともと芸能家系である東響子が織りなす物語は、『ガラスの仮面』の世界そのものだった。あとがきによれば、続編『ダンデライオン』、第3部『チェリーブロッサム』の構想があるようだったが、2011年4月時点の情報にもかかわらず、続編が出る気配は現時点ではなさそうであるのが残念。こうした点も今なお未完結の『ガラスの仮面』とよく似てるなと思ってしまった。現実の演劇界に北島マヤや佐々木飛鳥のような「天才」がいるのかは分からない。だが、オーディションでの脚本のあらすじ、それを候補者が演じる様子を描いた話にとても引き込まれた。

  • お芝居は観たことがないし、あまり興味はなかったけれど、面白い本でした。オーディションの内容が主で、驚くような展開はないものの、登場人物の心情が繊細に書かれています。読んでいて、いつのまにか主人公の響子に入り込んでいて、最後は涙してしまいました。この涙は感動とは違うもの…。自分も響子と一緒に戦っていたのだと気づきました。流石、恩田陸作品です。

  • 別世界の扉が開かれたような。昨年『蜜蜂と遠雷』を読んだときに感じた、物語を読んでいるうちに、とんでもないところに引きずり込まれた感覚。それを思い出しました。

    芸能一家に生まれ、人気・演技力とも若手トップクラスの女優の響子。公園で練習していた学生劇団の前に、突然現われ入団させてほしい、と頼み込む芝居初心者の飛鳥。二人を中心に物語が展開していきます。

    響子の章では、プロの女優の様々な内面が描かれます。同じ舞台に立つ女優へのライバル意識。勝利を収める誇らしい気持ちもあれば、追い抜かれ蹴落とされる、悔しさ、苦さ、敗北感。その凄まじいまでの内面描写の迫力たるや……

    そしてもう一人の主人公飛鳥。彼女の初舞台のシーンもスゴいを通り越して、末恐ろしく感じます。彼女の底知れない才能と、場の空気を変えてしまう閃きとセンス。
    舞台のシーンなのに、まるで一級品のホラーを読んでいるような不気味さに襲われる。恩田陸さんの筆力と、飛鳥の底知れないキャラクターが相乗効果を生み、ジャンルの壁、小説と舞台の壁を越えたような物語が現出します。

    そして物語は伝説のプロデューサー、芹沢が開く異色のオーディションの移っていく。表紙裏のあらすじを読んでいると、ここで響子と飛鳥が対決するのか、と思っていたのですが、物語は意外な展開へ……

    この場面の響子の描写はスゴかった。先にも書いたように悔しさや敗北感の描写もスゴいのだけど、それを越えてくる演技への情熱の描写がまた熱い! ここまで人をのめり込ませるものがあるのかと。そして、そこまでのめり込んでいる人の内面を描けるものなのかと、二重の衝撃を受けたような気がします。

    オーディションの場面も面白い。響子や飛鳥以外にも、三人の女優がオーディションを受けている場面が描かれるのだけど、それぞれが異色のオーディションに対しどのように挑むか。それぞれの個性を出しつつ、オーディションの様子を描き分ける。その技量も凄まじいです。

    そして物語も最終局面に。響子、飛鳥。二人は読者を別世界へ連れて行きます。

    ここに関しては、自分の語彙力が追いつかない……。ここに到るまでのオーディションの様子だけでも相当スゴいのに、それをさらに越えて、見たことのない世界へと引きずり込まれる。圧倒されたとか、驚愕したとか、どんな言葉であっても、その世界への衝撃は言い表せない。

    そして読み終えてみると、この別世界を表現するために、相当キャラクターや感情描写も、選び抜かれ描かれていたのだと分かります。

    響子の演技への渇望と激情。まだ見ぬ高みへ触れた感覚、この描写も素晴らしいし、別世界への入り口に必要なもの。

    そして飛鳥の生い立ちが語られる場面や内面が語られる場面も、思い返せば返すほど、別世界へは必要だったものだと感じます。

    普通の女優とはまったく違う価値観、動機から演技に興味を持った飛鳥。一見理解出来ない言動を、外から描くだけでなく内面からも描く。それだけでも相当スゴいのですが、その内面描写があったからこそ、クライマックスの別世界へのカギとなる。

    二人のまったくタイプの違う天才が合わさったからこそ、見えた別世界。そしてそこに到るまでの過程も、完璧という言葉しか見当たらない。

    自分みたいな凡人には、きっと一生見ることができなかったであろう世界。恩田さんは『蜜蜂と遠雷』。そしてこの『チョコレートコスモス』と、二度に渡ってその世界へ連れて行ってくれたように感じます。

    演技や芝居の凄さももちろんですが、小説の凄さ、小説家の底知れ無さも、この作品で改めて感じました。

  • 小説なんだけど、何か違う物語や違う視点で話を読んでるみたいな、不思議な感覚になる。

    「そろそろこの辺りで、佐々木飛鳥なる少女が一体どんな人間なのか、彼女側から語っておく必要があるだろう。」

    ナレーションのような説明が小説に入る事はあるけど、読書に語りかける説明を小説で読んだのは初めてかも。

    また、役者の話だから小説の中で役者が演じる違う物語が出てくる。これを演じてる場面や心情を丁寧に説明してわかりやすい文章で読者を引き込む。

    最後は小説を読んだような芝居を見終わったような不思議な感覚になる、すごい小説!

  • 文庫本を図書館から借りてきて、あまりの分厚さと1週間で返さなければならないプレッシャーで初めは読むのを躊躇してしまっていました。でも1度読み始めたら面白すぎて止まらず、続きが気になり夢中になって最後まで読んでしまいました。

    役者とか演技のことは全く分からないけれど、天才ってきっといるんだろうなってこの本を読んで思いました。そして俳優ってすごい職業だと改めて思いました。また演出家や作家など普段は見ることの出来ない色んな職業のことを知れて良かった。
    実際に舞台やミュージカルを観てみて、俳優さんの演技を生で感じ、感動を味わってみたくなりました。

    恩田陸さんの作品は初めて読んだのですが、まるでその場にいるかの様な臨場感を味わえる素晴らしい文章ですね。そして素人の私でも、この人すごい天才だって思うような登場人物達も魅力的でした。他の作品も読んでみよう!

  • 蜜蜂と遠雷が楽しくて、次に手にしたのがこの一冊。目の前に飛鳥の世界が広がり、ワクワクしながら一気に読んだ。恩田陸さんが好きになり苦手だった本を読むことが好きになった。本って素晴らしい。

  • なんか私、すごいものをみたきがする、、、、。
    読了後すぐに感想をかけるような物語ではない。
    演劇の世界に圧倒され続けた。

  • 恩田陸さんの小説は、蜜蜂と遠雷に続き2冊目でした。
    やはり恩田さんは大御所小説家さんだなと改めてひしひし感じる一冊でした。
    何というか、ある人物像やひとつの事柄、ひとつの出来事を、複数の登場人物の視点で描く際に、その緩急がとても上手な方だと感じました。
    特に今回のような、お芝居/演劇を扱うとなると、芝居の場面か否か・それを男性か女性から見るかで、読み手側は一気に緊張したり弛緩したりの繰り返しで、本当に劇を観たと感じられるほどリアルな物語でした。
    文体としても改行もとても多くてあっという間に読むことができました。
    どうやら続編を今か今かとずっと待ち続けていらっしゃる方々が大勢いると、SNSをみて知りました。
    恩田さんは次はspring、夜のピクニックを、読みたいです。

  • 読み進めるうち、漫画「ガラスの仮面」のかおりがする....と思っていたら、あとがきで恩田さん自身がそれについて言及してらっしゃった。
    オーディションの場面なんか読む手を止められないほどの臨場感。もしこれが漫画なら、ストーリーはもちろんのこと視覚的に映像として見えるから、状況把握もキャラクターへの感情移入もしやすくなるけれど、文章だけで、映像以上の感情を読者に与える恩田さんはすごい!

    そういえば「蜜蜂と遠雷」のときも、同じことを思ったなあ。実際原作を読んだ後の映画より、原作の方が迫力ある音楽が聴こえる気がした。

    続編いつ出るのか分からないそうですが、いつまでも待ってますー!

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著者プロフィール

恩田 陸(おんだ・りく):1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『spring』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』『夜明けの花園』『珈琲怪談』『酒亭DARKNESS』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。

「2025年 『spring another season』 で使われていた紹介文から引用しています。」

恩田陸の作品

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