鳥人計画 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043718016

作品紹介・あらすじ

「鳥人」として名を馳せ、日本ジャンプ界を担うエース・楡井が毒殺された。捜査が難航する中、警察に届いた一通の手紙。それは楡井のコーチ・峰岸が犯人であることを告げる「密告状」だった。警察に逮捕された峰岸は、留置場の中で推理する。「計画は完璧だった。警察は完全に欺いたつもりだったのに。俺を密告したのは誰なんだ?」警察の捜査と峰岸の推理が進むうちに、恐るべき「計画」の存在が浮かび上がる…。精緻極まる伏線、二転三転する物語。犯人が「密告者=探偵」を推理する、東野ミステリの傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 日本ジャンプ界期待のホープが殺された。
    ほどなく犯人は彼のコーチであることが判明。
    一体、彼がどうして? 一見単純に見えた殺人事件の背後に隠された、驚くべき「計画」 とは!?


    いつも読み終わった本は、親戚の叔母に回し、その後私の母に回り、また私に戻ってくる。
    母親が、「東野圭吾」って面白いねと言ったので、回してあげようと思い、
    自分が読んでいない作品を古本屋で探してみた。

    ほとんどの作品は、既に読み終わっていた為、なかなか未読のものが見つからなかったが、
    この作品は読んだことが無かった。

    かなり古い作品だが、この頃から東野先生の本は読み易く、頭の中に情景が描きやすい。

    フーダニット作品かと思って読み始めたら、いきなり犯人の告白が(笑)
    あら、これはホワイダニット!?

    しかし、そんな単純なものではなかった(笑)
    最期の20~30ページで思いもよらない方へ話は進んでいく。

    ↑あ、誇張しすぎました。
    絶対この人何かあるとは最初の最初から思ってましたwww

    それなりに楽しく、スイスイと読ませていただいた一冊(*^-^*)

  • 鳥人計画 東野圭吾著

    1.購読動機
    東野圭吾さんの小説は、読み終えたあと、納得感や清々しさを感じることが多いです。
    タイトルの意図、もちろん内容も、事前情報がないまま、読了しました。
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    2.主人公とあらすじ
    鳥人計画。
    それは、スキージャンパーを鳥のごとく、いかに長く、遠くまで飛ばせるか?の意味です。
    主人公は、天才肌の若さエースジャンパー。
    部員は彼ひとり、コーチもひとりの零細事業団です。
    時代は、V字ジャンプが生まれる前です。

    この天才スキージャンパーが毒殺される形で物語が始まります。
    ------------
    3.読み応え
    ①天才と努力型の人間の対比。
    ②経験ベースと科学ベースでのスキルチェンジの対比。
    ③コーチと選手の関係。人間関係と従属関係での対比。
    ④大企業事業団と中小事業団の違い。

    これらを対比しながら、事件の動機、なぜ?が描かれていきます。

    そして、見所は、ジャンプの分析図。
    東野圭吾さんは、巻末に、ジャンプのプロからの情報を元に展開との記載あります。
    その内容が、至るところに散見できます。
    湯川さんシリーズを彷彿させる展開です。
    ------------
    4.教師データとその生かし方
    選手が能力を伸ばすには、定量的な分析のもとでのトレーニングが必要です。
    そのためには、教師データ、お手本となるデータ数が多いことが有利となります。

    執筆された時代は1989年。
    AIなる言語も一般ではなかったはずです。
    その時代に、すでに「教師データ」の言葉を引用しながら、ミステリーを生み出す東野圭吾さん。

    改めて、東野圭吾さんワールドの凄みを感じました。

  • 東野圭吾さんらしく、理系用語が混じりながらも飽きさせず、グイグイ引き込まれながら最後まで読むことができた。世界の頂に立つために多くの事を犠牲にしょうとする杉江やそれに歪んだ嫉妬心をおぼえ、殺人事件まで起こしてしまう峰岸など多くの登場人物の感情がとても生々しいものに感じた。
    人知を超えた領域の科学に手を出したことで多くの犠牲者や悲劇を生んでしまうところが、翼を持ったイカロスが太陽に近づきすぎたことで地上に堕落してしまうというところがとても皮肉だと思った。そして最後には機械に依存した人間よりも苦悩し、努力した人間が報われるラストでとても気持ち良かったなぁ。

  • 油がのってる時の東野圭吾。

    理系の書くサスペンスの面白さを感じる。

  • 中盤で犯人が判明と思いきや、最後にしっかりと意外性がありました。東野圭吾作品ではマイナーな本作ですがとても面白かったです。
    科学でスポーツの限界に挑むことは間違っているのでしょうか。倫理観と意欲のせめぎ合いですね。この観点も面白かったです。

  • ちょっと久々の東野圭吾。
    故郷に帰ってきたかのような安定感。

    東野圭吾作品はやはり登場人物に良さがある。
    この良さをどう表現すれば良いか分からないが、
    親近感といったところか。「本の中の人」ではなく、
    「現実の人」としてイメージして読むことができる。
    これは意外と難しいのではと思う。
    原田マハとかは少し役者っぽい気がするし、
    辻村美月とかは漫画っぽいし…(好みの問題かと)

    題名が鳥人計画で、
    鳥人というと笑い飯が真っ先に浮かぶ。
    なので勝手に面白い系かと思っていたが、ガンガンの
    スポーツ小説だった、そりゃそうか

    本作品では、スキージャンプの選手が題材。
    会社員ではなくスポーツ選手だったら…と別の人生を
    想起できるのがスポーツ小説の醍醐味であると勝手に
    思っている。スキージャンプというあまり想像も
    できない世界へ導いてくれてありがとう
    年間のほとんどが合宿生活というところに、特別感を感じた。安直すぎるがそんな生活もいいなと思った

  • 楡井が切ない。切なすぎる。天才がゆえに。
    スキージャンプを題材に技術的観点からデータや装置が次々と登場するところが東野圭吾さんらしく感じました。例え理科系ではなくてもわかりやすく頭に入ってくるところが魅力的です。

  • 鳥人計画、最後わりとさらりだったな。

  • 楡井選手が印象的。

  • ガリレオ以外の東野圭吾は久しぶり。

    東野圭吾は、

    構成はすごいと思っても、

    心理描写が浅いものが多い気がして、

    あまりハマりませんでしたが、

    その点この本は秀逸。

    各人の心理の流れが自然で共感しやすく、

    それが様々に絡み合っていくことで、

    複雑な事件が構成されるという作りです。

    真剣にスポーツに取り組む人たちの感情もよかったです。

    恋愛感情とか湿っぽい感情よりこういう方が得意ということなのでしょうか。

    被害者である変人の楡井も、

    比較的常識人である峰岸も、

    それを取り巻く人たちも、

    それぞれの異なった苦悩がよく伝わってきました。

    特に楡井のようなタイプの描写は難しいと思いますが、

    すごく自然に書かれています。

    アリバイトリックは、文章だけだとちょっと分かりにくいかな?

    でも図解するほど複雑な話でもないか。

    そこがメインでは無いから別にいいか。という感じ。

    早い段階で犯人が明かされるので、

    犯人当てがメインではないわけです。

    密告者は誰か、誰がどうやって真相を見抜いたのか…というのが謎解きのメインになります。

    最後になって、

    少しずつ真の真相が明かされていくのは、

    さすが東野圭吾!!です。

    一番最初のエピソードは、

    事件にとってすごく重要な意味があるというわけではないけど、

    あれがあることにより、物語に厚みが出た感じがしました。

    あと、この作品が、

    今より全然コンピュータが発達してなかった89年に書かれたということが驚き。

    現代に書かれていたとしても全然不思議ではありません。

    さすが理系出身。











    ----------------ここからネタバレ----------------------











    最後に翔が人間味を少しだけ取り戻したというのも良かった。

    夕子は、泰介がジャンプ界から手を引く事を条件に、

    自首しないことになったのかな…

    夕子を真犯人にするんだったら、

    もう少し杉江家の内部の対立の様子を詳しく書いておいて欲しかったかな。

    意外性があって面白かったけど、

    ちょっと唐突な気がして。

    楡井がすぐに峰岸が犯人と分かったり、

    夕子が可愛がっていた犬で実験したというのが、

    あまり楡井らしくなくて不思議ではある。

    難しいこと考えてなさそうなキャラだったし。

    後日談として、

    峰岸がどうなったのか知りたかった。

  • 約30年前に書かれた東野圭吾の小説。
    なんとなく、題名が好きになれなくて今まで読んでいなかった作品。

    札幌が舞台で、題材はスキージャンプ。
    初期の東野圭吾らしく、科学を駆使してスキージャンプの覇者になろうというのが、本作のメインテーマ。
    まさしく、題名にあるとおり鳥人計画。

    まだパソコンも普及していなかった時代にこれだけのものを書いたというのはさすが東野圭吾。

    そして、本作は早々に真犯人が判明する。
    真犯人を警察に密告したのは誰か?真の殺害方法は?そして犯人の動機は?
    これらの謎に迫るのが本作のストーリー。

    最終的に、どんでん返しが待っており、ミステリーとしてもかなり面白く読めた。

  • 科学が登場してからの、それに対する人間の想いがおもしろかった。

  •  スキージャンプ系はやはり冬のうちに読んでおきたいと思い再読。東野氏のウィンタースポーツミステリの中では1番好きな作品。単なる倒叙ものに留まらず、ホワイダニットに密告者の真相も二重に仕込まれていて読者を飽きさせない。スポーツをまったくやらない上に観戦もしないので、動機があり得る範囲なのかはわからなかった。子どもに自分の夢を託す親は、やはり始末が悪いの極地。

  • 犯人はかなり序盤に捕まり、そこからの展開があるがそこはある程度面白いくらいだった。そのまま終盤まで大きなものはなくそれで終わると思ったが、残り数ページでどんでん返しとまでは言わないが大きな展開があり結果としては結構面白かった。

  • この作品、平成元年の作品だったんですね。
    たぶん今の技術なら可能なような気がします。
    この作品に描かれたような非人道的なトレーニングといのも現実的にあるのかもしれないなと想像しました。

  • 【1行ネタばれ感想】





    どうせ狙うなら泰介やろ!

  • 逮捕された犯人が密告者を推理するというちょっと変わった趣向に興味を惹かれます。
    題材となるスキージャンプの知識は無くても、競技にかける思いや勝負の駆け引きなどの描写には引き込まれました。
    また、スポーツと科学の関係性について考えさせられるところもあり、ミステリ以外の部分でも読み応えを感じる作品でした。

  • 東野圭吾はどの作品も私にとっていまいちなんだよなぁ。

  • 久々の東野さん。
    どんなジャンルでも緻密で勉強家な作家さんという印象。

    スキージャンプを題材に、殺人事件が起きるという話。
    相変わらず最後は一筋縄ではいかないなーと思いました。
    楡井さんはみんなからの証言でしか人間性が分からないけど、印象に残ったし、天才的な人のオーラを感じました!
    タイトルの「鳥人」だが、どうしても「トリジン」と読んでしまう(笑)
    星は3.5。

  • 読み初めはスキージャンプに詳しくないため
    難しいと感じるが、読み進めて行くとグイグイ
    引き込まれる。

    読み終えた後の何ともせつない感じが
    残るのもまたこの本の一つの魅力だと
    感じる。

    ちなみにこの本が上梓された約10年後に
    長野オリンピックでのジャンプ団体優勝が
    起きることも偶然とはいえ感慨深い。

  • 面白かった。最後の20ページで真相が明らかになるのすごい。

  • さすが東野圭吾、スラスラと読めて面白かったです。
    登場人物がほぼ男性でスキー部の人々だったので、誰か分からなくなりがちで話にのめり込めなかったのが残念です。

  • 読みやすかったけど、好みが違かったので星3です。でも面白いには変わりないです!

  • 結局面白くてサクサク読めてしまうのが良い東野圭吾。

    スキージャンプに馴染みがなく頭の中で想像するのが難しい場面もあったが、徐々に真実が判明していく展開が面白かった。

    笑い飯が好きだからずっととりじん計画って読んでた。

  • 読みやすい。
    競技のこと知らんくても楽しめるストーリー。

  • 一人ひとりの優しさや人間らしさが絡まると不幸が起きる。東野圭吾らしい事件だなという印象。

  • 最後でパタパタっと謎解きが進んだり、ウィンタースポーツへの愛情だったり、東野圭吾を堪能できた。

    最初から犯人がわかっていて(あらすじにすら書いてる)、動機を探る中で周囲の人々を描写するタイプのミステリー。
    視点が変わっても違和感なくすいすい読める。

    20年以上前のスキージャンプ(当時はまだV字の黎明期直前)、リアルタイム少し前の時代だけど、楽しく読めた。

  • 駅施設内交換本。

  • スキージャンプというスポーツの中ではマイナーな競技が題材となっている
    楡井が可哀想だった
    犯人がわかったうえで物語は進んで行くが、やっぱり東野圭吾だな、、と最後は思った

  • 序盤から、読者にも警察にも犯人が分かった状態で進行していくミステリという形が斬新だった。
    犯人と警察の両方向から推理していくのもおもしろい。でも、それだけ。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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