さまよう刃 (角川文庫)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.76
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本棚登録 : 17993
レビュー : 1692
  • Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043718061

作品紹介・あらすじ

長峰重樹の娘、絵摩の死体が荒川の下流で発見される。犯人を告げる一本の密告電話が長峰の元に入った。それを聞いた長峰は半信半疑のまま、娘の復讐に動き出す――。遺族の復讐と少年犯罪をテーマにした問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 長峰の一人娘・絵摩の死体が荒川から発見された。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躙された末の遺棄だった。謎の密告電話によって犯人を知った長峰は、突き動かされるように娘の復讐に乗り出した。犯人の一人を殺害し、さらに逃走する父親を、警察とマスコミが追う。正義とは何か。誰が犯人を裁くのか。世論を巻き込み、事件は予想外の結末を迎える…。重く哀しいテーマに挑んだ、心を揺さぶる傑作長編。

  • 話の内容はかなり重い。
    今まで読んだ東野圭吾さんの本の中で、一番重くて読むのが辛かった。

    耐えきれないくらい辛いシーンの連続で、途中で読むのをやめようか
    と思ったほど。

    しかし、この小説はぜひたくさんの人に読んでもらいたい。

  • 2017/3/2 No.8
    考えさせられるテーマ。少年法とは?法律は誰のためのもの?被害者の気持ちはどこに向かえば良い?当たり前の日常が当たり前でなくなり、復讐に向けた人の心の動き、声高に正論とはとても呼べないが、誰もが感じるであろう感覚。いち、1人の人生とは何か、命の重みと、それを支える不完全な法律に、疑問を投げかけた素晴らしい作品。

  • 少年犯罪の問題。娘を強姦されて殺された父が長野に逃げた犯人を追う。 さまよう刃とは少年法が持つ保護の強さは本当に正しいのかということを問うための比喩。描写の臨場感が溢れていて面白かった。犯人を追い詰めていく様子、ペンションの女性との関わりなど、が印象に残った。

  • さまようって言葉、小学生のときに初めて知って、底知れぬ恐怖を感じた。
    たぶんドラクエの敵キャラの名前にそんなのがついてたんだと思う。
    「迷う」は怖くなかったのに、「さ」がついただけでこの世の未知がぽっかり穴をあけて足元をすくおうとしてるような気になり、それに抗えず途方に暮れていた。
    まあ、彷徨うと迷うは違うんだけど、子供心に「一文字ついただけで、めちゃくちゃ怖い」って感じた。

    500ページくらいのボリューム、分厚いなぁ…何日費やすかな?なんてのんきに構えてたら、休日を丸一日使って読み切ってしまった。
    時折しおりをはさみ、食事したりスマホ触ったりしてたけど、こんなに集中して読めたのは久々。

    妻を亡くした男性が、宝物同然だった一人娘を未成年の犯罪で亡くし、人生を大きく狂わせ、自滅していく話。

    そう!自滅なの。破滅でもいいや。
    それも本人にしたら最悪の、たぶん想定外だったかたちで。
    報われなさすぎる。

    少年法とは?更生とは?警察とは?
    多くの疑問符を投げつけてくる作品。
    読んだ後は疑問符がこびりついて離れず、何度か感情を揺さぶられ泣いたことも忘れ、私はまた「さまよう」という響きで途方に暮れた。

    私個人は、長峰には生きてほしかった。
    カイジには死んでほしかった。
    とはいえ、どんな結末でも満点にはできなかっただろう。
    この手の物語には、誰しもが納得する終わり方なんてきっとないんだ。

    自首をして、罪を償いながら娘の供養をするという最善の道、生き抜く大きなチャンス。
    それを奪ったのが誠ではなく、警察側の密告っていうのに震えた。
    途中で違和感に気づくも、最初からずっとミスリードされてた!
    悔しい。

    ていうか誠、最後まで腹立たしかった。
    父親も最悪だ。この親にしてこの子あり、と作中に出てくるように、何となくどの加害者の親もそこそこのクズに見えた。
    最たるものが誠の父親だけど。

    長峰の命を奪ったのが刑法でもカイジでもなく、一介の刑事で、しかも織部というあたりにもえぐさを感じた。
    彼の心境は多くの読者を共感させていたと思うから。

    冒頭からクライマックス付近まで、長峰や、または彼を擁護する者の視点で語られていた。
    だからこそカイジや和佳子の目前で、長峰が警察の手により射殺されるシーンは、油断したとしか言いようがない。
    残りページが少なくなるにつれ、結末が読めなくなり、突然投げ出された気持ちになった。
    読み終えて反芻してみても、やはりいたたまれない。

    さまよう刃というのは、何なのだろうと最初からずっと考えていた。
    たとえばカイジのような残酷で卑劣で、それでいて結局「子供」の化物たち。
    被害者の身内の「できることなら自分の手で殺してやりたい」という気持ち。
    法治国家のやるせなさにどうにか立ち向かおうとする一部の刑事であった、というのが最終的にしっくりくるんだけど、刃は刃。
    信念を貫くため、守るためのものではなかったという読後の脱力感。

    やっぱりゆるせないのは、更生の見込みがないクソガキとかいうレベルじゃない、胸糞悪いカイジが生き延びてしまったこと。
    そして相変わらず生ぬるい少年法とかいうやつに護られてしまうであろうこと。

    東野圭吾さんで言うなら「容疑者Xの献身」の結末くらい、読後の突き放され感と虚無感がキツかった。
    限りなく5に近い4。他の方のレビューを拝読して何度もかみしめてみよう。

  • 少年法については重い。
    少年法に限らず、なぜ加害者は守られ、被害者はプライバシーもすべて流出してしまうのか常々疑問。
    少年犯罪で子供を亡くした親による復讐劇は、いくつか読んだけども、どれもいたたまれない。

    この話も東野さんにしては荒唐無稽ぶりが少なくて、社会派小説として面白かった。
    とはいえ、一般人の和佳子が縁もゆかりもなく、そのうえ、これから娘の復習を遂げようとする長峰をここまで守るだろうか。
    和佳子の娘も事故死ではなく殺されてしまったのかとも思ったけど、そういうわけでもなさそうだし・・・。
    あと密告電話も、犯人の仲間ではなく、警察官がかけていたのではという含みも・・・むむむ。

  • とにかく内容が重く、読んでいてとても辛く苦しくなるお話です。1つの事件とそこから起こる更なる事件を、複数の登場人物の視点から見て、それぞれの考えに触れられるので、とても物語に感情移入しやすいです。その分、1人の人間として自分はどう思ったか、どんな答えを出すのか、ということを真に突きつけられ考えさせられました。

  • 東野さんはエンターテイメント的なおもしろい話とかも、うまいなと思うけど、こういう重いテーマの泣ける話もやっぱりうまいですね。
    読みやすくて続きも気になるから一気読みしました。
    嫌なシーンでは顔をしかめながら、泣けるシーンでは思わず目が潤みながら読んでました。

    少年犯罪に関しては、被害者遺族側からしたら、少年法がおかしいと思うのも当然だと思いました。
    ただ、作中でも言われてたんですが、自分が事件に関わってないという人にとってはそういうことを考えることもないというのもその通りだと思いました。
    事実私もおそらく私の周りの人も深く考えてないです。
    でももしこれが事件の被害者だったらと考えると、少年法を非難せざるを得ないんじゃないかと思います。
    加害者のことを考えるのも大切だけど、この事件のように被害者に非がない場合はそれよりも被害者のことをもっと考えてほしいなということを考えながら読みました。
    ラストは哀しいけれども、納得というか、良い終わり方だと思いました。

    それにしても、私も一応年頃の女として、こんな事件には巻き込まれたくないです。
    こんな事件で人生めちゃくちゃにさせられたらもう…。
    考えただけでも恐ろしいです。

  • 二重にも三重にもやりきれない話だった。
    視点が多くて把握が少し大変だけど
    それぞれの展開が気になるような巧みな書き方で一気に読めた。
    本当にやりきれない話だけど読み物としてはよくできていると思う。

  • 復讐のために一人の人生が壊れていく様は小説ならではの感動がありました。シリアスな場面にほんろうされる良作です。

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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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