- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043718061
感想・レビュー・書評
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2018021
娘をふたりの少年に殺されたことを知った父親の長峰は猟銃を取り復讐を誓う。
少年法の存在する意義や被害者の家族のケアなど、時間が経った今でも考えさせられる事ばかりでした。誰の為の法律なのか、社会的な存在意義よりも視聴率を優先するメディア。発売から10年以上経過した今も何一つ解決していない気がしました。
社会的には駄目な行為でも、ひと道理に照らせば復讐と言う行為は正当に見えてしまう。法律は万能ではないと分かっていても、やりきれなさが残りました。 -
2017/3/2 No.8
考えさせられるテーマ。少年法とは?法律は誰のためのもの?被害者の気持ちはどこに向かえば良い?当たり前の日常が当たり前でなくなり、復讐に向けた人の心の動き、声高に正論とはとても呼べないが、誰もが感じるであろう感覚。いち、1人の人生とは何か、命の重みと、それを支える不完全な法律に、疑問を投げかけた素晴らしい作品。 -
少年犯罪の問題。娘を強姦されて殺された父が長野に逃げた犯人を追う。 さまよう刃とは少年法が持つ保護の強さは本当に正しいのかということを問うための比喩。描写の臨場感が溢れていて面白かった。犯人を追い詰めていく様子、ペンションの女性との関わりなど、が印象に残った。
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少年法については重い。
少年法に限らず、なぜ加害者は守られ、被害者はプライバシーもすべて流出してしまうのか常々疑問。
少年犯罪で子供を亡くした親による復讐劇は、いくつか読んだけども、どれもいたたまれない。
この話も東野さんにしては荒唐無稽ぶりが少なくて、社会派小説として面白かった。
とはいえ、一般人の和佳子が縁もゆかりもなく、そのうえ、これから娘の復習を遂げようとする長峰をここまで守るだろうか。
和佳子の娘も事故死ではなく殺されてしまったのかとも思ったけど、そういうわけでもなさそうだし・・・。
あと密告電話も、犯人の仲間ではなく、警察官がかけていたのではという含みも・・・むむむ。 -
とにかく内容が重く、読んでいてとても辛く苦しくなるお話です。1つの事件とそこから起こる更なる事件を、複数の登場人物の視点から見て、それぞれの考えに触れられるので、とても物語に感情移入しやすいです。その分、1人の人間として自分はどう思ったか、どんな答えを出すのか、ということを真に突きつけられ考えさせられました。
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東野さんはエンターテイメント的なおもしろい話とかも、うまいなと思うけど、こういう重いテーマの泣ける話もやっぱりうまいですね。
読みやすくて続きも気になるから一気読みしました。
嫌なシーンでは顔をしかめながら、泣けるシーンでは思わず目が潤みながら読んでました。
少年犯罪に関しては、被害者遺族側からしたら、少年法がおかしいと思うのも当然だと思いました。
ただ、作中でも言われてたんですが、自分が事件に関わってないという人にとってはそういうことを考えることもないというのもその通りだと思いました。
事実私もおそらく私の周りの人も深く考えてないです。
でももしこれが事件の被害者だったらと考えると、少年法を非難せざるを得ないんじゃないかと思います。
加害者のことを考えるのも大切だけど、この事件のように被害者に非がない場合はそれよりも被害者のことをもっと考えてほしいなということを考えながら読みました。
ラストは哀しいけれども、納得というか、良い終わり方だと思いました。
それにしても、私も一応年頃の女として、こんな事件には巻き込まれたくないです。
こんな事件で人生めちゃくちゃにさせられたらもう…。
考えただけでも恐ろしいです。 -
父親のやりきれなさがガンガン伝わってきて、悲しいお話です。
「正義とは」「法とは」を考えずにはいられません。
つらいお話ですが、決定的な部分は暗示するような手法で、少し救われます。
筆致が軽く、読みやすいです。内容が重いだけに助かりました。 -
二重にも三重にもやりきれない話だった。
視点が多くて把握が少し大変だけど
それぞれの展開が気になるような巧みな書き方で一気に読めた。
本当にやりきれない話だけど読み物としてはよくできていると思う。