一瞬の光 (角川文庫)

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  • 角川書店 (2003年8月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784043720019

作品紹介・あらすじ

38歳の若さで日本を代表する企業の人事課長に抜擢されたエリートサラリーマンと、暗い過去を背負う短大生。二人が出会って生まれた刹那的な非日常世界を描いた感動の物語。直木賞作家、鮮烈のデビュー作。

みんなの感想まとめ

テーマは、エリートサラリーマンと暗い過去を持つ短大生の出会いによって生まれる感動的な物語です。主人公は、香折との交流を通じて自分の存在意義を見つめ直し、彼女の抱えるトラウマや苦悩に深く感情移入します。...

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は一人の短大生と出会う。香折は母親と兄から言われ無きイジメを受けてきた。そのトラウマ故に、精神を病む。そして、その後の兄の暴力で寝たきりになった。主人公は「これからはずっと二人で、絶対、離れ離れにならずに生きていこう。」と。重い一言に感動。

  • 著者、白石一文さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    白石 一文(しらいし かずふみ、1958年8月27日 - )は、日本の小説家。父は直木賞作家の白石一郎。双子の弟は小説家の白石文郎。2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞。初の親子二代での受賞となった。

    本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    三十八歳という若さで日本を代表する企業の人事課長に抜擢されたエリート・橋田浩介。彼は、男に絡まれていたところを助けたことがきっかけで、短大生・中平香折と知り合う。社内での派閥抗争に翻弄されるなか、橋田にとって彼女の存在は日増しに大きくなっていった。橋田は、香折との交流を通じて、これまでの自分の存在意義に疑問を感じ、本当に大切なことを見いだしていくのだった…。-混沌とした現代社会の中で真に必要とされるものは何かを問う、新たなる物語。各紙誌書評で絶賛と感動の声を集めた気鋭のデビュー作、待望の文庫化。

  • メルカリの小説おまとめセットに入ってた作品。
    初めましての作者様。

    しっかりずっしり600ページ弱。
    だが、そんな大容量を感じさせず没頭できる作品。
    ここのところ連続でそんな良作にあたってる。

    先が気になるストーリーでグイグイ進むし、感情移入もしっかりどっぷり。
    あっという間に読了。

    あとから作品紹介見る派なんだが、
    そこに書いてある内容からは考えられないくらい香折がしんどすぎて、感情揺さぶられまくった。

    いや、これデビュー作なのかよ。

    終盤の展開もヤバすぎて…。
    想像してたラストとも違うし、
    ハッピーエンドといえばハッピーエンド…なのか?
    なんとも野島伸司感が漂う。

    ただちょっと1点だけ。
    刊行が2003年なので、時代背景や思想に多少の違和感があるのよね。
    こればっかりはしょうがないんだが、
    どちらかというと、『当時読んでたらもっと凄い作品だったんだろうな』っていう悔しさがでかくて…。

    ってことで、他の作品も読んでみようと思います。

    有意義な読書タイムをありがとうございました
    この読後感を噛み締めつつ

    えちえちシーンも少しあり、それがなかなか濃厚。
    このタイミングで誰かに覗き見されると、変な本読んでると思われるから、結構ソワソワした。

  • 大手企業の出世頭として嘱望されていた橋田浩介は、派閥抗争に破れた。それはトップに君臨して会社を牽引していた人物の裏切りだった。
    彼の手腕を認めた反対派の誘いがあったが、彼はそれまでの闘志も意欲も失ってしまっていた。

    面接官として出会いバーで二度目の出会いをした香折が、男に絡まれていたのを助けたことでかかわりが出来る。

    辞表を出した後も、複雑な生い立ちをした香折が気にかかり、何かと面倒を見る羽目になる。

    浩介には上司の縁続きの女として完璧な彼女、瑠衣がいた。人が振り返る美しさと聡明さを持ち絶品の料理まで作る。ひたすら愛し続けてくれるが、孤独で人生をすでに投げたような香折が常に気になっていた。

    彼は、辞表を出した後でも、理想的な家庭を築けそうな瑠衣との人生を選べば、浩介に着いてくると瑠衣はいっていた。
    瑠衣は純粋な愛情を浩介にぶつけてくる。

    対岸には親と兄からDVをうけ続け、欝に悩み、今でもおびえて暮らす香折が常に心にある、女として愛しているのではない、瑠衣を置いてでも香折には手を差し伸べねばと男の本能が言う。

    エリートとして嘱望された地位が揺らぎ、会社経営の暗部を見てしまった、確かに社会組織にいると明るい面は少ない、彼はそれを順調な波に乗って、是として飲み込んできたが、わが身に及んだ深い人間不信の感情は、拠って立ってきた大きな柱を微塵に砕くものだった。

    生活はそう純粋な温室で育つようなものではない、濁った水に揉まれていると、澄んだ流れに出会うこともあるし、会わないこともある。そんな典型的な話だった。

    読者としては単純に、孤独な戦いをしてきた浩介には、瑠衣という贈り物をささげたくなる。
    一方香折は兄に襲われ人事不省から回復しても意識がいつ戻るかわからない。
    非の打ち所のない瑠衣と傷だらけの香折、どちらに寄り添って生きるか。

    これは、一人の男の決別と出会いを書いた、白石という作家が初めて世に出た作品だった。

    社内の抗争、政治がらみで経営の深部までの話は浩介の立場を現すものだろうが、絵のような出来事にはもう驚かない。

    白石さんの作品はこれまで読んでなかったが、読みやすくあっけなかった。
    都会のサラリーマン、それも野心も実力もあるという主人公の挫折は少し綺麗すぎるが、これも作家の持ち味なのだろう。浩介の決断に作者の書く姿勢が見える。

  • 知り合いが紹介してくれたので、それなら読んでみるかなと初読み。読み始めてすぐに、んんん???となり出版年を確認。単行本の初版は2000年頃。なるほど…何が言いたいかって、まあ時代が一つ違うなぁということ。読み始めてすぐに、会社感、仕事感、男女感などなど、いろいろな価値観が、一昔前だなぁ!という感想で、当時の世界観にどっぷり浸かってみたい方にはいい本なんじゃないかなと思います。

    四半世紀前に三十代でバリバリ働いてた男性(主人公たち)って、今の役員とか事業部長とか、自分たちの上司になっている世代なわけで。なるほど、彼らはこういう世界観で成功してきているのね、という、ジェネレーションギャップ理解本として興味深く読んじゃいました。

    この本のファンの人からしたら怒られちゃうかもなんですが、香折は同性から見ると、親ガチャに失敗したというハンデがあるにせよ、守るべき人というよりはやばいメンヘラ女みたいに見えちゃうし、瑠衣はバリキャリなのにあんなに男に料理振る舞って尽くすのを自身の価値としているし…?
    企業戦士物としてはちょっと読み応えはある…うん、そこは、おもしろいかも。池井戸潤的な感じで。

    ただ、この本のメッセージの一つは、人を愛するためには自分を愛さなきゃならないし、さらには、人に愛されることを許容しなければならないってことで、この後半の、「人に愛されることを自分に許さなければならない」というのは、この手のメッセージとしては目新しい気がして、しばし、なるほど…と思っちゃいました。愛されるのが苦手な人(親切にされるのが苦手な人)っていますから。

    タイトルに関しては、ある日ある光を目にして急に自分に対して暴力的な選択をしてしまいたくなった(幸せな生活を放棄したくなる)→しかし目にしたその一瞬の光が一生を照らすこともあるんだよ、ということだなと。

  • 随分前に読んだ本でした。三菱重工のような一流企業ではありませんが、最初にこの本を読んだ当時は私も某企業でトップの側近の一人としてとても忙しく働いていました。単なる権力闘争だけではなく、同じように幹部社員の首吊り事件や国からの圧力によるトップ交替などドロドロした世界でしばらく過ごしましたが、主人公とは少し違う理由で今はその会社から去りました。避けているわけでもないのに、残念ながら(?)女性の出入りは全くこの本の人たちとは異なり極めて地味でしたが、橋田氏のような甲斐性や覚悟もない身なので、このような出会いがあったとして見て見ぬふりをするのがせいぜいだっただろうと思います。いまだに自分にとって何が最も大切なのか試行錯誤する日々を送っていますが、恋愛部分以外は十数年前の自分を思い出しながらしみじみと再読させてもらいました。良い本でした。

  • 生々しい虐待や社内政治を通じた孤独と愛の関係性について語っている。

    恵まれた明るい環境で育ち豊富な愛を与える瑠衣と、凄惨極まりなくぎりぎりを生ていても微かな愛を与えてくれる香折、どちらが上かなんてことは決められようがない。
    愛は交換理論では語りきれない。

    自分を愛さない限り人を愛することはできない。しかし誰かを自分以上に愛した時、人は初めて、本当に自分を愛することができる。

    本当に愛し合っていればセックスは一瞬一瞬の死の様であり、心中して嫌なことを全て無にして毎回光り輝く新たな自分に生まれ変わることができる。

    肉体関係を持たず良き理解者として接してきた浩介が最後に香折に対し、兄弟や親を超えた愛情を認識した。

    夢にて暗闇の中で香折を見つけ出し、過去を象徴する小脇の布団を燃やすことにより、生まれ変わったことを示唆することで、
    人生を捧げた仕事を失い自身の存在価値への疑い、孤独を感じる中、浩介も香折を通じて本当の自分を愛したいと考える様になったのだろう。

     

  • 読みやすい文章の中に、生きるとは何か、愛とは何か、という示唆が散りばめられていて、素敵な小説だった。

    自分を愛していないと人を愛することはできないが、人を自分以上に愛して初めて本当に自分を愛することができる

    というメッセージは心に刺さった。

    自分も死にたいと思った時に必ず顔が浮かぶ人がいる。その人のことを思うと、自分の死後その人はどれだけ悲しむだろうかと思うと死ぬことなどできないと思わされる。
    もし自分が1人だけだったら自殺など簡単にできてしまう気がするが、私はその人を自分以上に大切にしたいと思えるから自分のことも大切にしようと思うのだ、と本書を読み終えて言語化できた。

    『僕のなかの壊れていない部分』も良かったが、哲学書のようで、小説という観点だと個人的に本書の方が好みだ。

  • ちょっと理解できない人間の繋がりではありましたが、この先どうなるのだろうと読み続けました。私だったら見て見ないふりをしてしまいたいそんな女の子の結末がちょっと残念でした。

  • 改札口で別れるとき、「ほんとうにお世話になりました」香折はそう言って頭を下げると、振り返りもせずに駅の階段を昇って消えていった。ずっとその背中を目で追いながら、こうしたささいな気持ちの落差が、人と人とのつながりを決定づけるような気がした。(p.204)

  • 主人公の浩介が、2人の女性の間で揺れる話。
    …と言ってしまえばそれまでだけど、村上春樹の「ノルウェーの森」だって言ってみればそういう話ですね。
    ノルウェーの森ではワタナベは最後にみどりを選ぶけど、この小説では最後にどちらを選んでも良いと思いながら読んだ。
    超脇役で出てくる「柳原くん」を主人公にしても素晴らしい小説が書けるのではないかと思った。

    肉体関係を超えた男女の愛情っていうかつながり(?)の物語なのかなぁ…。「心に龍を散りばめて」でも、最後に結ばれる2人はずっと性を超えた結びつきがあったように思う。
    でも肉体の繋がりの深さ、その大切さも描かれている。
    あー、深い。

  • これが白石さんのデビュー作かぁ…という感じ。(良い意味で)
    内容重め、香折のことイマイチ好きなれない、でも先が気になって一気読みだった。
    読後感もよくないけど、なぜか惹きつけられるのが白石作品。笑

  • 何故かおりを選ぶのか、何故そこまで感情移入するのか理解出来なかった。
    年を食うと若い女を求めるというだけの話なのかな。
    ただビジネスの話に関しては引き込まれる箇所はあった。

  • 白石一文さんの本はこれが初めて。
    カバー買いです。
    泣きました、かなり。
    幸せの感じ方は人それぞれで、価値観が違えば一緒にいられなくて。誰かを傷つけてしまうとしても、変えることができなくて。
    どうしたら良かったんだろう、これで良かったのかなぁと、読後考えてしまいました。一瞬でも2人に光が射すのかなぁって。
    特に最後のシーンが切なくて、忘れることができない1冊。

  • 2019年、再読。

    読み終わってから以前読んでいたことを知って驚愕。
    全然思い出せなかった…。
    5年経って私の考え方、感じ方が変わったのか以前のような感想は抱けませんでした。心が安定したからだと信じたい。

    2019年の今の評価は★2つ。

    2019年4冊目。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    「人に大切にされることが、自分を大切にすること」
    というフレーズが、非常に心に残った一冊。

    切ないくらい、様々な種類の愛情に溢れた作品です。

    タイトルの「一瞬の光」を求め、一瞬一瞬を生きていくという道を主人公は選びます。

    もちろん、誰しもが一瞬一瞬を生きているのですが、私も含め、多くの人が安定や穏やかさを無意識に望んでいるはず。

    安定した生活、穏やかな明日があることを前提にしたうえでの「一瞬」を懸命に生きているのではないでしょうか。

    主人公が選んだような、刹那を生き続けるようなことは私はどうやったって望むことができません。

    生きること、愛ということ、幸せということ。
    これらについて、考えさせられる一冊でした。

    とりえあず、「人に大切にされる」ことが
    大切にしてくれる人を幸せにするのだということを
    知ることができました。
    今の私には、それだけで。

    2014年29冊目。

  • 会社での権力争いの中で垣間見える主人公のエリートぶりと香折との関係性の対比が美しい。
    また、この物語の哀愁漂う雰囲気が好きです。
    ただ個人的にはラストの終わり方があまり納得できませんでした。

    • あっしーさん
      Moonさんこんにちは。

      この本がとても好きな者です。
      白石一文の大ファンで、後作で思わぬ事実を知ったのでお教えしたくなりました。

      ラス...
      Moonさんこんにちは。

      この本がとても好きな者です。
      白石一文の大ファンで、後作で思わぬ事実を知ったのでお教えしたくなりました。

      ラストシーン、実は本来は香折が目を覚まして終わるはずでした。
      作者自身そのような終わり方の原稿を渡したはずが、編集者の独断と強行で最終ページをまるごと破棄されたらしいです。

      ただ私はこのままの終わり方が好きです。
      それは作中に終始漂う諦念のようなものに沿っているし、香折は生くべきして生き死ぬべきして死ぬといった姿で描かれるべきだと思うからです。
      「一瞬の光」というタイトルはラストシーンまで意味を持つと思います。
      2026/03/08
  • 仕事に尽くしてきた男が最後に選んだのは、他の誰よりも、自分以上に大切にする人。恋人とか夫婦とかそんな感情を越えて大切にすること。私には、そのことが分からず、読み終わった今でもその結末の意図はわからない。そんな小説。

  • よかった。とてもよかった。こんな形で一緒になってほしくなかったけど、最後お互いの気持ちに気づけてよかったとは思う。いつものことながら白石一文の描く主人公が登場人物たちを分析するくだりが精緻で普段我々も感じているなんとなくの雰囲気とかを的確に表現している。

  • 主人公とヒロインに全く共感出来ない。社内抗争の部分が一番スリリングに読めた。

  • 国を代表する企業で若くして人事課長になった橋田は、偶然入ったバーで、バーテンダーが面接に来ていた短大生・香折であることに気付く。帰り際、男に絡まれているところを助けたことをきっかけに、香折との縁が生まれる。

    はーーーぜんっぜん共感できなかった〜。もう何より香折が鬱陶しい。瑠衣さんから見たらこんなにクソムカつく女なかなかいなくない?ていうか橋田は何でそんな香折に入れ込んでんの?ぜんっぜん分からん。以上。

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著者プロフィール

白石 一文(しらいし・かずふみ):1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋勤務を経て、2000年『一瞬の光』でデビュー。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で第22回山本周五郎賞、10年『ほかならぬ人へ』で第一四二回直木賞を受賞。著書に『不自由な心』『すぐそばの彼方』『僕のなかの壊れていない部分』『草にすわる』『どれくらいの愛情』『この世の全部を敵に回して』『翼』『火口のふたり』『記憶の渚にて』『光のない海』『一億円のさようなら』『プラスチックの祈り』『ファウンテンブルーの魔人たち』『我が産声を聞きに』『道』『松雪先生は空を飛んだ』『投身』『かさなりあう人へ』『Timer 世界の秘密と光の見つけ方』等多数。

「2024年 『代替伴侶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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