すぐそばの彼方 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 671
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043720033

感想・レビュー・書評

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  • ある事件をきっかけに精神面が壊れてしまった男の再生の物語であり、後半では「運命の人と共に生きる事を選ぶこと」白石一文節、炸裂の男女の物語でした。
    この作者が政治家を描くのは珍しいと思います。ただ本作はかなり初期の作品であることから政界を舞台にする物語も当時の作者としては意欲的な作品だったのかなぁって白石ファンとしては考えちゃいますね。
    どんなに私利私欲や権力欲まみれようとも最後の最後は日本国を愛する政治家の一人…その矜持は絶対になくさない。この辺の件は堪らんもんありますね。なんか大和魂までは売り物にはしてないよって印象でした。みんな戦っているんですね。
    ともあれ最後の最後はね…ええ展開で良かったです。愛する人の元へ戻る決断…難しかったろう。いっぱい考えたろう。
    運命の人を絶対に離すな!これこそが白石節だなぁ〜

  • 【あらすじ】
    次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは果して何だったのか。『一瞬の光』『不自由な心』に続く、気鋭の傑作長編。

    【感想】

  • 政治の話は登場人物と関係性を何度も見返さないとわからなくなった。心の休まる本当の愛情や自分の居場所に、まわり道をしながら辿り着くお話。ラストの善し悪しはあるけれど、自分に正直にという点だけで言えば共感出来る。「男の人は魅力を感じた女をだんだん愛するようになるけど、女は愛した男にだんだん魅力を感じるようになるの。だから男はその女に魅力を感じなくなれば愛も薄れていくけど、女は愛している限りはその男がどんなに変わっても引きずられていくの。」確かに。響く言葉でした。

  • ケイイチにかりた

  • 藤田元首相の2ページ半に渡る政治思想が、世の中のリアルな側面に思われた。私的には、人の言動や、人が作るシステム(政治)の不完全さの方が、完全なものよりも現代を映す上で真実味がある気がした。

  • 今読みましたが発売当時に読んでいたら私の人生はずいぶん違った方向になったような気がします。30歳までに読んでおいてほしい本です。

  • 情けないけれど、私にはやっぱり政治の話って、一筋縄には読めない。この小説を読んでも頭の中の筋道が、政治とかけ離れているのを感じた、まさに一般大衆の私です。
    でも、男と女の話として読むと、とても切なくて深いなと思う。白石さんの小説には、自分が失くしかけているものを思い出させてくれる何かがあります。

  • 政治小説であり恋愛小説であり再生を描いた小説でもある。
    「愛と名誉のために」的な再生小説を期待して読んだのだけど、主人公の再生への道は相当違うもん。結局小説のゴールはかなり近いとこにたどりつくんだけど、でもこの主人公は小説ラストで見つけた場所に安住しないと思う。

    そこが、俺の(今のところの)価値観と違うので、この小説の結末には納得できない。随所随所にエエことは書いてあるし納得できる部分もあるんだけど、やっぱり一度、とてつもない権力ととてつもない地位を目の当たりにしてしまうと、それを知らない価値観には戻れないのだろうな。作者の意図とは違うのかも知れないが、この主人公は作者が与えたハッピーエンドに飽き足らず絶対幸せを壊すだろうな・・・と意地悪なことを考えてしまった。

    そして、これもまた作者の意図とは違うのかもしれないが、登場人物の中で一番カッチョ良かったのは、主人公の妻郁子。美貌、財力、知力、家柄、家事スキル、子育てスキル、沈着冷静さ、行動力・・・あらゆるものを備えたほぼパーフェクトなスーパーレディである。主人公や主人公の友人は彼女を貶すが、俺には出来てない人間の嫉妬に思えてしまい、そして俺は主人公や主人公の友人側の人間なんだと自覚して少々ヤサぐれた。

  • 「男の人は魅力を感じた女をだんだん愛するようになるけど、女は愛した男にだんだん魅力を感じるようになるの。だから、男はその女に魅力を感じなくなれな愛も薄れていくけど、女は愛しているかぎりはその男がどんなに変わっても引きずられていく」

  • まず、タイトルが良い。
    物理的なことではなく、自分以外の人との距離感を言っているように思います。

    物語は 政治の話が大半で、読みづらさもありますが、登場人物たちの会話の中での気付きは、白石さんらしいなぁと感じました。

    「愛」の反対語は、憎しみではなく「無関心」という マザー・テレサの言葉。物語の中では、政治家の本質について、良し悪しを語られていますが、人は孤独でありながら それでも人によって生かされている ということを考えさせられます。

    人は人との合成によって初めて奇跡を生む。人は人とつながることで奇跡となるのだ。一人一人の人生にたとえ一切の意味がなかったとしても、人間の集合には必ず意味がある。その表象こそが政治...だそうですが、これは 会社にも社会にも当てはまることのように思います。

    龍彦と結ばれなくても、彼の子供が欲しいと願い、一生を共にできなくても 二人は運命的な時間を共有できたと信じ、出会えて良かったと言う、薫の印象的な言葉。
    「幸せは今にしかない。明日や明後日や何ヵ月先や何年先の幸福を願うのは、ずるい人のすることだと思う。」「自分のことを考えすぎると、きっと誰かのことをひどく傷つけてしまう。」

    そして、タイトルにつながる龍彦の
    「すぐそばにある最も大切なものほど いつも遠い彼方にあるのかもしれず、遠い彼方にある最も大切なものほど本当は すぐそばにあるのかもしれない。」と いう言葉が印象的でした。

    ラストは、龍彦の失ったものが ようやく彼を解放し、読み終えて良かったと思いました。

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社に勤務しながら、2000年に『一瞬の光』を刊行し、多方面で絶賛、鮮烈な作家デビューを果たす。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞、10年『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』『神秘』『愛なんて嘘』『ここは私たちのいない場所』『光のない海』『記憶の渚にて』など著作多数。

「2018年 『一億円のさようなら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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