すぐそばの彼方 (角川文庫 し 32-3)

  • KADOKAWA
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043720033

作品紹介・あらすじ

4年前の不始末から精神的に不安定な状況に陥っていた龍彦の父は、次期総裁レースの本命と目されていた。その総裁レースを契機に政界の深部にのまれていく龍彦。愛と人間存在の意義を問う力作長編!

感想・レビュー・書評

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  • 政治の勢力争いがややこし過ぎて途中で考えるのをやめてしまいました
    わざと読者にわかりにくくしているんじゃないかと思えるほど
    最後の方にどんどん面白くなってきたけど、読むの結構しんどかった

    政治と金の話は興味深かったな
    殺戮による政権奪取の時代は実はそんなに昔のことではなく、命の次に大事な金をかけた政治ゲームが行われる
    クリーンな政治を求められる政治家は、果たして何を使って戦えばいいのか

  • 「本当の愛」は、家柄やお金が絡んでいる結婚ではなくて、不倫の恋の方にあった…というような展開にちょっと納得いかないんだけど、なんかそんな話です。
    大物政治家の息子である主人公は、不倫やらお金の問題やらで窮地に陥り、心を病んだ状態にある。
    本来アタマが良くてちゃんとしているはずの彼が、精神的にちょっとおかしくて約束を忘れたり、お金のやりくりが全然できてなかったりする様子は読んでいてハラハラして、“よくわからないけどなんか病んでる”っていう感じが実にうまくに描いてある。その彼がだんだん回復していって、真実を見つける話…
    (つまり本当に自分のことを愛してくれて、本当に自分が愛すべき人はすぐそばにいたのに、それを自分が気付かないためにすぐそばでありながら彼方にあった、やっと真実に気付いた)とも読めるけどーーーーーー。
    ちょっと政治的な駆け引きの話の分量が多くて、読むのに疲れました。国を動かす大きな仕事をしていながら、結局人間は(どんな政界の大物でも)、すぐそばにありながら手に入れられない愛や、それにまつわる扱いづらい自分の感情など、なんだか小さなことに悩まされるもので、そのギャップを感じさせるためにスケールの大きな政治の話を無意味なまでに長々と書いているのかなぁと思いました。
    もしそうだとしたら私には有効でした。

  • 政治ものだけど、白石さんの「運命の人は、時すでに遅しくらいにわかる」的な恋愛物語。わかっていたけど、最後は戻るんだなぁ。主人公は責任感が強くみえるか、所々急に弱く逃げてしまう。でも戻るんだなぁ。
    政治の人間関係が少し複雑で読み難く、ストーリーが見えていたので評価3ですが、白石作品はやはり良いかな。

  • 【あらすじ】
    次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは果して何だったのか。『一瞬の光』『不自由な心』に続く、気鋭の傑作長編。

    【感想】

  • 政治の話は登場人物と関係性を何度も見返さないとわからなくなった。心の休まる本当の愛情や自分の居場所に、まわり道をしながら辿り着くお話。ラストの善し悪しはあるけれど、自分に正直にという点だけで言えば共感出来る。「男の人は魅力を感じた女をだんだん愛するようになるけど、女は愛した男にだんだん魅力を感じるようになるの。だから男はその女に魅力を感じなくなれば愛も薄れていくけど、女は愛している限りはその男がどんなに変わっても引きずられていくの。」確かに。響く言葉でした。

  • ある事件をきっかけに精神面が壊れてしまった男の再生の物語であり、後半では「運命の人と共に生きる事を選ぶこと」白石一文節、炸裂の男女の物語でした。
    この作者が政治家を描くのは珍しいと思います。ただ本作はかなり初期の作品であることから政界を舞台にする物語も当時の作者としては意欲的な作品だったのかなぁって白石ファンとしては考えちゃいますね。
    どんなに私利私欲や権力欲まみれようとも最後の最後は日本国を愛する政治家の一人…その矜持は絶対になくさない。この辺の件は堪らんもんありますね。なんか大和魂までは売り物にはしてないよって印象でした。みんな戦っているんですね。
    ともあれ最後の最後はね…ええ展開で良かったです。愛する人の元へ戻る決断…難しかったろう。いっぱい考えたろう。
    運命の人を絶対に離すな!これこそが白石節だなぁ〜

  • 一人の男性とその周りの人々の再生の話と思って読んだのだが、実際その面もあったのだが、いやしかしほとんど政治の話だった。
    伏線かと思ったのだけど、そうでもなく。
    どっちかにしてほしかった。

  • 政治の話が苦痛すぎて何度か挫折しそうに。。。
    ラスト5ページで苦痛から解き放たれた!!!

  • デビュー作で代表作の「一瞬の光」より良かった。「一瞬の光」では社内抗争の話が面白く、恋愛の方はなんというか、例えば大学生が「愛とは何か」を友達とだべってるのを聞くようで全く面白くなかった。本書では政治抗争についての部分が「一瞬の光」に於ける社内抗争の部分よりも分量が多く、愛の方の分量が比較的少なく、却ってそちらにも感情移入出来た。

  • ケイイチにかりた

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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