福音の少年 (角川文庫)

  • 角川書店 (2007年6月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043721078

作品紹介

16歳の明帆は同級生の藍子と付き合っている。だが二人はすれ違ってばかりで、明帆は藍子の幼なじみの少年・陽に近づいていく。ある日、藍子のアパートが火事で全焼し、藍子も焼死体で発見される。不可解さを感じ、真相を探る明帆と陽だが-。「死んでほしゅうない。おまえに生きていてほしい。おれは、おまえを失いたくないんや」友情でもなく、同情でもなく、仲間意識でもない。少年たちの絆と闇に迫る、著者渾身の物語。

福音の少年 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 言うまでもなく「バッテリー」で名を広めた著者なので、児童書というイメージがある方もいらっしゃるかもしれない。
    実際、あさのあつこはたくさんの児童書を書いている。
    でも、児童書を書くと同時に大人向けの物語も書くのがあさのあつこ。
    バッテリーとはもちろん違った文体だけれど、弥勒の月ともまた違った文体で。
    七色に変わる文章がたまらなく好き。
    そしてこの「福音の少年」の世界観というか、細かな描写にそそられ(すぎ)た。これはすごい。好みすぎてやばいです。
    「夜と山の織り成す闇が存在していた。目を凝らせば、闇にも濃淡があると知れる。風に木々がしなる度に、闇の密度が変化する。」
    こういう表現とか、たまらない。くすぐられます。

    あと、柏木陽の声。

    "「大人なら、人を殺しても冗談ですむのかよ」
    美しい声だった。艶がある。巧妙な愛撫のような声だ。
    おとなならひとをころしてもじょうだんですむのかよ。
    声に誘惑されている気がした。"

    "「すっげえ、お邪魔なタイミングやな。悪ぃ」
    美しい声だった。美しいという形容は、必ずしも適切ではないのだけれど、それより他に形容する言葉が浮かばないような声だ。未知の音、名も知らぬ異国の楽器が奏でる旋律。特異な声だ、確かに。"

    こんな描写されたら、一度耳元で囁かれてみたいと思ってしまいます。

    著者自身が「一番書きたかった作品」と語る本書、だからこそ手にとった。
    うん、満足。
    綺麗な、巧みな、時に爽やかで、時にはダークな、この文章だけで十分楽しめると思う。

    ストーリーとラストについてはもちろん賛否両論あるだろうと思うけど…(正直ラストは物足りない)

  • あさのさんらしい終わり方でした。どうなったんだろうと思いを馳せながら、あの子達はどうなったんだろうと読者の心に跡を残していく物語。2人の少年の友達とも家族とも言えない関係、恋にも似た執着が不思議だった。何から解き放たれたとき、人は自由を手にするのだろう。死んだ後だって結局その人を思っていた人々がその思いで魂を縛り付けている気がしてならない。自由なんてあるのだろうか。そんな事を考えた一冊でした。

  • ひとつ前に本棚に登録した畠中恵著《百万の手》を読んでからしばらくして出合い共通項の多さにセットで記憶に残った作品だった。しかし《百万の手》は読後数年を経ても覚えていたにもかかわらずこちらの《福音の少年》はうろ覚えでレビューのために手にとってみた。そうだった。こういう物語だった。読み出してすぐに思い出した。でもやめられずに結局、最後まで再読してしまった。二人の少年と一人の少女の物語だ。危うい、思春期というにはもっと駆け足でその先へたどり着いてしまった、青春というには哀しい時間のなかで足掻いている彼らの一人が死に、遺された二人は彼女の真実を追う。誰にとって誰が福音の少年だったのか。幾重にも読むことができるだろう。ラストで少年の一人、秋帆はまるでそのいのちを脅かされているように読める。そして殺し屋がいう、罰だと。罰などではない。たしかに彼一人で犯人と、さらには犯人に雇われた殺し屋と会うなど無謀だ。一人にすれば死ぬと警告してくれる大人もいたというのに。しかし、私は彼の生存を信じる。絶望したわけではないという殺し屋の言質もその根拠のひとつだ。殺し屋がそういう以上、この先に殺し屋と秋帆の再びの接点が予言されている。だが、最大の根拠は秋帆を失いたくないと強く願う者の存在にある。頽れ、倒れ三日月をその手に掴もうとした秋帆にはそう強く願う者がいる。それは必ず生への楔となる。ほんの微かにでも歩む角度が違っていれば人殺しとなっても不思議はないと思わせる少年だ。しかし彼は、殺し屋の誘惑を自らの意志ではね除けた。そんな彼が殺し屋に屈し、安易にいのちを捨てるわけはない。だが、結末は物語のなかで明確に語られることはなく、幕を閉じる。著者がそれ以上を物語ることなく沈黙するのならば読者は唯々諾々と従うまでだ。けれど私は信じる。彼の明日を。彼を失わぬ未来を。

    ちなみにバッテリー、NO.6未読。本作が初あさのあつこ作品。

  • まあまあ面白かったけど、すっきりしない話で好きではない。
    タイトルと内容が噛み合ってない気がする。

  • (オーディオブックにて)
    焼死した女子に関わる謎、という形で冒頭が始まる。そもそもこの立ち上がり自体がよくわからない。登場人物の位置づけ自体が謎。
    そして過去に戻ると本来のストーリーが始まる。
    単純な高校生のラブストーリーかと思ったら...
    そして最後に先ほどの謎の部分に戻り、ストーリーが完結する。

  • 途中までは良かったのに最後がなんかなぁって感じ。

  • うーん、微妙。
    主人公二人が似ていて、主語がない部分は混乱して、物語に入り込めず。登場人物みんな訳ありっぽいわりに、特に最後に何かあるわけでもなく…
    私には合わないかな

  • 途中で飽きてしまう部分もありましたが、面白かったです。ただ、ラストはハッキリして欲しかった…

  • 2016年10月19日読了。
    声の美しさ設定最高だし、最後の名前呼ぶシーンも最高。
    しかし文庫版書き下ろしだという短編は蛇足でしかなかったのでない方が……。

  • 地方都市で起きたアパートのガス爆発事故をめぐる話。

    ぐいぐいひきこまれた。登場人物たちの揺らぎが真に迫って感じられた。

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