- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043721078
作品紹介・あらすじ
16歳の明帆は同級生の藍子と付き合っている。だが二人はすれ違ってばかりで、明帆は藍子の幼なじみの少年・陽に近づいていく。ある日、藍子のアパートが火事で全焼し、藍子も焼死体で発見される。不可解さを感じ、真相を探る明帆と陽だが-。「死んでほしゅうない。おまえに生きていてほしい。おれは、おまえを失いたくないんや」友情でもなく、同情でもなく、仲間意識でもない。少年たちの絆と闇に迫る、著者渾身の物語。
感想・レビュー・書評
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高校の図書室の雰囲気とか、友だちとの何気ない会話とか、当たり前と思ってた過去のものが描かれてて懐かしくなりました。柏木陽の色気にやられました。かっこいいんだよなあ、声がかっこいい人っていいよね。終わり方もよかったし、『薄桃色の一瞬に』がかなりグッときました
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言うまでもなく「バッテリー」で名を広めた著者なので、児童書というイメージがある方もいらっしゃるかもしれない。
実際、あさのあつこはたくさんの児童書を書いている。
でも、児童書を書くと同時に大人向けの物語も書くのがあさのあつこ。
バッテリーとはもちろん違った文体だけれど、弥勒の月ともまた違った文体で。
七色に変わる文章がたまらなく好き。
そしてこの「福音の少年」の世界観というか、細かな描写にそそられ(すぎ)た。これはすごい。好みすぎてやばいです。
「夜と山の織り成す闇が存在していた。目を凝らせば、闇にも濃淡があると知れる。風に木々がしなる度に、闇の密度が変化する。」
こういう表現とか、たまらない。くすぐられます。
あと、柏木陽の声。
"「大人なら、人を殺しても冗談ですむのかよ」
美しい声だった。艶がある。巧妙な愛撫のような声だ。
おとなならひとをころしてもじょうだんですむのかよ。
声に誘惑されている気がした。"
"「すっげえ、お邪魔なタイミングやな。悪ぃ」
美しい声だった。美しいという形容は、必ずしも適切ではないのだけれど、それより他に形容する言葉が浮かばないような声だ。未知の音、名も知らぬ異国の楽器が奏でる旋律。特異な声だ、確かに。"
こんな描写されたら、一度耳元で囁かれてみたいと思ってしまいます。
著者自身が「一番書きたかった作品」と語る本書、だからこそ手にとった。
うん、満足。
綺麗な、巧みな、時に爽やかで、時にはダークな、この文章だけで十分楽しめると思う。
ストーリーとラストについてはもちろん賛否両論あるだろうと思うけど…(正直ラストは物足りない) -
こういう目に見えないエネルギーの爆発に共感できないくらい年をとってしまったのかな、とさみしくも眩しくも思う。
ただ、回収されない謎が多過ぎて、消化不良… 何かがじゃりじゃりと残るような読後感。 -
あさのさんらしい終わり方でした。どうなったんだろうと思いを馳せながら、あの子達はどうなったんだろうと読者の心に跡を残していく物語。2人の少年の友達とも家族とも言えない関係、恋にも似た執着が不思議だった。何から解き放たれたとき、人は自由を手にするのだろう。死んだ後だって結局その人を思っていた人々がその思いで魂を縛り付けている気がしてならない。自由なんてあるのだろうか。そんな事を考えた一冊でした。
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初のあさのあつこさんの作品だったけどいまいちだった。
なにしろ文章が読みづらくて仕方なかった。
物語としてもなぜこの少年少女たちは闇を抱えているのか、藍子はなぜ政治家相手に売りをしていたのか、その藍子にそこまでのめり込む魅力ってなんなのか、全く伝わってこなかった。
そして時々思い出したように入れてくるどこかの地方の方言。その設定って必要だったのかなぁ。
とりあえずもうよっぽどのことがない限りあさのさんの作品は読まないかなぁ。 -
彼女の身に起きたこと。
大人として考えて行動する事が出来ず、子供に依存気味だと嫌われそいだよな。
逃げ出すことが出来なかったのだろうが、終わる日の事を思うと不安もあっただろうな。