ラスト・イニング (角川文庫)

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レビュー : 129
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043721085

作品紹介・あらすじ

新田東中と横手二中。運命の再試合の結末も語られた、ファン待望の一冊、ついに文庫化!高校生になって野球を辞めた瑞垣。巧との対決を決意し、推薦入学を辞退した門脇。野球を通じ日々あえぎながらも力強く変化してゆく少年たちの姿を描いた「ラスト・イニング」他、「空との約束」「炎陽の彼方から」を収録。永遠のベストセラー『バッテリー』を、シリーズ屈指の人気キャラクター・瑞垣の目を通して語った、彼らのその後の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 野球の才能に嫉妬する気持ちがリアルすぎる。なんでここまでリアルに書けるのか。

  • 誰もがスポットライトを浴びるわけじゃないし、自分がそういう器じゃないこともわかってる。だから自分のできることをやって、それなりに評価はされている。十分なはず。
    でも、自分が心から好きな野球で成功している門脇や巧、そして彼らの背中を、今もこれからも後ろから見つめ続けるであろう自分にもほとほと嫌気が差す。
    理想を夢見ることは捨てた。けど、吹っ切れない。
    すべてに中途半端な自分に、また自己嫌悪。
    この矛盾、自分への反駁、絶望、のスパイラル。共感せざるを得ない。
    野心があるからこそ、隠したい、見せたくない、という複雑な心境。
    自分を偽ってまで器用に生きようとするしんどさ。
    そんな子供じみた意地と葛藤の末に、瑞垣が選んだ答えが、素直でよかったと思えた。

  • 諦めることの修辞に潔いなんて、使いたくない。諦めることは、いつだって無様で痛い。

  • 「今日みたいな空の色を天藍って言うんや」

    ※※
    「バッテリー」のサイドストーリー、というのか。

    作中でライバルと描かれる横田二中の天才打者、門脇秀吾。
    その幼馴染で、ひねくれ技巧遊撃手、瑞垣俊二。

    本作の主人公ではなく、瑞垣にスポットを当て、
    天才打者と自分の比較をしながら、自己の中での葛藤を描いていく。

    「お前が負ける姿が見たかったんや」

    あの試合のあとの、その後のお話。


    個人的には、「バッテリー」の終わり方で良かったので、こういうその後の話の展開はなくてもいいんですが、、

    あさのあつこの描く、こどもからおとなになる思春期の人物が抱える葛藤の表現が、爽やかさを超えて、凶暴で艶めかしくて、読んでると「今の自分」に向かってくる。

    中学生とかって、自分の関係している世界が狭いけどそれがそのときのリアルで、その中で足掻くから今ならなんでもないようなことが、深刻に自分自身に迫ってくるんだな。

    ※※
    なぜ人はこうもぺたぺたと他者にレッテルを貼りたがるのか。

    …思いも感情も精神も性格も雑多に混ざり合い、溶け合い、万華鏡のように刻々と変化する生命体にたった一枚のラベルを貼り付けて、色分けし、囲い込む。

    お前はこの枠、お前はこの色。

    ※※(本文より一部抜粋)

    大人になるって、逃げ道を見つけることなのかもしれない。

    己の欲するものを己の手で取捨選択する、
    そんなおとなに早くなりたいですね。

  • 高校2年くらいに読んだ気がする。

    バッテリーの続き。
    あさのあつこさんは
    キャラ立てがすごく素敵で青春を書く本でこんなに個人個人を立てられる物語はすごいと思う。

    でもいつも思うけど
    キャラに目がいちゃって本質まで見れないときがある。特にこのシリーズはそう。

  •  文庫版全6巻+『ラスト・イニング』まで読了。

     じきに中学一年生になる原田巧は、幼いころにボールに魅入られて以来、これまでただひたすらに、いい球を投げることばかりを考えてきた。マウンドからキャッチャーミットまでの18.44メートル。その距離を割いてミットに飛び込む白球。巧にはときどき、ボールが生きて鼓動を打っているように感じられる……。
     ピッチャーとしての素晴らしい才能に恵まれ、ほんの子どもの頃から日々の練習をたゆまず己に課して、野球のことばかりを考えて生きてきた巧。野球だけが大切なことで、そのほかの雑事は何もかも、わずらわしいと思ってきた……。
     父親の転勤に従って、中学進学と同時に引っ越して祖父宅に住むこととなった彼は、中学に入る直前の春休みに、ひとりの少年とであう。永倉豪と名乗る、その同い年の少年は、よく手入れのされたキャッチャーミットをもっていた。

     豪と出会い、仲間たちと出会って、それまで野球以外のことはどうでもいいと思っていた巧が、少しずつかわっていく。
     悪い人間ではないのだけれど野球に無理解な両親、体が弱くてムリをするとすぐに熱を出すのに、自分の真似をしたがる弟。野球とぜんぜん関係のない、納得のいかない指導を押し付けてくる監督……。

     何度となく涙腺が熱くなりました。鋭く尖った、清冽な文章もよかったのだけれど、なにより、キャラクターとその変化が、すごく魅力的でした。
     主人公の巧もだけど、キャッチャーの豪も、弟の青波も、チームメイトもライバルも、それから大人たちも。それぞれに悩み、傷つき、少しずつかわっていく姿に胸が熱くなります。野球以外のことはどうでもいいといいながらも、人を傷つけてしまうたびに、自分も傷つく巧。いつかついていけなくなって、巧の球を捕ることができない日がくるのではないかと悩む豪。兄に憧れながらも自分の弱い体と戦い続ける青波……。思春期の、鋭く尖った感性と、傷ついてもそれを飲み込んで乗り越えていく柔軟さと。
     野球小説として、青春小説として、友情ものとして、あるいは親子の、兄弟の絆を描いた作品として。読んでよかった!

     あと、どうでもいいけど年々青春小説(マンガ)に弱くなっていく自分を感じます……か、加齢のせいにはしたくない。

  • 中途半端なのだ

    時系列を行ったり来たりするのも
    イライラしてくる

    「こんなことはどうでもいいんだ
     あの日の試合をちゃんと教えてほしい」
    ただそれだけなのだ

    描くならちゃんとした続編が読みたい
    それぐらい「バッテリー」が好きなのだ

  • 本編の脇役視点で語られる本作
    瑞垣、ほんとにいい味出してる
    きっと彼が一番分かりやすくて、大人だ

  • 後日談みたいな話ってのは、元ネタが面白ければ面白いほど、ハードルが上がってしまうわけで、いや、人によるだろうけど、しかも元ネタを読んだのが昔だと、面白かったとい記憶だけが膨れ上がってしまい、本当はそこまで良い人じゃなかったのになんかすげー良い人みたいになってる!ってな事になる。

    思い出ってのは恐ろしい。

    しかしこれが脳の仕組みだからしょうがない。というわけでその漠然とした記憶だけでは登場人物も半分くらいは覚えているのか覚えていないのか、これじゃ同窓会に行って皆が盛り上がってるのに自分だけついていけない的な寂しい気持ちになって、行かなきゃ良かった!もしくは今充実してるからあいつらについていけなくても良いのさ!的な複雑な女心。

    要するに、内輪ネタすぎて分からんよ!っていう話だった。

  •  瑞垣の目から見た『バッテリー』その後。

     『バッテリー』もそうだけど、野球のお話なのに、野球の場面は以外に少ないのが特徴的。ここでも、登場人物たちの心理描写が続く。

     あさのさんの描くキャラクターは、みんな素敵で、つい引き込まれて読んでしまいますが、私自身が経験してきた中・高時代とは、ずいぶん違う気がするなあ。男って、もっと単純というか何というか、ここまで考えていない気がします。

     巧の投げるボールが、いつも同じ威力ではなくて、相手によって、状況によって、さらにパワーアップするという設定がうまいなあ。そうしたことで、巧の持っている才能が際立つ。

     そして、この本では、巧の存在をこえて、豪を注目しているのもいい。ピッチャーに比べると地味な存在のキャッチャーも、実は大きな役割を担っているわけですから。

     そして、門脇。なんとなくドカベンの山田をイメージしてしまいます。

     まだまだ、続いていって欲しいストーリーです。

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著者プロフィール

あさの あつこ
1954年生まれの小説家、児童文学作家。岡山県英田郡美作町(現:美作市)湯郷出身。幼少の頃から本に親しみ、中学の頃から創作日記をつけはじめ、中学2、3年生の頃から作家を志す。青山学院大学文学部入学後、児童文学サークルに入り活動。卒業後小学校の臨時教諭を2年間務め、結婚。日本同人協会「季節風」同人となり、そこに連載した『ほたる館物語』で作家デビュー。
代表作に、1996年から執筆を続ける『バッテリー』。97年野間児童文芸賞受賞、99年『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、2005年『バッテリー』全6巻で小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞。シリーズ1000万部超の大ベストセラーとなり、映画化・アニメ化された。

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