愛がなんだ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4102
レビュー : 378
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043726042

作品紹介・あらすじ

OLのテルコはマモちゃんにベタ惚れだ。彼から電話があれば仕事中に長電話、デートとなれば即退社。全てがマモちゃん最優先で会社もクビ寸前。濃密な筆致で綴られる、全力疾走片思い小説。

感想・レビュー・書評

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  • このリアル感が角田さんだな、と思った。

    ***最も気に言った部分***
    プラスの部分を好ましいと思い誰かを好きになったのならば、嫌いになるのなんかかんたんだ。プラスがひとつでもマイナスに転じればいいのだから。そうじゃなく、マイナスであることそのものを、かっこよくないことを、(略)そういう全部を好きだと思ってしまったら、嫌いになるということなんて、たぶん永遠にない。
    ***************

    片思いの終わりは振られた時ではない。
    自分の中で終わりにした時だ。
    大人になるほど、はっきり振られることなんてなくなる。
    関係性があいまいになる。
    片思いって認識をしても
    相手にとって都合のいい存在だと理解しても
    ずるずるその状態を続けていく
    でも、
    その時間が長くなればなるほど
    自分の意思で
    終わらせることなんてできないんだなと思う。
    それが当たり前になってしまうから。

    駆け引きをしかけたつもりで
    それが上手くいかないと
    逆に自分がはまっていってしまう
    そんなとき
    相手は駆け引きなんて考えてないことが多い気がする。
    不思議なものです。

    深読みして空回りするなんてよくある話で。
    自分が好きでやってるんだからって言いつつ
    相手に振り回されてることに気づきたくなくて。

    相手が、自分に話があるって言ってきて、
    「もう会うのやめよう」
    って言われているシーンは
    直視できなかった。

    相手が、自分を必要としてくれている
    それが自分の存在意義になってしまう。
    好きな人の好きな相手と仲良くなることで
    好きな人と会う口実を作る。
    好きな人の友達と親しくする。
    そんな最後も角田さんらしい。リアルだった。
    ここで、あきらめて踏み出そう!って終わりだったら
    評価の星数は減っていた。
    そう、そんな簡単にいかないのが現実だろうと思う。



    さすがに
    仕事ほったらかしてとまではいかないけど
    なんにも他人事じゃなかった。
    自分のことを言われている気がした。
    そんな
    本気で片思いした人には
    本気でリアルな小説。

  • 『愛がなんだ』読了。
    一途な片思いなのに不完全燃焼で終わらなかった。テルちゃんはマモちゃんに出会い恋に落ちた。片思いなのにマモちゃん最優先。それだけですごいのに。
    熱して離れない、一途な気持ちがべっとり絡んでいく。
    生々しい好きという感情が波打っても永遠と好きでいたい気持ち、わかる。
    狂気に近い恋愛観をもつテルちゃんはいまの日本の若い人たちからみたらすごく愛が重すぎてウザいだけの女になると思う。
    が、その不器用なところが武器になっちゃうところがすごいな。
    最終的に相手が自分のことを好きじゃなくてもずっと好きでいたい気持ちを小さくして持ち続けるなんて、素敵だと思った。
    なんていうか、私も初恋に見切りつけるのに7年ぐらいかかったし、数年前に好きだった人も今は何をしてるかなって気になるし、やっぱり好きという感情は小さくなっても続くんだろうな。その点においても私も重い女って自覚してるんだけど、重いんじゃなくて、熱いの。熱い思いで溢れてる。

  • 「プラスの部分を好ましいと思いだれかを好きになったのならば、きらいになるのなんかかんたんだ。プラスがひとつでもマイナスに転じればいいのだから。そうじゃなく、マイナスであることそのものを、かっこよくないことを、自分勝手で子どもじみていて、かっこよくありたいと切望しそのようにふるまって、神経こまやかなふりをしてて、でも鈍感で無神経さ丸出しである、そういう全部を好きだと思ってしまったら、嫌いになるということなんて、たぶん永遠にない。」
    「彼のどこが好きなの?」と友人に聞かれて、主人公の田中さんの心情で、唯一共感した部分です。
    どこが好きかなんて明白にできないし、その人を好きになったら、もう好きなんですよ。わかる。わかるよ。
    でも、好きなのはいいのですが、私はどうしても田中さんの思考に同意できなくて、最後までイライラしながら読んでました。
    好きな人まもちゃんの行動も最低ですが、田中さんの不可解な行動も原因のひとつ。
    ただ、「そう捉えるんだな」とか、「そういう行動に出るんだな」とか、愛により盲目になった主人公の心の中を歯がゆい気持ちで見ていました。
    せつないというか、悲しい。

  • テルちゃんにとっての重要なこと、そうでないことの線引きは誰しも思うところはあると思うが、それを徹底的に行う。しかも、彼女自身が一番大切ではない存在。自分をまず愛しなさい、とはよく言われる言葉だが、彼女にとって、愛とは相手に無限大に与えることであり、自分自身を一切顧みない行動や思考は、第三者として見ると、非常に危険で、目をかけてやりたくなる存在。
    将来に渡り、こうやって人に守られて生きていくか、どこかで自分自身の存在に気づくか、どうなるんだろ。

  • 映画を観て面白かったので読んだ。映画を観た後だからかもしれないが、活字から情景が見事に浮かんできて、さすが角田さんだと思った。

  • 主人公の行動について
    度は行き過ぎていると思うけど、
    気持ちは分からなくもない。

    惚れた方の負けってやつですね

  • テルコは自分かもしれない。テルコのように我を忘れて、出会った男を運命の人だと思い、自分の生活を投げ打ってまで彼に時間を捧げるかもしれない。でもそれは、きっと、自分がないからこそ他人に自分を委ねるのかもしれない。
    テルコ、どんだけよ、と思いながらも読んでいる女の人の心は少しだけでもチクリと痛む。あぁこの感情、私の心に少しでも抱いたことがあると誰もが思うかもしれない。それは少しも恥じることではないし、当たり前の感情かもしれない、それくらいテルコの心は私たち女子の心を映している。

  • 恋愛がゲームだとしたら好きになった方が負けだと思っていたが、これは性格なのだと気づいた。好きになったら自分を見失う破滅するほどに激しい恋。恋に恋する。そんな瞬間。この映画を2019年のGWくらいに見て、原作を絶対に読みたいと思った。映画も素晴らしいが文字になると、それはそれで、またいい。こういう恋をしている時が、実は一番幸せな時なんだよね。いい作品でした。おすすめです。

  • こんな自分勝手なヤツをなぜ好きになる? なぜ自分を傷つけてまで尽くそうとする? なんでいつまでも未練がましいことをする? 心の通い合わない主人公、登場人物たちが、イライラするほどもどかしい。でもこれが恋ってやつだった、信じられないぐらい自分も不器用だったと、思い出した。いまでもそうかもしれない。

  • 恋に盲目なテルちゃんに同情したり、イライラしたり、
    客観的に見れば その恋は都合の良い恋だとわかるんだけど、
    実際に自分もその立場になれば恋に盲目になって見えなくなるんよな。。

    マモちゃんみたいな男って一生悪気ないからな。憎い。笑
    すごい胸がギューってなりながら読みました。

    確かにその人が幸せであればどんな形の恋でもいいなと思うんだけど、
    テルちゃんには幸せになってほしい。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。著書に『対岸の彼女』(直木賞)、『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)、『紙の月』(柴田錬三郎賞)など多数。

「2020年 『自転車に乗って アウトドアと文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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