コイノカオリ (角川文庫 か 39-50)

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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043726059

作品紹介・あらすじ

人は、一生のうちいくつの恋におちるのだろう。ゆるくつけた香水、彼の汗やタバコの匂い、特別な日の料理からあがる湯気――。心を浸す恋の匂いを綴った6つのロマンス。

感想・レビュー・書評

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  • いつまでも記憶に残る、恋にまつわる香りの話。
    6人の著者によるアンソロジー。

    シリーズ物とアンソロジーはいつも、敬遠しがちでした。
    シリーズ物は一気に読まないと忘れてしまうから。
    アンソロジーは1人の作家をじっくり読みたい私に不向きだから。

    それが、新しい作家を開拓するのにアンソロジーもいいかも、と思い始めて手に取った次第です。

    宮下奈都さんの「日をつなぐ」、井上荒野さんの「犬と椎茸」が特によかったです。
    コイノカオリをテーマに、同じシャンプーのにおいを出す角田さんのセンスも好きですが。

    コイノカオリというより、アイノカオリの方がしっくりくる気もしつつ、
    読み直しては、やっぱりコイノカオリであってるのかも、思わされる。
    恋というには深いけれど、愛というには純情な気がして。

    「日をつなぐ」はとてもリアルで、主人公の閉塞感から食による再生の過程が心地よく感じました。豆が苦手な私は「おいしそう」とは思えなかったけど、それでも元気になれる感覚。
    出産後の孤立感や忙しい彼に対する言いようのない寂しさ、不満の描き方が絶妙。

    「犬と椎茸」は香りの使い方がすごく上手い。
    過去の恋人やある人の死といった非現実さと、夫のいる日常という現実が1つの香りを通して繋がっています。
    トゲトゲしている気持ちの表現がいい。
    ほのかに余韻の残る作品でした。

    島本さんのは、相変わらずえぐい。
    栗田さんのは、ちょっと温かくなれる。
    生田さんのは、感情の表現が上手くて心にすとんと響く。

    アンソロジーもいいな、と思えた1冊でした。

  • 栗田有起さん目当てで読んだけど、どれもすごくいい。豆のスープで腹がはちきれそうになった。切ない。

  • 角田光代「水曜日の恋人」
    宮下奈都「日をつなぐ」 がお気に入り。
    「日をつなぐ」はダントツに好き。長編でじっくり読みたい。

  • タイトルから想像されるような甘いお話ではなく、全て少し苦い。
    香りって五感の中でも特に記憶を呼び起こす力が強いと思うけど、それが「過去」を強く連想させるからこういう雰囲気が集まったのかな。

  • 日をつなぐ がいちばん印象的。その後ふたりは幸せになれたのか、それとも別れにむかうのか。

    わたしは自分のコイノカオリを思い出したくてたまらなくなった。

  • 女性作家6人の短編。宮下奈都「日をつなぐ」が一番良かった。夫とであった頃の良い思い出、結婚して子育ての辛さ。涙が出た。

  • 2013年1月1日読了。角田光代ら6人の女流作家による、「香り」をテーマにした短編のアンソロジー。テーマ、といっても濃厚なものではなく読み終わってから「ああ、そういえば」と思う程度の味付け。どのエピソードも主人公は恋愛とも愛情ともつかないような恋人(?)との関係性の中にいて、宙ぶらりんの状態で話が始まり終わる、というような話で終わる。読む側は非常にモヤモヤするが・・・人生とは常にスッキリ割り切れるようなものではないよな。

  • 島本理生さんが好きでこの本を手にとりました

    恋には必ず香りが残る
    様々なコイノカオリ
    様々なコイの短編

    角田光代さんと島本理生さんのはなしがすき

  • 購入当時、ちょうど恋愛と香りの関連に苦悩していて、手にしてしまった一冊。

    香りって、忘れようと思っても、なかなか忘れられない。
    というか、消えないものですよね。すごく本能的。

    好きな人の香りと音楽を、好きになってしまわないようにしたい、と思ってしまう。
    幸せと辛さが表裏一体だと思うから。

    日をつなぐ、が好きだなぁ~。なんか、においのイメージとともに、映像化したイメージが頭に浮かんできました。

  • 宮下奈都「日をつなぐ」がいちばん心に残った。この作品に関しては★5つ。
    不安な気持ちや嬉しい気持ちがその場のかおりと一緒に伝わってくるようで素晴らしいと思う。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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