薄闇シルエット (角川文庫)

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本棚登録 : 733
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043726080

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  • かくたさん! もうすぐ40になろうかという女の「結婚したくない」「仕事で成功したいわけじゃない」「でもたのしいことはしたい」「もう夢みる力はないけど」身につまされるつぶやきを入口に一時も休まずひさしぶりに角田光代の世界を潜ってきました。人生はこんなもんなのです。その通りです。こんなもんなのです。絶望もせず希望にも燃えず。かくたさん! こういう作家さんと本があるということがわたしをたすけてくれる。

  • 30代に入った頃、子供を産んで育てているのに「空っぽの自分」を何故だかすごく強く感じる時期があった。
    何もかもが中途半端で、何ひとつ形になっていない自分。
    焦燥と戸惑いと混乱。

    母親のようになりたくない…という気持ち。
    これもあった。

    理想の家族になれないことに苛立ったり、失望したりした。

    なんだか、そういうことのひとつひとつを思い出してしまうお話。

    混沌とした時期を抜けたのは、ひとつひとつに真剣に悩んだからだと思う。
    そこから、自分の思い描く家族になる必要はないし、家族なんていうのははじめに理想を描くから苦しいんだと思った。
    ある時、腑におちた。

    「ああ、家族は流動している。この先も変化し続ける…」と。

    それからは、そのことで辛いと思うことはなくなったし、生きることそのものも楽になった。

    ひとはこうして、一歩登ると景色が変わる。
    主人公のハナちゃんも、ちょうどそんなお年頃なんだろうな…と思いました。金太郎飴の真ん中に安住すると、外敵に弱くなる。ハナちゃんの伸び時は小説の世界が終わってからだと思う。

  • お気に入りさんが読まれていて、読みました。
    面白かったです。
    「わたしには何もない」と言う主人公のハナの気持ちが痛いほど心に響いてきました。
    わたしも、自分は空っぽだ、と思うことが増えてきて、でもどうしたらいいかわからなくて。
    刺さる言葉もたくさんあって、心に留めていたいと思います。
    いくつになっても、わたしはわたしになっていくしかなくて、いつだって人生というものにはひとりずつで参加しなくてはならない。
    何にも無いって事、そりゃあなんでもアリって事……hideさんの歌が脳内を流れます。
    最後に光を見つけたような、ハナの姿が眩しくて、わたしもがんばろうと思いました。
    読んで良かったです。何度でも読みたい。

  • 友人や恋人への感情がとってもリアルに思えていい。

  • 一度『つまらない』と思ったら 何とかもつまらないと感じてしまう
    男の人とか、結婚とか

  • ホームメイドケーキ…結婚してやると言われて喜ぶ人はまずいない。
    月とハンカチ…ワインのコルクを店員さんに開けてもらおうとする発想がおばさん的。
    薄闇シルエット…玄関で泣き崩れる女はかなり惨めそう。
    ホームメイドケーキ、ふたたび…この世を後にしたお母さんの優しさはしっかりと娘たちに伝わった。
    記憶の絵本…自信がなくて手探りだとしても前には進んでいるし、それで十分かと。
    ウエディングケーキ…無かったことにされたスピーチが真実だったのが最高。
    空に星、窓に灯…取り残されたとしても自分を見失わなければ大丈夫。

  • 予約済み:港区図書館

  • 年齢を重ねていても大人になり切れていない主人公のハナ。
    嫌なことはしたくないとか、結婚観とか、モラトリアムみたいだと感じた。
    変化を恐れて、自分は変わりたくないと思っても、周囲の状況が変わり変わらざるを得ないことがあるということも判ったし、自分が何も持っていないということも気付いたし、彼女なりの葛藤が伝わってきた。
    37歳という年齢を考えると、ちょっと気付くのが遅いような気もするけど。

  •  この停滞感、何者にもなれず何処へも行けない感じが苦しくて、主人公のハナちゃんと一緒にもだもだしながら読んだ。私もしたくないことは極力しないでおこうと思う傾向にあるので、自分のしたいことをする生き方、したいことを見つけることのなんと難しいことよと思う。周りが変わっていく中で自分だけ取り残されている感覚は怖いけど、他人とスピードばかり競わず、柔軟性だけは持ってなんとか毎日生活していけたらいいやと思った。

  • 好きな作家さんの1人です。期待を裏切りません。少しずれた生き方している女性を上手く描いていると思う。自分もダメダメ人間だから、分かる部分が多い。ハナちゃんには幸せになって欲しいな。他人には分かってもらえなくても、自分だけが納得できればいいと思う。

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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