スティームタイガーの死走 (角川文庫)

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043729029

感想・レビュー・書評

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  • 設計段階で終わってしまった幻の蒸気機関車。それを現代に再現し、実際に中央本線で走らせる。
    玩具会社コハダトーイが仕掛ける一大計画。「虎鉄」と名付けられた列車は世間の注目を浴び出発地である東甲府駅を発進した!!しかしその裏では或る者の遠大の計画も同時に始まろうとしていた・・・。

     ユーモアを超えてギャグ、そしてギャグを超えてバカになってしまったミステリー。霞さんのバカミスは最後まで行くとバカなのに道中は割と凄惨に殺人事件や社会情勢を描く。そして今回はその真面目に書き上げた描写というのが裏で進められていた大仕掛けに大きく作用してくる。たまにこういう変なのが欲しくなるのよ。

  • 霞流一は初読。ユーモアが溢れているが、事件は結構凄惨。物語にも疾走感があり、一気読みさせてくれる。実に企みに満ちた作品でまずまずの満足だった。

  •  読み終わった後の第一印象は「詰め込み過ぎ」。霞流一らしいのだが,サービス精神が旺盛過ぎて,あれもこれもと詰め込んでいる上に,「間」のようなものがないので,消化しきれていない印象である。
     戦時に設計されるも,幻に終わった蒸気機関車を,玩具メーカーが復活させるというところから始まり,その蒸気機関車がジャックされ,犯人が要求したのは,中央線の西荻窪駅などの4つの駅のホームでキャンプファイヤーをし,周囲100メートルの範囲で線路全てを挟んではないちもんめをやること。これは,蒸気機関車ジャック犯が,家族が新興宗教にはまり,自殺をしようとするのを止めるためというめちゃめちゃな話。その要求をした後,蒸気機関車そのものが消失し,その蒸気機関車内と,駅で殺人事件が起こる。また,蒸気機関車の運転手を務める予定だった者の消失事件まで起こる。
     蒸気機関車消失のトリックは,そもそも蒸気機関車は張りぼてで,ジャックされた人質達も協力して,張りぼてを外したというもの。
    殺人事件のトリックは,窓から捨てた死体が別の窓から戻ってきたというもので,犯人たり得る人物として,列車から降りた人物と,総理大臣を挙げ,リドルストーリー風に終わらせている。また,総理大臣は,はっきりとは書いていなかったが実は女性だったという叙述トリックまで用意するありさま。やはり,どう考えても詰め込み過ぎ。
     最後には,この小説そのものが,終戦直前に大阪圭吉が未来を予想して書いたSFミステリだとして,その遺稿を改訂して出版したという形にしている。
     最後のオチもいまいち。個々のトリックは,もう少し丁寧に料理し,短編にでもすればもう少し楽しめるような気がするが…。
     最大の難点は稚拙な文章。せめて,文章がもう少しうまければ,バカミスとして楽しめたと思うのだが…。
     ★2で。

  • このミス2002年版第4位。一応、本格推理なのかな。コメディタッチのおふざけにイラっとくる。なんか、全体的に雑な感じで、感情移入できず結構読みにくい。最後の方の終章とかもよくわかんない。謎解きもあっそて感じでぴんとこない。

  • 短い中に、事件と仕掛けがぎっしり。奇想天外なトリックに脱力し、スマートなロジックに嘆息し。

  • 非常に軽くばかばかしい作風は好みが分かれるが、後にあまりにも何も残らないのは、どうも・・・。列車消失トリックはばかばかしかった。

  • 2004年5月30日読了

  • 「このミステリーがすごい!2002年版」第4位。<BR>
    <BR>
    幻の蒸氣機關車C63を走らせるプロジェクト。<BR>
    始發驛で發見される死體と、走るC63で發見される死體。<BR>
    さらには、列車乘つ取りの發生と、犯人の奇妙な要求。<BR>
    忽然と消えるC63。<BR>
    次から次へと、謎が生まれて、ラストへと收束して行く。<BR>
    そして、最後の最後に・・・!<BR>
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    ユーモアあふれる筆致で一氣に讀まされてしまつた。<BR>
    ついつい油斷してゐると、とんでもないことになると云つておかう。<BR>
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    掛け値なく面白い、本格推理モノである。<BR>
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    2004年4月9日讀了

  • 一度消失してしまい再び出現したこのミステリー。<BR>
    この作品にはバカミスならではの密室がありました。<BR>
    列車内の密室となった一室に全身の皮膚が剥ぎ落とされた他殺体が発見される。<BR>
    どうやってその被害者(通称アカムケさん)をそのような状態にすることができるのか?<BR>
    あ〜書きたいがネタバレするので終了。

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著者プロフィール

1959年岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。映画会社に勤めながら、94年に『おなじ墓のムジナ』で第14回横溝正史ミステリー大賞に佳作入選し、作家デビュー。主な著作に『パズラクション』(原書房)『死写室 映画探偵・紅門福助の事件簿』(講談社)など。

「2023年 『エフェクトラ 紅門福助最厄の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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