わくらば追慕抄 (角川文庫 し 39-2)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.77
  • (29)
  • (92)
  • (55)
  • (8)
  • (0)
本棚登録 : 489
感想 : 65
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043735037

作品紹介・あらすじ

人や物の「記憶」を読み取れる不思議な力をもった姉・鈴音と、お転婆で姉想いの妹・ワッコ。固い絆で結ばれた2人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立てていた。女の名は御堂吹雪-その冷たい怒りと霜しみに満ちたまなざしが鈴音に向けられるとき、何かが起こる…。昭和30年代を舞台に、人の優しさと生きる哀しみをノスタルジックに描く"昭和事件簿"「わくらば」シリーズ第2弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 前作の軽く優しい雰囲気に比べてこちらはちょっと重く、一話読み終える毎にあれこれ考えた。
    どちらも面白い事には変わりないのでまた続きを出して欲しい。

  • 不思議な能力を持つ病弱で美しい姉と、妹のワッコちゃんの
    ノスタルジックな昭和事件簿第2弾。
    どこか物悲しい雰囲気を含みながら、本作では
    薔薇姫という敵が出てきます。
    姉さまと同じ力を持っていて、それを悪用している。
    しかも、薔薇姫は姉さまのことを知っている?
    正体は明かされてはいないから、きっと続くんだよね?
    前作もそうだったけど、読み始めた時に想像している
    事の成り行きとは、全く違う結末がいつも待っていて
    そこに優しさや温もりを感じる終わらせ方をしているから
    安心して読むことができます。

  • わくらばシリーズの2冊目。
    光あるところ影があるように、白魔術と黒魔術があるように、ブラックジャックにドクターキリコがいるように、好敵手登場ってのは読者にとってワクワクするもんだ。また良き理解者の造反と復活、なんていう常套手段の展開もあり、結構盛り上がりのある巻となっている。

    昭和30年代を語るのに「戦争」と「貧困」を忘れたらアカンと思う。その時代をリアルに生きてきた人は忘れても良いかも知れんけど、後で生まれた人が、その時代が背負ってたものを意識せずに「あの頃は良かった」と語るのは、魂が入っていないノスタルジーにしか過ぎなくて薄さを感じてしまう。

    その荷物を重すぎず、でも決して忘れることのないように意識させられるこのシリーズ。主人公の姉妹と彼女らをとりまく人々の生き方を読むにつけ「俺も日常生活をもっと大事に丁寧に過ごさないといけないな」と居住まいを正す心地よさを味わえる。

  • 薔薇姫の登場で、姉様によって明かされる謎と対峙するように、姉様をとりまく謎は深くなっていく。
    なるほど、こんな能力を持ってしまっては、長く生きられる気などしない。
    儚くて、だからこそ、美しく燃えるのだろう。

  • わくらばシリーズ第二弾。わくらば日記に続いて、人の優しさと哀しみが心を打つシリーズが、永遠と読めなくなるんが個人として寂しくなる。そして仲の良い姉妹の前に現れた謎の女性、彼女は憎しみに満ちたまなざをお姉さんに向ける。それは…

    感想は別の所に書いているので、気になった方はご自由にお読みください。

    この下の概要のリンクをクリック
        ↓↓↓
    https://twitter.com/futonneko_/status/1392798146275823623?s=20

  • 「わくらば日記」に続く、わくらばシリーズの続編。

    人や物の記憶を「見る」ことができる姉と、活発な性格の妹。そんな姉妹が知り合った刑事や関係者たちと、難解な事件を解決していくストーリー。

    短編のようにいくつかの物語が収録されているが、時系列で進んでいくので、ちょうど「日記」を読み返しながら回想しているような構成になっている。

    ただ記憶を「見る」だけではなく、状況をよく観察し、その真意を判断することができる姉の思慮深さと、誰に対してもまっすぐな妹の性格は、この本をいつまでも読んでいたいと思わせるのに十二分なものである。

    そんな姉妹だからこそ築くことができる人間関係と、ふたりが関わるキャラクターたちの魅力に虜になるでしょう。

    続編を期待します。

  • 短編集。
    宗教というものが本当に人を救うのかどうかはわからない。
    でも、きっと心の中の平安を求めて宗教と向き合っているのだろうと思う。
    金に執着する宗教はまがいものだ。
    昔そんなふうに言っていた人がいた。
    もしかしたら、ナカツギさまにはわずかかもしれないけれど本当に不思議な力があったのかもしれない。
    でも、会長に利用されるようになってから、少しずつ間違った方向へずれていってしまったように思った。
    幸せになりたい。誰でも願うことだけれど、幸せかどうかは自分の心が決めること。
    人と比べて羨んだり妬んだりしていては、きっといつまでも本当の幸せは来ない気がした。

  • 吹雪が登場したときは、鈴音との過去を気になるぅみたいな感じを起こさせたけど・・・結局なに??鈴音はなぜ死んだのか、よくわからなかった。あまりさくさく読めなかったから、途中でやめそしてまた読みって感じなので、見落としたかな・・・。

  • まだまだ続きを書いてほしいなあと思うのです。お姉さんは、その後どうなったのかまで知りたいな

  • 秦野さん、気にしてたのか。てっきりお気楽な人だと思っていました。
    ワッコちゃんの語り口は、読んでいてとても心地よいです。
    姉さまは強いですね。傷付きながらもしっかり人と接する姿が、痛々しくもカッコいい(健気と言うのでしょうか)。
    『冬は冬の花』が好きです。

全65件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朱川湊人の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×