ロマンス小説の七日間 (角川文庫)

著者 :
制作 : こなみ 詔子 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 3240
レビュー : 470
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043736010

感想・レビュー・書評

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  • 神名(かんな)とあかりのなれ合い的な恋愛。
    あかりの想いが かんなにとどいていない。
    かんなは まったくのマイペース。
    長続きしないタイプでふわふわしている。
    そんなあかりは 外国ロマンス小説の翻訳家。
    その小説を自分の想いで、ストーリーをかえてしまう。

    ウォリックとアリエノール。
    かんなが ふわふわしているので、
    あかりは ウォリックに思い入れがあるようだ。

    ウォリックは、オトコらしい。敵であれば殺してしまう。
    いわゆる肉食系なオトコ。
    領主であるアリエノールと結婚する。
    アリエノールと2週間の生活で、
    ウォリックを憎らしいと思っている
    ハロルドのかくれ野盗にウォリックは、殺されてしまう。
    これでは ロマンス小説が成立しないが、
    むりやり ウォリックの友人 シャンドスと
    アリエノールを くっつけて ハロルドに敵対する。

    ハロルドは アリエノールと結婚したいのだ。
    それを 防ぐには アリエノールは 妊娠をめざす。

    結婚を希望しない かんな。
    結婚を希望する ハロルド。
    なぜ結婚するのだろう。なぜ結婚したいのか?
    ということが 大きなテーマなんですね。

  • こういう構成は、大好きです。

    古巣である演劇集団キャラメルボックスの代表作の一つに、『スケッチブック・ボイジャー』というのがあるのですが、構成が近いです。

    現実(作家)とフィクションの世界(作品)を交互に描いていき、いつの間にか、フィクションの世界と現実との境目が曖昧になっていくという。

    ありがちと言えばありがちだけど、うまくやらないとどっちらけになってしまうけっこう大変な構成の作品。

    中世騎士ロマンス物語のお話と、現実の翻訳者のお話。

    これこれ、こういうの好きなんです。

    その昔、先の『スケッチブック・ボイジャー』を作った師匠に、「僕もこういうの好きなんで、いつかこういうの作りたいんですよねえ」とぼやいたことがあります。

    なぜぼやきになるかというと、そのままやったらただの「師匠の猿まね」といわれてしまうので、悲しいかな師匠の使ったネタは使えないという意味不明な縛りを自分自身に設けてるからであって、あれ、よく考えたら自分で気にしてるだけで他に誰も気にしてる人はいないし、別に気にせずやっちゃえばいいじゃんと今思った。

    そりゃそうかー。

    とはいえ、この『ロマンス小説の七日間』も、「こういうの」である以上、今度は逆に、両作品から影響を受けずに果たして新作をかけるものかどうか。いや影響は受けるだろうけど、その上で自分のものにしないとね。何の話だ?

    そのうち、自分にちょうどいい形でネタが固まったら書くことでしょう。

    構成だけじゃなくて、本編も面白いです。

    なんと言っても、現実に戻ってきたときの、翻訳家あかりのざっくばらんな物言いが面白くてたまらない。

    女性って、人前であくびするしあぐらもかくし放屁もするしげっぷもするし、男が夢見るお姫様な女性なんて、フィクションの中にしか存在しなくて、もっと現実見ろよ、と思うのですが、三浦しをんという女性作家はその辺り、男にこびるタイプの女性を描かないので、非常に胸がすくというか、気持ちいいです。

    P150、四日目の冒頭を読んだ段階で、もう、ギブギブ、ギブアップ。

    すこぶる付きで、このあかりという女性は、素晴らしいと言わざるを得ない。

    すこぶる素晴らしい!

    え? 何が書かれているかって?

    読め。買って読め。面白いから。

    面白くなくても責任はとらないけど、僕はこれが好き。好きなんだよおおおお。

    あともう一つ。

    一番爆笑したのが、あとがきです。

    あとがきで楽しませてくれる作家って、最近は減ったなあと言うか、あとがきもあまり書かない人がいるけど、僕は、あとがきが面白すぎるが故に、各作品のあとがきだけを集めて一冊の本にまとめてしまった菊地秀行御大が大好きなので、あとがきが面白い作家さんは、それだけで好きになれます。

    だから、大丈夫。

    この作家も作品も、大好きです。

  • ハーレクイン・ロマンスならぬコロンバイン・ロマンス作品の翻訳を生業とする若い女性をヒロインにしたお仕事小説。かと思って読んでいたら、あとがきで、恋愛小説の依頼で書かれた作品だと判明。2003年、角川文庫書き下ろし作品。
    ヒロイン・あかりが翻訳する中世ロマンス作品(一章~七章)と、翻訳入稿直前のあかりの実生活(一日目~七日目)が交互に書かれるという構成。実生活では、半同棲中の彼氏・神名が突然会社を辞めたり、二人の呑み仲間まさみちゃんが神名にちょっかいを出していると疑ったり、神名が海外放浪の旅に出ようとしていることがわかったり、挙げ句にケンカをしたり、という七日間が描かれます。その実生活のゴタゴタからか、翻訳作品パートが、予定調和のロマンス作品の翻訳から逸脱して、あかりの創作した予定調和から外れた作品に変化してしまうところが面白い。ただ、この辺りの本当の面白さが理解出来るのは、ハーレクイン・ロマンスの内容のパターンがわかるくらい読んでいる女性ではないですかね。
    全体的に、ユーモア感覚とパロディ感覚に溢れた作品で、自分が三浦しをん作品に期待するものとはちょっと違いましたけど、ケンカをした次の日のあかりが自己を内省する「五日目」は、同時期の三浦しをん作品『秘密の花園』に通じるような雰囲気。この「五日目」があることで、ただの面白小説では済まない作品になっていたと思いますよ。

  • ロマンス小説と、現実と。
    あかりと同じように神名にむかむかしたりもしたけれど、どうなるかわからないけど、でも、まぁ、いいよね、とそんな軽い気持ちにさせてもらえた。

    あかりのロマンス小説、すきだなぁ(笑)

  • 翻訳家の主人公あかりは、中世騎士ロマンス小説の締め切りに追われているのに、自分の周りでは彼氏からの爆弾発言やら浮気疑惑、おまけに父親は腕を骨折するし、どうも騒がしくて仕事に集中できない。そのうちハッピーエンドで終わるはずの翻訳中の小説が、いつの間にかあかりの創作になってきてしまいます。

    あかりが翻訳&創作中のロマンス小説とあかりの実生活が交互に7章/7日分で描かれています。
    あかりと一緒に彼氏、神名の爆弾発言にドキドキしながら読んでました。ハーレクインばりのなんとも言えぬ比喩表現があったり…電車の中で赤面と笑いをこらえるのに必死でした(爆)

  • おもしろかった!
    今の私にベストヒットした!笑
    あかりすきだな、あかりの気持ちすごいわかった。

    久しぶりに本読めて、元気でた!研修がんばろう。笑

  • 三浦しをんが、恋愛小説を書いたらこうなった、って感じだ。
    ってたぶんこの作者の著作(特にエッセイとか)を読んだことがある人は頷いてくれると思う。

  • さらさらと読める。かんながゆるい

  • (2017/2/23読了)
    2003年の文庫で、かなりくたびれて変色しまっていることから、たくさんの人が借りて読んだのだろうと想像出来るこの本を、予約待ちしてやっと借りて、私の後にも予約待ちがいるってどういうこと?何かあったのか?ちょっと調べてみよう。
    現実と主人公の翻訳中の中世(多分)ヨーロッパの物語が交差して書かれてる。
    あまりに無視した翻訳なので、現実の翻訳家は怒るどころか呆れて笑っちゃうだろうな。。。って実際の翻訳についてはざっくりとしか書かれてなく、詳細は未公開のままたけど。
    三浦さん=妄想家との前提で読んでしまう。現実の部分も然り、翻訳の部分では炸裂!していて、とっても面白かった。
    あとがきも本文とは違うもの、エッセイとして読んでも面白い。

    (内容)
    あかりは海外ロマンス小説の翻訳を生業とする、二十八歳の独身女性。ボーイフレンドの神名と半同棲中だ。中世騎士と女領主の恋物語を依頼され、歯も浮きまくる翻訳に奮闘しているところへ、会社を突然辞めた神名が帰宅する。不可解な彼の言動に困惑するあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちを小説の主人公たちにぶつけてしまう。原作を離れ、どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!注目の作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説。

  • ラブロマンス小説は苦手で読まないけど
    三浦さんの書いた中世ラブロマンスにはドキドキしたし面白かった…ウォリックとシャンドスに惚れ惚れ。どっちの子でもいいけどウォリック死んで欲しくなかったなぁ…メインの話より翻訳してる話の方が気になった。
    メインの話の方で印象に残ったのは、あかりがムーミンの声真似をして神名がスナフキンの声真似で返すところ。グッときた。
    さくっと読めて読了後モヤる事もないから、とてもいい本。

著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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