月魚 (角川文庫)

著者 :
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レビュー : 888
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043736027

感想・レビュー・書評

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  • 装丁も題名も田舎っていう設定も……全て繊細な雰囲気を漂わせておきながらその芯は意外と力強い。
    またBLも含むということでどんな風に描かれるのだろうと身構えてたけど、匂い系とガチ系のやつの狭間っていう絶妙な所で小説の内容に対する違和感もないし、むしろその関係がないと!って思える。
    綺麗で繊細なテーマに見えて実は力強い。
    また古書を取り扱うってのも、魅力的(ビブリア古書堂読んでるせいかもだけど…)。
    いろんな人の青春や思い出とかが詰まってる美しい作品だと思う。

  • すごく引き込まれた。
    買うか買うまいか、すごく悩んでいたのだが
    表紙が変わるということで、購入を決心した一作。

    あまり女の子が出てこない珍しい作品で、
    なんとなくBL臭がする作品だが
    とても素朴であたたかくいい作品だった。
    古本屋を舞台とした本に対する愛情が
    感じられ、ふと古本屋に訪れたい。
    そうたくさん思わせられた。
    それと共に、こんな風に本を愛して生きることができたら、すごく幸せだと思った。

    故人の本を引き取ってほしいというので
    真志喜と共に太一が訪れた話しでは、
    真志喜がこのように故人のことを考え、
    一番大切な本を選んだということを聞いて
    真志喜のような人に本を任せたいと
    そう思う気持ちがよくわかった。
    利益などではなく、人の想いを大切に
    本を選ぶことができる真志喜を素敵だと思った。

    何気無い日常をこのように切り取り、
    あたたかい物語にしてくれる三浦しをんさんは
    本当に素晴らしい作家さんだとそう思った。
    この本に出会えて、良かった。

  • 最初は三浦しをんさんにハマり、図書館で片っ端から読んだことで出会ったのだが、単行本未収録の文庫版書き下ろしがあると店頭で知ってしまい、結局購入してしまった一冊である。ぶっちゃけ、真志喜さんと瀬名垣さんの関係に萌えてしまったのだ。たぶん、そういう関係なんだろうとは思うが、お互いがお互いの世界を持っていて、かつ一人で立っている繋がりというのがツボだったらしい。先にエッセイで三浦さんがいわゆる腐女子であるというのは百も承知であったのだが、まさか自分でも書いちゃうとは思いもしなかった……。まあ、でもそういった関係を除外して、古本屋事情などから読んでも面白い。背どり屋さんとの微妙な古本屋業界が描かれていて満足した。後ろの方で語られる高校時代の彼等についても、夏休みマジックと青少年マジックによって、私は夜の街頭に群がる虫たちの気持ちを味わった。

  • 真志喜と瀬名垣の意味深な関係に想像力を掻き立てられます。表紙も可愛くて、お気に入りの一冊です!

  • びっくりした。
    冒頭から引きずり込まれる静かな世界に、ただうっとりしていただけだったのに、瀬名垣が真志喜に会った瞬間、背筋がぞくっとした。
    三浦しをんという作家さんには、エッセイから入ったからこそ、余計に、彼女の書く小説には毎回驚かされる。それも、とびきり心地よいやり方で、毎回。
    何も説明されていないのに、過去なんて暴かれていないのに、「ああ、そうか」と感覚に訴えかける文章は、圧巻。
    エピソードのひとつひとつ、登場人物のひとりひとりが、とても丁寧に、とても愛情をもって描かれていて、不器用だけれども、決して悪人ではない人間たちがその場にひっそりを佇んでいて、文章の間、句読点の間で、何度もため息を頭の中だけでついた。

  • 大好きな三浦しおんさんの初期の頃の作品。
     
    古書店『無窮堂』の若き当主真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。
    二人の古書と過去を巡る物語。
     
    古書というものに興味がないので正直入り込める内容ではなかったですが、三浦しおんさん独特の優しい雰囲気の文体はこのころから健在。
     
    ある一冊のいわゆる『お宝本』を巡り、親友の家族関係を壊してしまった、というのは我々一般素人からしてみたら、なぜそこまで? と思わせるものの、こういった業界の人たちにとっては本当に重大な問題なのかも、という説得力を持たせてくれるのはさすが三浦しおんさん、といった内容です。
     
    ☆は3つですが決してつまらないわけではなく、私の好みに合わなかったというだけ。
    三浦しおんさんファンなら迷わずおすすめできる1冊です。

  • 本編もいいが、『水に沈んだ私の村』でのプールの場面、真志喜と瀬名垣、みすずと秀郎、そして宇佐見先生の会話がなんだか映画にできそうなほど輝いていた

  • まほろ駅前多田便利軒の男ふたりを古書店に移して、そのふたりの間に恋愛感情を持たせたもの、と言ったら強引すぎるでしょうか。

    古書店“無窮堂”の店主・真志喜と、その幼なじみでやはり古書界で働く瀬名垣。共に25歳で、業界では若すぎる存在だから、嫌みも言われるけれど、目利きは確か。幼少時のある出来事のせいで、お互いを想う気持ちを明かせないまま。

    本作はそんなふたりが、ある家を本の買い取りのために訪れます。本だって生きている。本の生死に関する言葉が面白い。もう1編は、ふたりが高校生時代の話。真志喜にどうしようもなく惹かれている男性教師の視点で語られます。いずれも直接的なBL(ボーイズラブ)の表現はないものの、細かな描写がそれそのもの。そこが引っかかる人は受け付けられないと思いますが、なによりも小説として美しい。本の査定の話も面白く、また、高校生時代の話は王道の青春物語。

    ひとつだけ引っかかったのは、「眠られず」という表記。ら抜きはもはや標準化しているとしても、ら入れはいただけないかと。(^^;
    というところを差し引いたとしても、やはり三浦しをんはイイ。

  • 古書店屋の瀬名垣とましきの物語。幼い頃から絡み合う2人の人生。狭い古本業界のなかで生きていく中で、お互い支え合い、共感しあい、ライバルとしても頑張る2人。父子関係がいろいろあったが、お互いを思う心で乗り越えていく。

  • 何処かでみてきた みていたような

    不可解な感触

    だけど 不思議な安堵もあって

    生きる 愛する 哀しむ

    いのちにはさまざまなかたちがあってよいのだと

    自身の奥底の暗さを抱えたまま

    誰かを想うこともできるかもしれない

    かすかな あかりがともった 氣がした

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著者プロフィール

三浦 しをん(みうら しをん)。
1976年、東京生まれの小説家。出版社の就職活動中、早川書房入社試験の作文を読んだ担当面接者の編集者・村上達朗が執筆の才を見出し、それが執筆活動のきっかけになった。小説家の専業になるまで、外資系出版社の事務、町田駅前の古書店高原書店でアルバイトを経験。
2006年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞受賞。2012年『舟を編む』が本屋大賞に選ばれ、翌年映画化された。2015年『あの家に暮らす四人の女』が織田作之助賞受賞。また、『風が強く吹いている』が第一回ブクログ大賞の文庫部門大賞を、2018年『ののはな通信』が第8回新井賞を受賞している。
Cobalt短編小説賞、太宰治賞、手塚治虫文化賞、R-18文学賞の選考委員を務める。最新刊に、『愛なき世界』。

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