三日月が円くなるまで 小十郎始末記 (角川文庫)

  • 角川書店 (2008年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784043739028

作品紹介・あらすじ

仙石藩と、隣接する島北藩は、かねてより不仲だった。島北藩江戸屋敷に潜り込み、顔を潰された藩主の汚名を雪ごうとする仙石藩士。小十郎はその助太刀を命じられる。青年武士の江戸の青春を描く時代小説。

みんなの感想まとめ

青年武士の成長と人間関係を描いた物語は、藩の名誉を取り戻すために奮闘する主人公小十郎の姿を通じて、自己発見と生きる意欲をテーマにしています。彼は父から見放され、優柔不断な自分を変えようともがきながら、...

感想・レビュー・書評

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  • 父親からも捨石扱いされてしまった優柔不断な小十郎だったけれど、死んだふりをしてまで慕ってくれた娘、ゆたと一緒になって初めて生きる意欲が湧いた様だ。
    死んだふり、一度してみたけれど俗世間にいる間では本当に難しいものだ、病気覚悟しなければ。

  • どうなるのかなぁと思いながら読み進んでいきました。
    藩主の汚名をそそぐというお役目から話はどんどん展開していくのですが・・・
    托鉢の賢龍の活躍も楽しかった。
    「ゆた」との関係はどうなる?って思ったけど、最後には納得して読み終わることができた。
    いつもながら「宇江佐さん」の作品は好き♪

  • 偶然にも「銀の雨」を読んだ直後だったので、ゆたのその後を見届けることが出来て良かった。武士とは本当に窮屈なものだけど、生きていれば良いこともある。私も嫌なことがあったときも、死んだふりして生きていこう。

  • 著作に嵌まるのかな。2011年7月に引き続き病院の売店で文庫を購入。
    なんといっても能筆です。生善なる人々を愛でる。
    …「お世話になりました。どなたさんもお倖せに。小十郎はまた呟いた。」
    …「仇討など、この程度でよかったんだ。さすれば庄左衛門の首も繋がっていただろう」
    …人間、何が幸いし、何が不幸になるか知れたものではない。徒に落ち込むことはないのだ。その内に解決の糸口はきっと見つかる。…

    自爆テロ。神風特攻。回天。ここには何時も平気で他人へ”死の切符”を切る輩が必ずいる。私は彼らを憎悪する。宇江佐真理氏の述べる「死んだふり」がいい。”命を懸けた行為”なぞ知るものか!

    角川文庫「三日月が丸くなるまで」縄田一男氏の解説について。
     『彼は、この小説の解説欄を拝借し、池田晶子氏の解説をしているのであって、宇江佐真理氏の当小説をの解説しているわけではあるまい。
    「死を持って抗議するということは、その善し悪しは別にして、人間jだけ可能な行為である。埃のために死ぬ。正義のために死ぬ。人間jは命より大事なものがあるとおもうから、この行為は成立するのである。受ける側もその意味を理解する。……』「小十郎こそは、命の重さをしっかりと、受け止める側の人間ではないのか」

     宇江佐真理氏はそんなことを語ってはいないのでは?」。
    「志摩の上の別邸だった。だが、白木門を見た途端、二人は声を殺して笑った。その門には巨大な陰茎が黒々と描かれていた。…本所の上屋敷にも同じような落書きがあるそうだ。」「仇討など、この程度でよかったんだ。さすれば庄左衛門の首も繋がっていただろう」
    藩主の見栄と屈辱感のために、”藩主=国=武士の一分=命を賭して戦う”…死んだふりがいいといっているのです。
    藩主の急死に在って、「替え玉を立てたら、忠義にならないわけで、未払い給与が支払われない株式会社の倒産捥がれにすぎない」。忠義とは、たとえ改易に逢っても主家の血筋を護ことでしょうが。状況次第で、正義のために死を賭しているわけで。指示する輩がいなければ、特攻機も回天も、桜花も作られない。組織的扇動なわけです。自爆テロなど賛美することはできない。
    「…下々は、死んだふりがいいい、そのうちに解決策の糸口はきっと見つかる」…そのうち真実が見えてくるから焦らずに「死んだふりで待つ」がいいのだろう。

  • タイトルが巧い。主人公・小十郎が町娘ゆたと恋をして、賢龍との友情を深めていくにつれ、三日月が満月になるように成長していく。
    厳しい武士社会・・・「いやおうもなく流されて、気がつけば手前ェの居場所がなくなっている。それもこれも世の中ですよ。」ゆたの父・八右衛門の言葉どおり小十郎の人生も右往左往するが、「死んだふり」の生き方が小十郎を幸せにする。

  • 藩主の敵討の手伝いをすることになった刑部小十郎。父親の伝手を頼って江戸市中の借家に住まうことになる。その大家であり古道具屋「紅塵堂」の娘・ゆたとふたりは互いに惹かれあう。周囲に翻弄されつつ不器用に生きるふたりを中心とした青春時代小説。
    * * *
    この話は別のお話『銀の雨』と設定を共有しています。『銀の雨』に出てきたゆたがヒロイン。正直、『銀の雨』を読んでいると、あのゆたが恋なんて(笑)と思ってしまいます。ごめんなさい。
    もどかしいような切ないようなそんなお話です。主人公が藩に仕える武士で(嫌々ながらも)仇打ちの為に奔走する為、かなり武士について踏み込んでいるかなと思います。
    個人的に賢龍のその後が気になります。

  • 2017.1.8

  • それぞれ哀しみを抱えながら必死で生きる人々に感動します。
    作者が亡くなったのは残念。

  • 主人公にあまり魅力を感じなかった。
    実際は悪者なのか?味方なのか?
    と途中ドキドキした登場人物が何人か居たけど、どんでん返しは無かったので、拍子抜け。

  • 南部藩と津軽藩の間に起こった檜山騒動を素にした話。
    なんで架空の設定にしたのか?と疑問に思ったら、解説もちゃんと読もう。
    宇江佐真理をさらに好きになるかも!

  • 素敵なお話でした。
    時代背景もすごく分かりやすかった。
    キャラクター一人一人が生き生きしていて、すぐに物語に引き込まれました。

  • ふわっとした安心感

  • 小十郎の始末。藩に翻弄される若者の話。もっと小粋な話かと思いきや内容は重い。

  • 某東北の藩の若者が、とある事情により江戸の藩邸から町長屋へ移り住み、さまざまな人々と出会い成長していきなんたらかんたら・・・・・。設定がややこしすぎるのか、登場人物それぞれの魅力が描ききれてない気がします。終盤にかけて、なんだか慌ただしかったなぁ。可もなく不可もなく、といった読後感。・・・ていうか、たなぞう終了のニュースのほうが気になるよぉ〜!

  • 江戸時代を選んで書いているのは、名もない一人の庶民と自分が繋がっているかも知れない、という思いからだと著者の宇江佐さんは語っているそうです。また、今の時代の便利さやスピードに対する疑問からともおっしゃっているそうです。

    今の時代、スマートフォンなどが登場し、どんどん便利になり、さまざまなものの流れが速くなっています。

    人と人との関係も、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアがコミュニケーションに欠かせなくなりつつあります。情報の伝播力はすさまじく、中東では革命に一役買っていたという。

    ネットを中核にしたコミュニケーションの領域には、もはや国境は見当たりません。

    今回の東日本大震災では、安否確認や被災地の状況などでネットも大活躍したようです。

    私も故郷の母が心配で、電話は不通、停電で、通常のコミュニケーション網は役に立たなくて、地元のブログにコメントを書き込んで、安否と状況を確認できました。見も知らぬ人々に助けられました。

    しかし、どこまでこの拡張・拡大の波動は続くのでしょうか。

    日々の生活に潤いが感じられなくなってきたように思っています。

    江戸時代は夜は暗く、夏は暑く、冬は寒かった。
    電話もない、電気もない、メールもない。

    その時代をいまは決して望んではいませんが、少し不便になり、少し速度を落としてもいいではないかと思うことが多くなりました。

    この物語の中で、恋するものたちは、「待つ」ことを強いられます。待つことに耐えなければなりません。待つことで、しかるべき時を創らなければなりません。

    江戸から東北盛岡までの距離を歩いて往来していた。その道中では何を考え、何を思って歩き続けたのでしょう。

    私に必要なのは、そうした時間をしっかりとることだと最近しみじみと感じています。

  • 仙石藩士の刑部小十郎は、藩の汚名をそそぐ、助太刀を命じられた。

    町屋の娘、ゆたとの淡い恋。
    雲水の賢龍との友情。
    小十郎の成長。などなど。



    「人間、何が幸いし、何が不幸になるか知れたものではない。徒に落ち込むことはないのだ。そのうちに解決の糸口はきっと見つかる」(本書 298頁より)


    読後感がよかったです。どうなるのかハラハラして、引き込まれる、宇江佐作品はおすすめです。

  • 2009/02/22-2009/02/23

  • <DIV style="background-color : white ;color :black ;padding : 8px 8px; border : 1px inset #ddd; margin : 0px 5px;">武士の面目に殉じるのもやぶさかではない小十郎。結局選んだのは「死んだふりをして」生きること。それは武士ゆえではない。町人にだって「死んだふり」が生きるために必要な時もある。自らの情に従えば、世間の風を受け流さなくちゃ生きていけないのだ。</DIV>
    <h5>出版社 / 著者からの内容紹介</h5>
    仙石藩士・刑部小十郎は、藩の御長屋を出て、江戸市中の借家に居を移した。仙石藩はかねてより隣接する島北藩と不仲だったが、仙石藩主が島北に面子を潰される事件「桧騒動」が勃発、小十郎の朋輩・正木庄左衛門は義憤に駆られ、藩主の汚名をそそごうとしていた。小十郎は、その助太刀を命じられたのだ。大家である古道具屋・紅塵堂の娘・ゆたとの淡い恋をはじめ、人情篤き人々に囲まれた、ほろ苦く切ない江戸の青春時代小説。

  • やはり面白い。しかも珍しくハッピーエンド。しみるなぁ。

  • 12/30

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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