パイロットフィッシュ (角川文庫)

著者 : 大崎善生
  • 角川書店 (2004年3月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043740017

パイロットフィッシュ (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 初めてこの人の作品を読んだ。
    どこかで絶賛しているのを見て、何の先入観もなく。
    透明感のある瑞々しい文章や気のきいた台詞、よどみない構成などなど、とっても良かったと思う。
    感傷的すぎるきらいはあるけれど。

    でもね、やっぱり村上春樹から影響受けすぎでしょう!!
    主人公の立ち位置とか女の子の登場の仕方とか。
    その辺り気になって気になって。
    読み終わって改めて調べてみると村上春樹チルドレンか。
    やっぱり・・・。

    それに春樹の作品だと古臭さを感じないけれど、この作品だと時代を感じてしまうというか、今の時代に合わないというか。
    これは私の感性の問題かもしれないけれど。
    20代の頃に読んでれば違ったかな。

    悪くはないんだけどごめんなさい。
    大人の小説とは言え、40代にはきつかった(^_^;)

  • フォローさせていただいているレビュアーさんのおススメで読んだ一冊。

    冒頭の文章が素晴らしい。
    この冒頭一ページに書かれているのが、全体を通しての〈時間と記憶〉の観念であるとともに、たぶん底に流れるテーマでもあるのだろう。

    主人公・山崎にかかってきたかつての恋人由希子からの19年ぶりの電話。
    そこから山崎の視点で過去の回想と現在を往き来する構成で、恋愛や敬愛する人の死が語られる。
    ひとつひとつの出来事が、その都度だと過剰だと感じるのだが、読み進めるとその後に続く出来事の原因になっており、必然だったのかと納得する。

    文章は手入れの行き届いた山崎のアクアリウムのように透明感があり、村上春樹を彷彿とさせる。(といっても長い間、村上春樹を読んでいないので的外れな印象になっているかも)

    残念だったのは、由希子と「可奈ちゃん」の正体について話す場面。
    はっきりした名前は出さずにほのめかすだけでよかったのに、と思った。
    可奈ちゃんの手紙だけで読者が驚くには十分こと足りる。

    読んでいる間中、頭の中で前半はThe Policeの♪Every Breath You Take、後半はThe Beatlesの♪Across the Universeが流れていた。
    (直前に読了した『虹果て村―』と曲は違えどまさかのポリスかぶり)
    音楽を聴くという目的以外で音楽を流すときはわたしも極小さな音量でかける(山崎の「意識に届く前に消える」よりは大きな音かもしれないけれど)ので、妙なところで山崎に親近感を覚えた。

  • わたしを作ってくれた全ての人に感謝をこめて。

    文章の透明感。すごく読みやすい。すっと入ってくる。表紙が綺麗。話は、もしかしたら退屈と感じる人が多いかもしれない。でも、静かで、切なくて、優しい。

    今まで出会った人すべてが、確実に自分のパーツになっている。思い出さない人も、必ずどこかに影響している。タイトルのパイロットフィッシュのように、自分が泳ぐ前に水槽の環境を整えてくれる人がいたのだ。自分はその人を知らないかもしれないけど。

    大切にしたい小説。

  • 素晴らしい。このとうめいな水のような読後感を表す言葉は、それ以外に思い浮かばなかった。
    この小説に出逢えたことで今までの出逢いや別れのことが少し納得できたように、きっとこれからも繰り返すであろう出逢いや別れの時々に、きっとこの小説が僕を、深い水の底から抱き上げてくれるだろうと思えた。
    この小説はそのための、「パイロットフィッシュ」そのもの。
    今日というこの日に、この小説に出逢えてよかった。

    今までに出逢ったすべての人が、どうか優しい気持ちで、そして幸せであってほしいと願わずにいられない。そういう気持ちにさせられる一冊だった。

  • うーん・・・

    青春小説や恋愛小説って、ストーリー展開よりその世界が売りだから
    合わなかったらひたすら合わないんだよねー。
    ミステリーやホラーみたいに、ストーリーに逃げれないだけ、一回「めぇ」って思ったらひたすら“読み続ける=苦痛”になってしまうし。
    そういうネガティブ先入観があるから、いい事言っても面白めの展開になっても感動薄め。

    これもそう。
    残念ながら自分には合いませんでした。

    アダルト雑誌編集者の山崎君。激方向音痴。
    19年ぶりにモトカノ・由希子から電話を貰って、逢う約束して、思い出す過去:東京出てきてひきこもり、バイト先の店長にやけに気に入られ家族団欒によばれ、エロ本会社に就職決めて、店長が事故で死んで、傷心の隙に付け入られ由希子の宿敵と浮気して、etc.
    「犬飼ってるの?」と聞かれ思い出す、仕事を通して知り合ったナンバーワンキャバ嬢、可奈。ズタボロに疲れ切った彼女を養ってあげたり、犬飼ってやったり、熱帯魚のこと教えてあげたり。で、ある日失踪。彼女から手紙を預かったと言う七海とひょんなことから付き合いだして。
    と言う経緯を語りつつ判明する、可奈=店長の娘。
    ほぼクライマックスですが、もう一つ判明する、由希子の今の旦那の浮気相手=宿敵。

    パイロットフィッシュ=水槽に住みやすいバクテリアを適度に提供するため、最初に飼う魚のこと。
    らしいですね。
    「店長は僕らのパイロットフィッシュ」らしいですが、何のことやら。

  • 広い世界に住んでいる私たち、
    でも一生のうちで深く自分とかかわる人々は
    本当に少なくて限られた世界。
    その小さな世界で私たちは生きていくのだなぁと思わされた。
    その小さな世界での生、死、性の話でした。

  • 大崎善生の文章が好きで、
    これまでも何冊か読んだけど、
    これはとても良かった。

    苦しいけど清々しい感じ。

  • これまでのこと全部が自分を作ってるんだなって思った
    人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない

    ふとした時に思い出しながら生きて行くんだろうな~

  • 大崎善生を読むのは初めてでしたが、とても良かったです。男性の持つ弱さや繊細さが、良い形で表現されている小説だと思いました。
    主人公が登場人物達と交わす会話が印象的でした。映画化しても絶対良い感じになると思います。個人的には、由希子が大好きです。この先どうか由希子が幸せになってくれれば良いなと思いました。

  • やっぱりいい!
    一度知り合ったものは決して離れることはできない。日常の意識から消えることはあっても、ふとした時にすっと蘇る。恋愛感情以外でもそうなのだろう。

    ニヒルな描写があるけど、大学生の頃の疎外感なんかはリアル。そして、深く愛情があっても、道を外れてしまった恋愛。それが本物ならばまた会えるはず。さよならを言うためだけであっても。
    ラストに向けては切ない気持ちが流れる風のように描かれてる。

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