- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043740017
作品紹介・あらすじ
かつての恋人から19年ぶりにかかってきた一本の電話。アダルト雑誌の編集長を務める山崎がこれまでに出会い、印象的な言葉を残して去っていった人々を追想しながら、優しさの限りない力を描いた青春小説。
感想・レビュー・書評
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初めてこの人の作品を読んだ。
どこかで絶賛しているのを見て、何の先入観もなく。
透明感のある瑞々しい文章や気のきいた台詞、よどみない構成などなど、とっても良かったと思う。
感傷的すぎるきらいはあるけれど。
でもね、やっぱり村上春樹から影響受けすぎでしょう!!
主人公の立ち位置とか女の子の登場の仕方とか。
その辺り気になって気になって。
読み終わって改めて調べてみると村上春樹チルドレンか。
やっぱり・・・。
それに春樹の作品だと古臭さを感じないけれど、この作品だと時代を感じてしまうというか、今の時代に合わないというか。
これは私の感性の問題かもしれないけれど。
20代の頃に読んでれば違ったかな。
悪くはないんだけどごめんなさい。
大人の小説とは言え、40代にはきつかった(^_^;) -
フォローさせていただいているレビュアーさんのおススメで読んだ一冊。
冒頭の文章が素晴らしい。
この冒頭一ページに書かれているのが、全体を通しての〈時間と記憶〉の観念であるとともに、たぶん底に流れるテーマでもあるのだろう。
主人公・山崎にかかってきたかつての恋人由希子からの19年ぶりの電話。
そこから山崎の視点で過去の回想と現在を往き来する構成で、恋愛や敬愛する人の死が語られる。
ひとつひとつの出来事が、その都度だと過剰だと感じるのだが、読み進めるとその後に続く出来事の原因になっており、必然だったのかと納得する。
文章は手入れの行き届いた山崎のアクアリウムのように透明感があり、村上春樹を彷彿とさせる。(といっても長い間、村上春樹を読んでいないので的外れな印象になっているかも)
残念だったのは、由希子と「可奈ちゃん」の正体について話す場面。
はっきりした名前は出さずにほのめかすだけでよかったのに、と思った。
可奈ちゃんの手紙だけで読者が驚くには十分こと足りる。
読んでいる間中、頭の中で前半はThe Policeの♪Every Breath You Take、後半はThe Beatlesの♪Across the Universeが流れていた。
(直前に読了した『虹果て村―』と曲は違えどまさかのポリスかぶり)
音楽を聴くという目的以外で音楽を流すときはわたしも極小さな音量でかける(山崎の「意識に届く前に消える」よりは大きな音かもしれないけれど)ので、妙なところで山崎に親近感を覚えた。-
>アクアリウムのように透明感
なんて適確にこの本を表現した素敵な表現!私は大崎さんの透明感のある文体が本当に好きなんです。
そういえば「...>アクアリウムのように透明感
なんて適確にこの本を表現した素敵な表現!私は大崎さんの透明感のある文体が本当に好きなんです。
そういえば「可奈ちゃん」って私の本名と同じなんです。パイロットフィッシュ読んで( ゚д゚)ハッ!となった記憶をまざまざと呼び起こしましたw
一つの本の感想をこうやって色々な方々と交わすのって本当に楽しいですね!2013/03/27 -
cecilさん♪
こちらのほうにもコメントと「いいね」までいただいて…ありがとうございます!
本当に大崎さんの文章は綺麗ですねぇ。
...cecilさん♪
こちらのほうにもコメントと「いいね」までいただいて…ありがとうございます!
本当に大崎さんの文章は綺麗ですねぇ。
cecilさんがお好きだとおっしゃるのもわかります。
ご本名が可奈ちゃんなんですかぁ。
字も同じなのかな。自分と同じ名前が読んでいる本に出てくると
ビックリ&嬉しいですよね(* ̄∇ ̄*)
(うれしいかどうかは、設定によりますか;)
同じ本でも人それぞれで楽しいですね。
同じ感想でうれしくなっちゃったり、違う感想で「おおっ」と驚いたり!!
ブクログで本の世界がさらに広がって、
積読は減らないのに読みたい本が増える一方です(^▽^;)2013/03/28
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パイロットフィッシュというテーマがすごく面白いなと思いました。このテーマはいろんな人間の生き方に当てはめることができるので、いろんな物語に派生できる可能性があるなと感じました。
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なんとなくタイトルとジャケットに惹かれて手にした初読みの作家さんでしたが、全体が村上春樹作品に似ている感じで、それをライトにした印象というか雰囲気でした。ライトだから読んでいてもしんどくない。そして読んだあとの感覚も程よくいい。
なんか、とてもよかった。 -
「人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない。なぜなら人間には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶とともに現在を生きているからである。」
文頭からぐっと引き込まれた。
今まで生きた中で出会ってきたたくさんの人から影響を受けて今の私が形成されていると思うと、人との出会いの大切さが身に染みる。 -
眠れない夜に読みたくなって、再読。
村上春樹の模倣とも言われるこの作品。
出版社で長らく働いてきた主人公の山崎は独身で一人暮らし。
彼の趣味と言えば、熱帯魚を飼育し、聴こえるか聴こえないか微妙な音量でポリスを流し、ビールを飲むというもの。
確かに村上春樹っぽい!
大学生の頃にこの本を読んだ自分は、そんな気だるくも静謐な生活に憧れを持ったものだった(恥ずかしい、、)。
だけど、5年の歳月を経て再読してみて、全く違った感想を持った。
パイロットフィッシュのあの静かな世界観に浸りたかったのに、由紀子の苦悩を想わずにはいられなかった。
3年の交際の末に、山崎と由紀子は破局してしまう。共通の知人の死という悲しみの後に、山崎が伊都子と関係を持ってしまうからだ。
伊都子というのは由紀子の知人で、他人の彼氏とセックスをするという厄介な女なんだけど、遂には山崎とも一夜を共にしてしまう。
そして十数年の後、再会した山崎と由紀子。
別れ際に由紀子は、亭主の浮気相手が伊都子であることを告げる。
さらっと書かれているけど、身の毛がよだつ想いがした。
数十年にも渡る、由紀子と伊都子のグロテスクな縁を、読者は垣間見ることになる。
そして、それを聞いた山崎は、深く思い悩むこともなく、ただ「僕らはもう出会うことはないかしれない。でも、きっと記憶の底ではお互いを覚え続けているのだろう…やれやれ」状態なので、最後の最後で全く感情移入できなかった。
だけど、作品の雰囲気は良いので、またいつか再読してしまう気がする。人との出会いや繋がり、記憶をテーマにしたこの本に、その時どんな感想を抱くのか、今から楽しみではある。 -
学生の時に読んだ本です。もうストーリーはあまり覚えていないけど、今思えば小説にハマるきっかけを与えてくれた本な気がします。切なくて綺麗という印象が残っています。
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おすすめされて読んだ本。
私たちは日々出会いと別れを繰り返している。
今はもう憶えていない、いつか出会ったあの人も、忘れられないあの人も、そんな人たちと過ごした時間の記憶の集合体によって今の自分が形成されている。
記憶に残っていない出会いや出来事も、それは表面的なことにすぎず、消滅しているわけではなく、何かの拍子に心の湖から浮かび上がってくる。
「人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない。」
これからも繰り返される出会いと別れがまた私を形成していくのだろう。
いつか出会ったあの人が幸せであってくれたらいいな、と思った。-
2020/05/19
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2020/05/19
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広い世界に住んでいる私たち、
でも一生のうちで深く自分とかかわる人々は
本当に少なくて限られた世界。
その小さな世界で私たちは生きていくのだなぁと思わされた。
その小さな世界での生、死、性の話でした。
コメントありがとうございます♪
そうでした、そうでした!
フーミンさんの素敵なレビューを読んでこの本を...
コメントありがとうございます♪
そうでした、そうでした!
フーミンさんの素敵なレビューを読んでこの本を手に取ったんだった(^_^;)
もしかしたら春樹が問題じゃないのかも・・・。
あの山崎の煮え切らない態度が嫌なのかも。
由紀子が会いに来るってことは相当覚悟してのことだろうと思うのに、何のさ、あの態度!!って一人熱くなってしまったのでした・・・(笑)
えぇ~!!私のレビューがきっかけだったんですか?めちゃ恥ずかしいんですケド…(*^_^*) でも嬉しいです、ありがと...
えぇ~!!私のレビューがきっかけだったんですか?めちゃ恥ずかしいんですケド…(*^_^*) でも嬉しいです、ありがとうございます。
ブクロク始めてから読む本の幅がグンと広がりました。読んだことのない作家さんにもたくさん出会え...
ブクロク始めてから読む本の幅がグンと広がりました。読んだことのない作家さんにもたくさん出会えました。
お仲間さんに感謝です。
これからも素敵なレビュー楽しみにしていますね(^_−)−☆