ロックンロール (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043740048

作品紹介・あらすじ

小説執筆のためパリに滞在していた作家・植村は、筆の進まない作品を前にはがゆい日々を過ごしていた。しかし、そこに突然訪れた奇跡が彼を昂らせる。欧州の地で展開される、切なくも清々しい恋物語。

感想・レビュー・書評

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  • 思春期に読み、今も心に残っている。

    あんまり文体は好きではないですし、さして深みも感じられなかったです(何様なんだ俺w)。

    ですが
    「凡人だけどなんとか抗いたい、小さなロック魂をいつまでも持ち続けたい」
    というわかりやすいメッセージが、なぜか頭に残ってます。何か自分の心にひっかかるものがあるのでしょう。

    まさに、ポケットの奥の隅の隅の方に、糸にひっかかって取れずに、いつまでも入ってる小石のように。。。

  • 悲しみの宛先が必要だったんだ
    モンパルナスの夜

  • 良い!

    何があっても自分の歌を、歌いながら
    転がり続けるしかありませんよね。

  • パリのホテルに缶詰めになって、ノートパソコンの画面をにらみながら執筆活動をする、という主人公の小説家のスタイルは、まさに著者の大崎氏のエッセイで見た情景そのもの。

    まったく言葉の通じない異文化のなかで、言葉をあたかも「ごしごしと鍋を磨くように」磨いて日本語を紡いでいく。

    その情景を描写するのに「正しい」言葉を探しだし、選び出す地道で根気強い作業。
    そういう雰囲気は割と好きだなぁ。

  • 気取りすぎていて、私には少し合わなかったかも…。
    でも言葉の選び方は好き。
    主人公も作中に「僕にとっての小説の感動は、ストーリーや感情の起伏というよりも、もっと単純で文章そのものということが多いんだ」と言っているように、大崎先生自身も情景にピタリと嵌る言葉を抽出する"文章おたく"なんだろうなと思った。

  • 主人公が熱帯魚関係の本を書いているところが大崎氏とかぶり、半分自伝的作品のような印象を受ける。
    でも人物や舞台の設定に必然性が感じられず、可もなく不可もなくという中途半端な感想しか浮かびませんでした。

  • ついに読みました。先日来のよっちんの中の”大崎善生”ブーム。
    せつない感じ、はかない感じが良い感じ。
    で、もって今回はタイトルからも想像されるように往年のロックの名曲が随所に登場。
    かけながら読むと感動更に倍!!!!
    だからあえて避けてました。だってね、よっちんの好きなもの全開で攻めてくるのが
    予想されたから。
    期待通りに楽しませて頂きました。
    読後の淡い感情がたまりません。
    BGMにLed Zeppelinの「Stairway To Heaven」
    で、もってシメにはGeorge Harrisonの「All Things Must Pass」

    レッド・ツェッペリンの「Stairway To Heaven」の歌詩=To be a rock and not to roll.
    「岩となれ、そして転がるな」って言葉がキーワードなんだけど….若干この訳おかしかね?と思いながらもこの曲の歌詩自体が難解だしね。

    George Harrison
     All Things Must Pass=すべてのことは過ぎ去っていかざるを得ない

    40歳になってこそ身にしみるジョージの御言葉。

    Jeff Beck
    哀しみの恋人達 Cause We've Ended As Lovers



    「ジョン・レノンが死んだ夜くらい一人でいたくない」という気持で
    その夜知り合った女性と動物的なセックスをする。
    この大崎善生のセックスの描写ってとても綺麗なんだけどうそ臭くない。
    勃起はしないけど緻密に美しく表現されている感じがします。でも描写自体は生々しいけどね。
    別の章では「内臓を引きずり出されるようなセックス」という表現も

    あ、そういえば ビートルズはよっちん大好きなんだけどジョージ・ハリスンの良さがわかるようになるのにだいぶ時間がかかりました。
    ジェフ・ベックが「ビートルズは最高だ、リード・ギターを除けば」ってジェフ・ベックにしか吐くことが出来ない名言がありますけど(^_^;)
    でも、ソロになってからのジョージのアルバムの凄さを思うとジェフ・ベック様に「御言葉ですがジョージも凄ぃっすよ」と申したい。

    人間は過去も現在も含めすべての人間たちとなんらかのかたちで影響しあいながら存在している
    老いていくあるいは人間が死に向かっていくということは、どんどん単純化されていくことなんだなと思った。ひとつひとつの機能が失われたり、これまでは普通にできていたはずのことがある日、突然にできなくなったり。そうやって人間はきっとどこかの時点から少しずつ単純化されていくんじゃないかって。その単純化の極限に死がある。

    人間にはこんがらがっていく時期と、それが嘘のようにほどけていく時期がある。

    ロックンローラーの死は一人で抱え込むには重すぎる。だって若い日の憧れそのものだし、あるいは自分の作り上げてきた王国の神様でもある。
    ー略ー
    なぜ、神様なんですか?
    それは彼らが単純だけど強烈で確実なメッセージを伝える力を持っているからじゃないかな?それは心の中に、鮮明にいつまでも残っていく

    いつにもなくとりとめなくなっちゃったけど、最後の「ロックンロール」という小石をポケットにいれてよっちんも生きていくぜ!!!!

  • ベックの「哀しみの恋人達」がず~~と流れている。

    《本文より》
    小説を書いてみませんか、と高井の言葉は小さくて性能のいいマグネットのように僕の心にピッタリと吸いついた。
    何をしていても、何を考えていても気がつくとふくらはぎや肩甲骨あたりに、離れずに張り付いているそのマグネットの存在を感じる。

    僕はこれは恋に似ているなと思った。そう、この感情の揺れは確かに恋に似ている。
    それからこう考えた。
    恋に似ている感情なんてあるのだろうか。恋に似た感情をも含めて、それを恋と呼ぶのではないか。
    そうだとすれば、薔薇窓からの光の輪の中に立ち、それに手をかざしている久美子に、僕は恋をしているのだ。そう思うと、焦燥感に似た痛みのような感覚が胸の中を駆け抜けていった。

  • 現実逃避でパリ住まいなんて贅沢だな。
    それほどにも生みの苦しみというのは
    つらいものなんでしょう。

  • 大崎善生さんの書くものが好きだ。
    読むのは12冊目になる。

    熱帯魚、出版業、環状線をぐるぐると回る、ヨーロッパ、音楽…
    そういう繰り返されるモチーフの中に、はっとする言葉がある。
    キャラクターとか関係性とか心情とかそういう物語の在り様ではなくて、
    言葉拾いをしながら読むような感じ。

    安定して流れる物語の中で、安心して自分のための言葉を探せる。
    小説の中で扱われたような意味合いでは見たことの無い言葉。

    今回は「くもの巣の修繕」、「窓」、「掘削機」がわたしに差し出された。
    「鍋」や「ノシイカ」、「ロバ」、「小石」、「中指」、それだって良かった。

    読みながら、沢山の知人を想起したこともおもしろかった。
    それから、イッセー尾形さんの解説もぴたり。

    これでまた、大丈夫になった。
    きっと、次読むときに見つかるのは別の言葉だろうっていう予感。

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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