長い腕 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.17
  • (58)
  • (239)
  • (448)
  • (132)
  • (33)
本棚登録 : 2021
レビュー : 338
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043746019

作品紹介・あらすじ

東京近郊のゲーム制作会社で起こった転落死亡事故と、四国の田舎町で発生した女子中学生による猟銃射殺事件。一見無関係に思えた二つの事件には、驚くべき共通点が隠されていた……。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これまた会社の方に貸して頂いた一冊。

    全然知らない作家さん。本屋さんでも見かけた記憶が無い。
    でもジャンルがミステリということで期待大!

    電車で起きた殺傷事件、空港で起きた落下事故、会社で起きた転落事故、そして自身の両親が起こした心中?

    時間も場所もバラバラな事件を、あるキャラクター「ケイジロウ」というキーワードで結ばれているのでは?と気づいた主人公 汐路 は、真相解明に乗り出す。

    伏線の貼り方も、ミスリードの持っていき方もなかなか好み。主人公はゲーム制作会社で働いていたという設定だったが、ちょうど最近息子とマリオカートで遊んでいた為、一文一文説得力があり、面白かった。

    最後はハラハラドキドキ場面もあり、なかなかに盛り上がった。

    ミステリはやっぱり面白い!

  • 前半、ゲーム業界や企業の内情などがあまりにも冗長で文庫本なのになかなか進まず。
    ちょっと辛い‥と思い始めた中盤から田舎の村へ帰省した辺りから面白くなる。
    前半がもう少しコンパクトだったら、良かったかな。

  • ゲームクリエイター島汐路の会社で他プロジェクトチームの二人が心中した。汐路の故郷愛媛の早瀬町では教師をしている従妹が受け持っている女生徒が猟銃で殺され加害生徒が行方不明。松山空港ではあるミュージシャンのファンの女の子たちが手すりから転落死数十名が死亡という事故が起きる。
    気になった汐路が調べてみると愛媛の早瀬では率にするとズバ抜けて殺人事件の発生率が高いのだ・・・。
    というとっかかりのお話。

    ゲーム制作会社の雰囲気や、のちに出てくる大工のお仕事など興味深いトピックはそこここに散りばめられているのだが、作中死亡するのが若い女の子ばかりである点などは言及されていない。そこに何か含みを持たせるつもりはなかったのかなぁ・・・なんて思ったりして。
    何と言いますか、主人公の島汐路さんが同性から見ると魅力がない。勝気な美人というだけってのがなぁ。
    例えば体術のエキスパートであるとか、天才鍵師であるとか、あるいは美貌を武器に相手を手玉に取れるとかそういう理由があるなら無謀な行動に出るのも勝算あってのことと思えるのですが、フツーのゲームクリエイターで少々PCの知識がある程度なんですよ。こんなことするかな。
    テーマは好き。なるほどそういうことってあるだろうし、そこをつくとは・・・・という喜びとともに、え、あそこは?ここは?あれ?あれ?というほったらかしな部分も目についた作品でした。
    そういうところを気にしないのならば楽しめると思います。

  • ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女子学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女子学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが……。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ!

    結構面白かった。前半のゲーム業界の話が異様に細かくて蛇足な気もしたけど、それはそれで興味深かったので私はあんまり気にならなかった感じ。人によってはかなり辛いのではないかとも思う。
    最初に立て続けに不審な死が描かれることでぐいぐい引かれていくんだけど、主人公が何故その謎解きに関わっていくのかがいまいち不明瞭な気がした。とはいえ、一歩一歩色んな謎が解けていくのは普通に面白い。
    ただちょっと主人公に共感や好感はもてない感じでもあった。決して嫌いではないけど、あんまり好きにもなれないというか。これは好みの問題かな。
    何気に印象変わったのは石丸さんだったな。頼れるいい上司なイメージだったのに…後半ちょっと怖く感じた。
    続きが出てるらしいのでそっちも読んでみたい。

  • ずっと読みたかった。ようやく読めた。
    テーマが「歪み」だそうで、家の歪みの話は勉強になった。ゲーム制作の部分も。錯覚の部分が家の歪みと繋がった。
    とてもおどろおどろしい、暗い、負の感情や狂気がいっぱい詰まったミステリー。主人公は気が強すぎて、小説の登場人物としてあんまりみりょくてきではない。いい人ポジションの石丸もどこかおかしい。救いは中学生の祥一郎?と、お父さんが作ってくれた山桜の板の机。
    読んでいて暗い気持ちになるのは間違いないけど、次がどんどん読みたくなる、スリリングで先の読めない展開や問題解決におけるテンポ?腑に落ちる感、文章の淡々とした感じはかなり好み。西英子はとても怖かった。
    続編もぜひ読みたい。物語としてとても面白いけど、読んでいる間暗い気持ちになるのは爽やかな本を同時に読めばなんとかなるかな…

  • 第21回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作。
    ゲーム会社で起こった無理心中事件と四国の田舎町で起こった中学生の射殺事件。
    これらの事件には意外な関係が……。

    主人公の汐路はゲーム会社に勤めるシステムエンジニア。
    物語の冒頭では彼女とその同僚たちの激務の描写がある。
    ゲーム業界ではないものの、似たような職種経験がある身としては思わず苦笑いしてしまいたくなる場面だ。

    彼女の同僚が無理心中の犠牲になり、その後、故郷・早瀬で女子中学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたことを知る。
    被害者の同僚と中学生が同一のキャラクターグッズを身につけていたことに注目した汐路は事件を調べはじめるわけだが…この辺、ちょっと説得力がなさすぎてよくわからない。
    汐路がなぜ事件にこだわるのか、その動機づけがうまくなされていない。
    同僚とは親友だった、というわけでもないし、中学生にしたって知り合いだったわけでもない。
    おまけにそのキャラクターグッズが同一であったことなんて…正直、ただの偶然でしょ、って考えるほうが当たり前だと思うし。
    事実、あとになってそのキャラクターグッズが重要なキーになったりするわけじゃないし。

    割とワクワクしながら読んだのは、猟銃事件の加害者と被害者を巧みにコントロールしていこうとする何者かがネットの向こうにいるということをつきとめた場面。
    一人四役まで演じて彼女たちの心の隙間に入り込んでいく手口は狡猾で、恐ろしいと感じた。

    一方で、汐路が従姉妹の家に進入して、犯人をつきとめる場面にはあまりドキドキ感はなかった。
    何というか現実離れしている気がして。
    ただし、犯人である従兄の異形の姿には多少なりともショックを受けた。
    北村薫は本作のテーマを「歪み」だと書いている。
    気付かれないような微妙な歪みが施された家。
    そこに住む者の心を知らないうちに蝕んでいく歪み。
    僕は風水だの何だのなんてことは信じてはいないけれど…ちょっとだけ自分の家は大丈夫かと心配になった。

  • 「長い腕」3部作のなかでは、いちばんおもしろい。
    前半、事件とは直接的には関係のない話に終始するが、3作品読んでみたら…いや、本作品を読み終えただけでも「ああ、これが、書きたかったのかな?」と察するものはある。
    屋敷に入り込むシーン、すっと背筋が凍りつくような現代的な怖さをたたえたエピソードに手が止まらず、結局、最後まで夢中で読んだ。こういう怖さもあるのか。

  • ゲーム業界の過酷な労働やゲーム開発の裏話などが楽しい。
    ネットストーキングや盗聴など、実際に起きている事件も
    組み込んで解決策まで教えてるから、いいお手本にもなるだろう。
    主人公汐路が冷静にトラブルを処理し、的確に調査を進めていく。
    都合のいい結果だけを安易に受け入れず、様々な事象を収集、分析、
    解析して、そこから答えを導き出しているということ。
    散りばめられた謎と伏線。高まる緊張感。
    期待を裏切らずに回収される伏線。
    いやぁ~もう大満足でしょう!捻じれって恐ろしい!
    続編も出てるみたいだからチェックです。

  • 心当たりがありすぎて、石丸さんのかっこよさも吹き飛ぶ怖さだった。
    もうまず、個人的に、主人公の故郷が愛媛ってあたりが…
    なぜあえてそこにしたんですか、川崎先生…?
    その上、「歪み」なんていう、一時期全国でも問題になったくらい身近なものが事件の発端(は言い過ぎか?)。
    現実と小説の区別はちゃんとつけているつもりなのに、どうにも不安が拭えない。
    とりあえず、実家に帰ったら、ちょっとビー玉まいてみようと思う…

  • 同僚の死から始まる疑惑
    キーワードは「ケイジロウ」

    四国の故郷に帰って真相を探り始めた主人公は
    やがて恐ろしい事実につきあたる。

    かなり強引な展開で「ここまでやる?」って感じがする。
    田舎の古臭い恐ろしさはよく出てたけど・・・

全338件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年、愛媛県生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。セガ・エンタープライゼスなどゲーム制作会社に勤務。2001年 『長い腕』 で第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。2012年、続編の『呪い唄』を刊行後、『弔い花』 『疫神』 『誘神』 『署長・田中健一の憂鬱』 と精力的に執筆活動を続ける。本書は、著者の郷土愛が詰まったお仕事ミステリー第3弾。

「2021年 『明日に架ける道 崖っぷち町役場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川崎草志の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

長い腕 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×