長い腕 (角川文庫)

  • 角川書店 (2004年5月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784043746019

作品紹介・あらすじ

東京近郊のゲーム制作会社で起こった転落死亡事故と、四国の田舎町で発生した女子中学生による猟銃射殺事件。一見無関係に思えた二つの事件には、驚くべき共通点が隠されていた……。

みんなの感想まとめ

多様な事件が交錯する中で、主人公が真相を解明していくミステリ作品は、ゲーム制作会社での過酷な現実や、さまざまな社会問題を描き出します。序盤では、ゲーム制作の過程がリアルに描かれ、読者を引き込む要素が満...

感想・レビュー・書評

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  • 序盤のゲーム制作会社でゲームを作っていく過程が面白かった。
    こんな過酷なのかー。

  • これまた会社の方に貸して頂いた一冊。

    全然知らない作家さん。本屋さんでも見かけた記憶が無い。
    でもジャンルがミステリということで期待大!

    電車で起きた殺傷事件、空港で起きた落下事故、会社で起きた転落事故、そして自身の両親が起こした心中?

    時間も場所もバラバラな事件を、あるキャラクター「ケイジロウ」というキーワードで結ばれているのでは?と気づいた主人公 汐路 は、真相解明に乗り出す。

    伏線の貼り方も、ミスリードの持っていき方もなかなか好み。主人公はゲーム制作会社で働いていたという設定だったが、ちょうど最近息子とマリオカートで遊んでいた為、一文一文説得力があり、面白かった。

    最後はハラハラドキドキ場面もあり、なかなかに盛り上がった。

    ミステリはやっぱり面白い!

  • 呪い花 長い腕Ⅲ  恨みを呑んで死んだ喜助一家の生き残り、近江敬次郎(鶴太)の怨念か。早瀬村の事件は続く。


    喜助一家の悲劇の源、御用林を切ったのは宇賀屋敷の者だった。苗字帯刀を許された村の有力者たち(東家・西家・古倉・宇賀・藤・島)が墓を暴き確かめたところ鶴太の遺骸がなかった。村人が探索の許しを訴えた時、代官は任期も残すところ後6日、喜助の不幸を想い匿っていた鶴太を逃がしてやった。
    明治の東京で鶴太は名工に育っていた。

    長い腕Ⅲに入る

    Ⅰ話で意味深に登場し、Ⅱ話の最後をきっちり決めた石丸×源田のコンビ。石丸はいい感じの汐路の理想の上司で二人はなんとかなるのかと思ったがそうでもない。

    石丸は何者か。
    彼も大工筋の血を引いていた。
    石丸佐吉は、明治の東京で敬次郎と因縁の対決をしていた。だが対戦場所に敬次郎は現れず見事な彼岸花の彫り物を届けてきた。
    繊細なしべが伸びているヒガンバナをどう彫ったのか、それが名手の技なのか。驚いて負けを認めた。

    5年前、石丸は採用した島汐路を指導することになった。

    石丸の友人源田は内装業者で依頼があった汐路の姉の家の盗聴器を外した。同行した石丸は早瀬の村に入り既視感を持った(ここには来たことがあるような)

    島汐路は庄屋の生まれであった。近江敬次郎が現れて建てた屋敷の二階を仕事部屋にしている。だが島家の不幸はすでに起きていた(Ⅱ話)埋蔵金に集まった人たちを葬った深い陥穽、地中のトンネルに落ちて多くの人が死んでいた。早瀬村は呪われた地だと噂が広がった。

    時代の長い腕は登場人物の歴史を抱えて伸びてくる。
    敬次郎の足跡をたどると、早瀬村は名工が建てた家が多く残るところだった。

    敬次郎の彼岸花に敗れたのは石丸幸太郎の祖父だった。

    幸太郎は祖父から話に聞いていた敬次郎が建てた早瀬の家が見たかった。今まで父と祖父から大工の技をたたき込まれていた。
    祖父の佐吉は「早瀬は恐ろしいところだ」と言っていたがその訳は。
    幸太郎は確かめようと早瀬村に向かった。

    山で二人の美女に出逢った、あれは幻だったのか。二人は不幸な結婚を控えた早瀬の庄屋の娘だった。
    入った村は不穏な気配がした。島家の当主は敬治郎の名を出して、建てた屋敷を見たいという幸太郎に、早く村から出るようにといった。

    日本は戦争に負けた。海軍を除隊したばかり幸太郎は早瀬で陸軍軍人だった長谷川(Ⅱ話)にであった。
    敗戦で荒れた暴徒の群れが村を荒らしていた。
    物騒な愚連隊が徘徊していた。長谷川と協力して村を守る作戦を立てる。
    ここからはアクション劇。作戦は成功して愚連隊は壊滅した。
    幸太郎は敬次郎の建てた屋敷を見てその見事な腕を確かめ祖父の言葉の謎が解けた思いがした。
    幸太郎は萩代の不幸な婚約を知って共に村を出た。

    今、汐路は愛車カプチーノで宇賀と石丸がいる村の製材所に向かっている。(Ⅱの事件で)亡くなった友人のエリカの婚約者の香川が早瀬を舞台にした「呪われた地」を書いて出版した。
    それが広まり「早瀬刈り」の騒ぎを生んだ。暴走族がバイクで走り汐路たち村人を苦しめる。
    上京して香川を訪ねた汐路はニュースソースが宇賀家の落ちこぼれ英世だということを知る。

    宇賀とそれに繋がるような石丸の不審な行動の訳を知るために、カプチーノが近づいていく。

    汐路はここで真実と向き合う。
    敬次郎はどうして人々を呪いにつないだのか。彼は屋敷を建てることで純粋に腕を見せるために庄屋屋敷を建てたのだろうか。呪いは。汐路は、石丸は。
    なぞは最後に解ける。

    早瀬村の出来事はここで終わった。
    作者は多くのエピソードを巧みに絡ませて時の流れを作った。
    明治の東京。敗戦後の早瀬。早瀬の今昔。関わった人びとの歴史。いまだに残る狭い村の悪習。絡まった人の欲や悪意。などで起きた無惨な出来事は上手く収束した。

    複雑な関係は家系図が助けてくれた。

    三部に分かれた複雑な話の進行、入り乱れたストーリーを読んで頭の緩んだねじが締まり、日ごろの霧が少しは晴れたような、、、。
    ほかの作品も読んでみたい。



    書影が合本版になっていますが単本で読みました。

  • 最近テレビで見た『ミステリと言う勿れ』の登場人物と同じ名前の主人公(汐路)ということで、ふと思い出して久しぶりに手にとった。
    改めて読むと、強引かと思う展開もあるが、総じておもしろい。ミステリーとしての仕掛けを楽しむというよりは、雰囲気を楽しむ作品。不気味さ、陰湿さ、澱み、そして歪み。
    本書の単行本初版が2001年の刊行らしく、インターネットやPCなどについての記述が古いのは当然として、その古さに苦笑しつつ、SNSが浸透した「いま」、歪みは増しているんじゃないだろうか、と、スッと背筋が寒くなる。

  • 読んでいて、まとまりを感じない。

  • ゲームクリエイター島汐路の会社で他プロジェクトチームの二人が心中した。汐路の故郷愛媛の早瀬町では教師をしている従妹が受け持っている女生徒が猟銃で殺され加害生徒が行方不明。松山空港ではあるミュージシャンのファンの女の子たちが手すりから転落死数十名が死亡という事故が起きる。
    気になった汐路が調べてみると愛媛の早瀬では率にするとズバ抜けて殺人事件の発生率が高いのだ・・・。
    というとっかかりのお話。

    ゲーム制作会社の雰囲気や、のちに出てくる大工のお仕事など興味深いトピックはそこここに散りばめられているのだが、作中死亡するのが若い女の子ばかりである点などは言及されていない。そこに何か含みを持たせるつもりはなかったのかなぁ・・・なんて思ったりして。
    何と言いますか、主人公の島汐路さんが同性から見ると魅力がない。勝気な美人というだけってのがなぁ。
    例えば体術のエキスパートであるとか、天才鍵師であるとか、あるいは美貌を武器に相手を手玉に取れるとかそういう理由があるなら無謀な行動に出るのも勝算あってのことと思えるのですが、フツーのゲームクリエイターで少々PCの知識がある程度なんですよ。こんなことするかな。
    テーマは好き。なるほどそういうことってあるだろうし、そこをつくとは・・・・という喜びとともに、え、あそこは?ここは?あれ?あれ?というほったらかしな部分も目についた作品でした。
    そういうところを気にしないのならば楽しめると思います。

  • 面白い所と面白くないというか、無理がある所があったかなという印象。歪んだ家に住むと大変な事になるんだね。

  • 前半、ゲーム業界や企業の内情などがあまりにも冗長で文庫本なのになかなか進まず。
    ちょっと辛い‥と思い始めた中盤から田舎の村へ帰省した辺りから面白くなる。
    前半がもう少しコンパクトだったら、良かったかな。

  • ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女子学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女子学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが……。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ!

    結構面白かった。前半のゲーム業界の話が異様に細かくて蛇足な気もしたけど、それはそれで興味深かったので私はあんまり気にならなかった感じ。人によってはかなり辛いのではないかとも思う。
    最初に立て続けに不審な死が描かれることでぐいぐい引かれていくんだけど、主人公が何故その謎解きに関わっていくのかがいまいち不明瞭な気がした。とはいえ、一歩一歩色んな謎が解けていくのは普通に面白い。
    ただちょっと主人公に共感や好感はもてない感じでもあった。決して嫌いではないけど、あんまり好きにもなれないというか。これは好みの問題かな。
    何気に印象変わったのは石丸さんだったな。頼れるいい上司なイメージだったのに…後半ちょっと怖く感じた。
    続きが出てるらしいのでそっちも読んでみたい。

  • ずっと読みたかった。ようやく読めた。
    テーマが「歪み」だそうで、家の歪みの話は勉強になった。ゲーム制作の部分も。錯覚の部分が家の歪みと繋がった。
    とてもおどろおどろしい、暗い、負の感情や狂気がいっぱい詰まったミステリー。主人公は気が強すぎて、小説の登場人物としてあんまりみりょくてきではない。いい人ポジションの石丸もどこかおかしい。救いは中学生の祥一郎?と、お父さんが作ってくれた山桜の板の机。
    読んでいて暗い気持ちになるのは間違いないけど、次がどんどん読みたくなる、スリリングで先の読めない展開や問題解決におけるテンポ?腑に落ちる感、文章の淡々とした感じはかなり好み。西英子はとても怖かった。
    続編もぜひ読みたい。物語としてとても面白いけど、読んでいる間暗い気持ちになるのは爽やかな本を同時に読めばなんとかなるかな…

  • 埼玉のゲーム会社から退職することを決めた島汐路。退職の直前、手掛けたゲームのチェックを行っている最中に、同僚2人が会社のビルから身を投げた。幼少の頃に故郷愛媛の早瀬で、父と母が崖から転落死したことを思い出す。それらに共通する"ケイジロウ”とは一体…。

    導入部分で、電車の中でナイフで乗客を刺し殺したり、空港で何十人もが死んだりと、サイコホラーなのか?と思っていたが、割と最初の方でそういうわけでなさそうになり、そこからはかなり回りくどい経路を経てミステリとなっていく作品。

    話の内容としては、紆余曲折と言うか、寄り道獣道で割と本質を見失いながら、一応は関係なさそうだった話も拾っていくストーリー展開のため、なかなか面白く読める。一方で、最初の殺人だとかは結局なんだったの?という疑問が残ったままというのはいただけないところ。

    また、味方だと思っていた人が何をやっているのかわからないし、いざというときに連絡してみたら行方不明など、読んでいて主人公と同じ不安が味わえるところはよく出来ている。

    最後はフワッと終わり、爽快感をえられる作品ではないが、プロセスを楽しむ類の作品だろう。ストーカーなどがでてこなくなったのはそういうこと?みたいな。

    ところで、主人公汐路をずっと男だと思って読んでいて、愛媛で姉と再会したところで文章があやふやになり、実は女性でしたというのが判明するまで、約半分かかった。まあ会社のシーンで男女が強調されていたら、別のことを考えてしまうので最終的には良かったが、何らかの意図があったのだろうか。

    導入の事件がきちんと拾われなかったので不満を感じる人は少なくなさそうではある。CamelとEL&Pもくどかったがストーリーと関係はなかった。

    まあ、犯人はとか考えずに、昔の宮大工の話がこうつながってくるかと、スナオに楽しむのが良い作品。出来が良いかと言うと良くはないけど、個人的には好きな話だ。

    あと、帯にオチを書くな。

  • ミステリとしては特にこれといった特徴はなかった。

  • 20240102

  • タイトルの「長い腕」も、オビの「歪み」もどちらも多層構造で、その点はかなり楽しめた。ソフトウェア関連業界の人でないと序盤の話は難しいかも。全体の流れも前半は迷子になりそうな感じだけど、収斂していく先には...[more] なかなかおどろおどろしい結末が待ち受けてる。モラシが日本版サイコと言うのももっともだ。仮想世界の怖さは分からなくもないけれど、指嗾 (教唆ではなく) するのと実行するのとの間をもう少し埋めてほしかった。

  • 長いのは腕だけじゃない、なんならやっと読み終わったって開放感のある作品で面白くはない。なぜタイトルが長い腕なのか正直わからないがまあ朧げになんとなくな作品

  • 前半と後半でだいぶ印象が変わる話かな。わりとはじめから愛媛舞台でも良かったような。ケイジロウより石丸ケイイチのほうが怖かったのが個人的に面白かった。

  • 発生した二つの事件を結ぶものとは一体?
    その謎を主人公が追う。
    が、いかんせん本書は人物描写に乏しく展開も雲を掴むようなものだった。イマイチイメージがし辛い、というのが一番大きい。自分とは合わない作品だった。

  • コンピュータ・ゲーム制作会社に勤務する主人公は今手がけるプロジェクトを最後に退職する予定だった。
    退職が迫ったある日、会社で二人の女性が屋上から転落死。
    とあることから、故郷である四国の田舎町で発生した女子中学生による猟銃射殺事件との関連性に気づいた彼女は真相に迫る。

    ミステリーとしては甘いところも散見されますが、ストーリー自体は面白くスムーズに読めました。
    結末はかなりこじつけっぽく、終盤の主人公の元上司の行動が理解出来ないのが残念。

    このお話のテーマは”歪み”とのこと。

    いろんな意味での歪みが事件を引き起こす・・・って事なのね。

    前半はゲーム制作会社の内情がよくわかり興味深い。(ミステリーには関係ありませんが)

    時代の先端のゲーム会社や携帯電話やパソコンと昔の風習が色濃く残る田舎とそこに暮らす人々のコントラストが面白かった。

  • お初の作家さんです。
    川崎草志さんがゲーム会社に勤務されているようで、ゲーム制作やネットワークについて細く描かれています。
    物語の前半はゲーム制作現場が舞台なので、現代的な内容ですが、中盤で主人公が田舎に戻った辺りから、古めかしい村の因習だったり、人間関係だったりで、グッと横溝テイストが深まっていきます。
    面白かったのですが、主人公の汐路のキャラにハマれませんでした…。

  • 川崎草志 長い腕 
    読み終わりました。

    なかなか良かったです。
    手に入れたいきさつはミステリーベスト◯◯で知って入手。
    読んだのはかなり経ってから、しかも横溝正史を初めて読んでから4冊読んだ後でした。

    これは横溝正史ミステリ大賞受賞作でした。
    横溝正史の作風に近いと感じました。
    私の職歴をカスル内容もあり大変興味深く読みました。

    題名は他でもよかった気がしました。
    長い腕の怪人が襲ってくる話ではなかったよ。
    次回作気になります。

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著者プロフィール

1961年、愛媛県生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。セガ・エンタープライゼスなどゲーム制作会社に勤務。2001年 『長い腕』 で第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。2012年、続編の『呪い唄』を刊行後、『弔い花』 『疫神』 『誘神』 『署長・田中健一の憂鬱』 と精力的に執筆活動を続ける。本書は、著者の郷土愛が詰まったお仕事ミステリー第3弾。

「2021年 『明日に架ける道 崖っぷち町役場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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