長い腕 (角川文庫 か 41-1)

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本棚登録 : 2202
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043746019

作品紹介・あらすじ

東京近郊のゲーム制作会社で起こった転落死亡事故と、四国の田舎町で発生した女子中学生による猟銃射殺事件。一見無関係に思えた二つの事件には、驚くべき共通点が隠されていた……。

感想・レビュー・書評

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  • これまた会社の方に貸して頂いた一冊。

    全然知らない作家さん。本屋さんでも見かけた記憶が無い。
    でもジャンルがミステリということで期待大!

    電車で起きた殺傷事件、空港で起きた落下事故、会社で起きた転落事故、そして自身の両親が起こした心中?

    時間も場所もバラバラな事件を、あるキャラクター「ケイジロウ」というキーワードで結ばれているのでは?と気づいた主人公 汐路 は、真相解明に乗り出す。

    伏線の貼り方も、ミスリードの持っていき方もなかなか好み。主人公はゲーム制作会社で働いていたという設定だったが、ちょうど最近息子とマリオカートで遊んでいた為、一文一文説得力があり、面白かった。

    最後はハラハラドキドキ場面もあり、なかなかに盛り上がった。

    ミステリはやっぱり面白い!

  • ゲームクリエイター島汐路の会社で他プロジェクトチームの二人が心中した。汐路の故郷愛媛の早瀬町では教師をしている従妹が受け持っている女生徒が猟銃で殺され加害生徒が行方不明。松山空港ではあるミュージシャンのファンの女の子たちが手すりから転落死数十名が死亡という事故が起きる。
    気になった汐路が調べてみると愛媛の早瀬では率にするとズバ抜けて殺人事件の発生率が高いのだ・・・。
    というとっかかりのお話。

    ゲーム制作会社の雰囲気や、のちに出てくる大工のお仕事など興味深いトピックはそこここに散りばめられているのだが、作中死亡するのが若い女の子ばかりである点などは言及されていない。そこに何か含みを持たせるつもりはなかったのかなぁ・・・なんて思ったりして。
    何と言いますか、主人公の島汐路さんが同性から見ると魅力がない。勝気な美人というだけってのがなぁ。
    例えば体術のエキスパートであるとか、天才鍵師であるとか、あるいは美貌を武器に相手を手玉に取れるとかそういう理由があるなら無謀な行動に出るのも勝算あってのことと思えるのですが、フツーのゲームクリエイターで少々PCの知識がある程度なんですよ。こんなことするかな。
    テーマは好き。なるほどそういうことってあるだろうし、そこをつくとは・・・・という喜びとともに、え、あそこは?ここは?あれ?あれ?というほったらかしな部分も目についた作品でした。
    そういうところを気にしないのならば楽しめると思います。

  • 面白い所と面白くないというか、無理がある所があったかなという印象。歪んだ家に住むと大変な事になるんだね。

  • 前半、ゲーム業界や企業の内情などがあまりにも冗長で文庫本なのになかなか進まず。
    ちょっと辛い‥と思い始めた中盤から田舎の村へ帰省した辺りから面白くなる。
    前半がもう少しコンパクトだったら、良かったかな。

  • ゲーム制作会社で働く汐路は、同僚がビルから転落死する瞬間を目撃する。衝撃を受ける彼女に、故郷・早瀬で暮らす姉から電話が入る。故郷の中学で女子学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起きたのだ。汐路は同僚と女子学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことに気づき、故郷に戻って事件の調査を始めるのだが……。現代社会の「歪み」を描き切った衝撃のミステリ!

    結構面白かった。前半のゲーム業界の話が異様に細かくて蛇足な気もしたけど、それはそれで興味深かったので私はあんまり気にならなかった感じ。人によってはかなり辛いのではないかとも思う。
    最初に立て続けに不審な死が描かれることでぐいぐい引かれていくんだけど、主人公が何故その謎解きに関わっていくのかがいまいち不明瞭な気がした。とはいえ、一歩一歩色んな謎が解けていくのは普通に面白い。
    ただちょっと主人公に共感や好感はもてない感じでもあった。決して嫌いではないけど、あんまり好きにもなれないというか。これは好みの問題かな。
    何気に印象変わったのは石丸さんだったな。頼れるいい上司なイメージだったのに…後半ちょっと怖く感じた。
    続きが出てるらしいのでそっちも読んでみたい。

  • ずっと読みたかった。ようやく読めた。
    テーマが「歪み」だそうで、家の歪みの話は勉強になった。ゲーム制作の部分も。錯覚の部分が家の歪みと繋がった。
    とてもおどろおどろしい、暗い、負の感情や狂気がいっぱい詰まったミステリー。主人公は気が強すぎて、小説の登場人物としてあんまりみりょくてきではない。いい人ポジションの石丸もどこかおかしい。救いは中学生の祥一郎?と、お父さんが作ってくれた山桜の板の机。
    読んでいて暗い気持ちになるのは間違いないけど、次がどんどん読みたくなる、スリリングで先の読めない展開や問題解決におけるテンポ?腑に落ちる感、文章の淡々とした感じはかなり好み。西英子はとても怖かった。
    続編もぜひ読みたい。物語としてとても面白いけど、読んでいる間暗い気持ちになるのは爽やかな本を同時に読めばなんとかなるかな…

  • なかなかスピード感があり読みやすくてスラスラよめた。
    展開の速さは好みだった。

    建築空間の歪みからくる精神異常も題材として面白い。

    ただ、他のレビューにもありましたが、人物像がうまく浮かばない。
    人物描写がちょっと足らないというか。

    いつもはこんな感じとイメージを抱ける人物像が今回はなかなか頭の中で定着できなかった。

  • 後半がおもしろかった、おぼえがある。

  • 「長い腕」3部作のなかでは、いちばんおもしろい。
    前半、事件とは直接的には関係のない話に終始するが、3作品読んでみたら…いや、本作品を読み終えただけでも「ああ、これが、書きたかったのかな?」と察するものはある。
    屋敷に入り込むシーン、すっと背筋が凍りつくような現代的な怖さをたたえたエピソードに手が止まらず、結局、最後まで夢中で読んだ。こういう怖さもあるのか。

  • ゲーム業界の過酷な労働やゲーム開発の裏話などが楽しい。
    ネットストーキングや盗聴など、実際に起きている事件も
    組み込んで解決策まで教えてるから、いいお手本にもなるだろう。
    主人公汐路が冷静にトラブルを処理し、的確に調査を進めていく。
    都合のいい結果だけを安易に受け入れず、様々な事象を収集、分析、
    解析して、そこから答えを導き出しているということ。
    散りばめられた謎と伏線。高まる緊張感。
    期待を裏切らずに回収される伏線。
    いやぁ~もう大満足でしょう!捻じれって恐ろしい!
    続編も出てるみたいだからチェックです。

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著者プロフィール

1961年、愛媛県生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。セガ・エンタープライゼスなどゲーム制作会社に勤務。2001年 『長い腕』 で第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。2012年、続編の『呪い唄』を刊行後、『弔い花』 『疫神』 『誘神』 『署長・田中健一の憂鬱』 と精力的に執筆活動を続ける。本書は、著者の郷土愛が詰まったお仕事ミステリー第3弾。

「2021年 『明日に架ける道 崖っぷち町役場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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