てのひらの中の宇宙 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043748051

感想・レビュー・書評

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  • 「宇宙に行って、
     お母さんの病気を
     治してもらうんだ。

     子どもたちが初めて出会う死。
     僕は、生命の不思議について
     絵本を作ることにした。」

    ガンの妻と
    ミライとアスカ、
    夫であり父親である崇。

    すごく優しいお話です。
    死や無限という未知であるものを
    どうやって受けとめるか。

    一番残っているのはミライの賢さ!
    私より偏差値高いかもしれない。苦笑
    宇宙や理科(?)についての
    探究心や好奇心、
    そして吸収力、
    尊敬しました。苦笑

    こんなに優しくて
    まっすぐに温かい家庭があったら
    力強く生きていけるんだろうなあ。

    今日子が元気に戻ってきて
    また美味しいご飯を作ってくれますように。

    私も神様に頼るより
    お星様にお願いしようと思います。

  • 奥さんが癌で闘病中の旦那さんが、二人の子供の子育てをしながら、ほんの少し不思議な経験をしながら、不思議な絵本を考えていく(いや、このあらすじ適当過ぎるなw)

    面白い、と言うか、とっても僕向きな作品だと思った。

    極大から極小までを一方では科学的に語りながら、一方では空想的に語られる。それがとても心地よい。
    どっちか、だけじゃなくて、どちらも、そして、それがぶつかってなくて、一つに溶け合いそうな感じがとてもいい。

    こう言うのがダメは人はたくさんいると思うし、それはそれでわかる。現実感あんまりないし、甘過ぎるし。

    でも、こう言うのが好きな人にはたまらないと思う。もっかい読みたいな。

  • この作者の本は好きで何冊か読んでいるのですが
    すいすいっと読んでしまい、あまり残らなかったかな。

    自分が子供の頃母親が乳がんを患ったという過去があるので
    大人の視線から見る子供にとっての生と死、というものに
    あまりリアリティを感じなかったのが理由かも。

    反対に母親の泣いてる暇や体力があったら一日でも早く
    家庭に、子供のもとに戻りたいという切実な想いの方が
    わかるような気がしますが作者は男性だからどうしても男性視線の方が書きやすいんだろうなあ。

    それにしてもこの方の書かれるお父さんは子供想いの
    良いお父さんが多いなあ。今時の若いお父さんはこういう意識なのかなあ。なら良いのにな。

  • 子供の頃、子供向けの百科事典を読むのが好きでしたが、その中の動物編にて、ライオンに食べられるシマウマの写真とともにあった弱肉強食の説明に慄然としたこと、誰しも最後は死を迎えるという決して避けられない宿命に、言い知れぬ恐怖を感じたことを、この本を読んで思い出しました。

    そんな子供の頃の記憶を揺さぶられる一冊です。

  • 『てのひらの中の宇宙』(川端裕人、2010年、角川文庫)

    家族のきずなを描いた小説。まず第一の主眼としてはそう言えるだろう。小説中には、病と闘う母が登場し、2人の小さな子どもと支え合いながら話が進んでいく。身近な生物から宇宙の深遠さまで子どもに自然について教え、母親が死ぬかもしれない状況で、無意識のうちに子どもたちから「死」を遠ざけようとする父親。とても美しい家族の物語である。

    だが、小説はもっと大きなもの、すなわち家族や自然を超えて存在するもの、何か運命や法則といったものへの賛美を暗に描いているのではないか。誰もが死ぬ運命にある。私たちが暮らしている地球は太陽系にあり、太陽系も宇宙の一部であるが、やがて太陽も死に、地球がなくなり、宇宙が死ぬ未来が待っている。だから、この宇宙には「無限」は存在しないはずだ。だが、この宇宙には現に生と死がある。しかし、宇宙を前にした人ひとりの死は圧倒的に小さいのだ…。

    自然のすばらしさに魅せられる子どもが知的探究心を爆発させ、ことあるごとに学ぶ姿勢を描いたのはとても良い。作者はここに家族や自然を超えるものへの賛美を描きたかったのだろうと推測する。

    (2010年7月1日)

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著者プロフィール

川端 裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれの小説家、ノンフィクション作家。東京大学教養学部卒業後日本テレビに入社し、記者として科学技術庁、気象庁を担当。
1995年『クジラを捕って、考えた』を執筆し、ノンフィクション作家としてデビュー。1997年日本テレビを退社後、1998年『夏のロケット』で第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞を受賞し、小説家デビュー。
その後も小説とノンフィクション二つのジャンルで活躍を続け、2000年『動物園にできること』で第31回大宅壮一ノンフィクション賞候補、2004年『せちやん 星を聴く人』で第25回吉川英治文学新人賞候補。2018年『我々はなぜ我々だけなのか』で科学ジャーナリスト賞、講談社科学出版賞をそれぞれ受賞した。

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