青い蜃気楼 小説エンロン (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.77
  • (38)
  • (62)
  • (67)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 475
レビュー : 58
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043755011

作品紹介・あらすじ

二〇〇一年十二月、米エネルギー企業大手エンロンが破綻した。一介の地方ガス会社は、いかにして世界にエネルギー革命をもたらし、なぜ突如破綻したか?同社と米国政府、ウォール街、会計事務所との癒着とは、いかなるものだったのか?エンロンが駆使した金融工学と会計操作のからくりに徹底的にメスを入れるとともに、貧困家庭から這い上がろうとして戦い、破滅した幹部たちの人間ドラマに光を当てるドキュメント経済小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 信用格付の課題を考えている中、本書を手に取った。残念ながら格付サイドからの展開はなかったが、小説としては大変おもしろいものであった。
    256ページに、日本人のアナリスト鶴田がエンロンの決算書をつぶさに調べていく様子が、似たような調査仕事をやっている者として非常に共感を覚えた。

  • エンロンが成長してから倒産するまでの事実に元づいて書かれた小説です。でも小説というよりかはルポのようなちょっと淡々とした感じがした。ただわかりやすく書かれているので、何が起こったのかがよくわかった。

  • 読み返してみた。

    エンロンのビジネスモデルは非常に優秀だと思う。
    マーケットメイキングも含めて自社で抱えてしまえば
    トレード(投機的な意味でなく)での利ざやだけでなく
    マーケット運営での利益も出る。

    結果、資産を持たないエネルギービジネスたれた唯一の企業。
    イノベーションだと思うけどな、純粋に。
    SPCを使った粉飾のせいで、完全に過去のものになったが
    その前の健全なエンロンの目指した方向性は宝のヤマのように思う。

    どうあれ、日本のエネルギー業界においては示唆の多い内容。

  • 破綻したアメリカのエンロンをモデルとした経済小説だが、ほぼ事実が伝えられているため、小説というよりは社会本という感じがする。そのため、小説的な面白みはなく、エンロン破綻の一部始終を学ぶための参考本といったところだ。いかにしてエンロンが会計操作を駆使して世界を代表する企業へとのし上がり、そこから転落していくかが非常に細かく描かれている。

  • 日経新聞に著者についての連載があり、ロンドン在住の元銀行マンであり、複数の外国語にも堪能という点で興味を持った。本書は「小説」という仕立てになっているが、実際はほぼノンフィクションなのだろう。会計不正の代名詞のようなエンロンの興隆・欺瞞・破綻について、その場で見たかのような迫真のシーンが続く。企業小説として面白かった。巻末に金融経済用語集があるが、2002年末に書かれた当時には解説が必要だったであろうこれらの用語も、20年近く経って、だいぶポピュラーになった気がする。

  • エンロン事件がどうやって起きていったのか、小説として楽しみながら知りたい人にはおすすめ。

  • かつて会計事務所は5代と呼ばれる5社が大きなシェアを誇っていたが、その一角であるアーサーアンダーセンを吹き飛ばすほどのインパクトを与えたエンロン事件。

    このエンロン事件をテーマにした黒木氏の作品。

    黒木作品がそもそも好きであり、本テーマにも関心があったため、ポジティブなバイアスがあるのは事実だが、それを差し引いても興味深く、勉強になる本作。

    電力などのインフラの自由化の波に大いに乗り、急拡大を続けたエンロンの裏側には、マークトゥマーケットと呼ばれる利益の前倒し計上、SPEとデリバティブを駆使した損失隠しや資産のオフバランス化があった。

    その中で盛大に私服を肥やした経営幹部は重罪人として刑事罰を受ける結末となったが、彼ら数名が裁かれたところで、エンロン株の乱高下で損害を被った社員や株主のほとんどが報われていない。

    ドットコムバブル、911の流れで本事件が起き、ワールドコムの破綻へとつながっていった。杜撰な会計基準の修正が行われたものの、結局デリバティブの規制は不十分で、最終的にはリーマンショックへと向かっていく。

    日本ではあまり取り沙汰されることがない本件だが、現代史の重要なマイルストーンとして是非一読をオススメしたい。

  • 青い蜃気楼
    黒木亮
    2020年1月12日読了。

    2001年に起きた実際の不正会計を原因とした米企業の破綻劇。
    米エネルギー企業。全米でも売上ベースで第7位、2000年まで6年連続で「最も革新的なアメリカ企業」に選ばれる超巨大会社であった。ちなみに、6位はCityバンク。第8位はIBM。

    元々はヒューストンでのガス、電力、パイプラインの会社だったが、1980年後半ごろからガス取引に積極的にデリバティブ取引を採用に取引を拡大していった。
    金融工学を駆使し、様々なデリバティブ商品と取引を拡大したのがジェフリー・スキリングとアンドリュー・ファストウ。
    複雑なスワップ取引を生み出しバランスシートのオフバランス化を進め、本来計上しなければならない債務をあたかも、デリバティブで得られる債権と相殺して不正に隠していた。
    その為に作られた特別目的組合(SPE)の数3500を超えていたという。
    こうしたトレーディングの不正会計のトリガーとなったのがインド、ダホール州での電力事業の頓挫。
    地に足のついた事業であったが時代の流れとインド政府の趨勢、エンロン内部での競争に負けた事でが後々に大きなきっかけとなる辺りの描写は面白かった。
    この事件によりアメリカでは有数な会計事務所アーサー・アンダーセン会計事務所が解散。他にも企業統治としての会計、監査、情報公開の制度見直しにも大きな影響を与えるきっかけの1つとなったよう。

    米企業における歴史的な大事件であり、日本でも多大な負の影響を与えたエンロン事件を小説にした一冊。
    財務的なワードが多く出てくるので馴染みが無い人には少し難しいかもですが、知らなければ一読の価値ありかと。面白かったです。

  • 臨場感が伝わってくる。ノンフィクションな為他作品とは色が違う

  • 1

全58件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社で23年あまり勤務し、2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』で作家デビュー。著書に『巨大投資銀行』『獅子のごとく』『法服の王国』『国家とハイエナ』『アパレル興亡』『冬の喝采』など。1988年から英国在住。

「2020年 『カラ売り屋、日本上陸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒木亮の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ロバート キヨサ...
デールカーネギ...
有効な右矢印 無効な右矢印

青い蜃気楼 小説エンロン (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×