19歳 一家四人惨殺犯の告白 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 441
レビュー : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043759019

作品紹介・あらすじ

92年、千葉県市川市でひと晩に一家四人が惨殺される事件が発生。現行犯で逮捕されたのは、19歳の少年だった。殺人を「鰻を捌くより簡単」と嘯くこの男は、どのようにして凶行へと走ったのか?暴力と憎悪に塗り込められた少年の生い立ち、事件までの行動と死刑確定までの道のりを、面会と書簡を通じて丹念に辿る著者。そこで見えた荒涼たる少年の心の闇とは…。人間存在の極北に迫った、衝撃の事件ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 1992年におきた市川一家4人殺人事件の犯人である当時19際の少年やその関係者からの聞き取り等をまとめ、事件と犯人や関係者の心情などをまとめたノンフィクション。
    内容を見るだけで気分が悪くなるくらい凄惨で恐ろしい事件だが、少年の当時の心情も普通では考えられない思考だが、少年なりに自己分析を行ったのだろうと感じた。自らが死刑を宣告されて初めて被害者の恐怖を知った、死ぬことは確定しており、目標もなくどうやって生きていけばよいのかという部分は、被害者や遺族からすれば怒りどころか言葉もないと思うが、とてもリアル。当然、人の命を奪っている以上、それも含めての罰であって、同情の余地もないのだが、感情としては理解できる。
    幼少期からの環境はよくはなかったが、最低というほどではないとすれば、結局本人の資質に大きな問題があるということなのだろう。それでも、環境が整ってさえいればここまでのことにはならなかったかもしれないと思うと、なんだかやるせない。
    Wikipediaによれば、平成29年時点でも死刑の執行はされていないとのこと。40代になった元少年は今何を考えているのだろう。

  • 前半の叙事は…それはもう引き込まれるような内容。あぁこの辺りから“男”が屈折することになったのかと思ったりもするけど、悲惨な結末に突き進む何だか嫌な雰囲気がずっと漂っている。(書籍として)よく取材してまとめたなーという感じ。
    (特にそういう区切りはないけど)後半の「手紙」以降は男(関光彦/てるひこ)と著者のやり取りなど。内容的には当然、それまでの叙事と重複しているところが多い。改めて彼が何者なのかを朧げながら理解できた(?)。
    衝撃的な事件。でも、どうしてそうなったのか、男の育ってきた環境はどうだったのかにも(個人的には)気になった。男(一家)の人生を無茶苦茶にした原因はまず間違いなく父親(小塚俊男)だと感じる。母親もおかしいけど、とにかく酷すぎる。だからこそ、父親への取材結果がなかったのはやや残念だった。母親ももっと協力すべきではと。あと、関係ないけど巻末の解説は必要かな?と感じた。
    Wikipediaを先に見ていたので衝撃は和らいだかもしれない。生育環境ひとつで悪魔が生まれることも…なかなか考えさせられるけど、とにかく酷い事件。知っておかなければならないです。
    最後に…(残された)少女はとてもたくましいですね。割り切りの良さというか、お母さん譲りなのかな。感動した。

  • 一家四人の命を奪った19歳の少年。彼の生い立ちや気持ちをつづった本。
    少年犯罪はいつの時代も横行していて、ニュースを見ていると虐待を受けていたり、親同士の仲が悪い、離婚しているなど様々なつらい環境の中で生きている子たちが多いように思う。自分を認められたいとか、自分の存在をこういう形でしか表せないのかと感じました。
    怨恨でもないただの自分の自己主張で人を殺すなんてもってのほかだけど、一番頼りにしたい親に頼れない子どもの気持ちもわかるなあ。

  • こういった書籍を読むのが趣味なので、幼少期の家庭環境の大切さを痛感します。私もあまり良い家庭環境で育たなかったので、両親に対する憎悪や嫌悪には共感する部分もありました。

    彼が告白している通り、彼はお父さんとよく似た性格だと思いました。暴力こそが上下関係だと信じている所、そのくせ小心者で見栄っ張りな所、そして、弱い相手に噛みつく所。ほぼ動物です。

    こういう人達を裁く事も大事なのですが、どうやって更生させていけば良いかも課題なのだと思いました。

  •  一家4人を惨殺した、19歳の犯人の話。死刑が執行されています。犯人は私と同年代です。
    彼の家族のことが書かれていました。確かに可哀想ではあります。あの時代、児童虐待なんて言葉は無かったし、家族絶対主義的な考え方でした。昭和の後半です。人と違っていたら全てを否定されていた時代です。親は選べませんが、自分のやった事を全て親のせいにするのは反省していないと思いました。彼は親のせいにして、罪悪感から終始逃げていたことが分かりました。そして彼の最初の恋人と、奥さんにも酷い事をしていたのでしょう。でも、彼の世界ではいい思い出になっている。
    死刑を宣告されても、自分の人生と向き合わなかったことがよく分かりました。



  • 2019年12月17日読了

  • 2017年12月19日、東京拘置所でふたりの死刑囚に対して
    刑が執行された。そのうちのひとりが関光彦。犯行当時19歳
    だった関に対しての刑執行は、永山則夫以降20年振りだった。

    俗にいう「市川市一家4人殺人事件」が発生したのは1992年
    3月5日の夕方から翌朝にかけてだ。金銭目的で事件発生1カ月
    前に暴行した少女の家に侵入し、わずか4歳であった少女の妹
    までをその刃にかけた胸糞悪い事件である。

    そんな惨劇を引き起こした少年犯は、どのような生い立ちなのか
    を追い、自身が起こした事件に対して何を感じているのかを文通
    と面会によって辿ったのが本書である。

    父親による家庭内暴力、その父親が作った借金による両親の離婚と
    夜逃げ、世間体を憚る母親、安息を得られる場所は母方の祖父母の
    の元にいる時だけだった。

    そんな生活が徐々にいびつな性格を育んだのかもしれないが、生い
    立ちだけでは片づけられない、本人の資質もあるのではないかと
    感じる。

    市川市での犯行に及ぶ前にも、関はいくつかの犯罪に手を染めている。
    その動機さえも曖昧だ。ただ力で人を支配したいだけだったのではない
    のだろうか。父親が暴力で家族を支配したように。

    その力のほとんどは自分より弱い者にだけ向けられている。事件の引き金
    となった女性とのトラブルで暴力団に脅されれば、半ばパニックになって
    いるのだから。

    書簡の内容、面会時の会話から、自分に何の関りもない4人の命を奪った
    罪の重みを、彼は感じていなかったのではないかと思わせる部分が多々
    ある。

    本書は2000年に単行本で発行されたものに1章が加筆されて文庫化され
    た作品なので、著者が係わった頃の関のままで絞首台に上がったのでは
    ないことを祈りたい。

  • あまりに怖くて読んだその日の夜、悪夢にうなされて飛び起きたくらい怖かった。
    この世にこんなにも暴力を信仰してる人間がいるなんて。
    同じ世に生きる自分は、明かりを灯す側の人間になれるよう努めたい。

  • 1992年3月に市川の一家四人が殺害されるという衝撃的な事件があり、本書は死刑判決の確定したその犯人に対する交流の記録である。どうしてそんなことになったのか、当然ながら筆者は犯人の生い立ちにも理由を求め、アルコールで身を持ち崩した父、1人で頑張って犯人と弟の生活を支えた母、その母子家庭に温かい目を注いだアパートの大家夫婦などのエピソードを重ねていく。少年時代の犯人の生い立ちを読むと、その過酷な試練に同情せざるを得ない。また、そんな中で少なくても小学校時代までは素直な、到底後に凄惨な殺人を引き起こすようには見えない。おかしな方向に転がっていくのは、身体的にも強くなった中学生時代に良い環境が周囲になかったようには見える。

    私は職業柄、犯罪を犯した犯人の精神鑑定書を読む機会もあるが、確かに多くの犯人がそのような過酷な幼少期を過ごしていることは多い。そう考えると良い環境、良い大人、良い教育に恵まれればそんな犯罪を起こさなかったように思えてしまう。当然筆者もそうだが、犯人自身がそんなことは無いと真っ向否定する。5歳下弟も、同じように過酷な環境下で、しかも犯人である兄にはひどく暴行を受けて育ちながらも穏やかで犯罪行為とは無縁な状態にあることを引き合いにだし、自分には「生まれ持った犯罪者としての根っ子の部分は、永久に変えられない無い」と語る。犯人自身のこの告白は興味深い。これまでの犯罪研究を考えると、後天的ではなく先天的に犯罪に向かう志向があること、すなわち遺伝的に規定されている部分があることは確かにありそうで、犯罪予防を幼少期から行うことが確立されないと、同じような悲劇は今後もあるだろうとは思う。

    さて、大量殺人を犯した犯人の犯行への振り返り、拘置所内での行動に筆者は違和感を募らせる。今更反省しても殺した人間たちが返ってくるでもなく、読経はするが、そういった行動は自己満足に過ぎないと語り、自分の周りにいた大人たちへの恨みを語る、そういった犯人に筆者は落ち込んでいく。どうだろう、筆者はどうも犯人にわかりやすい反省と悔恨の情を求め過ぎな気がして、読んでいてそっちの方に違和感を感じもした。殺された側の家族としては、何があったって癒やされるものではない。犯人の心情は「おかしい」かもしれないが、実際その通りでもあり、だからこそ犯罪というのはやりきれない、あってはならないものだと感じるのだが。

  • 92年、千葉県市川市でひと晩に一家四人が惨殺される事件が発生。現行犯で逮捕されたのは、19歳の少年だった。

    殺人を「鰻を捌くより簡単」と嘯くこの男は、どのようにして凶行へと走ったのか?
    暴力と憎悪に塗り込められた少年の生い立ち、事件までの行動と死刑確定までの道のりを、面会と書簡を通じて丹念に辿る著者。そこで見えた荒涼たる少年の心の闇とは…。

    この惨殺劇の中、生き残った少女がいる。
    成人した少女は「もう、事件のことは忘れました。でないと、前に進めませんから。(犯人が)どういう刑を受けようと、まったく関心がありません。でも(極刑は)当然だと思います」と凜とした声で語った。

    事件後十数年を経て、生き残った少女は結婚した。
    娘と幼い孫を失った祖母の「娘らの分まで、めげんで生きていきますったい」という言葉が尊い。

    人間存在の極北に迫った、衝撃の事件ノンフィクション。
    解説:重松清

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著者プロフィール

鹿児島県生まれ。大学卒業後、メーカー勤務を経て、週刊誌記者に。91年にフリーとなり、事件ノンフィクションを中心に活躍。2000年、長編小説『サイレント・ボーダー』を永瀬隼介のペンネームで発表し、小説家デビュー。他の小説作品に『閃光』『彷徨う刑事』『カミカゼ』『三日間の相棒』『ダークシティ』、ノンフィクション作品に『19歳‐一家四人惨殺犯の告白』などがある。

「2019年 『デッドウォーター』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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