マリア・プロジェクト (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043765010

作品紹介・あらすじ

妊娠22週目の胎児の卵巣に存在する700万個の卵子。この生物学上の事実が、巨額の金をもたらすプロジェクトを生んだ! その神を冒涜する所業に一人の男が立ち向かうが……。

感想・レビュー・書評

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  • 少しずつ読んでいる楡さんの小説。

    今回のストーリーは、
    人工授精を利用したビジネスを企む悪の枢軸企業と
    立ち向かう一人の日本人の物語。
    彼らの対決に複雑に絡み合うのが、
    過去、彼の子どもを身篭りながらも、
    両親の意思により中絶された女性や
    フィリピンで働く彼の同僚たちの物語。

    人工授精の技術はあくまでフィクションだと思われるが、
    筆者の圧倒的な筆力によって、どこまでがフィクションで、
    どこからがノンフィクションなのかさっぱりわからず。
    もしかしたら、僕たちの知らない世界で、
    こんな怖いことが起こっているのかもしれない。。

    やっぱり楡周平はスゴイと思わされた一冊。

  • 今回のテーマはちょっとつらかった。
    とくに「はじめに」の2ページが衝撃的過ぎて、そのまま読み進めるのがちょっといやになりました。

    生命の創出を人為的に行い臓器移植にも利用する話。
    前半はノンフィクションのような詳細な描写。
    後半は映画を思わせるようないつものドンパチ。
    ドンパチはフィクションの世界観で楽しめましたが、前半のストーリ展開があまりにも現実的で詳細で、まさにそんなことがおきているのでは?と思わされるぐらいで、これがちょっとつらかったです。

    そのストーリは、家柄の違いから、泣く泣く堕胎した6ヶ月の胎児から、卵子をとり人工培養して成熟させたのち、人工授精させて代理母によって出産させまる物語。
    胎児の卵子を使うのかぁっと驚きますが、いわゆる代理母などの話は、医学サスペンスにはよくありがちなストーリ展開です。
    しかし、貧困層の子供をさらってきての臓器売買や臓器移植が出てくると、やはりつらい。
    また、なくなく堕胎した女性がその後結婚して儲けた男の子をやはり臓器移植で救おうとするところが、よんでてつらい。その臓器の出所もつらい。さらに、その後妊娠できない体になってしまいながらも子供がほしいというところで、ドンパチにつながっていきます。
    臓器移植しか手段のない状態でどうしても救いたい自分の子供。子供ができなくなってしまった体で実子がほしいときにとる手段は。医学の倫理や人間の尊厳が大きく揺さぶられるストーリ展開です。

    後半のドンパチは、その理由で軍隊経験者の集まりノン中に素人が参加するか?とか、それだけ郡代経験者が多い中で素人だけ助かるか?とか、いろいろ疑問なところはありますが、勧善懲悪+涙頂戴の展開で、逆に安心して読み進めることができました。

    生命の誕生、臓器移植について考えさせられる作品でした。

  • フィリピンなど東南アジアでの臓器移植の話をたまに聞きますが、それに伴う臓器売買が日常茶飯事なんだろうか?(>_<)

  • フィリピン、マニラ近郊の研究施設では、スラム街トンドから拉致してきた娘に、受精した卵子を定着させて、処女をも懐妊させる「マリア・プロジェクト」が行われていた。そこでは臓器移植も行う。
    いつかこんな日も来るのだろうか。
    後半は組織との銃撃戦になってしまったのが残念。
    (図書館)

  • えぐい話でした。技術的にはあながち将来的には有り得ることもあるんでしょうか、、、
    モラルを無視して実行できる国を選び、切実に子供が欲しい、、臓器が欲しいというセレブに限られた世界、、というのも信ぴょう性がありますね。
    小説全体的には、長かったなぁ、、と思いましたが、、、。特に立ち者に乗り込むところの描写が長くて、読むのに気力が必要でした(笑)実質、そこまでひきこまれていなかったのかもしれません。
    でも、なかなかない設定のストーリーで、おもしろかったです。

  • 読了

  • 前半戦はサイコー。後半戦はがっかり

  • ノンフィクションを読んでいる気分。

    爽快で楽しいという"面白さ"はないが、
    おもしろい小説なのだとは思った。

    娘が生まれたばかりの僕には、
    本当にやりきれなさを感じた。
    さすがに妻には勧められないな・・・

  • 2005/3/17 読了

  • 流産させた6ヶ月の胎児。
    その胎児は 女子であり、体内には 700万個の卵子がある。
    それを人工培養させて 成熟させる。
    成熟させた 卵子を 人工授精させる。
    受精した卵子を 定着させ 代理母 によって 誕生させる。
    それによって ニンゲンが誕生する。
    胎児から 卵子を取り出して 成熟させるというのは 新規性があるが
    それ以外の手法は 目新しいことではない。
    『倫理』というものが 技術の進歩によって 変化してくる。

    そのことが テーマとなって
    現代の 生命とは ニンゲンとは ということを
    問いかけるのではなく、
    ビジネスとして取り組んでいる集団に対して
    何らかのアクションを起こそう という話なのである。

    身近で 都合がよく事件が起こりすぎている。
    フーム。物語作りとしては ちょっと 安易感も否めない。

    卵子および精子を選ぶ基準とは何だろう。
    家柄、階層、貧富の差が どのような制約があるのか。

    法的な整備が遅れている フィリッピンにおいて
    違法な 臓器移植が行われている。
    誘拐、拉致、そして 生きた人体から 臓器を取り出す。
    フィリッピンなら やりかねないと思わせる。
    貧しいことによって 売春だけでなく 臓器までビジネスとなる。
    下層な貧民街で 事件の発端が 起こる。
    金のためならば なんでもしてしまう。

    このようなことは、
    フィリピン、タイ、中国が絡んでいそうな事件でもある。

    具体的な事実が分かってから セジマは 反撃に出る。
    貧民街のボス を中心に 軍隊経験者が あつまり
    その基地に 侵入し 奪回する。
    その作戦は 楡周平の パワフルな筆力が爆発する。

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著者プロフィール

1957年生まれ。米国系企業に勤務中の96年、30万部を超えるベストセラーになった『Cの福音』で衝撃のデビューを飾る。翌年から作家業に専念、日本の地方創生の在り方を描き、政財界に多大な影響を及ぼした『プラチナタウン』をはじめ、経済小説、法廷ミステリーなど、綿密な取材に基づく作品で読者を魅了し続ける。著書に『介護退職』『国士』『和僑』『食王』(以上、祥伝社刊)他多数。

「2023年 『日本ゲートウェイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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