- Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043775088
感想・レビュー・書評
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かの課長活かすすべなきか活かすべき力はわれに乏しかりしか
田島定爾
評論家・ノンフィクション作家の佐高信は、鋭く辛口な批評で知られている。企業社会の問題点をあぶりだし、経営者のあり方にも言及。近年は、多彩な人脈を活かしたトークセッションが話題となっている。
読書の幅も広く、「乱読の貪読」という若き日を送ったそうだ。著書には「男のうた」「人生のうた」など、現代短歌にふれたエッセーもある。
「昭和こころうた」は、政治家や財界人はじめ、ミュージシャン、農民詩人らを話題に、詩歌や俳句について筆を走らせたエッセー集。現実社会に即した作品解釈が持ち味である。
たとえば掲出歌は、中堅企業の社長の歌。80人ほどの従業員全員を見渡せる規模ゆえ、各人の能力を最大限活かす環境を目指すが、ままならず、腐心する姿だ。
酒つぎて我を離れぬ庶務課長今宵 宴に何を言ひたき
環境に非ずすべては社長なるわが責任と言ふ社員あり
経済動向に左右されがちな中堅企業のトップは、かじ取りが難しいこともある。「わが責任」の語が、重い。
これらの歌を引用する前に、佐高信は、吉野弘の「夕焼け」という詩を話題にしている。とくにこの一節にふれながら。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
やさしい心の持ち主の経営学を、詩歌に学ぶこともできそうだ。
(2012年11月18日掲載)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウジウジして陰気臭いやつはダメだというのだが、これは自分は努力して後天的に性格を変えた田中角栄の言葉。