町田康全歌詩集 1977~ (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
4.14
  • (9)
  • (7)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 99
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043777051

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • カマタというのはブッチャーに似た1.5流の選手です

    キラー・トーア・カマタが全日本プロレスに初参戦したのは1978年
    その年のうちに、ジャイアント馬場の持つPWF王座に挑戦したのだが
    ブッチャー同様、反則ありきのファイトスタイルを信条とするカマタに
    翻弄されて激怒した馬場は、レフェリーを突き飛ばすかなんかして
    逆に反則負けを食らってしまったのである(前にユーチューブで見た)
    まったく、こすい奴だカマタは
    いかに正当な怒りといえども、「怒ったら負け」ということが世の中にはある
    それをわかっていて、カマタは馬場をおちょくり倒したのだ
    そのように、正直者の怒りをさそったのだ
    おのれ、なんということだ、ふざけやがって許せん
    そんな気持ちで、僕は今、キーボードをたたいています
    いや、むしろ叩きつけているんだ

    そのような怒りに取り乱すことなく
    できれば、心おだやかに暮らしていきたいとおもう
    カッと頭に血が上ったときには、マントラなど唱えてみるのもいいだろう
    マントラというのは、瞑想を行うさいに心で唱える短い呪文のようなものである
    これに集中することで、わきあがる雑念を取り払うことができるとされる
    唱えやすく集中しやすいものなら、なんでもいいらしい
    「馬場はカマタに負けよった」とかね
    何度も何度も唱えていれば、馬場がカマタに負けよった屈辱の記憶も
    長い人生における
    とるにたりない小さな躓きのように思えてくるに違いない
    町田康(町蔵)の作詞法が、リフレインを多用するものであることは
    ナインティナインの番組などによっても知られているが
    この、「言いたいことを何度も繰り返す」という手法は、ある意味マントラ的で
    たとえばコンサートホールへ行って
    これをみんなで聴き、また声をあわせてシャウトするなどしていれば
    だんだん精神が融解して溶け合うような
    自他の区別がつかなくなって、うどんの中にいるような気持になり
    集団トランス状態へと発展することもある
    とある宗教団体においては、「修行するぞ」と繰り返し吹き込まれたテープが
    信徒のあいだに配布されていたほどなんだ
    また、それは経済的な分野においても活用されていて
    「お安いでしょう?」「わあホントにお安い!」といったようなやり取りを
    目の前で繰り返されるうちに
    ほんとうにいてもたってもいられない気持ちになって、つい
    あってもなくてもいいようなジューサーミキサーだの特殊加工フライパンだの
    負荷が弱くて効き目のないトレーニング用品といったようなものを
    気が付くと、部屋じゅうに買い込んでいたりするのだ
    だからまあ
    ひとりで詩集を読んだり、マントラを唱えるぶんにはそういうこともないので
    安心してください

  • 宮沢賢治超えた。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1962年生まれ、大阪府堺市出身。バンド「INU」のボーカリストとして活動する一方、俳優、詩人としても活躍。1996年「くっすん大黒」で小説家デビューし、第7回bunkamuraドゥマゴ文学賞、第19回野間文芸新人賞を同時受賞。2000年「きれぎれ」で第123回芥川賞を受賞以降は、作家としての活動にほぼ専心している。
その他受賞歴として、2001年『土間の四十八滝』で第9回萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で第28回川端康成文学賞、2005年に『告白』で第41回谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で第61回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
上記文芸作が代表作として評価を得る一方、映画化された『パンク侍、斬られて候』など、メディア化作品が多い。エッセイストとしても定評があり、『猫にかまけて』『スピンク日記』などが人気。

町田康の作品

町田康全歌詩集 1977~ (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする