ホームレス入門―上野の森の紳士録 (角川文庫)

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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043778010

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    ── 風樹 茂《ホームレス入門 ~ 上野の森の紳士録 200501‥ 角川文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4043778015
     
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19470520
     一貧一富 ~ 紳士録の人々 ~
     
    (20150106)
     

  • 今から数十年前。子供の頃、上野の地下道は薄暗くて少々怖い
    場所だった。それなのに亡き祖母は上野に行くと必ず地下道を
    ゆっくりと歩く。

    そこには傷痍軍人がいた。本当にそうなのか、傷痍軍人を装っていた
    のかは分からぬ。だが、子供の私には彼らの姿がとても怖かった。

    祖母は彼らの前に置かれた器に小銭を入れ、小さな声で「よくお帰りで」
    で声をかけて歩いていた。

    そんな思い出のある上野も、いつの間にか傷痍軍人は姿を消していた。
    彼らと入れ替わるように路上で生活する人たちが目に付き始めたのは
    いつ頃からだったろう。

    路上や地下道だけではなく、広大な上野公園も彼らの生活の場だ。
    失業を機に自分もいつホームレスになってもおかしくないと思った
    著者が、上野公園のホームレスたちに親近感を持ち、その生活や
    お役所との問題を追ったルポルタージュである。

    ホームレスといっても彼ら・彼女らが路上や公園に行き着いた理由は
    様々だ。本書に登場するホームレスはそれぞれに個性的。元教師
    だったり、植林業者だったり、自営業者だったり。

    彼らの生活やホームレスを取り巻く状況は興味深いが、著者の立場
    がかなり微妙なのが気になる。

    日本は海外へのODAで何兆円もの金をつぎ込んでいるのに、国内の
    困窮者に対しては有効な対策を打ち出していないと批判するのだが、
    著者本人も失業するまでは海外の支援コンサルタントをしているのだ
    よな。

    多分この人、自分が失業しなかったらホームレスたちに目を向けなかった
    と思うのだけれど。なんだかすっきりしない読後感である。

    本当にホームレスを体験しその経験を綴った松井計の『ホームレス作家』
    の方が面白かったな。

    ただ、ホームレスたちを取り巻く環境を知るには参考になる。

  • (スエーデンの大学院で学んでいた時分に、学内のポータルにアップしていたものを引っ越しています)

    Ueno in Tokyo is an area with culture. There are many art museums, National Museum, National Museum of Nature and Science, and University of the Arts (the best one in Japan) in the woods of Ueno Park. At the same time, it is famous for the number of homeless people living there.

    Shigeru Kazaki had no job at the time of 2000, the period he encountered homeless people in Ueno Park. He used to work as a consultant in the field of ODA and spent many years in South America, where he told he is more familiar with than with Japan. With his unemployment compensation and with plenty of time at home, he beagn to go to Ueno Part with his 3-year old son, just to play with him and leave home so that his wife could take more care of their 6-month daughter.
    There he came to get acquainted with homeless people, telling that he might become their neighbor in the near future.

    Ueno is a place where there was a war at the time of Meiji Restoration in mid/late-19th century. The civil was fought between those who supported the declining Shogun of Edo Bakufu and those of an emerging government who tried to change Japan into a modern nation. Even though Edo Bukfu surrendered and opened Edo Castle, more than a thousand Samurai (Bushi) who could not accept the surrender formed a party called Shogi-tai and moved to Ueno Park. Equipped with modern cannons and guns, the emerging government wiped out Shogi-tai in one day. (the book explain a little about this history)

    Kazaki compares the homeless people to Shoji-tai samurais. Originally those homeless people came to Tokyo with the national economy demands, especially in the time of rapid economic growth in 1960's. Now with globalization and accompanying shifts in skills the new economy needs, those people became obsolete and were abandoned in the Ueno Park.

    During his one -year commute to Ueno park, Kazaki developed his own connections with people living there. As a former ODA consultant, he found ODA approach to help local economies in South America could be applied to helping homeless in Japan. He fostered an idea of establishing a company by homeless people whose skills were very diverse. Actually homeless people he encountered included a lot of intellectual people, such as those with practical skills in computer programming or forestation, or with deep knowledge of anthropology. He observed they ended up with living there just by chance, which can happen to anyone (and increasingly true in 2009-2010)

    He lamented Japanese government did very little to help them while spending a lot of aid money for foreign countries in the form of ODA ( I personally know ODA money goes through a lot of institutions which Japanese bureaucrats have a lot of interests)

    He also described churches that served food to homeless people (though homeless had to listen to preaches for more than one hour before they got hot meals) were often run by Koreans, and Japanese Buddhists and Christians were not visible.

    Together his experience of getting involved in collective disputes between homeless and bureaucrats and interviews with church leaders and bureaucrats , this book is very valuable real-life description of homeless, their supporters, and bureaucrats associating Ueno Park in early 2000.

  • 私もその一員になるかもしれない
    妻子を抱えリストラで失業しホームレス一歩手前になった40歳過ぎの著者の上野公園のホームレスたちとの交流記である。出版は十年ほど前。当時全国で3万余のホームレスがいたらしいが、年間の自殺者数に匹敵するこの人数は現在も減っているとは思われない。ホームレスと言うと髪がぼうぼうで服はボロボロ、神経がズレて自暴自棄的なイメージもあるが、意外とまっとうな普通の人たちが大半である。「元社長、元職人、元教師、元出稼ぎ日系人・・・。戦後日本の経済発展を支えながら、今や社会の片隅に追い払われたホームレスたち。押しが弱いか、おべんちゃらを言えないか、身体が弱いか、年をとりすぎたのか、才能がないか、怠け者なのか、気前が良すぎるのか、偏屈なのか、運が悪かったのか、単にうっかりしていたのか、気位が高すぎるのか、酒か、博打か、競争社会からの逃亡か、それぞれがそれぞれの理由で家を失い、難民として公園に住む。」

    私は生来の忍耐力の無さが原因で、大学を出てから20代30代とと両手の指で数えられないほど自分の意思で転職し40代から50代初めまで初めて10年以上同じ仕事を続けた。そして50過ぎにまたしても自分の意思で失業、数年前やっとのことで定職につき現在に至っている。

    私が転職を繰り返した20代30代は今に比べてまだ時代が良かった運が良かった、贅沢を言わなければ健康であれば新しい職は見つかり何とか家族を養っていけた。今ならホームレスになっていても不思議ではない。50代初めの無職はさすがにきつかった。運良く住む家があったのでホームレスになることは無かったが、住む家が無かったら、ホームレス一歩手前だった。

    ホームレスになるかならないかは紙一重であり、人生は運である。自分は努力しているからとか才能があるからとか思っている人もあるだろうが、私の考えでは人生のかなり大きな部分(すべてとは言わないが)は運に左右される。運のいい人生を生きるためにはどう生きるべきか、親や学校、子供の教育はこれが一番肝心だと思う。

  • 仕事をしたくないといったって「ホームレス入門」を紹介するのはあんまりだろうと思われたお客さま、ごもっともだと思います。でも、もし本当に本当に仕事をしたくなくて、ホームレスになってしまったときのために、本書を読んでおくのもよろしいかと。人生、備えあれば憂いなしでございます。
     本書は、自身も失業中の著者が実際に上野公園などを回り、ホームレスに取材したルポなのです。ホームレスといっても元は様々な職業についていたわけで、そこにいたる過程も人それぞれです。彼らは力強く生きていますが、問題は山積みです。私は軟弱者なので、やっぱりホームレスになるのは無理だろうと思いました。巻末についている「ホームレスにならないために」と「ホームレスにならざるをえない場合」を読んで、実践することにしましょう。

  • 最後の章だけ読めばいいんじゃない。

  • ホームレスな人たちとの直接の触れあいの中から生まれた、まさにこれぞルポ。

    上野のホームレスな人たちの実際の生活の様子や性格、ホームレスをとりまく周囲の状況や独特の世界。非常に詳細に書かれています。

    この本の随所にちりばめられた、怒りともとれる著者の心情。すごくよく分かる気がします。遊牧民の例を引き合いに出したのは、個人的にはとても興味深かったです。「そうか、遊牧民とホームレスの違いはこういうことだったのか」と、分かりそうで分からなかったことの謎が少しでも解けたような気がします。

    ホームレスな人たちに嫌悪感がない人も、ホームレスな人が嫌いな人も、ぜひ読んでみて下さい。

  • リストラされた主人公が、上野公園のホームレスと会話しながら、現代社会の問題点を指摘していくノンフィクション。以前、山谷の労働者の実態を描いた小説を読んだことがあるが、なかなか難しい問題だ。資本主義社会である限り、貧富の差は生じるのは仕方がないことだけど。最後の章には、ホームレスにならないための注意事項なども記してある・・。

  • 未読。気になる書

  • 内容は、はっきり言ってそこまで面白くない。
    ただ、最後の方についている
    資料集が真に面白い!
    私は一人で本屋さんにいたとき
    笑ってしまいました。

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著者プロフィール

東京外国語大学スペイン語学科卒業。中南米専門商社を経て、アマゾンでの鉄道復旧工事に従事。その後、投資・援助のコンサルタントとして現地調査に従事し、これまで世界30カ国を踏査。しかし研究所をリストラ解雇され、作家に転身。ホームレス体験が豊富で、関連書籍も多数。また、新聞、雑誌等でサラリーマン向けのコムも執筆している。おもな著書:『ホームレス入門』(山と渓谷社/角川文庫)『ホームレス人生講座』(中公新書)『サラリーマン残酷物語』(中公新書)『リストラ起業家物語』 (角川oneテーマ新書)『ラテンの秘伝書』(東洋経済新報社)

「2012年 『今日、ホームレスに戻ることにした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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