つきのふね (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791026

作品紹介・あらすじ

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき-。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、十五歳という時代に、何を考え、何を思い、そして何を信じて生きていたでしょうか?

    このレビューを読んでくださっている方の年齢はマチマチです。なかには、ほぼリアルでそんな時代を生きている方もいらっしゃるでしょう。しかし、多くの方はそんな時代をはるか過去に通り過ぎ、青春の想い出という言葉で一括りにした記憶の中に閉じ込めてしまっている、そんな方も多いのではないでしょうか?

    未来というものはなかなかに、もしくは当然に見通せないものです。ドラえもんの秘密道具に頼れない私たちは、そんな見えない未来というものに漠然とした不安を抱きます。そんな思いの典型が、今や二十数年も前のこととなってしまった世紀末、『ノストラダムスの予言』ではないでしょうか?『あたしたち人類が一九九九年をこえて二〇〇〇年を迎える確率を、梨利は「よくてフィフティー、フィフティー」と見積もっていた』といった今や笑い話としか思えない会話も、見通せない未来だからこそ多くの人々は真面目に信じた、真正面から捉えた、そんな時代もあったのだと思います。

    まあ、そんな世紀末の話は別としても、私たちは誰もが、未来に不安を抱く感情は持ち合わせていると思います。そして、そんな思いが最高潮に達するのが青春時代だと思います。特に中学生という時代は、少しづつ世の中が見通せるようになっていく分、それぞれが抱える漠然とした不安の感情も大きくなっていくのだと思います。

    『あたしはちゃんとした高校生になれるのかな。ちゃんとした大人になれるのかな。ちゃんと生きていけるのかな。未来なんか、来なきゃいいのに』。

    不安の感情は、未来というもの自体を否定したくもなってしまう、多感な青春の真っ只中にいるからこそ、そんな思いも極端に突き抜けがちなのかもしれません。

    さて、ここにそんな十五歳の青春を生きる三人の中学生が主人公となる物語があります。『西暦二〇〇〇年の到来とともに高校生になる』という未来に漠然とした不安を抱く青春の日々が描かれるこの作品。そんな主人公たちが、『一艘の宇宙船に全人類を乗せよう』と『考えて苦しむ』一人の大人の男性に心惹かれていく様が描かれるこの作品。そしてそれは、そんな主人公たちがそれぞれの未来に手を差し伸べるその先に『月の船』がゆれ動く瞬間を見る物語です。

    『将来のことを真剣に考える。そろそろみんなもそんな時期にさしかかっていると思うのは、先生だけかしら』と進路調査のアンケートを配布する担任教師。そんな中、窓際に座る『四十八日前までは親友だった梨利(りり)に目をや』るのは主人公の鳥井さくら。そんな さくらは『ケンカをしたわけでもないのに気まずくなって、おたがいを避けあうようになってからひと月以上になる』今を思います。そして、『進路希望欄には、結局、「不明」とだけ書いて提出した』さくらは、『それが原因で放課後、担任に呼びだされ』ました。そんな場に別のクラスの勝田の姿を見た さくら。担任から解放されて職員室を後にした さくらに勝田が『おたがい世渡りが下手だよなあ』と寄ってきました。『中園梨利と同じ高校に行きます』と書いて呼び出されたという勝田は、『いつまで梨利とケンカしてんだよ』と さくらに詰め寄ります。『勝田くんには関係ない』と言う さくらに『オレたち三人、あんなに仲よしだったのに』、『また三人で仲良くやろうぜ』と勝田は続けます。そんな勝田を振り切って教室に戻ると『あたしが所属していたグループの静香と秋江』の姿がありましたが、二人はすぐに部屋を後にしました。『四十八日前のあの日以来、あたしを無視しているのは梨利だけじゃない』という今を生きる さくらは『智(さとる)さんに会いにいこう』と学校を後にし『年季の入った二階建てコーポの上階』へと向かいます。『智さんに奥の和室へと迎えられ』た さくらは、とりとめもない話から入ります。そんな中、『仕事モード』に入った智は『彼らがさ、もうあんまり時間がないってせかす』、『船の体積はもう彼らが正確な値を出していて…』と言いながら『ある乗物の設計図』に向き合います。そんな『智さんの横顔をながめているのが好き』と思う さくら。そして、夜も七時を過ぎて帰途についた さくらは後ろから名前を呼ばれ、『ふりむくと、そこには勝田くんがい』ました。『さくらを尾行してた』と言う勝田は、『戸川って、だれ?』と訊きます。『さくらが入ってった部屋の、表札』と、さくらの行動を指摘する勝田。そんな勝田は、三日後『戸川智。二十四歳。独身…タツミマートってスーパーでバイト中』と突き止めた情報を さくらに突きつけます。『オレは梨利とさくらになにがあったのか知りたいだけなんだ』と言う勝田は、そんな戸川が勤めるスーパーで万引きがあり、『ひとりは逃げたけど、ひとりは捕まった』という事件が少し前にあったことを語ります。『捕まったのがおまえで、逃げたのが梨利だ。ちがうか?』と訊く勝田に『そうだよ』と返した さくら。そんな さくらは『あたしにとって最悪の一日となったあの日』のことを語り出します。そんな さくらが語るあの日の出来事の先に繋がる中学生三人のそれぞれの今と、『ある乗り物の設計図』を描くことに囚われた智の今が交錯していく物語が描かれていきます。

    “あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら”と内容紹介にうたわれるこの作品。そんな一文だけで、中学生を主人公とした名作の数々を生み出してこられた森絵都さんの直球ど真ん中な青春を描く物語への期待感に包まれるこの作品は、代表作「カラフル」と同じ年に刊行されています。そんな物語で気になるのは書名の「つきのふね」が何を指すかです。単純にそのまま考えるとそこにはファンタジーな物語が展開するようにも感じられます。結末に、お見事!と象徴的に描かれる『宇宙船』。内容紹介に”ある日人類を救う宇宙船を開発中の不思議な男性、智さんと出会い事件に巻き込まれる”と書かれてもいることもあり、もう少しだけこの『宇宙船』について触れたいと思います。

    この作品には『どうやらあの宇宙船は全人類を救うことになるらしい』というそんな『宇宙船』の設計図を描き続ける智という存在が登場します。

    『だれかが智さんに宇宙船の設計を依頼してる』

    『その宇宙船はいつか全人類を乗せて飛びたつことになる』

    『時間はあまり残ってないみたい。だから智さんはいそがなきゃいけない』

    そんな さくらと勝田のやりとりに見られるロマン溢れる『宇宙船』にひたむきに取り組む智という図式が展開する物語中盤。『将来、人口が増えたときのために船自体の重量はもっとぎりぎりまでけずっておくべき』と、『重量の問題』を考えたり、『人や動物をどんな配置で乗せるか』という『配置の問題』にも頭を悩ませながら、設計図に向き合う智。そんな智の設計図を『2Hの鉛筆で緻密に描かれたそれは、プロの手による設計図にはおよばないまでも、思わず見入ってしまう』という さくらは、そんな設計図を黙々と描き続ける智の元へと通う日々を送ります。物語の全容が見えてくるまでのこの茫洋とした物語の描き方、『宇宙船』というどこか夢のある存在が中学生の日常の中の一つの風景として描かれていく展開は、智という人物像がはっきりしないこともあってなんともミステリアスです。そして、『こっちは重力コントロール室。船内にはもちろん人工重力が働いてて、それを手動で微調整する場合の部屋だよ』と語る智の優しさがどこまでも滲み出てくるこの展開にはとても魅せられました。

    そんな物語は、一方で、”揺れる少女の想いを描く、直球青春ストーリー!”と内容紹介にうたわれる通り、最初から最後まで視点の主を務める主人公・鳥井さくらの中学生ならではの心の機微が鮮やかに描かれていきます。『再来年に高校受験を迎えることになる』という中学生の今を生きる さくら。そんな さくらは所属していたグループから抜け、かつての友人たちに無視される日々を送っていました。いじめを取り扱った作品?と思う中に描かれるのは、まさかの『万引き』行為に端を発することが さくらの語りによって明らかにされていきます。『お金を払わずにものが手に入るのは楽しいこと』という先に『万引きしたものを渡せば報酬をくれる』という男たちの誘いにエスカレートしていくその行為。そして、『万引きはもはや娯楽ではなくて一種の仕事だった』という先に『あたしは捕まり、梨利は逃げた』という友人二人の運命が待っていました。そして、さくらと梨利の『ふたりの関係がおかしくなった』一方で、智と出会うきっかけを得たさくら。このあたりが自然と明らかになっていく展開も見事です。そして、そんなこの作品の読みどころは物語後半へ向かって物凄い推進力で突き進む展開です。中盤に勝田が語った『真の友 四人が集いし その時 月の船 舞い降り 人類を救う』という『奇跡の予言』の先にまさかのファンタジーが展開するのか?、それともリアルな青春ドラマに落とし込む展開となるのか?このあたりは、どちらに転んでも作者が森絵都さんである以上どちらもあり得ると思わせるところがページを捲る手を止まらせない読書を生んでいきます。そして、そんな物語は、ある人物の手紙全文をもって終わりを告げます。

    なんて優しい登場人物たちなんだろう、なんて優しい物語なんだろう、そして、なんて優しい世界観なんだろう。この作品には、読者である大人たちがそれぞれに歩んできた人生の中に眠る何かを呼び覚ます、そんな瞬間を感じさせてくれる物語があったように思います。

    『人より壊れやすい心に生まれついた人間は、それでも生きていくだけの強さも同時に生まれもっている』。

    そんな言葉に象徴される智という存在。『死ぬことと生きることについて考えてた』というその先に、『つらくても生きることを選ん』だ智という存在と出会うことによって、先の見えない人生に漠然とした不安を抱く中学生の青春を生きる さくらの心の内が鮮やかに描かれていたこの作品。

    『あたしはちゃんとした高校生になれるのかな。ちゃんとした大人になれるのかな。ちゃんと生きていけるのかな。未来なんか、来なきゃいいのに』。

    将来に不安を抱く十五歳の今を生きる さくら、勝田、そして梨利。乱暴に扱うとすぐに壊れてしまいそうな中学生たちの優しい心の内が描かれたこの作品。ひたむきに今を生きる主人公たちの人生の貴さに、とても心打たれた素晴らしい作品でした。

  • 多感な中学生たちと、心に病を持った(持っていた)青年たちの友情を描いた物語。

    表題から、柔らかい印象のストーリーと思いきや、起こる出来事は重めな展開。

    兎角、それぞれ悩みを持っている登場人物たちの発する言葉が、大人になった私にも自分事のように響いた。
    総じて、温かい読了感を得た作品だった。

    「自分の弱さを怖がってんのかもしんないけど、でもほんとはみんな一緒じゃん。だれだって自分の中になんか怖いもんがあって、それでもなんとかやってるんじゃないのかよ」

    とある場面で中学生の勝田くんが発した言葉が特に印象的だった。

  • ノストラダムスの大予言とは
    何だったんだろう。

    1999年の自分は
    子供の頃からの
    プロボクサーになるという夢を叶えたばかりでした。

    一種の刷り込みのように
    幼い頃の自分たちの不安感を煽るだけ煽って
    冗談のように消えていった
    世紀の大ボラ(笑)。


    1998年、高校受験を再来年に控えたこの物語の主人公たちも
    ノストラダムスの大予言のせいで
    2000年以降がものすごく朧気で
    未来を夢見ることができないでいる。


    クラスメートから無視されている
    中学二年生の主人公
    鳥井さくら。

    さくらの唯一の親友だった梨利(りり)。

    梨利を好きなラテン系のノリの
    C組の勝田くん。

    さくらの心の拠り所である
    24歳の青年
    戸川智(さとる)。


    人のSOSサインに敏感であるが故に精神を壊し、
    全人類を乗せて飛び立つ宇宙船の設計図を
    狂ったように描き続ける智が
    本当に切ない。


    そして親友だった梨利を裏切った罪悪感に苛まれるさくらや、

    空虚な心を抱え
    薬に溺れる梨利たちの
    思春期だからこその
    純粋さと焦燥感、未来への不安に苦悩する姿が
    読む者を否応なしに
    大人でも子供でもなかったあの頃へと
    引き戻していく。


    凹んだ時
    壊れてしまいそうな時に
    自分をいつものラインに戻してくれる
    「心の平和」のような存在。

    勝田くんにとって
    それは
    さくらと梨利だった。

    自分にとってそれは誰なんやろ。

    どんなけ知識を仕入れて解ったつもりになっても、
    人は人との出会いや
    繋がりの中からしか
    成長できない生き物なのかもしれない。


    物語の終盤
    さくらと勝田くんは
    精神を壊した心優しき青年、智を救うために
    最後の手段に賭けます。

    それにしても
    大人たちが作った
    終わることを望むような
    破滅の予言より、

    バカな勝田くんが
    大切な人たちのために
    希望と再生を込めて書いた
    稚拙な予言に
    同じくバカな自分の心は
    どうしようもなく震えてしまう。


    マイナスな言葉は
    マイナスな人生を連れて
    未来の自分を縛りつける。

    だとしたら未来とは
    自分の意志の力で
    変えていけるものなんじゃないのかな。

    こうありたいと願う心こそが
    それぞれの未来や明日を作っていく。


    自分はそう信じていたいです。

    • まろんさん
      円軌道の外さん、こんにちは!

      この本、森絵都さんのごくごく初期の作品で
      今の筆致にくらべると荒削りなところはたくさんあるのだけれど
      でも、...
      円軌道の外さん、こんにちは!

      この本、森絵都さんのごくごく初期の作品で
      今の筆致にくらべると荒削りなところはたくさんあるのだけれど
      でも、いちばん好きな作品なんです♪
      幼い日の智さんが書いた、たどたどしい手紙。
      その最後の一行に、読むたびにぽろぽろ泣かされます。
      少年少女にも、遥か昔に少年少女時代を過ごした大人たちにも
      もっともっと読んでもらいたい本ですよね!
      2013/06/12
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      お返事大変遅くなりました!

      自分も春に仕事を変わってから
      体調を崩してばかりで
      なかなかゆっくり
      本を読め...

      まろんさん、
      お返事大変遅くなりました!

      自分も春に仕事を変わってから
      体調を崩してばかりで
      なかなかゆっくり
      本を読めない状況です(^_^;)

      まろんさんも
      かなりお疲れのようだけど
      ムリしないでくださいね。


      森絵都さんの小説は
      カラフルに次いで
      これが二度めだけど、
      思春期の頃の
      不安定な心を持て余した自分を思い出して
      胸が痛くなりました。


      何をもって
      人は人を差別したり
      病気だと決めつけたりするんでしょうね…

      人と違うことこそが
      個性であるし
      ホンマはみんな違っていいんですよね。

      『好き』なことは
      胸張って『好き』って言える
      そんな子供たちを育てていきたいし、

      まろんさんのように
      好きを熱く語れる
      カッコいい大人たちが増えることを
      自分は願ってます(^_^)v

      2013/07/15
  • タイトルの『つきのふね』の’正体’が分かるラスト、嗚咽が漏れた。
    誰もが『つきのふね』を待っているのかもしれない。
    鍵を掛けたガラス戸越しの向こうで。
    救って欲しくて、救いたくて。

    でも誰もが『つきのふね』になれるのかもしれない、とこの小説は言う。
    世界の終わりの、炎と、雷鳴と、雨の中に大切な人がいるのなら。

    作者の‘伝えたい’という思いがガシガシ伝わってくる小説。

    • ひとしさん
      5552さんのレビューを見て面白そうなので読みたいリストに登録させていただきました。
      これって児童書なんですね!
      5552さんのレビューを見て面白そうなので読みたいリストに登録させていただきました。
      これって児童書なんですね!
      2018/05/22
    • 5552さん
      ひとしさん、コメントと読みたいリストへの登録ありがとうございます!
      『つきのふね』良かったです。
      たぶん中高生向けに書かれたヤングアダル...
      ひとしさん、コメントと読みたいリストへの登録ありがとうございます!
      『つきのふね』良かったです。
      たぶん中高生向けに書かれたヤングアダルト小説なのですが、大人の方にも響くものがある小説だと思っています。
      上手い、というより、好きだなあと心から感じる作品でした。
      機会がありましたら是非是非読んでください(^-^)
      2018/05/22
  • 親友だった梨利とさくら。梨利は不良グループに残り、さくらは抜けたことによってハブられている。ハブられたさくらの心の拠り所となったのは24歳の智だった。そこに梨利に付きまとっていた勝田が現れて、、、
    最小限の登場人物で無理なくストーリーが展開されます。
    そしてカタストロフィを感じさせる終盤の畳み掛け方も見事でした。

    勝田には全く感情移入出来ないけど、彼が「一人になるのが怖いんだ」と告白するシーンは好き。

  • 自分の弱さを知っているから、心にずしっときた。自分の弱さを救ってくれる友人もいるから、心にずしっときた。大きな宇宙船になれなくても、「小さくてもとうといもの」になりたいと思った。

  • 気持ちの行き違いで人との関係って簡単に崩れる。なんでこんな事になっちゃったのかなぁ?と思っても対象が人だとなかなか元通りになる事は難しい。

    勝田は、3人の関係をなんとか元通りにしようとしたいと奔走して、さくらと梨利も半ば諦めつつもお互いを求めていた。
    そんなファイト、もうなくなっちゃったな。
    仕方ないか…って諦める事に慣れちゃった感じだ。

    智ほどダメージ大きなものでなくても、みんな、小さな心の病って結構何回も患って大人になってきたように思う。
    植物じゃないんだから仕方ないな。

  • 永遠の出口、で感動して次に読んだ。
    永遠・・の、出口に向かっての道筋(少女が迷いながら進む)は、誰もあるある風で明るかった(オレンジ色からだんだん明るくなるイメージ)。だが、こちらは、思春期の少年少女が暗い深い闇に迷いこむ対照的な内容だった印象。タイトルがすてきだと思いました。

  • 中学生の多感な時期。
    友達関係の悩みや、将来に対する不安。
    そういった心の揺れ動きが描きだされていてよかったです。
    バカでおせっかいな勝田君。いい感じです。
    やることバカなんだけど、友達を、相手をどうにかしてあげたいっていう真っ直ぐな気持ちが伝わります。

    最後の、幼い智の手紙はやられました・・

    遠い昔・・中学のころを思い出しました。
    そのころ、どんなことで悩んでたかな・・。きっと時代は違うけど同じようなこと悩んでたのかも。
    ちなみに、ノストラダムス懐かしい。
    小学生のころに、この予言を知り怖くて泣いたのは覚えています。

  • 不安定で危なっかしい、中学生たちが不思議な作風なのにリアルに浮かび上がってきて。ストーリーを通して少し影が差しているような雰囲気で進んでいきます。これも中高生に読んで欲しい。

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著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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