いつかパラソルの下で (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.33
  • (83)
  • (279)
  • (573)
  • (85)
  • (9)
本棚登録 : 3012
感想 : 280
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043791057

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分の親がどう生きてきたかを知ることは割と大事なことなんだなと思えた本。
    親のせいや育ち方のせいにして逃げることが自分にもあったから話がスッと入ってきた。

  • カタブツで厳しかった父が生前浮気をしていたことを知り、真相を確かめるためにきょうだい3人で父の生まれ故郷佐渡に旅に出る話。
    佐渡にいってみたくなった。
    旅の終わりはあっさり。モヤっとした思い出やわだかまりも時間が風化してくれる。

  • 厳格という言葉では表し切れないほどの厳しさで子供たちを縛り付けていた父親が亡くなった。その後で判明した父の浮気。その父が残した「自分には暗い血が流れている」というやたら意味深な言葉。
    三兄弟は父の本当の顔を暴くために奔走する。

    やっぱり子供は親の影響を受けて育ってしまうんだなと。親も人間なんだから完璧ではないのは仕方ないにしろ、自分の考えだけを押し付けるのは本当にやってはいけないこと。
    気をつけないといけないなー。

    あと、最後のイカイカ祭りが美味しそうすぎて。

  • 大きな目で捉えたら何でもないようなことに、人は執着してしまう。一つの傷が人生に、為人に大きく影響を与えてしまう。人格形成を丁寧に描いた作品だ。一人の人はこんな風に成長してこういう人間になった。その人の影響でこの人はこんな風に…と人と人が繋がって作られていく。そうしてできた蟠りと心の傷を兄妹3人でしっかり見つめる旅を終えた主人公。ほつれた心を解くさわやかな風が吹いたような読後感だった。

  • 厳格な父に教育された柏原野々。
    成人をきっかけに家を飛び出しお気楽な生活をしていたところ、
    父が他界し見ず知らず女性から父と関係があったという連絡が
    入ってから父の足跡を辿り真実を見つけるという物語。

    ただでさえ何もかも厳格に育てられた野々にしてみれば、
    突然現れた女性の存在だけでも狼狽えそうですが、
    女性関係の真実だけでなく、
    「黒い血」の存在を知ったり、
    それから父の生前の日常や生まれ故郷での足跡などを
    辿ることによって徐々に謎が深まっていくところが
    まるでミステリー小説のように進んでいったので面白かったです。

    けれどその一方では父の現実を見つめたり、
    母の本当の心境も見つめることになったり、
    自分自身のことも見つめることもきっかけになり
    真実を知りたいと思いつつ嫌な部分も見えてしまうので
    もし自分が野々だとしたら辛いだろうと思ってしまいました。

    父の足跡を辿るのを後押ししていた交際していた彼氏。
    それまでは結婚をするわけでもなく
    馴れ合いのような関係であったけれど
    これをきっかけにひと悶着があり一時はどうなってしまうのかと
    悲観的な思いしか想像できなかったですが、
    ラストには森さんらしく微笑ましいシーンになって
    いたので良かったなと思いました。

    野々の言っていたように「日常」とは一皮剥けば
    真実のたぐいが見つかる表面なのではないし、
    ましてやその手の真実に照らし合わせて価値を
    判断される対象なんかでもない。
    もし「真実」なるものがあるとしたら目の前の
    「日常」にこそ存在し、従ってそれがどんなに
    ぶざまに情けない人生だとしても、
    人生とはそもそもそうゆうものだからにほかならない。
    というのが印象的です。

    父が嫌なものから逃れようとしたように、
    野々も嫌なものから逃げようとしていたけれど、
    結局人は嫌なものから背けそうとすると、
    かえって本当のことが見えなくなってしまうというのが
    この作品では分かったような気がします。

    父の足跡を辿っていた時に訪れた田舎の親戚の人達、
    野々と兄と妹との関係など様々な登場人物が
    ごく普通にある日常だったのがとてもリアルで
    会話もいきいきとして楽しめました。

    話は淡々と進んでいきますが、
    その中に家族や友達、その周りの人達を通して
    自分を見つめ直すことが出来て
    それからまたステップアップする人生が送れることになり、
    ほんのりと心が温まる作品でした。

  • 自分の境遇を言い訳にして、自分の弱いところから逃げることって意外とあるかも。優しい一冊でした。

  • なんだか久しぶりの森絵都作品。
    表題の付け方が素敵。
    家族のことって知ってるようであまり知らない。
    一緒に住んでると知っている気持ちにもなるし、いつでも知ることができるという甘えみたいなものもあるのかもしれない。
    けど、家族といえどいつ会えなくなるかわからないのは他人と同じだ。
    家族、特に親のことを知ることは自分のルーツを知ることにもなるんだよなぁ

  • 森絵都さんは、第一印象は悪くないのだけど、これはあまりおもしろくはなかったかな。悪くはない、悪くはないのだけど、決して代表作にはならないだろうな、くらいの生意気な感想。

    いや、でもおもしろかったよ。特に、佐渡の描写。
    今の職場に佐渡出身の20代の男の子がいるから、教えてあげます。

    そして、不感症って悩ましいだろうなと考えこみました。やや感じすぎる私の分を、分けてあげたいと思いましたわw

  • 面白かったです。
    家族の知らない部分を探っていって、ますます分からなくなって、最後は酒盛りで終わる。
    いい話だと思います。

  • バラバラな家族。
    集まり方は良からぬはじまりでも、
    みんなが向かい合えて、
    みんなが人のせいをやめて、
    それぞれの道をひとりの人間として歩み出す瞬間。
    温まるなぁと。
    自分の人生は過去になにが起ころうと、
    それは誰かのせいではないし
    自分の弱さも強さも認められなきゃ
    生き抜いていけないんだと思う。

全280件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

森 絵都(もり・えと):1968年生まれ。90年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。95年『宇宙のみなしご』で野間児童文芸新人賞及び産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、98年『つきのふね』で野間児童文芸賞、99年『カラフル』で産経児童出版文化賞、2003年『DIVE!!』で小学館児童出版文化賞、06年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞、17年『みかづき』で中央公論文芸賞等受賞。『この女』『クラスメイツ』『出会いなおし』『カザアナ』『あしたのことば』『生まれかわりのポオ』他著作多数。

「2023年 『できない相談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森絵都の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
伊坂 幸太郎
瀬尾まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×