- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043800018
感想・レビュー・書評
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全体を通して戦争を扱った短編集。
表題作「硫黄島」は芥川賞受賞作だそうです。
どの話も、誰が誰を殺したかと云う事に終始拘り
葛藤し、破滅する主人公を描くパターンです。
…と描くとゲンナリ気味ですが、
語弊を恐れず云えばそれが面白いです。
鳥瞰すれば、誰が誰を、では無く、
みんな戦争と云う現象により殺し殺されて行ったのだ、
と云う様にも読めます。
思想的に苦手な人は苦手な書き方かもしれませんが、
物凄く嵌りました。
個人的には「奴隷たち」「ある戦いの手記」が好きです。
(井田中尉は桐島が好きだったんじゃないかとか思うと…笑)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
解説で三好徹さん(読売新聞社での後輩)がディスってる、「生きるか死ぬともつかぬ海戦にでたこともない某作家は、海軍を讃美する文章を書きつらねる」センセイって誰? 文中引き合いに出している個人的に知遇を得ていた大岡昇平、古山高麗雄、城山三郎は除外。まさか、佐和子さんの父君じゃないだろうな…と思ってウィキを見たら違うっぽくて安心した。(断言は出来ないが、海軍に在籍して従軍経験はあるが阿川弘之さんの故郷広島市は原爆を落とされているので海軍讃美はせんだろう)。
菊村到さんというと二時間ドラマ向けな色っぽいサスペンスの印象が強かったのだが、最初期には戦争体験を扱った重い作品が多いのですね。この文庫は芥川賞受賞作の表題作と文學界新人賞「不法所持」(第37回芥川賞に「硫黄島」とダブルノミネート)を含む短編集だが、イーストウッドの例の映画が2006年公開、この文庫は2005年初版。とりあえず、「芥川賞全集」以外での初期短編の再発はありがたい(表題作以外はこちらでしか今気軽に読めないわけだから)。「硫黄島」「不法所持」が表題作の単行本があるらしく、本書収録作の初出が1957年から1958年に集中しているからまだまだこの頃の作品はあるのかもしれない。ちょっと今から探すのは大変そうだなあ。 -
とても生と死の重たさを感じさせられる内容でした。とても感動します。